逃亡

逃亡〈上〉 (新潮文庫)逃亡〈上〉 (新潮文庫)
(2000/07)
帚木 蓬生

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逃亡〈下〉 (新潮文庫)逃亡〈下〉 (新潮文庫)
(2000/07)
帚木 蓬生

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故国が終戦と同時に憲兵に牙をむいた。日本のために諜報活動に明け暮れた報いが、「戦犯」の二文字だった―。身分を隠し名を偽り、命からがら辿り着いた故国も、人身御供を求めて狂奔していた…。諜報活動に明け暮れた香港から苦難の末に辿り着いた日本。が、祖国は戦争の人身御供とするべく逃亡憲兵に襲いかかった。国家とは何か。責任とは何か。愛とは、死とは…。元憲兵の逃亡行、緊張感とヒューマニズム溢れる2千枚。


お勧めされたので借りてみたものの、電話帳のようなぶ厚さに圧倒される。読んでも読んでも終わらなくて、どんどん伸びる麺類を食べている時のような気分だった。

そして、内容も重苦しい。国の命令でやらされていた事によって、戦争犯罪人として逃亡する事になる主人公。しかも、被害を被った中国や、戦勝国(敵国)からのみならず、同胞であったはずの日本人からも追われるというところが、どうしようもなくやるせない。

戦争犯罪人を裁く権利など無いと思う。上官の命令でやっていたBC級戦犯に関しては、特に……。偽善者たちは、人道上問題があるとか、同じ人間としてしてはいけないとか、自分は安全な立ち位置で好き勝手な奇麗事を言うけれど、そいつらは、自らがその立場であったなら、拒否する事が出来るのか!? 胡散臭い事言うようなヤツに限って、自分が当事者なら嬉々としてその任務をこなすと思うのだが。

A級戦犯に関しても、もし罪があるとすれば、それは戦争を始めた事ではなく、戦争に負けてしまった事に対する罪しかない。故に、同胞に戦略上の失敗を糾弾されて然るべきではあるが、戦勝国による裁判は、ただのリンチでしかない。もしも大日本帝国と第三帝国が勝利していたなら、戦犯として処刑されていたのは、トルーマン、マッカーサー、アイゼンハワー、そして、史上最悪の男カーチス・ルメイ等の面々であった筈である。

それにしても、国家の命令で任務を果たした憲兵は戦争犯罪者として追いかけられるのに、空襲や原爆投下を指揮し、何十万人もの同胞を大虐殺したカーチス・ルメイには勲一等旭日大綬章を授与しているのだから、この国の支配者達はキティすぎる。そういう輩を嬉々として国会へ送り出している愚民も同罪である。


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