いつかパラソルの下で

いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5)
(2008/04/25)
森 絵都

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待ちに待った、森絵都が描く大人の世界。柏原野々は雑貨店で働く28歳の独身女性。厳格な父の教育に嫌気がさし、成人を機に家を飛び出した。そんな父も死に49日の法要を迎えようとしていた頃、生前父と関係があったという女性から連絡が入る……。


第133回直木賞候補作。

悪くは無いのだが、なんだか物足りない。多分、作者に毒気が無いからだろう。児童書でこういう柔らかい雰囲気は好きなのだが、題材が厳格だった父の死、死後に発覚した不倫、兄と自分は父の支配から逃れるために家を出て、今までの反動で浮ついた人生を送っている、妹は良い子を演じ続け、母は父の秘密を知りおかしくなる……と重い内容だけに、宣伝に書かれている通りの「ハートウォーミングストーリー」だと、なんだか違和感があるのだ。まぁ、それがこの作者の持ち味だし、文章も悪くはないのだが。

すごくドロドロとした内容になりそうな素材で、ここまで明るく書けるのは素晴らしいと思う。宣伝に偽り無く本当に「ハートウォーミングストーリー」ですな。


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君と一緒に生きよう

君と一緒に生きよう君と一緒に生きよう
(2009/03/27)
森 絵都

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ブリーダー崩壊の現場を前に決意した島田さんは、ただちに救出を開始した。持参したケージに次々と犬を入れ、ワゴン車へと運びこむ。島田さん宅ではボランティアスタッフが53頭の到着を待っていた。知り合いのトリマーや獣医師も応援に駆けつけてくれた。痛みと、痒みと、空腹と、悪臭と―苦痛のなかでのみ生きてきた犬たちの、幸福への一歩がはじまった。人と犬のあいだで呼応する命の声―。犬と暮らす喜びと厳しさを描く、森絵都初のノンフィクション。


森絵都だけど、小説ではなくて、捨てられた犬を保護する人々を取材したものだった。拾う人はごく一部で、捨てる人は多数。飼い主に見捨てられた犬の多くは、野垂れ死ぬか、保健所に捕まってガスで虐殺されて行く。

人間を虐殺した第三帝国は、あれほど糾弾されているのに、犬猫ならどんどん虐殺してOKなようで……。ファッション感覚で動物を飼い、飽きたらすぐ捨てるような馬鹿は死ねば良いのにな。この国はキティが多すぎて困る。

しかし、人間すら使い捨てにする国だけに、犬猫の命を大事にしろと唱えても説得力は無いだろう。自分が優しくされていないのに、犬猫の事まではなかなか考えられないと思う。

そういう人は最初から飼うなというのは容易いけど、経済情勢や生活環境なんて一寸先は闇なのだから、明日どうなるかなんて誰にも分らない。ある日突然、会社が無くなって途方に暮れ、自分すら食べられなくなった時に、犬を助ける事が出来るだろうか。無論、飽きたら捨てるようなキチガイは論外、逝って良し!!


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カラフル

カラフル (文春文庫)カラフル (文春文庫)
(2007/09/04)
森 絵都

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生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。


主人公は死んで生き返った少年。生前、なんらかの罪を犯して輪廻転生から外されるところ、抽選に当たってしまう。抽選に当たると、有無を言わさず他の人の体を借りて魂の修行をしなければならないのだ。

借りる体は自分では決められない。なんだかショボイ男の体に再生して……。という感じの児童文学系な一冊だったが、なかなか良く出来ている。その結末については容易に想像出来てしまって、しかも見事に予想した通りだったので、ストーリー的にはそれほどヒネリは無いのだけど。


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架空の球を追う

架空の球を追う架空の球を追う
(2009/01)
森 絵都

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やっぱり罠にはまった。そんな気がする。ふとした光景から人生の可笑しさを巧妙にとらえる森絵都マジック。たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…人生の機微をユーモラスに描きだすとっておきの11篇。


だから何? と言いたくなるようなどうでも良い話は比較的少ないものの、一冊で11篇も入っているので、それぞれの分量が少なすぎて物足りない。ちなみに、表題作は少年野球のコーチが架空の球を追わせようとするが、欽ちゃん走りになってしまうという、どうでも良い話だった。とりあえず表題作はイマイチ。

「銀座か、あるいは新宿か」は、不快感を覚えるのだが、とりあえず印象には残った。三十路後半女性が銀座に集まって飲むのだが、銀座か新宿かでグダグダと文句を言い合う話である。銀座を選んでおいて、料理や値段に文句をつけているけど「はあ? あんたって馬鹿ぁ?」と、某アスカさんに罵倒されて然るべき人々である。

銀座は土地が高いのだから、テナント料も高く、料理の値段が高いのは当たり前。安くて美味いものが喰いたければ、他の所へ行けと小一時間……。しかも、店の中で文句垂れているのが最低である。店にだけでなく、他の客にも失礼である。最近、こういうレベルの低いオバタリアンって多いけどね。