本谷有希子

攻略対象書籍は以下。

江利子と絶対 本谷有希子文学大全集』★★★★
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』★★★★
ぜつぼう』★★★★
生きてるだけで、愛。』★★★☆
ほんたにちゃん』★★★
グ、ア、ム』★★★
あの子の考えることは変』★★★★
ぬるい毒』★★★
嵐のピクニック』★★★☆
自分を好きになる方法』★★★☆
異類婚姻譚』★★★☆

エッセイ、他
『本谷有希子の この映画すき、あの映画きらい』
『かみにえともじ』


戯曲
遭難、』★★★★
乱暴と待機』★★★★
偏路』★★★☆
幸せ最高ありがとうマジで!』★★★★
来来来来来』★★★☆


その他
イママン 本谷有希子マンガ家インタビュウ&対談集』★★★☆


「イママン」は小説ではなく、マンガ家インタヴュー&対談集。

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異類婚姻譚

4062199009異類婚姻譚
本谷 有希子
講談社 2016-01-21

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子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作ほか、自由奔放な想像力で日常を異化する、三島賞&大江賞作家の2年半ぶり最新刊!


第154回芥川賞受賞作。

「芥川賞なのに面白くない」と言う理由で密林でも低評価が付けられているが、芥川賞が面白い作品を選ぶ賞だと勘違いしている人が多いようだ。今までこの賞をそれなりに追いかけていたら、むしろ面白くもなんともない作品を選ぶ賞だという事が分かるはずである。

基本的に、文壇と書き手のオナニー作品しか選ばれていないじゃないか。綿矢りさの『蹴りたい背中』みたいな、普通に読める作品が受賞する事のほうが、異例なんだよ。面白い話が読みたいのなら、同時期に発表される直木賞のほうから選んだほうが良い。

本谷有希子作品の中では、はっちゃけ度が足りないので、面白いかどうかと聞かれれば、微妙作な感じではあるけれども、芥川賞の中では、まだ読めるほうだろう。いつもなら、もっとマジキチな人が出て来て、頭がおかしい人同士の人間模様が展開されるのだが、「異類婚姻譚」ではそれが無いのが残念。本谷有希子は、初期作品や戯曲のほうがキレていて面白いと思う。

「異類婚姻譚」は自分がだんだん旦那に似て来たと思い込む、サンちゃんの話。飼い犬だって一緒に住んでいると、どことなく飼い主に似てきたりするのだから、これもその程度のシンクロ現象なのかと思ったが、違った。気を抜いた時の旦那の顔がどんどんおかしくなり、パーツのあるべき場所までズレてくる。

旦那の顔がおかしく見えるサンちゃんの頭のほうがおかしいのか、本当に顔が変形しているのか、読んでいてよく分からなくなってくる。前者であると思って読み進めるが……。

だんだん、旦那の様子がおかしくなり、ひたすらゲームをやり始めたり、揚げ物ばかり作り始めたりする。鬱病か何かになったのかと思っていたが、最後の最後で有り得ない結末が待っていた! なんだこれ、夫婦の日常を描いた少し病的な話かと思ったら、ただの不条理物じゃないか(汗)。

他の3編も、人がいなくなって犬に置き換えられたり、世界が途中で消されてしまうクイズ番組だったり、藁で出来た夫の中から楽器が飛び出て来るような、意味不明の不条理な話ばかりだった。


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自分を好きになる方法

自分を好きになる方法自分を好きになる方法
(2013/07/26)
本谷 有希子

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一人の女性の一生を、3歳、16歳、28歳、34歳、47歳、63歳のそれぞれ一日を描いた6編を連ねて構成する長編小説。「いつか自分が心から一緒にいたいと思える相手に出会えることを夢見て生きる女性の人生を、「6日間」で鮮やかに切りとる。前作『嵐のピクニック』で大江健三郎賞を受賞、いま最も注目される新鋭女性作家の最新作!


第27回三島由紀夫賞受賞。

主人公リンデの人生を、一日ずつ切り取って描いた作品で、16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳の順番になっている。描かれるのはリンデの長い人生のうち、たったの6日間なのだが、これだけでリンデの人柄が見えてくる。いつものようの派手でちょっとキ印入った主人公が暴れる感じの作風ではなく、翻訳された西洋の純文学みたいになっているのが新鮮。

自分探しならぬ自分と分かりあえる誰か探しで一生を費やしそうな主人公が悲しい。自分探しと同じで、分かり合える誰かなんて存在は見つからないんだよ。青い鳥と同じで非実在的存在なのだから。自分探しに出かけてしまう難儀な人々よりは地に足ついてる感じだけど、これでは幸せは見つからないよなぁ……。


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ぬるい毒

ぬるい毒ぬるい毒
(2011/06)
本谷 有希子

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ある夜とつぜん電話をかけてきた、同級生と称する男。嘘つきで誠意のかけらもない男だと知りながら、私はその嘘に魅了され、彼

に認められることだけを夢見る―。私のすべては、23歳で決まる。そう信じる主人公が、やがて24歳を迎えるまでの、5年間の物語。


第33回野間文芸新人賞受賞作。
第145回芥川賞候補作。

東京の大学に進学し、たまに故郷に戻ってくるイケメンと、自分を客観視しすぎる女の関係が、ひたすら気色悪いだけの話だった。影響力を駆使して他人を支配しようとする中身ナッシングなイケメンと、騙されたフリをしながら冷めたままの女の両方がキモかった。

いつものような元気の良いキ印さんが登場せず、話にキレも無い。題名通りのぬるい感じになっているのが残念すぎる。芥川賞狙いで迎合してるのかもしれないが、こんなぬるい話は書いて欲しくない。結末も、ぬるくなりすぎて不味いコーヒーを飲まされた後のような後味の悪さで、全米が萎えた!


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嵐のピクニック

嵐のピクニック嵐のピクニック
(2012/06/29)
本谷 有希子

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優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気を描く「アウトサイド」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い(「哀しみのウェイトトレーニー」)、カーテンの膨らみから広がる妄想(「私は名前で呼んでる」)、動物園の猿たちが起こす奇跡をユーモラスに綴る「マゴッチギャオの夜、いつも通り」、読んだ女性すべてが大爆笑&大共感の「Q&A」、大衆の面前で起こった悲劇の一幕「亡霊病」…などなど、めくるめく奇想ワールドが怒涛のように展開する、著者初にして超傑作短篇集。


普通の芥川賞系作家と違って、短くてもちゃんとオチがある。ぶっ飛んだ設定や結末の話が多いけれども、読み終えて「だから何?」と突っ込みたくなるような内容が無いよう系作品じゃないのが良い。多少あざとさを感じる部分はあるけれども、作者のオナニーじゃなくて、ちゃんと読み手を意識しているのがよろしい。

中途半端にピアノの才能がある子が、結局は何者にもならず底辺で終わる話や、受賞して今から人生が開けるという局面で亡霊病が発症して人生終了フラグの話など、意地悪なのが多いけど、基本的に本谷有希子作品は戯曲とかでもハッピーエンドじゃないからなぁ(笑)。

キ印主人公の話だけでなくて、不条理系や微妙にファンタジー入った作品もあって面白かった。



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来来来来来

来来来来来来来来来来
(2010/06/29)
本谷 有希子

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新婚一ヶ月で旦那が失踪!嫁ぎ先には野鳥狂いの姑に、いじわる小姑。新妻・蓉子は、鬱憤ぶつけられ放題の日々に、ひたすら耐えている―とびきりの「ご褒美」を待ちながら。


小説ではなくて戯曲なので苦手な人は注意。題名からしてキ印入っているが、登場人物もどこかキレてる人ばかり。人間関係がひたすら悪化して行き、そのうち本当に気が狂う人も出てきて、破滅へと向かって行く。

主人公は新婚一ヶ月で旦那に逃亡されて田舎に残された嫁。旦那は全く登場せず、女ばかりの意地悪な人間関係にどっぷり嵌って行く。同じく旦那に逃げられた野鳥狂いの姑からは、溺愛する息子がいなくなったのは嫁のせいだと虐められ、小姑からも意地悪される。その他も、村中の男と寝ているビッチとか、義理の父を自分のものにしたい女など、酷いのばかり。女子高生が比較的まともだと思ったけど……。今回もキ印人間だらけだし、毒が多いなぁ。


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偏路

偏路偏路
(2008/09)
本谷 有希子

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東京で女優になる夢を諦めようとする娘と、どこまでも暴走する父(おとん)が、親戚宅で繰り広げるスリリングかつハートウォーミングな一週間。小説『グ、ア、ム』と対をなす、劇作家・本谷有希子の“善意”に満ちた最新戯曲。


小説かと思っていたら戯曲だった。またしてもキ印な人がたくさん出てくる。駄目人間だらけの家族模様。家族を犠牲にしてまで東京に出たけど、鳴かず飛ばずで出戻りしたい娘。それにキレて、帰ってくるなら自分が仕事辞めて代わりに東京へ行くと言い出す親父。一番酷いのは、仕事もせずにダラダラと人生を浪費した挙句、妹が貯めた大金を勝手に使って車を買い、直後事故ったクソ男。もう人間失格そのものである。

駄目な人だらけなのだが、本谷有希子本人の体験をそのまま使っているシーンもあって驚く。特別付録に登場する本谷父が強烈すぎる。星一徹に対抗出来そうなキャラだと思う。


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あの子の考えることは変

あの子の考えることは変あの子の考えることは変
(2009/07/30)
本谷 有希子

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“前代未聞のカタルシス。著者初の友情小説” 岸田&鶴屋南北賞受賞の気鋭が拓く小説の新境地。汚い日田とおっぱいだけが取り柄の巡谷、おかしな二人のヘンテコで切ない共同生活。


第141回芥川賞候補作。

予想通り、受賞せず。レベルが低いからではなく、逆に芥川賞の好みから斜め上方向へ突き抜けてしまっているので、無理だろうと思った。舞城王太郎と同じく、芥川賞基準では異端すぎる気がする。

本谷有希子作品だけに、今回も頭のおかしい人が出てくる。主要人物は僅か二人。同居している女で、片方は放射能レベルの毒オーラを排出する電波さん。自分が臭いと言い張り、全てをダイオキシンのせいにするキティである。かなり気色悪そうなのだが、外見は小さくて可愛い眼鏡っ子な処女という設定らしく、そのギャップが堪らない。

もう一人は一見すると普通な感じなのだが、男に執着し、彼女から奪い取るためにセフレ化し、さらにモテなくするために肥え太らせ、格好悪い髪形に変えてしまうという危ない人だった。しかも、時々おかしくなるし。精神的にキレた状態になっているのを、電波女のほうから「グルーヴ先輩来た(・∀・)!!」みたいに言われているし(笑)。一種のトランス状態に近いのかね……。

放射能電波&グルーヴ先輩の、どこまでも壊れた人間模様。身近にいると鬱陶しいかもしれないけど、少し離れた場所から見たらとても面白そうな人達だ。まさに、愛すべき馬鹿!

特に放射性電波な方、処女な部分に拘りすぎて逆にエロ野獣化しそうになったり、臭いとか言われて本当に臭くなってしまったりする、見事なまでの壊れ具合。ついには、1回だけで良いからセフレを貸せとか言い出し始める。


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幸せ最高ありがとうマジで!

幸せ最高ありがとうマジで!幸せ最高ありがとうマジで!
(2009/03/27)
本谷 有希子

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とある町の新聞販売所にやって来た、謎の女。女は嬉々として、その一家の“不幸”を抉り出していく。目的は復讐か?否。女は、縁もゆかりもない見ず知らずの人間だったのだ。悪魔的なエネルギーで一家を追いつめる女。真の目的は一体何か?“不幸の理不尽”をブラック&シニカルに描いた、気鋭のパルコ劇場デビュー作!第53回岸田國士戯曲賞受賞。


第53回岸田國士戯曲賞受賞作。

題名がこんなのだけど、キチガイ電波女が日常生活に乱入して来て、新聞販売店を経営している家族がかき回されまくるという、とっても不幸な感じの戯曲だった。

突然現れた謎の女が愛人を名乗るが、実はただの電波さん。夫の浮気疑惑にも動じない妻は後妻で、可愛い連れ子がいる。この家の息子は血が繋がらない妹のパンツ見せ攻撃くらいしか良い事が無いキモ系で、住み込みバイトをしている女はメンヘル系。

登場人物全員が、いい感じに狂っていてキモい話になっている。一家をかき回す電波は最悪だけど、演じるのは永作博美。永作クオリティなら、電波入っている危ない女でも、許してしまいそうだ(笑)。自分に要素の無いキャラなので、演じるのが大変だったらしい。


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グ、ア、ム

グ、ア、ムグ、ア、ム
(2008/06)
本谷 有希子

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子煩悩な母(パート主婦)、わがままな姉(フリーター)、堅実派の妹(信用金庫勤務)。女3人が連れ立って、初めての海外へ(父は留守番)。楽しいはずの道中は、天気も気分も荒れ模様――。遺伝子は一緒なのに、どうしてこんなにバラバラなのか。やっぱり「世代」が違うせい? 21世紀の家族の心の叫びをリアルに描き切った傑作。


最新作だけど、読んでいていまいち乗り切れなかったのは、登場人物が普通っぽいからか!? 駄目人間ではあるのだが、従来の作品に出てくる人々のようにキ印入る程はぶっ飛んでおらず、普通に生息していそうな範囲内に収まっている。

姉は自分が駄目人間なのを時代のせいにばかりして逃げている負け組。そんな駄目な姉を見て反面教師にして、自分はシッカリ生きようとする妹だが、やはりヘタレ男と付き合ってしまっている時点で多少駄目っぽい。そんな姉妹を産んだおかんはマイペースで、その姦しい状態に囚われてしまった父は家族にすねをガジガジ齧られて、姦しい軍団にケツの毛まで毟り取られた自称乞食な人。

父だけ日本に居残りで、駄目姉と妹と母の三人で、グ、ア、ム旅行へ。しかし悪天候や体調不良のトラブル続きで、せっかくの旅行もグダグダ状態に。とりあえず、姉が一番駄目なのだけは確定。

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イママン 本谷有希子マンガ家インタビュウ&対談集

イママン 本谷有希子マンガ家インタビュウ&対談集イママン 本谷有希子マンガ家インタビュウ&対談集
(2007/11/21)
本谷 有希子

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『本谷有希子のオールナイトニッポン』の山本直樹、こうの史代、赤松健など人気マンガ家への突撃インタビューを完全収録。さらに二ノ宮知子への新録インタビュー、とりみき、しりあがり寿との対談を加え、待望の単行本化!


これは小説でも戯曲でもない。笑っていいともみたいな紹介方式で、本谷有希子が漫画家の家に押しかけ、突撃インタビューを敢行するという企画である。実は、オールナイトニッポンで放送されたものの書籍化であり、実際にはやり取りが肉声だった訳だから、聴く事の出来た人は、さらに面白かった事だろう。

苦労した人、鳴かず飛ばずだった人、豪邸は手にしたが寝る時間すら無い人、未だ食えない人、様々な漫画家が登場し、マンガに対するスタンスも人それぞれである。基本、インタビューなのであるが、どこまでも脱線して行く回もある。これはこれで面白いが……。

登場するのは、山本直樹、河井克夫、三家本礼、唐沢なをき、星里もちる、陽気婢、有馬啓太郎、赤松健、西本英雄、とだ勝之、杜野亜希、こうの史代、南ひろこ、みずしな孝之、おおひなたごう。他に対談、ロングインタビューで二ノ宮知子、とり・みき、難波ユカリ、しりあがり寿。

この中の誰も知らないというような、マンガを読まない人なら微妙かもしれないけど、そうでなければ楽しめると思う。


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ほんたにちゃん

ほんたにちゃん (本人本 3) (本人本 3)ほんたにちゃん (本人本 3) (本人本 3)
(2008/03/20)
本谷有希子

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90年代。東京。クリエイターになりたくて上京し、写真専門学校に入学したほんたにちゃんは、生まれた時点ですでに手遅れ、自分の感性をうまく周囲にアピールすることができず、痛い勘違いを繰り返しながら、ジタバタと脳内で悶絶する毎日を送っていた。そんなある日、飲み会で出会ったカリスマ・アーティストに、作品のモデルになってほしいと頼まれたが―――それが死闘の幕開けだった!


本人本という企画物? になっているのだが、凄く痛い言動の電波女が主人公となっている。いつでも斜に構えて妙なキャラを作っているのだが、誰にも誘われてないのについていって飲み会で一番良い席に座った挙句、隣の有名人を無視して本を読み始めたりと、超強力な電波攻撃ばかりしている。

解説も何も無いのだが、作っているだけなのか、本人暴露話なのか、非常に気になるところである。この痛い言動の物語は、自伝的小説なのだろうか!? とにかく、あまりにも壊れすぎていて、他作品と比べたらひいてしまう。

キレイという噂の本谷有希子だが、後ろにカラー写真が載っていて、初めて顔を見た。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の表紙イラストを、髪を短くした感じで、やっぱりキレイですな。

金や不幸と同じで、才能も同じ場所に集まる。
この世は不公平ばかりである。


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乱暴と待機

乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)
(2008/02/27)
本谷有希子

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復讐相手として憎まれている限り、お兄ちゃんが私から離れていくことはない――ゼロ年代カルチャーを牽引する劇作家&小説家の本谷有希子が、同タイトルの戯曲作品を、自ら小説化。恋愛小説以上に、切実で胸にぐっとくる男と女の濃密な物語。四年近くもの間、二段ベッドが置かれた六畳間ひとつの古く陰気な借家で同居している三十歳間近の“兄”こと英則と、“妹”、奈々瀬。奈々瀬は上下灰色のスェットにだて眼鏡姿で家に籠もり「あの日」から笑顔を見せなくなった英則のために日々“笑い”のネタを考えている。保健所で犬の殺処分の仕事をしている英則は一年前、天井板の一角に隙間を発見したのをきっかけに、帰宅後、屋根裏に潜り込んでは“妹”を覗く、という行為を繰り返しているのだった……。


貧乏な訳でもないのに、ボロ家に住んでいる兄と妹。兄は、妹に気づかれない様に屋根裏から妹を観察し続け、妹は兄がしている事を、知らないふりをし続ける。そして、この二人は本当は兄妹ではない。なんて屈折してキモい関係なんだろう。

この二人にカップルが絡んできて、男の方は妹を押し倒す。女は寝取られて半狂乱になり、包丁を振りかざす。そして、妹は兄に見せるためにわざと押し倒されていた。何から何まで作られた虚構の関係か……。

アニメ声で美女なのに屈折しまくりな妹と、それに執着していて手出し無用の三十路童貞男が凄くキモキャラ!


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遭難、

遭難、遭難、
(2007/05/16)
本谷 有希子

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「トラウマ」のせい? 単なる「嘘つき」? 鶴屋南北戯曲賞、最年少受賞! 放課後の職員室。乗り込んできたのは自殺未遂の生徒の母親。「諸悪の根源」は誰なのか? 本谷有希子の話題の戯曲を完全収録。


ページを捲った瞬間、そこに書かれていたのが小説ではなく戯曲だったので愕然とする。こういう台詞になった形式のは苦手なんだよなぁ、と思いつつ……。人生初の、面白く読めた戯曲かもしれない。シェイクスピアとか読まされた時には、萎えて途中で投げ出したからね。

生徒の自殺未遂事件でギクシャクする教師達。生徒の母親が学校の責任とばかりにクレームの鬼となり、毎日押しかけてくるので、学校側は学年主任や担任等、一部を隔離してトラブルから遠ざける。

未だ生徒は意識不明の重態、しかしクレーマーの母親にも、荒れ狂うだけの根拠が無い訳ではなく、生徒の悩みを握りつぶしたキチガイ教師が一名いたのである。こいつの馬鹿さ加減がもう、半端なくイライラする。単なるフィクションだと割り切れない。こんな駄目教師なんていないだろうと思いたいが、現実世界にも……。

出てくる教師達全員が、どこか狂っている。その筆頭が生徒の手紙を握り潰した挙句、その証拠すら隠滅しようと画策するキチガイ教師。同僚にバレるともみ消そうと恫喝し、証拠隠滅のために手紙を食べようとし、それでも無理なら他の教師のせいで自分が自殺するとまで……。勝手に死んだら良いと思うよ。むしろ、自殺して下さい。そんな馬鹿教師はこの世に要らないから。


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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫 も 48-1)腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫 も 48-1)
(2007/05/15)
本谷 有希子

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「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」と叫んで14歳の妹がしでかした恐怖の事件。妹を信じてはいけないし許してもいけない。人の心は死にたくなるほど切なくて、殺したくなるほど憎憎しい。三島由紀夫賞最終候補作品として議論沸騰、魂を震撼させたあの伝説の小説がついに刊行。


またしても、キ印な登場人物……。猫を追いかけて大型車に轢かれ、内臓や脳漿飛び散らして潰された父と母の葬式から物語は始まる。いきなり重苦しい。潰れてしまったら、お魚咥えたドラ猫を追いかけた某専業主婦以下ではないか!

その家の兄は、妻に暴力三昧なDV男だし、妻はコインロッカーベイビーで不幸の集大成みたいな人生歩んでいるから殴られてすら幸せだし、妹は姉を晒し者にしつつ虐められる暗黒少女。そして、見た目だけで才能皆無なのに、根拠の無い自信で女優になれると思い込む馬鹿な姉。出てくる全員が酷いけど、姉が一番キチガイだ。

絶望感を描いているとは言われているけれども、絶望して良いのは正当な努力を積み重ねてすら運に恵まれなかった人間だけですからね。根拠の無い自信でアサッテの方向に暴走しているだけの殺人未遂女に、その資格は無い。自らを分析もせず、裏付けの無い自信だけ持っている姉は、ゆとり脳そのものじゃないか(笑)。

人間なんて、多かれ少なかれどこか狂っているものだけど、ここまでキティ家族なのは嫌だなぁ。


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ぜつぼう

ぜつぼうぜつぼう
(2006/04/28)
本谷 有希子

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売れなくなった芸人の絶望の人生。希望よりも絶望することの方が生きる力に溢れているという人間の性を描く。2000年代カルチャーを縦横無尽に疾走する若手女流作家の長編小説。『群像』掲載。


なんか嫌な題名がついているけど、絶望でも何でもなかった。受験に失敗し、誘われて入った芸能界。しかし相方はさっさと音楽関係に転向ししてしまい、ロシア人とコンビを組まされて売れない芸人に。そして、ロシア人の鼻が本当に高いか調べるというお馬鹿企画で世界を放浪して大売れするが、やがて忘れ去られて絶望……。なんか、電波少年系の芸人を連想してしまうなぁ。

最初は嫌な人生だなと思いつつ、読み進めるにつれ、勝手に腐ってるだけの主人公に辟易してくる。過去に囚われて駄目人間になっているだけ。売れているときに契約を見直すなり、今後の身の振り方を考えていればこうはならなかったのだから、落ちぶれたとはいえ、自業自得である。

公園で出会った浮浪者にそそのかされ、落ちぶれる原因となった(と逆恨み?)相手に復讐する事になり、とりあえず彼の自宅がある田舎へ。しかしその家には、勝手に住み込んでいた女性がいて……。

電波女とどうなるのか、復讐はどうなるのか、結末が見えないままで終わってしまう。こういう中途半端なところで話が切れて終わってしまうから、純文学って苦手なんだよなぁ。

とりあえず、絶望は最悪の状態じゃないよね。一度上がって落とされるから絶望するのであって、そもそも大多数の人間は一度として勝ち組になれないのだから、落ちて絶望するのはある意味、贅沢です。

最悪なのは、絶望出来ない事さえ認識出来ない人(つまり死人)、ブービーは絶望する事すら出来ない人(つまり徹頭徹尾、生きる屍状態な人……。ああっ、私じゃないかw)、絶望出来る人間はそれより上ですからね。

勝ち組>Bで生きる系>絶望>>>生きる屍>>>(三途の川)>>>死者


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生きてるだけで、愛。

生きてるだけで、愛生きてるだけで、愛
(2006/07/28)
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ねえ、あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ? 過眠、メンヘル、二十五歳。人と人とがつながりにくい現代を生きるひとりの女の子の物語。芥川賞候補作。


第135回芥川賞候補作。

江利子と絶対に収録されている三篇と比べたら、ややインパクトが薄い。またしても出てくるのは頭がおかしい主人公。本谷有希子作品って、登場人物がキ印ばかりなのだろうか!?

過眠、メンヘル、二十五歳。最後の二十五歳は別に良いと思うが、残り二つは……。何事に対してもやる気が無くて、惰眠を貪ってばかりの女主人公。素敵なまでに駄目人間である。やる気が無さすぎなので、インターネットで駄目人間の溜まり場に毒を吐く位しかする事がない。

前の彼氏の部屋で別の女のヒールにゲロを吐いて別の男の部屋に逃げてくる。そのままズルズルと居続けるのだが、別れた女がヨリを戻そうと画策してきて攻撃される。しかし、やる気無し人間なので喫茶店に呼び出されて文句言われまくるのをひたすら聞き流すのみ。無理やり連れて行かれたイタリア料理店で、強引に働かされる事になったのだが、直後にキ印人間に相応しい言動を取って逃亡してしまう。

メンヘル女が主人公という内容はともかく、この後、青山七恵、諏訪哲史、川上未映子に受賞させているのだから、作品及び作家レベルを考えれば、伊藤たかみとW受賞で本谷有希子にも芥川賞をあげて良かったのでは? どう考えても青山七恵より上手いぞ! 諏訪哲史より面白いぞ!

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江利子と絶対 本谷有希子文学大全集

江利子と絶対〈本谷有希子文学大全集〉 (講談社文庫)江利子と絶対〈本谷有希子文学大全集〉 (講談社文庫)
(2007/08/11)
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東京でOLをしている「あたし」は、実家の部屋でひきこもっていた妹の江利子を母からの依頼で預かることになる。当初は相変わらずの生活を続けていた江利子だったが、ある日、テレビから流れてきた不特定多数の死傷者を出す列車事故を目撃したことで、彼女の中で何かが目覚める――。


帯にこう書いてあった。
悪意、ユーモア、溢れる想像力。
やっぱり、おもしろくなければ文学じゃない!


激しく同意。昨今の糞面白くない芥川賞系統作品は、単なる自慰行為である。読まされて「だから何?」という感想しか出てこない本なんて糞食らえ! である。

題名が変だから面白くなさそうだと思っていたのだが、三篇全てが凄い。表題作は、ちょっと頭がおかしい江利子という引き篭もり人間な妹が主人公で、絶対というのは虐められて身体がおかしくなった犬の名前だった。

二番目の「生垣の女」は頭がおかしいストーカー女が転がり込んでくる話で、座敷女みたいに強烈なキモキャラである。しかし、主人公がストーカーされているのではない。生垣女は別の男を追いかけているのだが、あまりにもモテナイ君なので、座敷女級の相手にさえ依存してしまうのである。二人ともキモすぎる。

最後の「暗狩」はちょっとなぁ……。駄目じゃないけど、連続殺人鬼のキチガイが出てくる話なので、個人的には受け付けない。出てきた人間がほとんど殺されてしまう、徹底して救いの無い話だ。暗黒乙一作品を、極限まで暗黒度数と不快指数を高めたような作品である。

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