南米ポトシ銀山(中公新書1543)

南米ポトシ銀山―スペイン帝国を支えた“打出の小槌” (中公新書)南米ポトシ銀山―スペイン帝国を支えた“打出の小槌” (中公新書)
(2000/07)
青木 康征

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16‐17世紀に新大陸で産出した銀を中心とする貴金属は、厖大な富をスペイン帝国にもたらし、それが来たるべき近代ヨーロッパ経済を支える原資となった。かくも大量の鉱物資源はどのように採掘・製錬・輸送されていたのだろうか。本書は、現在はボリビア領に属する南米最大の銀山ポトシに光をあて、安価な労働力を安定供給するため先住民に強制した輪番制労働システムによる銀生産の実態に迫る。


南米最大の銀山として、スペイン帝国を支えた打ち出の小槌とか書かれているので気になったのだが、かなり酷い場所だな(汗)。連れてこられて強制労働とか、沈みゆく何処かの帝国にいる黒企業奴隷と良い勝負が出来そうじゃないか。何よりも驚くのが、国家事業として乗り込んできて、新大陸の人々を隷属化したのではなくて、民間にお任せ放置プレイな点。

アングラ化して消えた銀を除いても、産出されたうち僅か2割程度しか、国家の取り分になっていないとは驚きである。もし、国有化して全部国庫に入れていたら、イギリスに負けなかったんじゃないの!? 国王が全くリスクを取らず、一攫千金を夢見るならず者にお任せしているのだから、ピンハネするだけと考えれば美味しいのかのしれないが。

上手くやった奴らが国家に寄生し、制度を悪用し、現地の人間を酷使して肥え太るのを見ると反吐が出る。宣教師や本国側が現地人の待遇を何とかしようと悪戦苦闘しているのが意外だった。制度を改善しようとする人々は更迭されたり、最悪の場合は暗殺されたりして、ほとんど最後まで上手く行かないのだが。

ごく一部の住民だけ輪番で鉱山労働が義務化されていたりするのも、制度が穴だらけで間抜けである。これでは別の地域に逃亡して、該当する地域の人口が減って当然ではないか。既得権益化した白蟻に銀山が食い尽くされて行く姿は、どこぞの島国みたいで素敵ですね♥


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中公新書リスト

老舗だからか、最近のペラい新興新書と比べたら、まともなものが多い。しかし、中公新書は地味なテーマが多いので、ついついペラいやつばかり読んでしまい、なかなか読了冊数が増えない。



1005 『失われた原始惑星

1025 『ゲッベルス

1202 『関西国際空港

1237 『パソコンをどう使うか

1304 『文科系のパソコン技術

1543 『南米ポトシ銀山

1601 『軍事革命(RMA)

1669 『暮らしの世相史
1670 『ドイツ 町から町へ

1742 『ひとり旅は楽し



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暮らしの世相史(中公新書1669)

暮らしの世相史―かわるもの、かわらないもの (中公新書)暮らしの世相史―かわるもの、かわらないもの (中公新書)
(2002/11)
加藤 秀俊

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少し前までの日本では、物売りの声がうるさいくらいに家々の前を過ぎていった。豆腐売り、刃物研ぎ、しじみ売り…。モノの売買にとどまらない行商人と客の間のやりとりには奇妙な信頼関係さえこめられていた。スーパーやコンビニが席捲する現在は、むしろ古代の「沈黙交易」に退行しているのではないか―。衣食住、ことば、宗教など、近代化する暮らしの中の「連続と非連続」を的確に捉える新しい庶民生活史の誕生。


暮らしの世界史? なんじゃこりゃ? と思って借りてきたけど、よく見たら世界史じゃなくて世相史だったOrz 

庶民の暮らしを考察するのは面白いが、様々な事を書きすぎていて纏りには欠ける。行商がやって来て居買いをしていた時代から、無機質的な大量消費社会への変遷。和装が洋服に変わっていく過程など、それぞれの章は興味深い。

モノが資産であった時代から、購入した瞬間から無価値なモノになってしまい、狭い住処はモノを収納しておくための倉庫となり果てるのは儚いが、こういうモノ持ち消費行動は団塊、バブルまでで終焉したと思う。

日本にいるなら日本語を使えという意見には賛同したいが、英語が世界共通語と化した現状、英語を使えないと日本国内でしか通用しないからなぁ。何もかも厳しい時代になったものだ。


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軍事革命(RMA) (中公新書1601)

軍事革命(RMA)―“情報”が戦争を変える (中公新書)軍事革命(RMA)―“情報”が戦争を変える (中公新書)
(2001/08)
中村 好寿

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ナポレオンによって大兵力の殲滅戦が開始されてから、戦争は火力による殺傷と破壊を意味するようになった。これ以降、工業化時代の戦争は、双方が国力全体を消耗しあう形態となったのである。情報技術や精密誘導技術が驚異的に発達したため軍の運用や編成・組織が劇的に変化しつつある今、もはやクラウゼヴィッツの唱えた消耗戦は主流ではなくなりつつある。これからの戦争はどうなるのかを、シミュレートする。


ナポレオン以来、クラウゼヴィッツの唱えた消耗戦が長らく主流となっていたが、近年、戦争の内容が急激に変化しつつある。具体例として、その質が劇的に変わったのは、イラク侵攻作戦? からである。

衛星軌道上から敵兵力の展開を的確に把握した米軍は、その情報をリアルタイムで戦車部隊の運用に連動させ、イラク軍を殲滅した。恐らく、イラク軍戦車兵の多くは、どこからミサイルが飛来するのかもわからぬまま、一方的に殺されていった事だろう。

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ドイツ 町から町へ(中公新書1670)

ドイツ 町から町へ (中公新書)ドイツ 町から町へ (中公新書)
(2002/11)
池内 紀

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ドイツの町には、おどろくほど個性がある。通りや建物、広場から、民家の屋根や壁の色、窓のつくりにいたるまで、土地ごとに様式があり、みごとな造形美を生み出している。長らく領邦国家が分立していた歴史的背景から、町ごとの自治意識が強く、伝統や風習に誇りを持っている。港町、川沿いの町、森の町、温泉の町―。ドイツ各地をめぐり、見過ごされがちな風物や土地に根ざした人々の息づかいを伝える紀行エッセイ。


ドイツの様々な町を紹介しているので、それぞれの内容は断片的な知識に留まってしまうものの、ドイツ全体を俯瞰するにはちょうど良いと思う。これを読んで興味を惹かれる町を見つけたら、さらに専門的な資料に当たっていけば良いだろう。

それにしても、個性的な町が多くて驚く。日本にある大多数の町のように、金太郎飴的に画一化されていないのが素晴らしい。これは、近年に至るまでドイツが中央集権国家としてまとまらず、各都市の権力が保たれた事もあるが、戦後においても都市の個性を失わないように努力してきた事も大きいだろう。同じ敗戦国でありながら、日本とは大違いである。


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ひとり旅は楽し(中公新書1742)

ひとり旅は楽し (中公新書)ひとり旅は楽し (中公新書)
(2004/04/25)
池内 紀

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ひとり旅が自由気ままと思うのは早計というもの。ハードな旅の「お伴」は、厳選された品々でなければならない。旅の名人はみな、独自のスタイルをもっている。山下清の下駄や寅さんの革トランクにしても、愛用するには立派なワケがあるのだ。疲れにくい歩き方や良い宿を見つけるコツから、温泉を楽しむ秘訣、さらには土産選びのヒントまで、達人ならではのノウハウが満載。こころの準備ができたら、さあ旅に出かけよう。


題名に魅せられて……。ひとり旅って本当に楽しいと思う。どこへ、どのタイミングで行くか、行かないか、その決定権が全て自分にあるが故に、金銭的、時間的制約さえクリアすれば、思う存分に旅を楽しむ事が出来るからだ。誰かと一緒だと、自分の意のままにはならないから、どうしても不満が出てくる。

著者はかなりの旅名人に思えるが、それを鼻にかけず軽いエッセイか紀行文のようになっているのも良い。それにしても、「旅」とは特権階級にのみ許された最高の娯楽のひとつである。普通の会社に勤めたなら、まず旅に出られるような休みなんて貰えませんから。というか、休みが存在しない会社も……。明らかに労働法違反だろうに、政府が結託しているとなると……。


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パソコンをどう使うか(中公新書1237)

パソコンをどう使うか

資料を蓄積し、膨大な情報量を瞬時に処理できるパソコンは、それ自体が書斎にもオフィスにもなる。しかし、有効に使うには、やはり訓練と知識が必要である。本書は、これから始める、持っているがあまり使わない、キーボードを真面目に練習していない、ワープロだけを使う、といった人から、ある程度使っている人まで、その使用目的を明確にするとともに、優秀なテクノロジーがどう応用され、今後どこへ向かうのかを考察する。


これもかなり古臭い内容になってしまっている。今になって読めば、未来予測に関してかなりハズしてしまっているし、使用環境は人それぞれなのにノートPCを勧めまくったりしており、自分の主観が入りすぎ。今から読む価値はほとんど無いだろう。

シェアウェアではないソフトを勝手に試用し、気に入ったら金を払うと言っているのはちょっと問題だと思う。厳密には著作権侵害なのだから、新書でそのような事を書くのは思慮が足りないのでは?

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文科系のパソコン技術(中公新書1304)

文科系のパソコン技術―ライティングシステム序説 (中公新書)文科系のパソコン技術―ライティングシステム序説 (中公新書)
(1996/06)
中尾 浩

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文科系の人間にとって、パソコンはまだ何となく敬遠したい存在である。そもそも書くだけなら万年筆でもかまわないし、ワープロ専用機でも十分なのに、なぜパソコンなのか。文科系の人間といえども文書作成をするにあたり、データ収集・加工・検討を繰り返さなければならない。パソコンを単なるワープロ的利用にとどめない、データ収集を含めたライティングシステム構築の手引きを、図版を豊富に使って懇切丁寧に解説。


中公新書とはいえ、こういうのは古くなると価値下がるなぁ。100円コーナーで漁ってきて、そのまま積ん読になり長年放置……。まだ人々がワープロとパソコン二択だった時代なので、内容が相当古びてしまっているのだが、基本事項に関してはそれほど変化していないので、一読しても良いかも。

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関西国際空港(中公新書1202)

関西国際空港(中公新書1202)

軟弱な海底に石を積み重ねることから始ったこの大プロジェクトは、長い歳月と一兆五千億円の巨費を要してついに開港にこぎつけたが、未完の工事、莫大な償却前赤字等難問は山積している。公害と地域経済、地方分権、民活プロジェクトの将来―ここには現代日本の政治経済問題のすべてが関わっているのである。本書は現代のピラミッド建設過程を、参加して技術者、財界人、政治家、官僚の証言を通して浮彫りにする試みである。


関空プロジェクトに対する光と影、といった感じか。あんな巨大建造物をよく造ったと感心するが、やはり立地的に難がありすぎて、コストがかかりすぎである。世界の国際ハブ空港として機能するには、あまりにも小規模すぎるし、この国には本当に世界的視野を持った政治家が皆無だなぁ。オラが町の道路ほじくるよりも、国際空港を整備しろと言いたい。アジア諸国が大型空港を整備している今となっては、もはや手遅れですが。

それにしても、神戸の節穴具合と節操の無さには辟易する。立地的には優れていたのに猛反対して潰しにかかり、仕方が無いので泉南方面で地道にプロジェクトを進めていたら、旨みが分かったのか、手の平を返すように邪魔して来る。「はぁ? あんたってバカぁ?」と、アスカ・ラングレーに罵倒されたら良いと思う。結局、後から強引に新空港を造って、同じ地域に三空港並存で航空管制が大変な事になっている。

首都圏と地方で、金の配分にあまりにも差がありすぎなのもどうかと思う。公金でやりたい放題の首都圏に対して、地方は民間に負担してもらえというのでは、あまりにも身勝手ではないか。

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ゲッベルス(中公新書1025)

ゲッベルス

ヒトラーを取り巻く人々の中でも、ゲッベルスの特異性は抜きん出ていた。軍隊経験を持たず、常に私服で通し、打算と無縁のヒトラー崇拝を貫き、必ず自らを「博士」と呼ばせた女誑し。良識ある市民によって選ばれた政治家でも、伝統的保守主義者でもなく、いわばよくある極石崩れの妄想狂だった、ゆがんだ逆行的モダニストが、宣伝と技術と感覚と行動力のみによって大衆を動員していった経緯を、公刊された厖大な日記によって辿る。


狂気と狂気が結びついた時、世界は大いなる悲劇への道を歩んだ。絵描きになれなくて独裁者となった男も強烈だけど、その男に魅せられて水を得た魚の如く突き進むゲッベルスも恐ろしい。国軍の元帥達がヒトラーを見限る中、ゲッベルスだけは運命を共にした。

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失われた原始惑星(中公新書1005)

失われた原始惑星

1960年代のアポロ月探査に始まる海王星までの太陽系惑星の探査、毎年南極から持ち帰られる特異な隕石等等によって、太陽系形成期の情報量は厖大なものとなった。本書は、とくに惑星が生まれた四十数億年前の出来事をひも解く鍵を与える。「創成期の石」を探し求めるドラマと、ポスト・アポロに著者らによって展開された、原始惑星の誕生と死という壮大な仮説に至るストーリーを紹介し、太陽系進化論の最先端の息吹きを伝える。


題名がコレだけど、別に火星と木星の間に星があって、破壊されてしまったなどというトンデモ本の類ではない。太陽系形成初期の段階に数多く存在していた微惑星の事である。小さな惑星同士は衝突を繰り返しながら成長し、今に至るのだが、その姿はまさに失われてしまった状態なので、惑星になりきれずに太陽系を漂う欠片から、太陽系の謎に迫ろうという訳である。

しかし、取りに行って調査するという事が困難なため、月の石や隕石に頼るしかないのが現状。よって、本書も隕石調査の話ばかりで、手堅いけど退屈。

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