アホの壁(新潮新書350)

4106103508アホの壁 (新潮新書)
筒井 康隆
新潮社 2010-02

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なぜそんなアホなことをするのか、そしてアホなことを言うのか?無益な争いに血眼になり、破綻必至の計画を立て、互いに殺しあうに至るのは、いったいなぜなのか?文化的文明人を自任する現代人が、いとも簡単に飛び越えてしまう「アホの壁」をめぐり、豊富なエピソードと心理学、文学、歴史ないまぜでつづる抱腹絶倒の筒井流人間論、ついに登場。


題名を見ると、なんだ『バカの壁』のパクリじゃないかと思ってしまうが、編集者から執筆を依頼された時に言われたタイトルは「人間の器量」だったらしい。そんな題名の本を自分が書いても売れないと断るのだが、話し合いの結果、『アホの壁』を書く事に。

最初の章からいきなり、言わなくても良い事、言ってはいけない言葉をわざわざ言ってしまうアホの事が書かれている。これは周囲にもよく居るタイプのアホなので、分かりやすい。ビール会社のパーティで下請け会社の社長がライバル会社の名前で万歳してしまった例が挙げられている。きっと、親会社から抑圧されたストレスでライバル会社のほうを万歳しちゃったんだろうな。

女をアホと言っちゃう部分については、フェミババアとかに噛みつかれそうで心配だ。本書におけるアホな女とは女性全体を指すのではなく、妻や身近な人間の事であって、第一線で活躍しているような優秀な女性は予め「女」から除外しているが。

1969年のワールドカップ予選で、エルサルバドルがホンジュラスに負けた事が原因で戦争が始まった事があるのか。あまりにもアホな戦争である。

「ペンは剣より強し」という言葉はリシュリューの言葉で、全然違う意味だったのは初めて知って驚いた。(厳密には、ブルワー・リットンの戯曲『リシュリュー』に出て来る言葉らしいが。)「真に偉大な人物の支配の下においては、ペンは剣よりも強い」という限定条件付きで、反乱を起こしても逮捕状や死刑執行命令にペンでサインして弾圧できる、という意味だったらしい。


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いつまでもデブと思うなよ(新潮新書227)

いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)
(2007/08/16)
岡田 斗司夫

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一年間で五〇キロの減量に成功した著者が到達した結論。それは、ダイエットは楽しく知的な行為であり、ロー・リスク、ハイ・リターンの最高の投資であるということだった。必要なのはメモ一冊。それだけで運動不要、持続可能なダイエットは始められる。そして重力から開放された後は経済的、社会的成功が待っているのだ。過去のすべてのダイエット本を無力化する、究極の技術と思想が詰まった驚異の一冊!


ただのダイエット本ではなく、“見た目主義社会”の構造と、デブである事のハンディも分析しているので、デブじゃない人が読んでもなかなか興味深い事が書いてある。家柄や身分で判断されていた時代から、学歴重視に移り、今や見た目で判断される時代に突入したと著者は主張する。確かに、バブル崩壊後の一発勝負型社会では、ハズレてしまえば東大法学部卒が土方になったり、阪大工学部院卒がリーマンショックに巻き込まれてワーキングプアになったりするのだから、学歴すら完全には信用出来なくなってしまっても仕方がないだろう。

見た目に関しては、一部の女性が化粧でチート級に化けているという場合はあれど、大抵は自分の目で容易く判断出来る。身分、家柄、学歴といった従来の社会的価値観が失墜しつつある現状、自分の主観で他者を判断したくなるのも分かる気がする。厄介なのは、好き嫌いによる主観的判断で立ち位置が決められてしまう点である。見た目が重視されるようになると、デブは圧倒的に不利である。何をやってもデブというカテゴリーでしか判断されないからである。幸いにも、デブは顔の美醜とは違って、個人の努力で何とかなる。

著者もデブだったので、書かれている内容は巷のダイエット本と比べて非常に説得力がある。1年間で50kgも痩せたというのが驚異的であるが、ここまで分析してダイエットしたら、痩せるのも納得出来る。訳の分からない根性論や精神論は入っていないし、疲れるような運動もしないし、深夜番組に出て来る怪しい健康器具も使っていない。データ化して現状を把握し、無理せず淡々と減量していく方法は、効果に個人差はあれど、万人が実践できる内容だと思う。

冒頭に著者の写真があるのだが、ビフォーとアフターで変わりすぎ (((( ;゚Д゚))) デブオタク→ダンディなおじさん、くらいに変身しているじゃないか(笑)。


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アラブの格言(新潮新書011)

アラブの格言 (新潮新書)アラブの格言 (新潮新書)
(2003/05)
曽野 綾子

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神、戦争、運命、友情、家族、貧富、そしてサダム・フセインまで──。素早く、簡潔に、かつ深くアラブ世界を理解するには、彼らの世界の格言を知るに限る。「追う者と追われる者は、共に神の名を口にする」「一夜の無政府主義より数百年にわたる圧政の方がましだ」など、古来より伝承され数多ある中から530を厳選。そこに加えられた著者独自の視点、解説によって、鮮明に浮かび上がる「アラブの智恵」とは。


やはりアラブは、思考回路が異なると思う。異なるが、本来は別個の存在としてそれ自体を肯定し認識すれば良いものを、過度に異端視し自らが正しいと思い込んだ思想を強制しようとする人々が圧力をかけるから、中東問題のような世界の歪が顕になる訳だ。

イラクの現状にしても、「スーパーマン」が正義の思想を押し付けた結果、サダム・フセイン時代よりも混沌として危険な国家になってしまった。現に、米軍の死傷者は戦闘終結宣言以降のほうが多い。まずは、相手を知り、理解する事から始めなければ、西洋とイスラムの鬩ぎ合いは終わらない。アラブの格言からは、西洋とは違う彼らの思考回路が滲み出ている。


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新書百冊(新潮新書010)

新書百冊 (新潮新書)新書百冊 (新潮新書)
(2003/04/10)
坪内 祐三

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一人の青年の燃える向学心に数々の新書がいかに応えてくれたことか―。富士正晴『中国の隠者』、児島襄『東京裁判』、金関寿夫『アメリカは語る』、山口昌男『文化人類学への招待』、名取洋之助『写真の読みかた』などなど、この知の宝庫に分け入り、次々と読破した若き日々…。好きな本・凄い本・お得本から秘蔵の本まで、百冊の思い出を熱く描く。本好きから心を込めて本好きへ贈る読書自伝。


新書は安価で手軽に知識を吸収出来るから好きだ。最近は、出版不況であちこちの出版社が売上を伸ばすべく、つまらない新書を作りまくってレベルが落ちているので気をつけないといけないが、豪華なケース入りの専門書を買わなくてもそれなりの内容の物が読めるというのは有難い。

この本は、題名からするとお勧めの100冊を紹介しているように思えるが、実際にはそうではなく、自らの人生を語りながら、そこで出会った新書について記している。だから、この100冊を読め! みたいなノリを期待するとガッカリするかもしれない。それにしても、坪内祐三って新書に造詣が深い。


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ぐれる!(新潮新書009)

ぐれる! (新潮新書)ぐれる! (新潮新書)
(2003/04/10)
中島 義道

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善良な市民たちの欺瞞に満ちた価値観が蔓延する社会が、イヤでたまらない。その価値観から外れている自分のことも、イヤなのだ。といって、犯罪に走ることも、自殺することもできない―。そういう人は、真剣に「ぐれる」しかない。自分の置かれている理不尽をまっこうから見据えて、それを噛み締めながら生きていくしかないのです。「ぐれる」ことこそが正しい生き方だということを、初めて、かつ徹底的に説いた書。


この人、ほんとうにどうしようもない人だな。東大の大学院まで出て、ドイツに留学して、教授……。この、他人からみたら輝かしい経歴で、どうしてこんなにどうしようもない人になるか疑問。で、世界に、現在の状況に、自分自身に不平不満を念仏のように唱えつつ、その呪いの言葉がこうやって本となり、しかも売れている(笑)。おそらく、どうしようもない教の教祖様的存在となり、どうしようもない人々が信者となって購入するのだろう。一体、何がそんなに不満なんだ!?

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裸の王様(新潮新書006)

裸の王様 (新潮新書)裸の王様 (新潮新書)
(2003/04/10)
ビートたけし

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「お前らみんな裸だ!」――誰も言えないなら、おいらが言ってやろう。北朝鮮に進撃してはいけないのか?トラウマは「癒す」べきなのか?「感動をありがとう」っておかしくないか?冷戦は悪だったのか?グルメって偉いのか?二大政党制は素晴らしいのか? 素朴な疑問に答えながら、「王様は裸だ!」とばかりに、この世にはびこる偽善を嘲笑う。「アホでマヌケ」はアメリカ白人だけじゃない。新書初登場、ビートたけし流社会批評の集大成。


ビートたけしならではの毒舌なんだけど、若い頃と比べるとかなり、その毒がきれいにオブラートされている。常識ある大人は疑問に思ってはいけない事、ある意味、当然とされてしまっている事を、本当にそうなのだろうかと疑ってみる。なかなか危険で個性的な疑問が並んでいる。


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不倫のリーガル・レッスン(新潮新書008)

不倫のリーガル・レッスン (新潮新書)不倫のリーガル・レッスン (新潮新書)
(2003/04/10)
日野 いつみ

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――こんなに怖い、でもやめられない――とても身近で、けれど大きな声では語りにくい「不倫の恋」。その諸相に応じたさまざまな法的・社会的リスクを、若手女性弁護士が検討! 「不倫」の法的位置付けから、交際中の心得、トラブル対策、さらには離婚、別離、死別まで――。法律家として、女性として、映画や文学の話題をまじえつつ、わかりやすいレッスン形式で論じた。不倫している人、されている人、興味を持っている人、相談を受けている人、苦々しく思っている人・・・。幅広い年齢層、あらゆる立場の男女に!


タイトルを見ると不倫のノウハウ本のように思えてしまうが、実は上手く不倫する為の本ではない。不倫した際に、どのような法的効果が援用されるのかという点に言及している。軽い気持ちで不倫すると、とんでもない事になったりもする。人と人の関係であるから、いくら法律で縛っても無くなりはしないだろうけど、事に及ぶからには本書に書かれているようなケースも覚悟もしておくべきだろう。

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死ぬための教養(新潮新書004)

死ぬための教養 (新潮新書)死ぬための教養 (新潮新書)
(2003/04/10)
嵐山 光三郎

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死の恐怖から逃れるための最大の処方箋だった宗教が力を失った今、「自分の死を平穏に受け入れる」ために必要なものは、「教養」だけである。単なる知識ではない、「死ぬための教養」こそが、「自己の終焉」を納得するための武器となるのだ。五度も死にかけた著者が、宇宙論から闘病記まで四十六冊を厳選!これが、「死」を自己のものとして受け入れる教養である。


帯には『「宗教」なんてもういらない』と書いてますが、別に教養もなくったっていい気がする。自殺サイト絡みの殺人事件、あの被害者は教養があっても良かった気がするけど。練炭なら苦しまないのに、知らないから騙されて、口塞がれて苦しんで死んでいるのだから。まぁ、教養ある人にも馬鹿にも、死は等しく訪れるものだから……。

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漂流記の魅力(新潮新書002)

漂流記の魅力 (新潮新書)漂流記の魅力 (新潮新書)
(2003/04/10)
吉村 昭

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日本にはイギリスの海洋文学にあたるものがない、といわれてきたが、江戸時代に漂流して帰還した者たちから聴取した、何作もの「漂流記」こそ、日本独自の海洋文学ではないのか。ここに、1793年、奥州石巻を出港し、難破してロシア極東沿岸に漂着した「若宮丸」の漂流聞書き『環海異聞』がある。極寒の辛苦に耐えてロシアに10年、生き残った津太夫ら四人の水夫は、鎖国日本へ開港を促すロシアの使節船に乗船し、日本人初の世界一周の旅に出る。夢に何度も見た故国の地を踏んだ彼らを待っていたのは、厳しい取り調べだった。しかし、彼らは『環海異聞』という貴重な証言を残してくれた……。


題名だけ見ると、「十五少年漂流記」や「ロビンソン・クルーソー」、「不思議な島のフローネ」等を連想してしまうが、もっと現実に即したリアルな漂流の模様が描かれている。例としては寛政五年(1973)に遭難してロシアに漂着した若宮丸など。

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アメリカ病(新潮新書012)

アメリカ病 (新潮新書)アメリカ病 (新潮新書)
(2003/05)
矢部 武

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いま明らかにアメリカがおかしい。外交や政治・経済ばかりではない。もっと根幹にある日常の空気に目を向けてみると、見えてくるのは何かにとりつかれた病的な姿だ。過剰なまでの健康志向、心療内科の隆盛、ペニス拡大手術や女性の豊胸手術の流行、そして“正しさ”への盲信…もはやどこを見渡しても末期症状。強迫観念に覆われた米国社会を精神分析する。


アメリカは病んでいる。かなりどうしようもない国になりつつある。ブッシュなんてとんでもない人が大統領になってから、ますます危険な方向へ走ってしまったと思う。にも関わらず、危機感を感じないのは何故だろうかと思い、気づいた。

そうだ、腐っても鯛。
日本病よりはマシなのである。

日本の病気はもう、治しようが無いとこまで悪化している。

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アメリカの論理(新潮新書007)

アメリカの論理 (新潮新書)アメリカの論理 (新潮新書)
(2003/04/10)
吉崎 達彦

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なぜアメリカはイラク攻撃にこだわったのか。安易な陰謀史観に頼らずとも、9・11以降のブッシュ政権内の「論理と力学」を丹念に分析すれば、その疑問は氷解する。ブッシュを取り巻くブレーンたちの動きを通して浮かび上がるのは、ナイーブで孤独な「揺れる超大国」の姿だ。新世代のアメリカ・ウォッチャーによる注目の論考。


最近の某国は、言動がジャイアンに似ている。
「俺の言うことが聞けねぇのかよ~!」
「イラクのくせに生意気だ~!!」
ほらね、似てるでしょ!?
 
そうやって、自称正義の味方づらして威張ってみても、虐められた側はその恨みを忘れないから、また自分にかえってくる。これを、因果応報という。ちょっと暴走気味の、皇帝無き帝国の心理状態を解く為の一冊だ。

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武士の家計簿(新潮新書005)

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)
(2003/04/10)
磯田 道史

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「金沢藩士猪山家文書」という武家文書に、精巧な「家計簿」が例を見ない完全な姿で遺されていた。国史研究史上、初めての発見と言ってよい。タイム・カプセルの蓋を開けてみれば、金融破綻、地価下落、リストラ、教育問題…など、猪山家は現代の我々が直面する問題を全て経験ずみだった!活き活きと復元された武士の暮らしを通じて、江戸時代に対する通念が覆され、全く違った「日本の近代」が見えてくる。


これは、加賀藩(前田利家のとこね)に仕えた、本当に下級で身分の低い猪山家が律儀に記していた家計簿を題材にした話なんだけど、マメな人たちだ。

当事は身分制社会。武士階級の中でも細かく階級(のようなもの)が分かれていて、原則として蛙の子は蛙としてしか生きられない時代だったらしい。本人にどのような能力があるか、何を成したかではなくて、ご先祖様がどんな役割を果たしたかで俸禄すら決まってしまう、そんなどうしようもない世の中。

だけど、そんな時代にも例外はあって、算術を使う役職だけは血統主義ではなくて実力の世界。猪山家の人々は算術を駆使して時代を生き抜き、明治維新後は多くの武士が没落していく中、成り上がって行ったのだった。うーん。やはり数学出来る奴は強いということかね。ナポレオンが出世したのも、数学が出来たからだし。

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バカの壁 (新潮新書003)

バカの壁 (新潮新書)バカの壁 (新潮新書)
(2003/04/10)
養老 孟司

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2003年を代表する大ベストセラーであり、タイトルがこの年の流行語にもなった本書は、著者の独白を文章にまとめるという実験的な試みであった。「人間というものは、結局自分の脳に入ることしか理解できない」、これが著者の言うところの「バカの壁」であり、この概念を軸に戦争や犯罪、宗教、科学、教育、経済など世界を見渡し、縦横無尽に斬ったのが本書である。


出版社の策略と巧みな題名で売りまくった一冊。しかし、書いている本人がバカの壁そのものでは、説得力に欠けるのではなかろうか。バカの壁にバカ扱いされて悦んでいる読者は、自分に危機意識を持たないと拙いんじゃなかろうか……。瞬く間に、私を含めて日本全国にバカの壁が390万人も出現したのだから、この国が傾くのも当然だろう。

バカの壁について、街角に出て道ゆく人々にも聞いてみました。

女子中学生(第三新東京市在住)
「養老さん、あんたって、バカぁ!?」

沈み行く某帝国の元首相
「まっ、理路整然とバカやってくれるなら、構わないと思う。郵政民営化と同じ事」

ローマ帝国の英雄
「ブルータス、お前もバカ……」

伝説の芸能人
「バカにしないでよ~、そっちのせいよ~」

植木職人(バカ田大学卒)
「これで、いいのだ~」

本当に、こんなのが売れてしまう国で良いのか?

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