武士道ジェネレーション

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誉田 哲也
文藝春秋 2015-07-30

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あれから六年、大学を卒業した早苗は結婚。香織は、道場で指導しながら変わらぬ日々を過ごすが、玄明先生が倒れ、桐谷道場に後継者問題が―。剣道女子を描く傑作エンタメ、六年ぶりの最新刊。


まさか武士道シリーズの続きが読めるとは思わなかった。大学編もやって欲しかったが、そのあたりは端折られて、大学卒業後の話となる。

早苗は結婚するし、宿敵レナは多分トヨタ、そして香織は低空飛行で大学は卒業したものの、そのまま桐谷道場に居続ける。道場主の玄明先生が倒れ、道場を閉鎖すると言い出す。なんとか道場閉鎖を回避しようとした香織は、道場を乗っ取ると言い出す。道場閉鎖問題で、新キャラの元海兵隊と対決するのだが、レナとの戦いが無いのは残念だった。

早苗を介して著者の右寄り思想を入れて来るのはどうかと思う。あからさまに自分の思想を入れ込んで来て、それを主要な登場人物に語らせるのは酷い。早苗ってこんなキャラじゃなかったのに……。確かに、日本史絡みの教授は左翼が多いけどね。


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六百六十円の事情

六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)
(2010/05/25)
入間 人間

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男と女。彼氏と彼女。親と子供。先生と生徒。爺ちゃんと婆ちゃん。世の中には、いろんな人たちがいる。そこには、「ダメ人間」と「しっかり人間」なんてのも。それぞれ“事情”を持つ彼らが描く恋愛&人生模様は、ありふれているけど、でも当人たちにとっては大切な出来事ばかりだ。そんな彼らがある日、ひとつの“糸”で結ばれる。とある掲示板に書き込まれた「カツ丼作れますか?」という一言をきっかけに。日常系青春群像ストーリー。


「カツ丼作れますか?」という書き込みから始まる、狭い町内の日常風景。途中からグダグダになりすぎな嘘吐きみーまーよりも、これのほうが出来が良い。

六章あるのだが、五章まで登場人物が変更されて行く形式の連作となっており、最後の六章で全員が集まる。最初は、ちょっとメンヘラーっぽいニートの弾き語り女で、暴走っぷりが凄い。主人公になりたいと思いつつ、何者にもなれずに悶々としている。

ギター女の暴走に驚いて万引きせずに逃げ出した高校生は、同じ学校の少女と接点が出来、良い感じに青春している。万引きしていた分の商品代を弁償しようと、少女の実家が経営する食堂でバイトし始めるが、とりあえずリア充爆発しろ(笑)。

三章は、家出する事に決めた小学生の女の子だが、思考が子供っぽくないなぁ。この部分はすぐに終わってしまうのだが、後の人に絡んでくる。続いては、ふらふらしていた青年だが、カツ丼がキッカケで、スーパーで働く事となる。

最後は食堂を経営していた爺さんで、家出少女を見つけ、保護して一緒に過ごす事となる。ラストは、カツ丼絡みで全員集合。登場人物が上手くリンクされていて楽しかった。


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武士道エイティーン

武士道エイティーン (文春文庫)武士道エイティーン (文春文庫)
(2012/02/10)
誉田 哲也

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高校時代を剣道にかける、またとない好敵手。最後の夏、ふたりの決戦のとき。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、いよいよ天王山!わたしたちは、もう迷わない。この道をゆくと、決めたのだから。


いよいよ最終学年。目次を見ると、あれ? いつもと何かが違う。香織、早苗の二名による視点が交互に繰り返されて来たのだが、今回は途中でモデルをしている早苗の姉、桐屋道場主、福岡南高のヨッパライ先生、田原美緒のサイド・ストーリーが混ざっている。

最後の戦いだが、少年漫画的ご都合主義による頂上対決はなくて、途中で激突してしまうんだね。体の故障により個人戦には出られなくなった早苗を香織と戦わせるため、吉野顧問が団体戦の位置を大将に入れ替える。ラスボスとなるレナは個人戦決勝で香織と対戦。

夏の最終決戦だけで物語は終わらず、卒業後まで続く。個人戦で最強となった香織はスカウトされて名門大学に入るが、早苗のほうは浪人生か。ご都合主義で合格させないあたり、現実的な感じだが、少し可哀想である。


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武士道セブンティーン

武士道セブンティーン (文春文庫)武士道セブンティーン (文春文庫)
(2011/02/10)
誉田 哲也

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「強さは力」の香織と「お気楽不動心」の早苗。対照的な相手から多くを吸収したふたりだったが、早苗は、家の事情で福岡の剣道強豪校に転入。そこでの指導方法の違いに戸惑う。一方、香織は後輩の育成に精を出す。互いを思いつつも、すれ違うふたりは、目指す剣道に辿り着けるか。大人気剣道青春小説、二本目。


家庭の事情により九州に転校し、敵味方に分かれてしまった香織と早苗。上級生も卒業して代替わりした分、どうしても戦力ダウンは間逃れず。その分、中学から内部進学した田原美緒という後輩が良い味出している。いいなぁ、スール・システムを使ってこういう娘を妹にしたかった(をいっ!)。

戦力不足で苦戦する東松学園。対する福岡南は全国最強クラスだが、勝つためには手段を選ばない冷徹さの中で早苗は戸惑い、東松学園に戻ろうとする。この巻は、前作で展開がネタバレされているので、試合の行方にはワクワクしない。結果が分かっているだけに、いまいち乗り切れないのが残念である。

双方とも成長して強くなって行くが、直接対決は最終学年に持ち越し。そして、中学の時、節穴審判の誤審により敗北する事となった因縁の相手レナがラスボスとして登場する。


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武士道シックスティーン

武士道シックスティーン (文春文庫)武士道シックスティーン (文春文庫)
(2010/02/10)
誉田 哲也

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「ようするにチャンバラダンスなんだよ、お前の剣道は」剣道エリート、剛の香織。「兵法がどうたらこうたら。時代錯誤もいいとこだっつーの」日舞から転身、柔の早苗。相反するふたりが出会った?。さあ、始めよう。わたしたちの戦いを。わたしたちの時代を。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、正面打ち一本


人気作なのは知っていたが今まで手付かず。偶々、全巻揃っていたので、図書館から借りてきた。

人生全てを剣道に捧げたかのように生きる武士、磯山香織。日本舞踊から剣道に転向して来た西荻早苗。W主人公による視点で交互に物語が進む。視点変更が多いと読み難かったりするものだが、キャラの書き分けも上手いので安定して引っかからずに読める。二人の性格で章ごとのタイトルも雰囲気が異なっていて良い。

最初は武士というよりは女修羅か羅刹女かという感じの凶暴な香織が、次第に打ち解けて武士道に目覚めて行くのが楽しい。力が安定せず、強いのか弱いのかよく分からない、お気楽剣道の西荻早苗も面白い。

全てを剣道に捧げているので磯山香織はかなり強いが、無双モードに突入する程のご都合主義は無く、それなりに負けたりするところが現実的で良かった。残念だったのは、ラストの離別と、その後の展開がかなり書き込まれている点。こんなにネタバレしてしまうと、続きを読む楽しみが若干削がれるじゃないか(笑)。


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おれがあいつであいつがおれで

おれがあいつであいつがおれで (つばさ文庫)おれがあいつであいつがおれで (つばさ文庫)
(2012/08/15)
山中 恒

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おれは間違いなく、斉藤一夫だった…のに、突然、名前が一字違いの斉藤一美と中身が入れかわってしまった!?仕方なくおれは女子の、一美は男子の生活を始めたけど、これが大変!!言葉づかいも服も全部違う上に、日常生活には、男女で色々きまずいこともある…。一美は死にたいとか言うし(おれの体だぞ!?)、おれは一美の好きな男子と誕生日会することになるし、一体どうしたらいい!?超テッパン男女逆転物語!


映画化もされているが、原作を読むのは初めてである。今の世の中なら、男女入れ替わり物なんて珍しくもないどころか、溢れるほど増殖しているが、35年以上も前にやっているだと!? 斎藤一夫のクラスに、幼馴染だった斉藤一美が転校して来るのだが、身代わり地蔵のあるところで一緒に転び、気づけば中身が入れ替わっていた。

中身が入れ替わった事を周囲の人間は知らないし、言っても信じてもらえないので、お互いの家に行って生活する事になる。慣れない女子生活、男子生活だから、二人とも苦労するのだが、美少女と微妙系フツメンの入れ替わりだから、斉藤一美のほうが悲惨だと思う。

二人の言動がおかしすぎるので、両方の親が付き合う事を嫌がり出して大変な事になってくる。終盤は、斉藤一夫の家が転勤する事になり、もう別の身体のままで生きて行くしかないというところまで追いつめられる。

この話は1980年頃の話だからお互いに悲惨だけど、今の世の中だったら、どう考えても美少女の中の人になったほうが勝ち組だよね。美少女はリアル人生ゲームがイージーモードで楽勝だろうけど、微妙な感じの男子になってしまったほうは、人生がハードモードになるから堪らんだろうな。

もし戻れないままだとしたら、イケメン入れ替わりだったとしても同格交換にはならないし、金持ちの家に生まれたイケメンで、慶應義塾付属校に通っていて高学歴確定オプションくらいは付いてこないと割に合わないと思う。

ところで、これより古い中身入れ替わりってある? 古典の『とりかえばや』は中身じゃなくて役割入れ替わりだからちょっと違うんだよね。自分自身が女体化するだけなら、ギリシア神話でテイレシアースというのが出て来たけど。

グーグル先生に聞いたら、テオフィル・ゴーティエの『アヴァタール』(1856年)が出てきたが、これは男同士の入れ替わりのようなので、違うな。サトウハチローの『あべこべ玉』(改題『あべこべ物語』)というのが、1932年頃? らしいので、『おれがあいつであいつがおれで』よりも古いようである。


もしかしたら海外のマイナーな古典や神話とかで、もっと古いのがあるかもしれないが、私は男女入れ替わり文学の専門家ではないので、これ以上は調べられませんでした。


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秋葉少年

秋葉少年秋葉少年
(2006/11)
将吉

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長編かと思ったら、アキバを舞台にした変な話が三編だった。最初の「きよしメモ」は、オタク狩りに遭ってフルボッコになった男が、武器屋で武装を強化しまくり、オタク狩り狩りとして、逆に悪党をフルボッコにする話。

自力救済は禁止だし、ここまですると犯罪かもしれないが、当局がやるべき事をやらない以上、自警団的にフルボッコしていくのはアリだよねぇ。しかし、さすがに行き過ぎた行動にオタク狩り狩り狩りと化した、メイド☆ありやさんのウージー掃射で敗北してしまう。何でこんなところに☆ありやが!? コラボですか!? とか思ったけど、中の人が……Orz メイド服にマシンガン最強伝説。

「秋葉原チケットセンター」は、メイドに呪いをかけられたコンビニ店員が、どんどん二次元に侵食されていく話。自分の周囲にあるものが次々と二次元物に変換されて行き、洗脳されまくる。彼女に知られてはヤバいと必死で隠蔽するものの、最後は……。いい場所にオチついた。

「タイム誌の女の子」は、タイム誌の秋葉原特集に写っていた女の子に一目惚れしてしまい、本人になりすまして勝手にブログを作ってしまうキモイ男の話。単にネカマという段階を超越してしまい、脳内イメージを完璧に再現するために料理を焦がしたり、何時間もかけてコラージュを作るから、さらにキモイ。

ブログの露出度が上がり続けるある日、勝手に画像を使われた本人が登場するのだが……。普通、脳内妄想によるイメージより本物のほうが良いに決まってるじゃないか。この男、ラストまでキモすぎる。


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真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒

真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)
(2012/02/03)
大沼 紀子

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真夜中にだけ開く不思議なパン屋さん「ブランジェリークレバヤシ」に現れたのは、美人で妖しい恋泥棒―。謎だらけの彼女がもたらすのは、チョコレートのように甘くてほろ苦い事件だった…。不器用な人たちの、切なく愛おしい恋愛模様を描き出す“まよパン”シリーズ第2弾。


図書館で借りてきたら第2弾だった件。まさか1冊目が0から始まるとは思わなかったので、慌てて『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』を借りて読んだ。表紙がちょっと少女向けラノベっぽいからおっさんは手出しし難いかもしれないが、中身はそれほど少女っぽくもなかった。

前作の濃い面々に加えて、弘基を頼って元彼女の佳乃が逃げて来る。なんだか怪しい雰囲気だったが、何でもかんでも受け入れてしまう暮林は、パン屋の二階に居る事を許可してしまう。何者かに追われる佳乃だったが、持ち物には大量の札束が! 弘基が調べたところ、どうやら結婚詐欺師になっているようだが……。


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真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ

真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)
(2011/06/03)
大沼 紀子

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都会の片隅に真夜中にだけ開く不思議なパン屋さんがあった。オーナーの暮林、パン職人の弘基、居候女子高生の希実は、可愛いお客様による焼きたてパン万引事件に端を発した、失綜騒動へと巻き込まれていく…。期待の新鋭が描く、ほろ苦さと甘酸っぱさに心が満ちる物語。


母親に見捨てられた女子高生が、全く血縁関係の無い他人の家にカッコウの雛のごとく転がり込む。家を出て行った母に指示されて辿り着いた先は、夜中に営業しているパン屋さんだった!

真夜中営業のパン屋というネタで引っ張るのかと思ったら、営業時間が変わっている点以外は普通の人間模様を描いているな。オーナーの暮林は亡くなった妻の遺志を継ぎ、素人なのにパン屋経営を始める。一緒にパンを作っている職人の弘基は、暮林の妻に言い寄っていたという、なかなかややこしい人間関係になっている(汗)。

真夜中に営業を始めたパン屋に、万引き少年、変態ストーカー男、ニューハーフと、なかなか濃いメンバーが現れて物語に関わってくる。


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サマー・ランサー

サマー・ランサー (メディアワークス文庫)サマー・ランサー (メディアワークス文庫)
(2013/04/25)
天沢 夏月

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剣道界で神童と呼ばれながら、師である祖父の死をきっかけに竹刀を握れなくなった天智。彼の運命を変えたのは、一人の少女との出会いだった。高校に入学したある日、天智は体育館の前で不思議な音を耳にする。それは、木製の槍で突き合う競技、槍道の音だった。強引でマイペース、だけど向日葵のような同級生・里佳に巻きこまれ、天智は槍道部への入部を決める。剣を失った少年は今、夏の風を感じ、槍を手にする―。第19回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”受賞作。


第19回電撃小説大賞選考委員奨励賞受賞作。

高名な剣術家である祖父に鍛えられ神童と呼ばれた天智だが、やがて伸び悩み進むべき道を見失う。高校に入学した天智は槍道と出会い、強引な勧誘もあって槍使いとなるのだが……。剣ではなく槍というのが新鮮だった。今まで考えたこともなかったが、剣や弓が道として存在するのに、戦乱の世において重要な武器だったにも関わらず、槍が不遇な存在なのは妙だよね!? 槍道なんて知らなかったと思いつつ読み終わると、あとがきで (((( ;゚Д゚)))

挫折を味わった風来坊少年が、元気いっぱいの女子と出会うボーイ・ミーツ・ガールでドストライクな青春王道ストーリーである。あまりにも予定調和すぎて、意外性は乏しいかもしれない。


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マッドドリーム・アンド・マジカルワールド

マッドドリーム・アンド・マジカルワールド (講談社BOX)マッドドリーム・アンド・マジカルワールド (講談社BOX)
(2009/05/08)
黒乃 翔

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平凡で妄想しがちな高校三年生・谷口雄二。彼は右手から「エネルギー弾」を撃とうとしている所を同じクラスの山口夏鈴に見られてしまう。それ以来、彼女の周囲の妙な事件に巻き込まれ、雄二の平凡な高校生活は“波乱万丈&冒険活劇”な非日常へと激変していく…!?電波とリビドーとその他もろもろを抱えて疾走するちょいキモで、失笑の“ボーイミーツガール”快作。


第3回講談社BOX新人賞 流水大賞優秀賞受賞作。

妄想しがちどころか、主人公が常時妄想垂れ流し状態じゃないか(汗)。現実世界部分と脳内妄想部分、どちらも中二病だから現実なのか妄想なのか分かりにくい。おまけに接触してくる美少女も自らを魔法使いと言い張る中二病だったから、痛い人同士のボーイミーツガールになってしまい、二乗倍で痛々しい。

妄想部分が実は現実だった! みたいなミラクル展開を期待したのだが、最後まで痛いだけなのか(汗)。中二病なら、もっと弾けてくれたほうが楽しかったのに、これではただのキモい人じゃないか。


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最強の天使

最強の天使最強の天使
(2007/06/22)
まはら 三桃

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講談社児童文学賞佳作受賞後、期待の第一作周一郎が受け取った衝撃的な二通の手紙。一通は同性の後輩から。もう一通は絶縁状態の祖父から。自我の危機を乗り越えようとする少年の心がリズミカルに描かれる。


【少年の中に眠る、最強の遺伝子】とかキャッチついてるから、もっとファンタジー入った非日常的な話なのかと思ったら、最強の天使に変身して異界からやって来た敵と戦ったりはしないのか(笑)。

冒頭で、いきなりラブレター? のような手紙を同性の後輩に渡されて驚く周一郎。家に帰れば、憎むべき敵と化したじじいからの手紙が! 

遠い場所に引っ越す事となった周一郎は、その事を後輩の志帆に打ち明けようとするが、なかなかタイミングが掴めない。じじいとラブレター少年の問題もあるし、さらには幼少の頃に失踪してしまった父が近場にいるかもしれないという情報も入ってきて、問題が山積みに。かなりややこしい環境にいながら、腐ることなく生きている主人公がリア充爆発しろ素敵である。

ユーモアも交えつつ、それぞれが抱えている問題が解きほぐされていく後半部分がたまらない。幼少の頃に失踪した父が原因で極悪じじいみたいになっている祖父が、ただの大人げない人だったとは。覚醒して最強の天使に変身したりはしなかったけど面白かった。


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星に願いを、月に祈りを

星に願いを、月に祈りを星に願いを、月に祈りを
(2012/03/28)
中村 航

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小学生のアキオ、大介、麻里は、夏の学童キャンプで、夜、ホタルを見るため、宿を抜け出し、川に向かう。ようやく川にたどり着いた3人は、偶然ラジオから流れる謎の深夜放送を耳にする。その後、中学で野球部に入ったアキオは、一学年先輩の放送部員・里崎さんを好きなるが、告白できないまま、時間が経過する。高校生になったアキオは、夏休みに、かつてのキャンプ場を訪れ、再び謎のラジオ番組を聞き、あることに気づく。そして、さらなる時間が流れ、アキオたちは大人になった。物語は、大きく動き始める――。


蛍を見たい麻里のために、夜中に学童キャンプの宿から抜け出し、川に向かう三人。偶然ラジオから流れてくる星空放送局の深夜放送。本編とは無関係に流れてくる謎の放送が、後で繋がってくる。

小学生時代には大介視点だったが、次の章ではアキオ視点になるので、登場人物が同じ連作短編かと思ったら、平行世界みたいな設定まで絡んできて少し不思議系になるのが素晴らしい。

星空放送局が流している宇宙に関する話も興味深いし、『星空放送局』の内容にも絡んでくる。大切なものを失ったおっさんのもとに現れる謎の女子中学生との接点が見えて来る部分は、切なすぎて全米が100回泣いた!


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何者

何者何者
(2012/11/30)
朝井 リョウ

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「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。


第148回直木賞受賞作。

履歴書に貼る写真が並んだ表紙なので、就職絡みの話かと思ったが、やはり就活小説だったか。裏表のある大学生5人が就職活動で苦しむのだが、登場人物がペラい奴らなのはともかく、文章までライトなのには参った。就活時期の若者が読むには良いかもしれないが、おっさんが読むにはキツいな……。

それぞれが何者でもない状態から足掻くのだが、自分を偽ったり、斜に構えたり、傍観者の立場を気取ったりと、読んでいて痛々しい。表面的には仲良しを演じながらも、裏では相手を馬鹿にしたり見下していたりと、気持ち悪い奴が多い。

一発勝負型社会の日本では就職活動が人生のほぼ全てを決定づける場合もあるので、フォースの暗黒面に堕ちるのも仕方ないかもしれないが、周囲の人間くらいは裏表無く付き合えよと言いたくなる。

各登場人物によるツイッターの呟きが登場するのだが、裏アカウントを使い分けて痛い事を書いているキャラが気色悪い。当事者が見ればすぐ特定されるような事を書いてしまうところが、いかにもゆとり脳である。結局、何者かになろうと足掻いた順番に就職が決まって行ってるな(笑)。

思ったほど悪くは無かったが、もっと実力派の作家達が書いた力作が、干されたりお預け喰らいまくっている事を考えると、このレベルで直木賞受賞作となるのは……。


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青春ぱんだバンド

青春ぱんだバンド青春ぱんだバンド
(2012/08/31)
瀧上 耕

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琵琶湖畔を舞台とする高校3年生5人のバンドを巡る熱く切ないひと夏の物語。舞台は2001年ごろの琵琶湖を望む滋賀県長浜市。京都に近いが北陸にも近いという微妙な田舎町。主人公は地元の名門校に通う高校3年生男子。大学受験の大事な夏休みに、地元のヤンキー農業高校生に脅されて学園祭出演バンドを作ることに。ほかのメンバーは医学部志望とアイドル好きの同級生。そして演奏曲としてきまったのはなぜか「さだまさし」? ピアノが巧みな不良美少女への思いも高まる。数々の困難を乗り越え、果たしてバンドは舞台に立てるのか。思いもしなかった高校最後の夏が始まる。……。


第3回きらら文学賞受賞作。

名門高校でやる気をなくした落ちこぼれな主人公が、地元ヤンキー高校生にチケットを売りつけられた事から、ひと夏の青春が始まる。学校の行事にも参加せず、斜に構えていた主人公が、ヤンキーと一緒にバンドを組む事に。

主人公とヤンキーに、問題を起こして浮いた存在の秀才、アイドルオタも加わって、大学受験そっちのけで弾けまくる。主人公が気になっている赤毛のヒロインは、表紙のイラストだとユニークすぎるが、かなりの美少女設定である。

題名だけ見ると音楽小説っぽいけど、バンド活動は味付け要素であって、ちょっと恥ずかしくなるくらい青春小説である。少しご都合主義な部分もあるけれども、若気の至りでバカやっちゃう青春時代を描くなら、このくらい弾けているほうが楽しい。


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キャラクターズ

キャラクターズキャラクターズ
(2008/05)
東 浩紀、桜坂 洋 他

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主人公=キャラクターとしての批評家・東浩紀。書き手=実在の批評家・東浩紀+実在のライトノベル作家・桜坂洋。ふたりに与えられた武器は「キャラクター」という古くて新しい概念。「私」とセックスと死を描く日本文学、その脱構築として。「自然主義的リアリズム」、その文学環境崩壊の中で。主人公・東浩紀は、分裂する。暴走する。その果てに…。


キャラクターについて分析した専門書か何かかと思っていたら全然違った。作中内に東浩紀と桜坂洋が登場する小説形式になっているじゃないか(汗)。思っていたモノと180度方向性が違う事にも驚いたが、中身もぶっ飛び過ぎていて目からウロコじゃなくて目玉親父が落ちそうになった。

作中内で桜坂洋が事故に遭い死んだり、ロリコンな東浩紀が小学生を襲いそうになったり、テロを起こしそうになったり、実際に起こしたりするのだが、自分が何人も分裂して同じ世界で平行世界物的に複数のストーリーが同時進行していくのが、壊れすぎていて面白い。

純文学至上主義的な現状に対する皮肉なのか、キャラクター小説で対抗しているようだが、中身が危険すぎる(笑)。、実在の人物が実名で登場しまくるし、そのうちの何人かは作中内で死んでいるし、朝日新聞社に至ってはテロで爆発炎上しているし、ここまでやって大丈夫なのか心配である。朝日新聞社から出ているならまだしも、新潮社から出版されてるしなぁ。

物語の崩壊具合が舞城王太郎とか佐藤友哉みたいな感じだが、面白さだけで考えれば、自慰行為だけで終わる最近の純文学と比べて、遥か斜め上方向に位置するだろう。


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夜の光

夜の光 (新潮文庫)夜の光 (新潮文庫)
(2011/08/28)
坂木 司

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約束は交わさない。別れは引きずらない。大事なのは、自分に課せられた任務を遂行すること。正体を隠しながら送る生活の中、出会う特別な仲間たち。天文部での活動を隠れ蓑に、今日も彼らは夜を駆ける。ゆるい部活、ぬるい顧問、クールな関係。ただ、手に持ったコーヒーだけが熱く、濃い。未来というミッションを胸に、戦場で戦うスパイたちの活躍を描く。オフビートな青春小説。


天文学部の話だけど、あんまり夜空は関係無かった。それぞれ問題を抱えた男女四名が、天文学部という仮の居場所に集う。ジョー、ギィ、ブッチ、ゲージ、それぞれコードネームを与えられた高校生が、スパイとして自分の人生を戦い続ける。

極貧家庭でもないのに進学に反対される美少女ジョー、DV親父に苦しめられ、家から脱走しようと計画するギャル女のギィ、本当の自分を隠してナンパ系チャラ男を演じるゲージ、長老制みたいな年齢序列農家に生まれ、敵である爺ぃと決別しようとしているブッチ。

お互いが付かず離れずの微妙な距離感を保ったまま、クールな関係でいるのがGJ。


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ムーの少年

ムーの少年ムーの少年
(2011/03/26)
滝本 竜彦

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「先生、僕のお話ホントにホントに聞きたいですか?だからつまり、つまりそうなんです、この屋上にひっそり忍び込んだ僕が、いまこうして先生と遭遇しちゃったみたいに、あの日の弓子さんも気づけばすぐ後ろに佇んでたんです。ごごご、ゴルゴ13なら殴り倒してたところですよね、アハハハ…」でも僕は弓子さんを殴り倒さず恋をした。14歳の初恋だった。しかし彼女は夢見がちな人だった。魔法使いだったのだ。もはや、虚構の世界の妄想に精神を飲み込まれた彼女を救えるのは、雑誌『ムー』を愛読し、日々オカルトを実践している僕しかいない!ねぇ、フォボス…もしかしたら僕、ガールフレンドができたのかもしれないよ…。


またしても厨二病的妄想小説か(笑)。作者の脳内妄想垂れ流し系でも、芥川賞作家のオナニー駄文よりは、厨二病のほうが楽しめて良いよな。

メンヘル美少女が頭おかしくなって見えない敵と戦い、飛び降りて死んじゃったかのような冒頭なのだが、本当にこの世界を超越した魔法使いじゃないか! 美少女の戦いに巻き込まれたオカルト・マニアの少年が、訳も分からないまま助手として酷使される。

現実と妄想がごっちゃになり、敵味方双方によって世界が書き換えられてしまうので、一般人である主人公は大変なのだが、バトル自体は全く盛り上がらない。美少女萌えのほうが優先かと思いきや、主人公がヘタレすぎるしフラグがちゃんと立たないのも、もどかしい。ラストまで煮え切らないでスイーツすぎるのだが、ヘタレ主人公の残念な感じはいかにも滝本竜彦作品らしい。

6年も費やして書くような作品ではない気がするのだが、とりあえず弓子さんかわいいよ弓子さん。


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裏閻魔

裏閻魔裏閻魔
(2011/03/04)
中村 ふみ

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長州藩士・一之瀬周は、新撰組に追われて瀕死の重傷を負うが、刺青師・宝生梅倖が掌に彫った「鬼込め」と呼ばれる呪いの刺青で命を救われる。周は不老不死の運命を背負うこととなり、明治から昭和へと激動の時代を刺青師・宝生閻魔として人目を憚るようにして生きていく。傍らには常に、友人の遺児・奈津の姿があった。その奈津を狙うのは、姉の仇で同じ鬼込めの技を持つもう一人の刺青師・夜叉。少女だった奈津もやがて女として閻魔を意識しつつ、純愛を貫きながら彼の年を追い越し老いていく……。


第1回ゴールデン・エレファント賞大賞受賞作。

瀕死の重傷を負い死にかけていた一之瀬周を助けたのは、師匠となる刺青師による不死の呪いだった。手に閻魔を刻まれた周は、自らに呪いをかけた兄弟子、夜叉を倒すよう託される。

鬼込めという呪いにより、不老不死化した者同士の戦い。主人公は宝生閻魔で、仇となる兄弟子は夜叉。設定や名前だけ見ると、なんだか物凄く厨っぽい小説じゃないだろうかと思ってしまうが、薄っぺらいラノベのノリではなくて、かなり描き込まれた感じの力作だった。

不老不死とは言っても、完全体ではなくて、即死してしまうようなダメージを受けると死ぬし、いつか中に宿った鬼の寿命が尽きた日には、他の生き物と同じように死ぬのだが、通常の傷を受けただけでは、回復してしまうので死なない。但し、回復には激痛が伴う。

幕末の頃に同士であり、長州藩士だと露見して戦う事になった新撰組の男とは、明治になって再会するものの、官憲の横暴により瀕死の重傷を負っており、娘の奈津を託して死んでしまう。

父代わりとなった閻魔だが、そのうち奈津は成長して娘から妹となり、やがて自分の見た目年齢を追い越し姉となって行く。時を止められた者と、時を刻む者の悲劇。閻魔の存在を知った兄弟子が二人に関わってくるのだが、ただの悪役キャラとして描かれていないのが良い。

ちなみに、このゴールデン・エレファント賞はメディアミックス戦略を念頭に四ヶ国で発売されるという、ちょっと普通じゃない賞なので、選考委員は作家ではない。よって、選考委員の先生方による好き嫌いが大きく影響したりはせず、エンタメとして売り物になるか否かが重視される分、他の賞と違い、かなり公平ではあるだろう。


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少女A

少女A (徳間文庫)少女A (徳間文庫)
(2009/06/05)
西田 俊也

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オレ、アイダ・ナオ。高校入試に失敗しつづけ、ジョーダンのつもりで女装して受けた女子高に、なんと入学してしまった。最初はおっかなびっくりだったけど、だれも気づく気配がないし、まわりはみーんな女のコ。これはオレのための花園なのかもしれない…。「十五歳」の体と心の成長を鮮烈に描いた、パワーとスピード感あふれる痛快な青春小説。


男が高校入試に失敗しまくり、書類を改竄してネタで受けた女子高しか受からなかったから、中学浪人のフリをしつつ、親には内緒で勝手に女子高ライフを満喫する。

思いっきり男の娘小説な設定だから期待したのだが、なんだかご都合主義の連続で、物語がペラすぎる。後半から盛り上がって面白くなるものの、これは男の娘ネタじゃなかったら途中で投げてる気がする。

男なのに女子高に通ってバレないとは恐ろしい。藍川絆クオリティなら有り得るかもしれないけど、普通は体育の授業でバレると思う。途中で、正体を知っているクラスメイトと出来上がって百合なんだかノーマルなんだか分からない、倒錯したリア充モードに。

ちょっと文章がペラいのが難点だけど、今の男の娘ブームが爆発する遥か以前、1992年に出ているのは凄い。早過ぎて、あんまり話題にもなっていない気がする。ようやく時代のほうが追いついてきた感じか。


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ワーキング・ホリデー

ワーキング・ホリデー (文春文庫)ワーキング・ホリデー (文春文庫)
(2010/01/08)
坂木 司

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「初めまして、お父さん」。元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の爆弾宣言で一変!突然現れた息子と暮らすことになった大和は宅配便ドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続で…!?ぎこちない父子のひと夏の交流を、爽やかに描きだす。文庫版あとがき&掌編を収録。


ある日、ヤンキー上がりでホストをしている沖田大和の元に、小学生の男の子が現れる。知らないうちに生まれ育っていた自分の息子とご対面というのは衝撃的である。私も知らないうちに、金髪碧眼ツインテールの美少女娘が何処かで育ってくれていたりはしないだろうか(をいっ!)。

店で問題を起こしてホストを続けられなくなった大和は、斡旋された宅配便ドライバーに転職。突然出来た息子との、ひと夏のふれあいを描いた作品なので、お仕事小説みたいにみっちり書かれてはいないが、ちゃんと取材しているから嘘っぽくはないな。

宅配便ドライバーになっても、ついついホスト時代のクセが出てしまい、怪しい宅配便お兄さんと化すのが笑える。息子がこの町の子供と仲良くなり、モテるための男塾の教え子になってしまうのも面白い。


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ガチパン!

ガチパン!―オレの無謀なハードデイズガチパン!―オレの無謀なハードデイズ
(2007/06)
将吉

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おまえは地球を救う救世主になるんだ―高校生の三坊光世は、父が遺した言葉を疑いつつも、下宿先のオンボロ空手道場で修行に明け暮れていた。空手バカな館長・鉄心、三坊が救世主になることを信じている少女・楓、ヤンキーな後輩・裕気。仲間に囲まれ、厳しくも楽しい日々に、ある黒い影がさす。道場近辺の格闘家たちが、ヒーローの仮面を被った男に次々と叩きのめされる事件が起こったのだ。そして三坊の道場にも、道場破りが慇懃無礼に乗り込んできた―。


最初の十数ページがマンガだったので、ちょっとビックリ。最初だけで、後は普通に小説だったけど。しかし、かなりラノベ臭がする。会話がペラくて微妙だなぁ。

道場に通う男子高校生の、いろんなところで痛い物語。道場破りに絡まれて、相当痛い目に遭うのだが、さらには頭がおかしい正義の味方にまで挑戦されてしまい、そいつが道場破りをフルボッコにしてしまう程の強敵だから大変な事に。

道場の娘も暴力女だから、主人公は最初から最後までボコボコで読んでいて痛い。暴力反対!! それにしても、格闘物としては普通すぎる内容。頭おかしいチャンピオンは普通じゃなかったけど。


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国道沿いのファミレス

国道沿いのファミレス国道沿いのファミレス
(2011/02/25)
畑野 智美

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仕事上のトラブルで左遷され、6年半ぶりに帰郷した善幸。一見静かな町では、親友、家族、恋人、そして勤務先のファミレスでも、一筋縄ではいかない人間関係が・・・。現代をリアルにすくう青春小説。


第23回小説すばる新人賞受賞作。

身に覚えのない誹謗中傷によって左遷された善幸は、地元のファミレスに移動となる。年上にしか興味が無いのに、バイトの女子高生に手を出したという噂をたてられ、散々な目に遭っているのだが、腐らず現状を打開していくのが素晴らしい。

異動とともに彼女に携帯を破壊されてそのまま終了フラグ。だがしかし、地元で出会った年上の女性をゲットして、全く困っていない。仕事に対する姿勢はともかく、女にはだらしない感じだなぁ。

愛人のところに入り浸る駄目な父親。最初から父のいない親友。バイト先の女子高生。フラグ成立寸前で寸止め状態な大学生の男女。仕事はするけど人生にいい加減な金持ちのバカボンボン。地元や勤務先の人々と関わって、様々な人間関係が繰り広げられる。

あまり奇をてらった出来事は起こらず、それなりの着地点へと誘ってくれる。女性関係に甘いのと、ラスト付近のツンデレご都合主義は微妙だけど、仕事面に関しては、なかなか考えさせられる面があった。

有名大学を出たけど就職氷河期でファミレスしか受からなかったという設定で、最初はMARCHあたりかと思ったけど、誰でも知っている大学とか言われているので、早稲田だと勝手に予想してみる(笑)。

幹部候補で本部で働く予定だったのに、誹謗中傷で飛ばされたら腐りそうだけど、異動先でも腐らず、淡々と仕事をこなすのが偉い。本当は左遷じゃなくて、たんに地元の人員が不足したから、実家が近所にある主人公を異動させただけという事も考えられるし。飛ばされた後の対応が若者にしては、かなり大人な対応だった。女性関係は微妙だったけど(笑)。


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文明の子

文明の子文明の子
(2012/01/20)
太田 光

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地球、そして地球とは別の進化を成し遂げた星の過去と未来に秘められた謎。新たな文明へと踏み出すために動き始めた子供たち。果たして人類の行く末は生か死か? 絡み合うパラレルワールドが紡ぎ出す壮大な物語! 斬新なスタイルで描かれる太田光、渾身の書き下ろし小説。


TVで紹介されているのを見て、鳥進化型生物が主人公となるSFかと思っていたら、短編だらけで、鳥型エイリアンは少ししか出てこなかった。他の話に関わる連作っぽい短編が続くが、やはり本職じゃないので、長編をガッツリ読ませるだけの力量は無いのかな。言いたい事、書きたい事が前面に出すぎで、文章力も微妙だった。

SFっぽい内容ではあるけれども、SF者としては、これをSFに入れるには抵抗がある。『KAGEROU』みたいに酷くはないので、芸人が書いた物語としては、それなりに読めたけど。


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たぶらかし

たぶらかしたぶらかし
(2011/02/04)
安田 依央

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39歳のマキは、市井の人々の中で、誰かの「代役」を演ずる役者。ワケあり葬儀での死体役、多忙なセレブ社長の子息の母親役、夫の親戚との付き合いを厭う新妻役など、役柄は多岐にわたる。依頼人たちの身勝手さに苛立ちながらも、プロとして淡々と仕事をこなす日々。ある日、ニセの依頼をしてきた謎の男・モンゾウに、無理やり弟子入りされて…。第23回小説すばる新人賞受賞作。


第23回小説すばる新人賞受賞作。

よくあるツマラナイ文芸作品かと思ったら、売れなかった実力派の役者が、誰かの代役を日常に埋没して演じるという、面白そうな設定だった。地味な題名と表紙で損していると思う。

お金に困ったマキが就職した会社は、誰かの身代わりになり、その人を演じるという裏社会の劇団みたいな場所だった。役者募集と書いてはいたが、最初の仕事で演じされられたのは死体!

その後も名門小学校をお受験するお子様の母親代理とか、親族に会いに行く花嫁代理とか、別の人間を演じ続ける事に。そんな中、偽の依頼をして来たモンゾウが無理やりマキに弟子入りする。

主人公がアラフォーで、付きまとうモンゾウが若い男という設定だけが少し残念だったが、これは逆に、アラサー、アラフォーな女性が読むと、美味しそうな話となるのか!?


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清十郎

清十郎

雪深き東北の町・深代。運搬馬・清十郎と少年・文彦の熱きまじわり。


第108回直木賞候補作。

題名がこれだから、清十郎が主人公かと思ったら、主人公どころか人間ですらないじゃないか(汗)。主人公は文彦という子供で、爺さん婆さんと住んでいる。終戦直後の東北が舞台で、清十郎は運搬馬だった。

文彦の日常を描いているけど、現代と違って、結構、波乱万丈である。家庭の事情で文彦は爺さん達に預けられているのだが、もはや他所の人扱いしている母のところには双子の兄弟である太郎がいる。

太郎は病弱で助からないから、文彦が連れ戻されてゴタゴタするし、働いていた潔さんは脳卒中で逝ってしまうし、題名になっている清十郎すらBAD END……。大変な時代と家庭事情に翻弄された少年の素朴な話だった。一昔前の大衆小説っぽさはあるけれども、最近のようなエンタメ成分は乏しい。


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鉄塔の泣く街

鉄塔の泣く街

終戦の混乱から立ち上がり、高度成長をなしとげた日本―その激動の現代をたくましく生き抜いたニッポンのおっ母さん像を描く、気鋭の力作長編小説。


第106回直木賞候補作。

鉄塔武蔵野線』みたいな鉄塔小説を期待したのだが、鉄塔は内容と関係無いんだね……。

亡くなった母親が夜中に現れて困るので、胡散臭いお祓いにお願いしたら、左に問題があると言われ、立ち位置から思想まで、左絡みな事を少年時代まで遡って振り返る駄目男の話だった。特に、学生運動に嵌り、左翼教条主義的な思想に傾倒して行く様は不快である。

人生、適当に生き過ぎているし、それにしては名門大学に入学したり、出来た嫁を貰ったりと、好き放題している割りには良い人生で、リア充爆発しろ! と言いたくなる。これって、自分自身の半生入ってるの?

亡くなったおかんのキャラがパワフルで強烈すぎる。生きるため、息子のために何でもしてしまうという感じで、たまには法律すら逸脱しまくる。対して、息子や旦那はいい加減な人間だよなぁ。こういう適当な人でもそれなりの人生歩めたのだから、団塊世代って恵まれすぎだと思う。


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吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ

吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ(MF文庫 ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ(MF文庫 ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)
(2009/12/23)
山本 渚

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高校2年の秋、男友達の大地に彼女ができて、複雑な気持ちになっていたかずらに、藤枝はまっすぐな想いを向けてくれた。あれから1年―進路に悩みながら、かずらは、友達としてそばにいてくれる藤枝への、想いの変化に戸惑っていた。一方大地は、友人の小嶋がかずらを「好きだ」と言い出したのをきっかけに、かずらを女の子として意識しはじめて…。


2巻目は委員長の話が長すぎて飽きるけど、今回はメインキャラである川本かずらの物語だから長くても良い感じである。

高校三年となり、進路に悩む川本かずら。県内に留まるか、県外に出て行くか、答えを出せずにいるところへ、大地の友人がアタックして来る。いかにもモテキャラで、積極的にアプローチして来る。現実世界だとこういうやつに花が咲いてしまうものなので、ちょっと頼りない藤枝を応援したくなってくる。

結局、小嶋に告白されて、初めて自分の気持ちに気づいてしまったかずらは逃走。小嶋が脈無しでフラれたのはGJであるが、藤枝ともフラグが成立せず、両想い状態でありながら見事なまでのすれ違いっぷりはもどかしすぎる。

三年なので、もう図書委員会だし、攻略出来ずに終わってしまうのだろうか? あと一冊くらいは出る? このままでは藤枝が哀れである。

登場人物で汽車通学をしている人がいて、物凄く違和感があったのだけど、徳島県だと「汽車」なんだね……。21世紀なのに、まだ電車じゃないのか! 知らなかったよ。(念のため言っておくけど、別に馬鹿にしているわけではないので。)ちなみに、徳島県民が「汽車」と呼んでいるだけで、蒸気機関車ではない。実際に走っているのは気動車である。


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吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋

吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋 (MF文庫 ダ・ヴィンチ や 1-2)吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋 (MF文庫 ダ・ヴィンチ や 1-2)
(2009/02/21)
山本 渚

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ワンちゃんが、恋をした。冬のしんとした空気、本をぱらぱらめくる音、友達とのたわいない話。いつもと変わらない日常、だと思っていた。だけどある日突然、「好き」が訪れた……。


1巻では登場人物の視点が程良く切り替わって行ったけど、2巻は大半が図書委員長のワンちゃんである。ちょっと長すぎるんじゃないか? 他の人の話も読みたいぞ。

進路指導が始まり、最初は悩みも無くすんなりと進学を考えていたワンちゃんだが、農家を継がないのかと爺ちゃんが激怒したから心が揺れ動く。妹にうつされた風邪が悪化するが、保健室に行くと帰宅させられるかもしれないので、安らぎを求めて図書室へ。だがそこで見たのは、司書をしている牧田先生の意外な一面だった。

「委員長の初恋」となっているのに、なかなかターゲットが確定しなかったのだが、禁断の恋かっ!! それにしても、本人すら自分の心になかなか気づかないのがもどかしい。

後半に少しだけ収録されているのが「希望の星」。勢いでかずらに告白してしまい、ギクシャクした藤枝の恋の行方。なんでこの二人にはフラグが成立しないのか。


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吉野北高校図書委員会

吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
(2008/08/21)
山本 渚

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男友達の大地と大好きな後輩がつきあいだした。彼女なんてつくらないって言ってたのに―。二人に接するうち、大地への微妙な想いに気づいてしまったかずら。一方藤枝は、気持ちにふたをするかずらへの、一途な想いともどかしさを抑えきれず…。悩み、揺れ動く図書委員たちを描いた第3回ダ・ヴィンチ文学賞編集長受賞作が文庫書き下ろしで登場。


第3回ダ・ヴィンチ文学賞編集長受賞作。

ダ・ヴィンチ文学賞だから微妙かと思ったが、これは続編も出ているだけあって結構良かった。吉野北高校の図書委員会に所属する面々の学校生活を描く。中心人物となるのは本好き少女の川本かずらだが、主人公固定ではなく、章によって視点が変更されて行く。

二年生の川本かずらは、仲の良かった万能型イケメンの武市大地が下級生の上森あゆみと付き合い出した事でギクシャクする。そんな彼女を見ていた藤枝高広は、思わず想いを打ち明けてしまう。

本を読まない現役世代を意識しているのか、これが地なのかは分からないけど、ラノベ寄りの文体なのが、慣れるまで引っかかった。ラノベやアニメ系統のネタは多いけど、長門有希が読みそうなマニアっくな文学系統はあまり出てこないし。

一年生の上森あゆみが、大地に勧められたと言って何か長編を読んでいるのが、分かり難いと悪戦苦闘している。その時点では書名が出てこなかったので、ブルガーコフとかドストエフスキーでも読まされているのかと思いきや、村上春樹の『ノルウェイの森』だったから驚いた。何処までゆとりなんだ……。まあ、ラノベすら読まないのに大地目当てで図書委員会に居ついたという設定のキャラだから仕方が無いか。


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