読書電撃戦

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Riesling

Author:Riesling
あまり、電撃戦的な速度で攻略出来てないような気が……。図書館に無いから、電撃文庫は少なめです。

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■■■夜行

409386456X夜行
森見 登美彦
小学館 2016-10-25

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僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。


物語は、大橋が学生時代に通っていた英会話スクールの仲間達と10年ぶりに再会し、鞍馬の火祭を見学に行くところから始まる。中井、武田、藤村、田辺がやってくる。今はいないが、10年前は長谷川さんがいた。長谷川さんは10年前の火祭の日に、失踪してしまったのだ。

集まった面々が、それぞれの身に起こった不思議な出来事を語っていくのだが、結末が描かれないまま次の話に移ってしまうので気持ちが悪い。最後まで観る事が出来ない『世にも奇妙な物語』のようである。尾道、奥飛騨、津軽、天竜峡、鞍馬と続いていくのだが、それぞれが7年前に亡くなった岸田道夫という銅版画家の夜行という連作に絡んでいる。


「尾道」は中井の話で、結婚した妻の様子がおかしくなり、いきなり尾道へ行って帰ってこなくなる。中井が尾道まで行くと、坂の上の家に妻とそっくりの人がいるのだが、相手は坂道を登る途中ですれ違った男の妻だった。

男は宿泊するホテルの従業員だったのだが、男の妻は夜行列車に飛び込んでいなくなったという。自分の妻そっくりの女がいた家は廃屋になっているのが気持ち悪い。


「奥飛騨」は武田の話で、勤め先の人たちと出かけた時に、車が故障した男性と出会い、レンタカーにミシマという女性を乗せなければいけなくなる。ミシマと名乗る女性が能力者で、二人に死相が出ているので、すぐに戻らないといけないなどと、嫌なことを言われてしまう。

男女4人で旅行中なのだが、気味の悪い予言のような忠告にギクシャクし始める。だんだん怪談のような話になって行くのだが、いつの間にか2人が消えてしまう。武田が知らない間に事故でも起こり、武田だけが気づいていないのかもしれないが、結末が描かれないので気持ち悪い。


「津軽」は藤村さんの話で、東北に旅行に行った時、児島という男が一瞬だけ燃える家の横で手を振る女性を見てしまう。その場所には気味の悪い家が建っているのだが、児島はそこでいなくなってしまう。藤村も、子供の頃に遊んだ佳奈ちゃんの事を思い出して、おかしくなり始める。

佳奈ちゃんが実在の人物なのか、藤村の孤独な心が生み出した架空の友達なのか分からないまま終わってしまうのが気持ち悪い。


「天竜峡」は、田辺が飯田線に乗った時の話になる。中年坊主と女子高生という不思議な組み合わせの2人が同じ車両に乗っていたのだが、坊主のほうは岸田道夫の家に出入りしていた頃にいた佐伯という胡散臭い男だと分かる。

一見、地元の女子高生のように見えて、何処までも電車に乗り続ける女子高生が怖い。相手は、岸田道夫が夜行という連作で恋してしまった夜の世界の鬼だったのか?


最終夜は「鞍馬」であるが、火祭が終わる頃、大橋と一緒に歩いていた人が全員いなくなってしまう。慌てて他の人に連絡を取ると、10年前に失踪したのは長谷川さんではなく、大橋だという事になってしまっていた。

訳が分からず、再会した中井さんに事情を聴くが、その世界では、岸田道夫は死んでいなかった。夜行という連作も存在せず、代わりに夜行と対になる曙光という連作が作られていた。夜行の世界で失踪した長谷川さんは、曙光の世界では岸田道夫の妻になっていた。

岸田道夫という銅版作家の夜行と曙光で並行世界になっているのが面白かったが、かなり評価が分かれているよね。そんなに難解な構造にはなっていないはずなのだが。イアン・ワトスンほどではないが、これも馬鹿お断りな小説なのかもしれない。夜行しか書かれていないが、対になる曙光が書かれる事に期待する。
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■■■太陽と乙女

4104645052太陽と乙女
森見 登美彦
新潮社 2017-11-22

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デビューから14年、全エッセイを網羅した決定版! 登美彦氏はかくもぐるぐるし続けてきた! 影響を受けた本・映画から、京都や奈良のお気に入りスポット、まさかの富士登山体験談、小説の創作裏話まで、大ボリュームの全90篇。台湾の雑誌で連載された「空転小説家」や、門外不出( !?)の秘蔵日記を公開した特別書下ろしも収録。寝る前のお供にも最適な、ファン必携の一冊。


知らない間に新作が出たのかと思ったのだが、これは小説ではなくてエッセイだった。デビューしてから14年の間にあちこちで書いた文章が一冊になっているので、エッセイとしての纏りが全くない。

「寝る前のお供にも最適な、ファン必携の一冊」と紹介されているが、これは寝る前に読んだらつまらなくて眠くなるから最適という意味なのだろうか。ファン必携の一冊ではあるけれども、ファンじゃなかったら要らない子になりそうな一冊でもある。

元からエッセイとして本にする予定の文章ではないから、読み手を面白がらせようとするエンタメ成分が少ない。比較的どうでも良い話が多いのだが、それでも芥川賞系女流作家のエッセイよりは面白かった。芥川賞系女流作家のエッセイは、だいたいチラシの裏だから。

作家、森見登美彦が、どんな人生を送り、何を考えながら作品を書いたかという事に関してはよく分かるようになっている。こんなに才能がありそうな人でも、苦悩しながら物語を捻り出しているのか。

京都大学に合格して、国立国会図書館で勤務し、売れっ子専業作家になり、結婚もして勝ち組すぎるが、嫁が作中に出て来るヒロインのモデルなのかどうか非常に気になる。

ナスビになる話(実話)は面白かった。Amazonや楽天でナスビのコスプレが販売されているけど、勤務先の罰ゲームで使われるのか(笑)。ナスビになるのは恥ずかしすぎる。ナスビになるくらいなら、まだ魔法少女にでもなったほうがマシである(をいっ!)。

■■■物理さんで無双してたらモテモテになりました 2

4040695127物理さんで無双してたらモテモテになりました 2 (MFC)
えんど kt60
KADOKAWA 2017-11-22

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美少女ケモミミたちとラブくてエッチな俺の冒険譚! 異世界のケモミミ美少女たちが、みんなかわいい! そしてみんな俺の恋人に――!!?


アリの巣はキマイラアントがたくさんいて、何故か美少女型アリ人間みたいな奴もたくさんいた。アリの女王はガードアントのクイーンを倒して巣を奪ったおかしな奴だった。しかし俺TUEEE系主人公の敵ではなかった。

倒すと女王の娘やアリ人間みたいな奴が部下になってしまうのだが、あまりにも安易にハーレム要員が増えすぎで酷いな。短期間で増えすぎて名前を覚えられない。若干、名無しのMobも混ざっているし。

アリ退治の次は、レストラン対決が始まるが、地球チート臭い料理が多いので、おそらく敵の店主は転生者である。ライバル店対策として、地球の調味料を作り、メイド喫茶を始めようとするのだが、なんか違う。これでは18禁イメクラではないか。

エロマンガみたいな事になっているのに、ちっともエロく見えないから、逆に才能を感じる。色々と酷すぎで笑った。なんか、ガンガンとかコロコロとかボンボンに掲載されていそうな、男子小学生向けの微エロギャク漫画にしか見えない。

■■■物理さんで無双してたらモテモテになりました 1

4040690702物理さんで無双してたらモテモテになりました 1 (MFC)
えんど kt60
KADOKAWA 2017-05-22

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自殺考えたら異世界に!ケモミミ美少女たちとのラブくてエッチな冒険譚! けものちっくな美少女たちと異世界で出会いまくり、モテモテでエロエロなハーレムがここに!


なろう系らしいのだが、検索しても出てこない件。アルファポリスみたいに、出版社から書籍化のために消すよう指示されたのだろうか。

現実世界をリタイヤしようとした天草ラクトは、異世界アールヴヘイムの錬金術師ギルス・トリストラに召喚される。錬金術師の弟子として半年間修業した後、旅に出るが、修羅国家ジャップランドで負け組だった奴が、たった半年の修業で強くなっているのが脳内妄想臭すぎる。

早速、盗賊に襲われるのだが、何故かヒャッハー系じゃなくて美少女だった。いくら困ったからといって、こんな弱そうな奴らが誰かを襲っても、上手く行くとは思えないのだが。許してあげたところ、ロックオンされてしまい、勝手に所有物になろうとする。勝手についてきてしまうのだが、そこそこ可愛いのはともかく、弱すぎるし、おしっこ漏らすし、残念ヒロインすぎる。


シャルル=ノイスタッドが所有物になりたそうにこちらをみている。所有物にしますか?
→はい
 YES


町に到着すると、ギルドで上位ランクで登録出来るように交渉するが、ライナテュラス・ミューレン・ミューレンという猫耳独眼竜みたいな女ギルド長に怒られてしまう。勝負に勝ったところ、いきなりフラグが立ちそうになる。

モンスターの討伐会議に出席すると、鉄砕斧のセシリア=フェアゲッセンという女が絡んでくるが、奴隷を捨て駒にしようとするクズである。こいつも物理で殴ったら嫁になるのか? クズ女はラクトがワンパンで撃破し、奴隷を捨て駒にしないため、一人でモンスターの巣に向かおうとする。

■■■ハーブの歴史

4562051221ハーブの歴史 (「食」の図書館)
ゲイリー アレン Gary Allen
原書房 2015-01-20

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ハーブとは一体なんだろう?香草?薬草?スパイスとの関係は?それとも毒?答えの数だけある人間とハーブの物語の数々を紹介。人間の食と医、民族の移動、戦争…ハーブには驚きのエピソードがいっぱい。


農耕を始めるまで、人類は狩猟と採集によって食べ物を得ていたのだが、農耕文明が始まってからも、山野に自生する食物が採集された。古代の農耕は、土地が痩せるのを防ぐために休耕期を必要としたので、ハーブはその時期の重要な食べ物だった。

同じ植物であっても、その部位によってハーブと呼ばれたり、スパイス扱いされるものもあって、定義が曖昧になっている。伝統的にヨーロッパでは、自分達で栽培出来るものをハーブと呼び、外国から輸入しなければならない高価なものをスパイスと呼んで区別した。値段の違いもあり、スパイスは宮廷料理などで使われるようになり、ハーブは庶民用の日常的な食材と考えられるようになった。

スパイスやハーブがありがたがられるのは、これらの植物の部位に、アルコール、アルデヒド、酸、アルカロイド、精油、エステル、エーテル、テルペノイドなど、料理に風味と芳香を与える成分が含まれているからである。

通常の食材と違い、ハーブは生ハーブと乾燥ハーブで、成分が減少するだけでなく、別のものに変化する場合があるので、全く別のものであると考える必要がある。

消臭スプレーが誕生するまで、世界はもっと臭かった。ハーブは食材となっただけではなく、芳香剤として王宮などに撒かれていた。新しいハーブを撒いて、枯れたものを回収する専門のストリューワーが存在した。芳香で誤魔化すのではなくて、便所問題とお風呂問題を解決するほうが先のような気がする。いくら部屋をハーブの良い香りで満たしたところで、その辺でうんこをしたり、お風呂に入らないやつは臭いと思うのだが。

第3章では世界各地のハーブが紹介されている。日本でも普通に売っているようなものから、強壮剤の表示で見た事があるものや、聞いた事もないようなものまで、様々である。モロヘイヤは日本だと野菜扱いされているが、これもハーブなの? バナナまで載っているが、実になる部分ではなくて、葉っぱや花がハーブとして利用されるらしい。

海藻も海のハーブとして紹介されているのだが、海苔が日本以外ではアイルランド沿岸とウェールズ沿岸でしか利用されていないのは意外である。美味しいのにもったいない。海苔を食べない地域の人からすれば「海の中に生えている草なんか食えるかよ」くらいの感覚なのかもしれないが。日本人はワカメも食べるが、イギリスでは健康に有害な雑草扱いされている。

コカの葉には幻覚作用があるが、ボリビア、ペルー、ベネズエラでは合法らしい。他の国だと逮捕されるかもしれないので、どうしてもトリップしてみたい人は、この三国に行けばよいだろう。

ヨーロッパから新大陸に渡ったハーブは、取り寄せられたものもあるが、新しい土地に順応して雑草になった。薬草として重宝されていたのに、使わなくなったら要らない子扱いするなんて、人間は勝手である。あちこちに食用となるものが勝手に生えているようだが、私はハーブの知識が無いから、見ても食べられない雑草と区別がつかない。

異文化が遭遇した時には、料理の素材と技術のやり取りが行われる。ほとんどの場合、経済的にも政治的にも片方だけが得をするが、料理に関しては双方が豊かになる。イタリア料理には新大陸原産のトマトが、タイ料理にはヨーロッパ原産のバジルが、インド料理には南米原産のトウガラシが入っている。

日本ではハーブと野菜は区別されていると思うのだが、本書では、料理の風味を増すために利用される部位のうち、スパイスを除いたすべてをハーブとして取り扱っているので、かなり違和感があるものまで混じっている。

■■■牛肉の歴史

4562051213牛肉の歴史 (「食」の図書館)
ローナ ピアッティ=ファーネル Lorna Piatti‐Farnell
原書房 2014-12-15

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人間が大昔から利用し、食べ、尊敬してきた牛。世界の牛肉利用の歴史、調理法、牛肉と文化の関係等、多角的に描く。牛海綿状脳症(狂牛病)や成育ホルモン剤問題他にもふれ、「生き物を食べること」の意味を考える。


先史時代、人類の祖先はオーロックスという野生の牛を狩っていた。オーロックス自体はすでに絶滅しているが、現在の家畜牛の祖先である。ラスコーなどに残る洞窟壁画に描かれている牛は、このオーロックスである。

人類が他の生物を家畜化したのは1万2000年前で、最初は山羊、羊、豚など、比較的小型の動物が中心だった。牛の家畜化の痕跡が分かるのは、紀元前8000年頃である。

牛が家畜化されるようになると、人類は定住を始め、牛肉が食料となった。牛は肉として食われるだけでなく、農作業に利用され、牛乳は乳製品の材料となり、皮革は防寒着となった。次第に、乳牛と肉牛が区別されるようになっていった。

牛は、古代ローマ帝国でさて、贅沢品で、滅多に食べる事が出来なかった。牛を飼うには牧草地と様々な手間暇がかかるのだが、土地は耕作地として利用したいため、あまり牛肉食が広まらなかったのだ。冷蔵技術などなかったので、一度に取れる肉の量が多すぎるという問題もあった。温暖な地中海周辺を支配したローマ帝国にとっては、他の動物を飼うほうが、効率も良かったのだ。

ローマ帝国では牛をあまり食べなかったが、それより北方に住んでいたゲルマン民族は牛を食べていたようである。牛の肉は硬かったので、あまり人気がなかった。豚肉が最も人気で、羊肉も好まれた。牛肉は鶏肉や魚よりも格下扱いされている。今と逆じゃないか。現代では、普通に手に入る肉の中では、牛肉が一番高いのに……。いや、これは日本人が輸入関税のせいで、不当に高い肉を食わされているから、余計にそう思うのかもしれないが。

19世紀になっても、牛肉は農民の肉だと見なされる事が多かった。当時の牛肉は硬かったのだろうが、それでも羨ましい。日本では、牛肉は勝ち組の肉になっているというのに。

16世紀の初頭、コンキスタドールによってアルゼンチンに牛が持ち込まれると、放牧に適した環境だったため、インフラを整備しなくても牛が増えた。南半球に位置しているため、欧州や北米がオフシーズンの時に食肉を出荷出来るという理由もあり、アルゼンチンは重要な牛肉輸出国となった。

日本では四足歩行する生物を食べる事が禁じられていたが、神戸ではこっそり食べていたようで、幕府の歴代将軍も、この貴重な肉を好んだとされている。明治時代になると、肉食が解禁された。現在、日本には黒毛和牛、褐毛和牛、無角和牛、日本短角種の、和牛4種が存在するが、これは明治時代に在来種とヨーロッパの品種を交配し、改良を重ねて作られたものである。

現在、世界に流通している和牛の大半は、日本で飼育されたものではない。日本政府は神戸ビーフの品質を守るため、何十年もの間、生きた和牛の輸出を禁止していたが、1976年4頭の和牛がアメリカに輸出された結果、1993年にはカリフォルニアが世界最大の神戸ビーフ生産地となってしまった。2001年には、オーストラリアも主要な神戸ビーフ生産国となる。

オールトラリアでは、第一回囚人移民船に乗せられた牛が持ち込まれた。1790年代、逃げ出した牛が野生化して増え始め、1820年には5万4000頭になっていた。

第2章から、世界各国の牛肉料理や調理法に移る。ローストビーフや、牛肉のグリル料理などが載っているから、お肉を食べたくなるという、とても危険な章である。タルタルステーキやユッケなど、生肉系の料理も載っているのだが、生はちょっと怖いので、あまり食指が動かなかった。

北イタリアのヴァルテッリーナ地方で作られる、塩漬けの肉を風乾したブレザオラは美味しそうである。南アフリアのビルトングも強烈である。元は、遊牧民が鞍の下に入れておいた肉片らしい。肉片が摩擦熱で柔らかくなる一方、鞍が肉片に味をつけたらしい。そんな恐ろしいものは食べたくないが、幸い、今のビルトングは鞍の下で作られたものではないようである。

人類は牛肉に特別な思い入れでもあるのか、洞窟壁画の時代から牛を描いているのだが、アート分野でも牛肉は重要な素材となっている。シャイム・スーティンが1925年に描いた「屠殺された牛」は、肉の状態になってぶら下がる牛を描いている。生々しすぎて好きになれないのだが、こういう絵も需要があるらしい。個人的にはルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」みたいな絵のほうが好みのタイプなんだが。

アートとしての牛肉は、さらに強烈な使われ方をしている例が紹介されている。アメリカのポップシンガー、レディーガガが、牛肉ドレスを纏って登場した事があるのだ。靴も服も帽子も、全部牛肉になっているから、服じゃなくて、バイオハザードに出て来る女性型モンスターみたいになっている。写真付きで紹介されているので、是非、この生々しすぎる牛肉ドレスを見て欲しい。グーグル先生に聞いても、どんな服なのか教えてくれる。

■■■剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1

4040727401剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1 (ドラゴンコミックスエイジ い 4-1-1)
iimAn&惟丞 年中麦茶太郎
KADOKAWA 2018-06-15

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私は剣士になりたいんです! 超天才9歳児の痛快ファンタジー!! 一流の剣士を両親に持ち、自身も剣士を夢見て冒険者学園に入学した少女、ローラ。入学時に行われる剣の適性測定で驚異の数値を出し喜ぶも、ついでに測った魔法適性が全属性で9999を叩き出してしまい……!?


なろう系チート物のコミカライズ。こういう才能で全てが決まるような世界も酷いよなぁ。何処かの島国みたいな運ゲームよりはマシなのかもしれないが。

ローラ・エドモンスは父親のブルーノが剣士、母親のドーラが槍使いという脳筋夫婦に育てられたため、トップクラスの剣士になりたいと思っていた。王立ギルドレア冒険者学園に入学した。しかし、魔法適正が9999もあった。

王立ギルドレア冒険者学園は大賢者カルロッテ・ギルドレアが設立した名門校なので、ローラと同じくらいの年で入学試験を突破した者はほとんどいなかった。戦士学科に入学したアンナ・アーネットという女の子は同じくらいに見えた。

ローラが謎の柱で適正値を計ると、剣の適正:107、槍の適正:99、斧の適正:99、弓の適正:74、格闘適正:75と、かなりのエリートだった。数値としては想定の範囲内ではある。しかし、魔法のほうは攻撃、防御、回復、強化、召喚、特殊魔法の全てが9999という、おかしな事になっていた。

あまりにも数値が違いすぎるので、ローラは有無を言わさず魔法学科に転籍させられてしまった。魔法学科にはツンデレお嬢様みたいなシャーロット・ガザードという学園最強の魔法使いを自称する人がいた。可哀想に、どんなに頑張っても才能の壁は越える事が出来ないのに。

親に脳筋教育を受けているローラは剣が大好きなので、放課後に戦士学科の練習を見に行く。そこにいたアンナ・ガーネットと練習しようとしたところ、魔法学科だからと止められてしまう。

無理やり転籍させられて、剣の練習もさせて貰えないローラは泣き出し、自分より弱い人に教わる事は無いと爆弾発言をする。すると先生もキレてしまい、魔法学科の教師と戦う事になってしまう。ちなみに、魔法学科のエミリア先生は竜殺しという異名を持つので、かなり強いはずであるが、チートには勝てないよね……。

ところで、王立ギルドレア冒険者学園の制服が艦これの島風ちゃんとボカロを足して割ったような感じなのだが、コスプレにしか見えない。

■■■ フューリー

B00XXOK6Y0フューリー [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2015-07-22

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1945年4月、戦車“フューリー"を駆るウォーダディーのチームに、戦闘経験の一切ない新兵ノーマンが配置された。新人のノーマンは、想像をはるかに超えた戦場の凄惨な現実を目の当たりにしていく。やがて行く先々に隠れ潜むドイツ軍の奇襲を切り抜け進軍する“フューリー"の乗員たちは、世界最強の独・ティーガー戦車との死闘、さらには敵の精鋭部隊300人をたった5人で迎え撃つという、絶望的なミッションに身を投じていく。たった一輌の戦車でドイツの大軍と戦った5人の男たちは、なぜ自ら死を意味する任務に挑んだのか―。


第二次世界大戦末期の欧州戦を描いている。戦車隊の補充兵として、全く戦闘経験の無い新兵ノーマンが配属される。徴兵されてから僅か8週間で、ただのタイプ係だったはずなのに戦車兵にされるなんて恐ろしい。

ブラピが演じる鬼軍曹みたいなコリアー車長は、アフリカ戦線からずっと転戦してきたベテランで、異様に武装親衛隊を憎んでいる。進軍途中で森の中から奇襲攻撃を仕掛けて来る敵兵を新兵ノーマンが撃てなかったため、戦車が一両炎上して指揮官も死んでしまう。

目標となる都市に向けて進軍する途中には、命令に従わなかったドイツ人がいっぱい吊るされているし、米軍に加担する市民も銃殺されるし、投降してくるドイツ兵は子供だらけだし、本土決戦を行わなかった大日本帝国よりも悲惨な事になっている。

捕虜を銃殺したり、ドイツ人女性の家に上がりこんだりと、普通のハリウッド映画なら描かない都合の悪い部分も出て来る。新たな命令が出て家を出ると、直後にそこが爆撃されてしまい、一緒にご飯を食べたばかりのドイツ人が死体になるなんて、運の要素が大きすぎる。頑張った奴が生き残るのではなくて、運が良かった奴が生き残るんだよ! 努力厨なら弾を全部避けて実力で生き残るのかもしれないが。

指揮官が要請したのは戦車10両だったが、都市まで辿り着いたのは4両だけ。敵を阻むため、とある十字路の防衛を命じられるのだが、途中でティーガー戦車が襲ってくる。シャーマン戦車よりも強力なので、戦車隊は次々と撃破されてしまう。後で、映画用のハリボテではなくて、本物のティーガーを使用していると知って驚いた。

なんとかティーガー戦車を撃破したものの、戦車は1両のみ。さらに、防御地点で地雷を踏んでしまい、キャタピラが剥がれたから、移動出来ない固定砲台状態になってしまう。新兵ノーマンが見張りを命じられるのだが、道の向こうからやってきたのは、約300名からなる武装SS大隊だった。

逃げるしかない状況だが、コリアーは自分だけ残って敵と戦おうとする。そして、無双モードに突入するのだが、敵の数が多すぎるから、どう考えても生き残れる気がしない。

ノーマン以外全員戦死するなんて、酷い結末であるが、ナチのほうは動けない戦車を相手に、ここまで兵士を失いながら突撃する必要があったのか謎である。日本軍じゃあるまいし、世界一ィィィィーーーーッ! な第三帝国にこんな馬鹿な指揮官がいるとは思えないのだが。

最後の無双モードと、曳光弾が多すぎてスターウォーズみたいな事になっている点は違和感を感じたが、戦争のクソったれ感が良く出ていて良かったよ。

■■■鮭の歴史

4562051035鮭の歴史 (「食」の図書館)
ニコラース ミンク Nicolaas Mink
原書房 2014-10-27

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人間がいかに鮭を獲り、食べ、保存(塩漬け、燻製、缶詰ほか)してきたかを描く、鮭の食文化史。アイヌを含む日本の事例もくわしく記述。意外に短い生鮭の歴史、遺伝子組み換え鮭など最新の動向も。


他にも数多くの魚がいるのに、鮭に特化した本になっているのは、人類にとって重要な魚だからである。現在、世界で消費される魚の12%は鮭である。商業的漁業が発達し、缶詰という保存方法が発明されてから、鮭は世界中に輸出される食糧となった。

2500万年前、淡水魚の一部が海に入るようになる。2000万年前にタイセイヨウサケ属とサケ属に別れ、別々の進化を遂げた。これらの魚は地球環境の変化を生き延び、海水の表面近くで生活する魚のなかで、最も数が多くなり、60万年前に、現在の鮭となった。

イワナも鮭の仲間なのは知らなかった。イワナはずっと川にいるじゃないかと思ったら、日本に生息するイワナが残留型なだけで、他の地域のイワナは一生の大半を海で過ごすようである。

鮭の肉は濃厚で脂肪分が多いため、すぐに腐敗が始まる。条件次第では、1時間足らずで食べられなくなるので、現代のような冷凍技術が無い時代には、何らかの方法で保存出来るようにする必要があった。

例えば塩漬けにすると、細胞から水分が抜けて塩分が入り込むので、腐敗を引き起こす細菌が住みにくい環境となる。煙にさらした場合、煙の殺菌効果に加えて、熱を加えた時と同じように、最近が繁殖する原因となる水分が細胞から取り除かれる。アメリカ先住民は鮭の水分が抜けるまで日干しした後、砕いて鮭粉にして保存した。

産卵を終えた鮭は、肉質も落ち、食べられるものではなかったが、18世紀のスコットランドで、泥炭で燻製鮭にする方法が考えられると、美味しい食べ物に変わった。

土の中に埋めるという方法も、化学的な組成が変わって、長期保存に適した食べ物となった。19世紀になると、埋める代わりにディル、砂糖、塩、コショウを合わせたものに漬けるグラブラックス生産者が増えて来た。

やがて、これらの保存方法を凌駕する缶詰の発明により、鮭は世界中の何処でも簡単に運べ、簡単に食べる事が出来るようになる。1864年、鮭漁師だったヒューム兄弟と、ロブスターの缶詰製造業者だったアンドリュー・ハプグッドが手を組み、鮭缶詰を製造し始める。当初は手作業だった缶詰工場は、充填機と自動魚体処理機によって、大量生産が可能となった。

1940年代にはアラスカで1億匹の鮭が水揚げ、加工、出荷されていたが、漁獲高が減り始め、1970年代には戦前の15%にまで落ち込んだ。鮭缶凋落の原因のひとつに、ツナ缶消費量の世界的な増加が挙げられる。

冷たい海域に限定される鮭と違って、マグロは暖かい地域でも獲れたため、コートジボワール、タイ、エクアドル、モーリシャス、ガーナ、メキシコ、フィリピンなどがマグロ漁とツナ缶製造に参入する事が出来、生産コストを減少させた。

1982年2月、アラスカ産の鮭缶を食べたベルギー人がボツリヌス菌中毒で死亡したため、大規模なリコールが発生し、鮭缶の評判が地に落ちてしまった。

航空網が発達すると、鮭漁は新たな段階を迎える。高級魚のキングサーモンなどが、48時間以内に世界各地に空輸可能となったのだ。これにより、鮭缶でなく、生の鮭が中産階級の食卓にも乗り始める。ノルウェー、スコットランド、チリ、ブリティッシュ・コロンビア沿岸では鮭の養殖も始まり、安定して供給する事が可能となった。

アラスカはボツリヌス菌中毒事件以来、低迷したままだったが、アラスカ州が鮭の養殖を禁止した事で、アラスカ産の全ての鮭は天然となった。天然である事が高い品質を保つという考えは、半分は思い込みにすぎなかったが、1990年代になると、現実的な影響力を持つようになった。

鮭の養殖も、新たな段階に入っている。マサチューセッツ州ボストンになるアクアバウンティ・テクノロジー社が商標登録した「アクアアドバンテージ・サーモン」は養殖のアトランティックサーモンにキングサーモンとゲンゲ(ウナギに似た魚)の遺伝子を組み込んでいる。

アクアアドバンテージ・サーモンは、通常の養殖鮭の半分の期間で成長する。卵が孵化してからわずか8か月後にグリルド・サーモンとして消費者が口にする事が可能である。自然の環境で成長するキングサーモンは、8か月では人間の人差し指くらいの大きさにしかならない。

環境や人体への影響を心配する市民からの反対が大きいにもかかわらず、アクアアドバンテージ・サーモンは米国食品医薬品局の承認を得る可能性が高まってきている。

■■■パスタと麵の歴史

4562053305パスタと麵の歴史 (「食」の図書館)
カンタ・シェルク 龍 和子
原書房 2017-01-20

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イタリアの伝統的パスタについてはもちろん、悠久の歴史を誇る中国の麺、アメリカのパスタ事情、アジアや中東の麺料理、日本のそば/うどん/即席麺など、世界中のパスタと麺の進化を追う。


タイトルを環境依存文字にするのは止めて欲しかった。パスタの本も麺の本も多いが、ふたつを同時に扱った書籍は少ない。本書は大陸の東と西で別々に進化したパスタと麺を扱うが、ふたつを結び付けようとする試みは行っていない。

パスタについては、欧州以外での歴史がよく分かっていないが、マルコ・ポーロが中国から運んできたのだという説を支持する人もいる。これは完全に間違っている。というのも、紀元前1000年のギリシャにもパスタがあったからである。マルコ・ポーロが紀元前1000~4000年頃の旅行家でないと、辻褄が合わなくなるではないか。ちなみに、麺のほうは中国で紀元前4000年頃のものが発見されている。

ゲルマン民族が作ったという説も信じ難い。ローマ帝国の遺産を破壊するばかりで、ほとんど何も継承しなかった蛮族が、こんなオシャレな食べ物を考案するなんて、とても思えない。マルコ・ポーロ説に関しては、アメリカ人が犯人である。アメリカの広告で、マルコ・ポーロが麺を持ち帰るというネタを使ったところ、馬鹿がたくさん騙されたようだ。広告のネタを事実であると信じてはいけない。

今ではちょっとオシャレな食材くらいだが、中世のイタリアでは贅沢品だった。ジェノヴァのドーリア家、フェラーラのエステ家、マントヴァのゴンザーガ家、ミラノのヴィスコンティ家とスフォルツァ家、フィレンツェのメディチ家といった名家が数日にも及ぶ宴を主催した時に出て来るような先進料理だったのである。

パスタはデュラム小麦のセモリナ粉でつくられたものが高く評価される。デュラムとはラテン語で硬いという意味だが、大粒で硬く豊かな黄金色に輝く。人々が黄金色を高品質のパスタだと見做すため、より色素が増した交配種がつくられ続けた。現代では、健康に寄与するカロテノイドの含有量が増加している。グルテンはパスタを強く割れにくくするので、噛み応えのある(アルデンテ)パスタにするとき重宝される。

パスタはずっと手作業(足作業?)で作られていたが、ナポリ王フェルディナンド2世が1834年にパスタ工場を訪問した時、職人が足で捏ねているのを見て驚き、機械を作るよう命じた。美少女の足踏みパスタでも抵抗があるのに、おっさん職人が踏んでいたらショックだろう。

パスタがアメリカに渡るきっかけを作ったのは、アメリカ合衆国第3代大統領トマス・ジェファーソンである。ジェファーソンは大使としてフランスに駐在中、パスタのとりことなった。ジェファーソンはマカロニ製造機まで購入した。

パスタと麺の歴史の本のはずであるが、ほぼパスタで麺は少ない。全部で6章あるのだが、1~5章までパスタで、麺は6章だけだった。なかなか麺の話が始まらないと思ったら、最後だけだった。最終章で中国の面の歴史から、拉麺、ワンタン麺、福建麺、ミャンマー風焼きそばカウスエジョー、手延べ麺、タイの米麺、ベトナムのビーフ・フォー、韓国のカルクッス、蕎麦、うどん、インスタントラーメンまで出て来るので、駆け足である。インスタントラーメンは貧乏人の麺だから悲しい。