優しくって少しばか

優しくって少しばか (集英社文庫)優しくって少しばか (集英社文庫)
(1990/01/19)
原田 宗典

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男は、いけない。女もいけない。いけない二人が一諸にいるから、なおいけない。けれど一人じゃいられない。答えは出ないと知りながら、次から次へと問題提起。重なったり、離れたり。擦れ違ったり、傷つけたり。危うい男と女の関係を縒り合わせて編んだ、問題の多い六つの中短編。原田宗典の第一作品集。


第8回すばる文学賞佳作。

第8回すばる文学賞の佳作なのに「おまえと暮らせない」が入っていないと思ったら、そのままの名前ではなくて、短編のうちの幾つかが候補であって、「おまえと暮らせない」という題名ではなかったのか。

エッセイが面白すぎて小説のほうは地味な感じがするけれど、初手から手堅い話を書いている。女絡みの怖い話だが、怖くなる前に終わるので不気味さが残る。表題作の「優しくって少しばか」は、変なラノベみたいな改行されているので読みにくいな(笑)。

「西洋風林檎ワイン煮」は、浮気した男と異臭のする西洋風林檎ワイン煮を作り続ける女。そして登場しない浮気相手。女のものではない髪の毛、血の色に見える汚れ、そして何か重い物を落とす音、林檎を煮るにしては大きすぎる鍋。一体、何を煮ているのか!? 鍋の中にあるものが明かされないまま終わるのが不気味である。

「ポール・ニザンを残して」は、海外に旅立つ女を空港まで送る男がポール・ニザンが来るかどうか賭けをする。ポール・ニザンが来なかったので賭けに負けたと言う男。女はポール・ニザンは来ているので自分の負けだと言う。飛行機が離陸したら車のトランクを開けてと言い残して旅立つ女。一体、トランクの中には何が!? これもトランクを開ける前に終わるのが不気味である。


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屑籠一杯の剃刀

屑籠一杯の剃刀―自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)屑籠一杯の剃刀―自選恐怖小説集 (角川ホラー文庫)
(1999/08)
原田 宗典

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脳髄の片隅に封印された記憶がふとしたはずみに甦る違和感を描いた「みずひこのこと」をはじめ、掌編小説の名手がデビュー前夜に綴った幻の恐怖譚二編を含む六編を収録。


なんかイマイチな短編集だと思ったら、デビュー以前に書かれた習作とか入っているんだね。角川ホラー文庫でありながら、あんまりホラーでは無い内容。ホラー的な物ではなくて、恐怖に至る前の奇妙さを描きたかったようだが。原田宗典って、エッセイはすごく面白いんだけど、小説はちょっとなぁ。もっとエンタ路線を狙えば面白そうなのに、書き方が文学的になりすぎな気がする。


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