もう牛を食べても安心か(文春新書416)

もう牛を食べても安心か (文春新書)もう牛を食べても安心か (文春新書)
(2004/12)
福岡 伸一

商品詳細を見る

アメリカ産牛肉輸入再開に向け政府は全頭検査を緩和する方向にあるが、著者の見解は時期尚早。狂牛病は原因も対策もまだ何も分かっていないからである。本書は警告を込めて現状を解説しつつ、一歩踏み込んで問題を考察する。病原体はどうやって牛からヒトへと種の壁を越えたのか。そもそもヒトはなぜタンパク質を食べ続けなければならないのか。その問いは、生きているとはどういうことか、という問いにも繋がっていく。食と生命をめぐる出色の論考。


狂牛病問題だけでなく、生物がタンパク質を必要とするメカニズムや、科学者に関するエピソードなど、守備範囲は広め。悪性タンパク質プリオンに関しても、かなりページを割いているが、より詳しい部分まで知りたい場合は『死の病原体プリオン』のほうが良いかも。

狂牛病をBSE(Bovine Spongiform Encephalopathy、牛海綿状脳症)に言いかえるよう圧力をかけてきたり、何の根拠も無く金儲け優先で全頭検査から一部を除外しようと画策する政治屋には憤りを感じる。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサーサイト

断る力(文春新書682)

断る力 (文春新書)断る力 (文春新書)
(2009/02/19)
勝間 和代

商品詳細を見る

この本では、「断ること」をしないことが、いかに私たちの生産性向上を阻害し、成長を阻害し、ストレスをためるかということを説明していきます。そして、どうやったら「断る力」を身につけることができるのか、その訓練方法を含めて具体的に説明をしていきます。


断る事の大切さを説いている点において、ある意味においては正論かもしれないが、実績を上げている人でないと、干されたり、リストラされて終わってしまうよね!? あとは、何も身につけていない若者が真似すると大怪我するという数多くの方による指摘には同意。

そもそも、依頼されるからこそ断るチャンスも芽生えるのであって、これが命令だと断れないと思う。例えば、織田信長みたいな上司の命令を断ったりした日にはもう……。後先考えず、思いつきだけで何でもかんでも押し付けてくる馬鹿上司がいたりすると厄介なんだよな。とりあえず、仕事が数多く舞い込んで来て、取捨選択出来るようなフリーの人間ならともかく、巷に氾濫するブラック企業だと断る事は死を意味するから無理ですな。

“最悪なのは、社長が無能上司であるケースです”と書いてある部分には笑った……、いや全然笑えない。それ経験あるから。社長が学校歴コンプのキティな無能上司で、しかも親の七光で出世しただけのバカボンだった日には、ただの最悪どころか、もはや災厄クオリティ。

誰かがやらねばならない仕事は、自分が断る事によって、何処かの誰かに押し付けられるのだから、かなり利己的だよね。誰かに押し付けてでも、まずは自分の身を守れというのは、エコノミック・ヤプーとしての正しい在り様なのかもしれないが。

やりたい仕事ばかりで固められたら、そりゃ人生楽しいだろう。でも、全員で断ったら、誰もやりたくない仕事は、一体何処へ行くのだろう? 自分さえ良ければ何しても構わないと思う利己主義者だらけになった結果が、今の惨状を招いたと思うけど。

全員が取捨選択出来る側に立つ事は不可能なのだから、奇麗事で言い訳しても、「断る力」を行使するのは利己主義的な行動でしかないんじゃないの? とりあえず、これを読んだカツマー信者が断る力を行使して甘い汁を啜る一方、コツコツとやらされ仕事をこなしている善良な小市民が割りを食って潰されたりしない事を強く願う。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ