信玄の軍配者

信玄の軍配者信玄の軍配者
(2010/12)
富樫 倫太郎

商品詳細を見る

日本最古の大学・足利学校で学問を修めた勘助は、その後、駿河国で囚われの身となったまま齢四十を超え、無為の時を過ごしていた。預かる軍配もなく、仕えるべき主君にも巡り合えず、焦燥だけがつのる日々…そんな折、武田信虎による実子・晴信(のちの信玄)暗殺計画に加担させられることになる。命を賭けた一世一代の大芝居、学友たちとの再会を経て、「あの男」がいよいよ歴史の表舞台へ―。


「早雲の軍配者」というのを読みたかったのだが図書館に無かったので、これを借りてみた。……やっぱり名前が似てるだけじゃなくてシリーズになっているんだねOrz またしても読む順番が(笑)。

シリーズ物とはいっても、各巻で主人公が変わるので、多少リンクしているとはいえ、単品で読んでも大丈夫な内容ではある。この巻は山本勘助が主人公である。容姿の醜さから、諸国を放浪してもなかなか仕官が叶わず、中年になるまで人生干されっぱなしなのが哀れである。自分よりも苦労している不幸な人がいて、ちょっと安心した(をいっ!)。

夢が全く叶わないばかりか、今川領内で監視され続け、他の仕官先を求めて移動する事すらままならず、もう人生終了フラグが立つ寸前。勘助に恨みを抱く奴らが、逃げ出せばそれを理由に殺そうと画策するので、どこにも行けないのである。

甲斐を追われた信虎から、国主の座を奪った実子、晴信の暗殺を持ちかけられた事で騒動に巻き込まれ、勘助の人生は終了寸前から意外な方向へ。甲斐に入ってからは水を得た魚の如く、卓越した軍師としての力を発揮して行く。この才能を買わなかった今川は愚かである。

このまま川中島の悲劇まで描くのかと思ったら、途中で終わってしまった。足利学校で学んだ三名がそれぞれ主人公となるので、続きは三人目で語られるのだろう。読む順番は「早雲の軍配者」→「信玄の軍配者」→「謙信の軍配者」である。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサーサイト

風吹く谷の守人

風吹く谷の守人風吹く谷の守人
(2012/01/26)
天野 純希

商品詳細を見る

天正元年(1573年)。吹き荒れる一向一揆衆弾圧のため、信長軍が越前に侵攻する。信仰の名のもと、戦に駆り出され、命を落としていく数多の罪なき民。蹂躙され尽くす、のどかだった村々。何処からか流れ着いた少女は起ち上がる。大切な仲間たちを守るため、封印された己のおぞましい過去に立ち向かうために―。


戦で全てを失い落ち延びる途中、源吾は二人の姉妹と出会う。姉の方は致命傷を受けていた。真矢と名乗る姉に妹を託された源吾は、結衣を娘とし、小さな村で暮らし始める。

朝倉滅亡後、一向門徒宗が支配するようになった越前で、負担を押し付けられ虐げられる民百姓達。記憶を失い、小さな村で暮らす少女もまた、戦乱の波に飲み込まれて行く。朝倉方の残党に襲われた時、結衣は自分に特別な力が備わっているのに気づく。


表紙に釣られて思わず借りてきた。なんか風の谷のあの人を思い出す題名だな(笑)。風の谷の人みたいな強いおにゃの子が主人公で素敵です。戦乱の世に翻弄される名も無き人々の苦難を描いている。

「織田信長に戦いを挑んだ少女がいた。」というキャッチがついているけど、別に織田信長とは戦っていないじゃないか。“あずみ”みたいな娘が信長の首を狙うのかと思ったけど、全然違った。織田方が容赦しないから、命を守るために仕方なく応戦してるだけだった。

武士を追い出しても、代わりに生臭坊主が権力を握るだけで、虐げられる者の辛さは全然変わらない。百姓持ちの国も名ばかりで、実際には本願寺という大名同然の奴らに支配されているのである。御仏の名の下に民を虐げ、使い捨て、自らは好き放題する坊主達。どこの国でも宗教指導者達の胡散臭さは変わらない。

越前を取り戻すために侵攻して来る織田の大軍は、さらに容赦が無くて、地獄世界すぎる。一向宗の戦いに無理やり駆り出される村人達だが、皆殺しの命を受けた羽柴秀吉は降伏や寝返りすら許さず、虐殺されて行く。

弱い者は容赦無く殺されて行く戦国の世で、結衣に備わった戦う力だけが希望の光だなぁ。自分の力に苦悩しつつ、村人を守るために戦うしかない結衣。やがて織田の兵だけではなく、過去に結衣と因縁のある危険な男も、村人を虐殺するため現れる。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

忍び外伝

忍び外伝忍び外伝
(2010/11/05)
乾 緑郎

商品詳細を見る

伊賀の上忍・百地丹波によって一流の忍者に育てられた文吾は、何ゆえ忍びを目指すのか思い悩む。やがて北畠(織田)信雄率いる大軍が伊賀に迫る―。第2回朝日時代小説大賞受賞作。


第2回朝日時代小説大賞受賞作。

伊賀の乱を題材にした時代小説は他にも出ているので目新しくも無いと思いつつ読んでいたが、ただの忍者や妖術ではない化け物みたいな美女が出てくる辺りから面白くなってくる。が、ここまで無茶な能力を出してしまったら、もう忍者物ではないような気もする。

本能寺の変の後から物語が始まるのだが、妖しげな力を持つ果心居士によって異界に飛ばされたところから過去パートへ。ラストで開始地点まで戻ってきて物語が繋がるのだが、超ひも理論を応用したかのような妖術を使われるから、忍者合戦の領域を超えている。

不老不死の美女と果心居士がチート性能すぎるから、普通の忍者物を期待すると裏切られるかもしれない。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

はむ・はたる

はむ・はたるはむ・はたる
(2009/08/20)
西條 奈加

商品詳細を見る

心に傷を負った若き侍と、江戸の下町でたくましく生きる孤児たちの、強い絆とままならぬ過去への思いを描く青春時代小説。


ふらふらと旅をしている長谷部家の次男坊と、孤児達の連作短編集。江戸に戻って来た柾だが、実は道場の師匠を殺した相手と、原因となった美女を追っていた事を、孤児達に知られてしまう。

人攫いがあったり、猫神様が消え失たりと、事件が起こる度にそれを解決して行く柾達。そのうち、探していた相手が現れて……。高利貸しの婆さんが出てくると思ったら、登場人物が「烏金」と繋がっているのか。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

恋細工

恋細工恋細工
(2009/04)
西條 奈加

商品詳細を見る

一匹狼の職人・時蔵と女だてらに細工師を志す錺工房の娘・お凛。周りと打ち解けず、独り黙々と細工に打ち込む天才肌の時蔵に振り回されながらも、お凛は時蔵に惹かれていく。そして、反発し合っていた二人の心が銀細工を通じてかさなった時、天保の改革で贅沢品が禁止された江戸の町に活気を取り戻す、驚天動地の計画が動き始めた…。若い男女の哀しく切ない恋模様を描く本格時代小説。


この作者も、レベル高めの作品が多いので安心して読める。ゴメスは時代小説風味でありながら、設定がSFっぽい感じだったのだが、最近のは本当に時代小説になっている。

錺工房の娘、お凛は、江戸に流れてきた天才細工師の時蔵を迎え入れるよう言われていたので、捕えられていた彼の身元を引き受ける。しかし、時蔵は周囲の職人と対立ばかりする困ったちゃん。されど誰も見た事が無いような技を習得しており、腕前は抜群。

工房の四代目が跡目を決めぬまま病死してしまったのだが、遺言により、五代目の候補を決めるのは三年後。工房にいる数人の職人が候補なのだが、その中には時蔵も入っていた。

金には興味を示さず、ただ新しい細工に命を懸ける時蔵。細工が大好きなのに、女が職人になるのは認められないような江戸時代に産まれてしまったお凛。二人は次第に心惹かれあって行くのだが、天保の改革により贅沢品が禁止され、工房が存亡の危機に陥る。

それにしても、天保の改革というより改悪だよな。パイが縮小するばかりで不況になっただけ。経済も混乱し、貸し渋りが横行。結果は幕府の力を弱め、薩長のような雄藩が力をつけただけ。重農主義ではなく、重商主義で消費税みたいなものを導入したほうが良かったんじゃないのか? 

でも気が狂ったとしか思えないほどの借金はこさえてないから、不況とはいえ、何処かのの某金権腐敗政党と比べたらマシか(笑)。水野忠邦絡みで、妖怪奉行も名前が出てくるのだが、鶴太郎の顔がチラついて仕方が無い。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

墨攻

墨攻 (新潮文庫)墨攻 (新潮文庫)
(1994/06)
酒見 賢一

商品詳細を見る

戦国時代の中国、特異な非攻の哲学を説き、まさに侵略されんとする国々を救援、その城を難攻不落と化す謎の墨子教団。その教団の俊英、革離が小国・梁の防衛に派遣された。迫り来る敵・趙の軍勢は2万。梁の手勢は数千しかなく、城主は色欲に耽り、守備は杜撰であった。果たして革離はたった一人で城を守り通せるのか―史実を踏まえながら奔放な想像力で描く中島敦記念賞受賞作。


中島敦記念賞受賞作。
第104回直木賞候補作。

中国が秦によって統一される前の乱世が舞台。当時、非攻を是とする謎の集団がいた! 頼まれた弱小国に赴き、無条件で敵から守るのだ。たった一人で燕の小城を守りに来た墨家教団のひとり、革離。攻め寄せる趙の大軍を前に、女子供まで総動員して敵に当たる。

墨家って恐ろしいな。ある意味、究極の全体主義だな。ヒトラーやスターリンがやったみたいな、誰か1人の為の全体主義ではない。まるでスタートレックに出てくるボーグみたいに個を排除して統制の取れた全体主義。こんな、蟻みたいな軍隊になってしまえば、そりゃ趙の軍隊は苦戦するだろう。

そんな革離が、最後の最後で敵の計略を見破られないとは、物語としては小奇麗な終わり方だけど、非常に嘘っぽい。機械のように理論武装しても、人間の感情までは計れないのである。信賞必罰は必要だけど、何事もやりすぎは良くないです。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

寛永主従記

寛永主従記寛永主従記
(2010/04)
田宮 虎彦

商品詳細を見る

会津藩藩主加藤家の重臣、堀主水。先代の死後、その子明成にも、家老として変わらぬ忠義を尽くそうとするものの、日に日に要職からはずされてゆく。どうすれば明成に正しい道を伝えることができるのか。主水は諌死すら覚悟し手を尽くすが…。名作家・田宮虎彦の大作。


かなり昔の作品らしいが、今まで書籍になっておらず「これを今まで本にしていないというのがわからない。」と帯にも書かれているので期待した。

うーん……。歴史を題材にしているので好き勝手な事は書けないから仕方が無いけど、あまり楽しい話ではないな。全く救いが無い。物語としては面白いかもしれないけど、悲惨すぎて憂鬱になる。

会津藩藩主が死に、息子に代替わりするのだが、こいつがボンクラすぎて、イエスマンを取り立て、功績ある重臣である主人公の堀主水を、ひたすら冷遇して行く。有能な人材を自在に使いこなしてこそ、上に立つ者として相応しいのに、この二代目馬鹿息子は、とんでもない言動ばかりして行き、ついには陰謀を企て堀主水を殺そうとする。

何年もの間、ひたすらボンクラの虐めに耐えてきた堀主水も、名君に仕えていた頃ですら命を捨てなかったのに、この糞息子のために命を捧げるのも馬鹿らしくなり、ついには一族で会津を捨てて脱藩する事に。

しかし、ボンクラ大名は、ひたすら堀主水を追い続け、暗殺者に狙われる事になる。最後は徳川家光が騒動に介入するも、こいつがまた悪党で、これ幸いと徳川の利益になるよう仕向けて行く。

二代目って馬鹿息子率が非常に高いけど、徳川も正義の欠片も無い腹黒い一族だから、バッドエンドしか待っていなくて、読み終えて憂鬱な気分にしか浸れない。やはり江戸時代は嫌いだ。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

武神の階

武神の階〈上〉 (角川文庫)武神の階〈上〉 (角川文庫)
(2006/12/22)
津本 陽

商品詳細を見る
武神の階〈下〉 (角川文庫)武神の階〈下〉 (角川文庫)
(2006/12/22)
津本 陽

商品詳細を見る

下剋上で越後を支配した父・長尾為景の死から七年、元服した景虎は、地侍の反抗を制圧するため栃尾城に出陣した。一糸乱れぬ用兵で大勝を収め、十四歳にして指揮官として非凡の才を発揮する。毘沙門天の化身と恐れられるようになった景虎は、兄に替わって長尾家を継ぎ、春日山城に入った。名実ともに越後国主となった景虎に、宿敵・武田信玄との対決の時が迫る。乱世に、至誠を貫いた聖将・上杉謙信の生涯を描く戦国歴史巨編。


リニューアルされての再出版は、NHK大河ドラマに乗じて売る作戦でしょうか? 戦国武将で一番のお気に入り、上杉謙信を主人公とした歴史小説です。

小説だけでいいのに、しょっちゅう解説文が入ってくるから話に集中出来ない。資料にするには良いのかもしれないけど、物語として楽しむには多少難あり、と言った感じ。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

小太郎の左腕

小太郎の左腕小太郎の左腕
(2009/10/28)
和田 竜

商品詳細を見る

一五五六年。戦国の大名がいまだ未成熟の時代。勢力図を拡大し続ける戸沢家、児玉家の両雄は、もはや開戦を避けられない状態にあった。後に両陣営の命運を握ることになるその少年・小太郎のことなど、知る由もなかった―。


題名がこれだから、絶対に風魔小太郎が主人公で、北条方の忍者が出て来る時代物だとばかり思っていたら、全然違った……。

西国で、戸沢家と児玉家が勢力を拡張した結果、戦う事になってしまうのだが、それ誰? みたいな感じ。「信長の野望」とか「太閤立志伝」をプレイすると、毛利方の武将で戸沢とか児玉とか出てきた気がするので、マイナーすぎてよく分からないけど、きっと実在する人物とか何かなのであろう。

が、主人公となる小太郎に至っては、風魔どころか、完全に無名の存在。頭が足らず、爺さんと一緒に山中に篭っているだけの少年なのだが、左腕で火縄銃を撃ったところ、恐るべき凄腕のスナイパーである事が分かってしまう。この才能を求め、戸沢家と児玉家の争いに巻き込まれてしまうのだが、いまいちノリ切れない展開のままで終わってしまうのが残念。

名も無き小太郎であるが、実は立身出世して行き、この者が後の世に●●●●と呼ばれるのであった、みたいな展開を期待していたのに、無名のまま終わって山に戻って行くなんてOrz


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

忍びの国

忍びの国忍びの国
(2008/05)
和田 竜

商品詳細を見る

伊賀一の忍び、無門は西国からさらってきた侍大将の娘、お国の尻に敷かれ、忍び働きを怠けていた。主から示された百文の小銭欲しさに二年ぶりに敵の伊賀者を殺める。そこには「天正伊賀の乱」に導く謀略が張り巡らされていた。史実に基づく壮大なドラマ、われらの時代の歴史小説。


伊賀者の物語なのだが、前作のように主人公がきっちりハマっている状態ではないので、感情移入し難い。忍び達が殺人兵器と化しすぎて、人間的な感情が欠如しているので、修羅の国みたいで気味悪い。

天正伊賀の乱の頃の物語で、第一次部分に該当する。伊賀衆が姦計により織田を挑発、これに踊らされて伊勢を任される織田家の次男信雄が攻め入るものの、大敗を喫する事に。

織田家に勝ち名声が高まったと喜ぶのもつかの間、僅か二年後には激怒した信長の本隊が侵攻、あっけなく滅ぼされてしまうのだが、自業自得というべきか。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

のぼうの城

のぼうの城のぼうの城
(2007/11/28)
和田 竜

商品詳細を見る

時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。武州・忍城。周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。


第139回直木賞候補作。

“のぼう”って何かと思ったら、でくのぼうの事だった。領民からものぼう様と呼ばれる成田長親。一見、馬鹿にされているようだが、実は慕われているのである。それにしても、こんな呼ばれ方をして怒らないとは、ただものではない。

そんなのぼう様が、未だ屈しない北条を討伐するために押し寄せてきた豊臣方と対峙する。石田光成が率いる二万を超える大軍に対して、成田長親が篭る忍城の兵力は僅か二千。

相手が光成という部分をのぞいても、これほどの兵力差で無謀にも戦を挑み、一歩も譲らないのは爽快である。結局、難攻不落だった小田原城が先に落ちてしまい、唯一落ちなかった忍城も豊臣方に明け渡す事になるのだが。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

烏金

烏金烏金
(2007/07)
西條 奈加

商品詳細を見る

婆さんが溜め込んだ金、いただくぜ! 因業な金貸し婆・お吟のもとで押しかけ居候を始めた浅吉。職がないという浅吉は、金貸し業の手伝いを申し出た。浅吉は、新しい発想で次々と焦げ付いた借金をきれいにし、貧乏人たちを助けつつ利益を上げていく。しかし浅吉には実は秘密の目的があり、大金を手に入れるために素性を偽ってお吟に近づいたのだった。お吟はまるで烏(からす)のように、溜め込んだ金をどこかに隠している。はたして浅吉は、大金をせしめることができるのか? 浅吉の相棒・烏の勘左も大活躍。今までにない痛快時代エンターテインメント小説、誕生!!


大江戸消費者金融業物語か? 庶民は生活に窮し、武家は格式を維持するために借金地獄。なんか、現代とあまり変わらないね……。違うのは、登場する金貸しが現代人ほど腹黒くない点である。今の奴らは相当酷いからな。首を吊った自殺者の屍の上にあぐらをかいて生きているような悪逆非道振りだから、死後の世界があるなら無間地獄逝き確定だろう。

現代の金貸しが邪悪だから、あんまり良いイメージは沸かなかったのだが、この主人公は面白い。腹に一物抱えつつも真の目的を明かさず、金貸しお吟の元に転がり込む浅吉。追い払うつもりで任された不良債権となっている貸出先の取立てでは、脅したり奪ったりするのではなくて、返済計画を考えてあげて、その当てを作るための職探しまでしてしまう。他にも、商品の仕入先や納入先を見つけたり、新たな商売を構築したりと、単なる借金取りではなくてコンサルティング業務までやっている。

実はお吟が溜め込んだ金を狙っているのだが、金を必要とする理由が明かされた時、浅吉とお吟の意外な接点が明らかになる。最後が少しインパクトに欠ける感じもあるが、無理やりな設定のゴメスより面白い。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ