未来力養成教室(岩波ジュニア新書750)

4005007503未来力養成教室 (岩波ジュニア新書)
日本SF作家クラブ
岩波書店 2013-07-20

by G-Tools

未来を生きるためには、なにが必要? 知らない世界を求めて冒険の旅にでるのもいいし、夢を実現する方法をじっくり考えるのも重要。ときには、暗い未来を思い描いてみたり、疲れたときは自分の部屋にとじこもってみるのもいい――。九人の人気SF作家が、若い読者へ、未来を開く鍵=想像力を使いこなす方法を教える。

新井素子「小さなお部屋」
荒俣 宏「SFを読むことが冒険だった頃」
上田早夕里「夢と悪夢の間で」
神坂 一「未来は来るのか作るのか」
神林長平「想像しなくては生きていけない」
新城カズマ「IT'S FULL OF FUTURES.....」
長谷敏司「皆さんに受け渡す未来のバトンについて」
三雲岳斗「想像力の使い途」
夢枕 獏「 物語の彼方へ――SFのことなど――」
序文:東野 司


ガチSF作家からラノベ方向の人まで、9名が参加しているのだが、残念ながらあまり心に響くモノがなかった。きっと、まだ見ぬ未来が輝いている小中学生ではなくて、読み手がリアル人生ゲームでゲームオーバー寸前だからだろう。

新井素子は、心に自分だけしか入れない部屋を作って籠る方法を勧めているのだが、それってただの現実逃避では……。少しでも鬱やストレスが緩和されるという効果はあるかもしれないが、現実世界のほうで抱えている問題が解決される訳ではないからなぁ。嵐が過ぎ去るのを待てばなんとかなるような案件ならともかく。

ゲームの世界に入って、クソな現実世界では二度と目覚めないような、マトリックス的な装置でもあれば、自分だけの箱庭世界に籠るのも良いと思うのだが。

荒俣宏は、昔は物が無かったという話から始まるので、昔は苦しかった、今の若者は物が溢れていて幸せだという、団塊前後の世代のクソな上から目線話なのかと思ったが、違った。何も無い状態のほうが、想像力が働くというのである。様々なモノを与えられた世代のほうが、想像力を働かす事が出来なくなくなって、容易く支配階層に騙されるのを見ると、納得出来る意見である。

上田早夕里の、夢だけでなく悪夢も想像するというのは、勝ち組リア充の戯言な感じがしてキツい。だって、負け組にとって悪夢は想像ではなくて、目の前にある現実ではないか。危ないドラッグなんかと同じで、楽しい人はより楽しく、苦しい人はより苦しくなるだけだと思う。上級国民の想像力の欠如によって、多くの人が不幸になってしまうという現実については同意する。

全体的に、未来力じゃなくて想像力または妄想力を養成する教室になっていた。
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森と山と川でたどるドイツ史(岩波ジュニア新書817)

4005008178森と山と川でたどるドイツ史 (岩波ジュニア新書)
池上 俊一
岩波書店 2015-11-21

by G-Tools

豊かな森、そびえ立つアルプス、縦横に流れる川―その自然を抜きにドイツという国は語れません。なぜ魔女狩りやユダヤ人迫害が起きたのか?工業で栄えた理由や音楽が盛んな背景は?どうして名物がビール・ジャガイモ・ソーセージ?自然を切り口に歴史をたどれば、こうした謎が解けてきます。歴史や国民性の概観に最適!


平地の多いフランスと違い、ドイツは地質学的のも気候学的にも豊かな森林地帯となっている。ライン川、ドナウ川、エルベ川、マイン川、ヴェーザー川、オーデル川、シュプレー川、ルール川、ザーレ川、モーゼル川が、縦横に流れ、様々な形で農業、商業、工業などの産業発展に貢献してきた。

ローマ帝国は、この地に住み着いたゲルマン人を長い間、退けてきたが、東側に出現したフン族に押し出されたゲルマン人が帝国内に流入すると、西ローマ帝国は崩壊してしまう。ガリアに住み着いたフランク族が新たに国を作り、西ローマ帝国の後継者として版図を広げる。

その後、王国がヴェルダン条約で分割相続され、東フランク王国が神聖ローマ帝国を経て、最終的にドイツという国になる。

フランク王国が統一されたのは一時期だけで、すぐに封建的な分立が際立つようになる。東フランク王国内でも、部族の名残を伝える公国がいくつも出来、北からはノルマン人が侵入し、東からはマジャール人が侵入して、都市や教会を略奪した。

東フランクの王となったフランケン公コンラートが亡くなると、ザクセンのハインリヒが遺言によりフランク王国を継承しザクセン朝が始まる。ハインリヒの子オットーは、962年に教皇ヨハネス12世によって、ローマで皇帝として戴冠し、神聖ローマ帝国となる。

森は誰の物でもなかったが、次第に王の所有するものとなり、貴族や修道院に与えられる事で私有化されて行く。ドイツでは穀物の生産量が低かったので、冬になると家畜の餌が不足してしまう。人々は秋になると豚を森に連れて行き、森の恵みを食べさせた後、ソーセージにした。

王は森での狩猟権を持っていたが、これは貴族階級に分け与えられた。現在でも35万人が狩猟免許を取得しており、ノロジカ100万頭、猪50万頭、野兎50万匹、雉35万羽が狩られている。

隣国のフランスが王権を強化していくのに対して、神聖ローマ帝国は選帝侯によって皇帝が選ばれ、対立皇帝を担ぎ出す諸侯もいて、ローマ教皇まで介入してくるため、国として全く纏まらなかった。大空位時代という、実質上、皇帝が不在の時期まで存在し、諸侯の権限が強化されていった。

農村部では農業技術の改良によって、生産力が高くなり、村落共同体もある程度の自治権、裁判権を手に入れる事になる。耕作地は増加し、工作方法も二圃制から三圃制になり、小麦、ライ麦、大麦、燕麦などの麦類を中心に、豆類も植えるなど、作物の多様化が図られ、天候不順による不作にも備えられるようになった。

村落共同体の力が高まると、新たな開拓地に入植する事で、より自由な身分と特権を得る事が出来るようになる。最も大規模な植民は、エルベ川より東に入植する、所謂、東方植民だった。東方の土地をドイツ化する事で、ブランデンブルク辺境伯領、さらに東方にドイツ騎士団領が出現する。

ゲルマン系の騎士や修道院や農民が領土を求めて東側を侵食していくが、そこは無人の土地だったわけではなく、バルト系やスラヴ系の人々が住んでいたので、土地を奪われ追い出されたりして、酷い目に遭っている。

ドイツには植物に含まれる自然的物質ないし特性で、病気からの治癒力を高めるウィリディタース(緑性)という概念がある。ゲルマン的な多神教、自然崇拝の流れを汲んでいるのだが、宗教革命でプロテスタントとカトリックが対立し、戦乱の時代になると、魔女狩りの対象となってしまった。

15世紀から18世紀にかけて魔女狩りによる宗教裁判、世俗裁判で無実の人間が多数殺されたが、被害者はドイツに集中している。そして、ケルン、トリーア、マインツなど選帝侯となっている大司教領、司教領、ドイツ騎士団領など、教会勢力が力を持っている地域で被害者が多かった。デミウルゴスを信じる某邪教はロクな事をしない。

王権を強化して強国となったフランスに対して、神聖ローマ帝国は300以上の分立領国状態で、言語も法も行政もバラバラだったが、その事でフランス革命の理念が伝染し、下からの革命が起こらなかったのだから皮肉である。ナポレオンによって神聖ローマ帝国にとどめが刺されると、プロイセンを中心とした新国家にまとまる動きが加速する。

バイエルン王国、ザクセン王国、ヴュルテンベルク王国、バーデン大公国、ヘッセン大公国、ブラウンシュヴァイク公国、メクレンブルク=シュヴェリーン公国、オルデンブルク公国、テューリンゲン諸国などがプロイセン王国に併合され、ドイツ帝国が出現する。主導権争いに敗れたハプスブルク家のオーストリアは、同じ民族でありながら、仲間に入れなかった。

ドイツは国土の31%が森林地帯だが、アカマツやトウヒをはじめとする針葉樹林にブナやナラなどの広葉樹がミックスされ、バランスよく栽培されている。木材は間伐材や木片、おがくずまで無駄なく利用されている。ドイツの山岳地帯は雨量が多く、積雪も多いのだが、森が大量の水が流れないための貯水池としての役割を果たしている。

国土の三分の二が森林であるにも関わらず、スギやヒノキばかり植えて森の多様性を無くし、林業が上手く行かずに放置され、土建屋と政治屋を潤わすためにアホみたいにダムを造りまくる、何処かの島国とは大違いである。


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女子読みのススメ(岩波ジュニア新書754)

女子読みのススメ (岩波ジュニア新書)女子読みのススメ (岩波ジュニア新書)
(2013/09/21)
貴戸 理恵

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女性の書き手による女性が主人公の小説を、女性の目線で読み解いていくことを通じて、今を生きる少女たちが「子どもから大人になる過程」で出会うさまざまな経験や悩みを浮き彫りにしていく。主人公たちの抱える「生きづらさ」を多面的にとらえながら、多感な10代の生き方を模索する。巻末には、ブックリストを付す。


べ、べつに表紙のJKとロリータに釣られたわけじゃないんだからねっ!

JCJKをターゲットに書かれたものらしく、性別どころか年齢まで違ってるおっさんが読んでも大丈夫かと思ったが、意外にしっかりした内容だった。女性専用車両やレディースデーみたいにターゲット以外を排除した排他的な書籍ではないので、おっさんが読んでも無問題。

若手の女性作家によって書かれた、女子が主人公の小説を紹介しながら、学校という牢獄に閉じ込められ、行き場のない若者に希望を与える。登場する主人公は、家庭問題、虐め、暴力など、様々な困難に直面している。登場人物によって学校から逃げ出す者、留まって理不尽な悪意と戦い続ける者、最悪の結末に至る者と様々だが、現役世代にはリアルに感じられるであろう内容になっている。(個人的には薄っぺらくて超ツマラナイ作品も混ざっているが。)

男子であっても同様の問題が無い訳ではないが、男は女みたいに執念深くもなく、過度にグループやコミュニティに囚われていない分、やはり女子のほうが深刻だろうなぁ。社会人ならまだ辞めるなり転職するなり引き籠るなり逃げるなり、自己責任の名の元に他の選択肢が用意されているけれど、小学校や中学校は原則として辞められないからなぁ。親に理解があればまだ家庭に逃げ込めるのだが、大抵は家も学校も同じ価値観で動いているので、集団から排除された子供は最悪の場合、最後まで追いつめられる。

男の場合、グループはゆるやかな連合体や同盟のようなものであるのに対して、何で女子は小集団に分裂し、発言権の強いグループ内ボスによって統治される独裁体制みたいになるんだろうね? あれでは教室内ファシズムによって排除されたらもう生きていけないと思う。男集団よりも女集団のほうが学校内カーストによる序列も酷いし。

こういうのを読んだ時だけは、自分が女子じゃなくて良かったと思う。ついうっかり女子に生まれていたら、きっと上位カーストでグループ内ボスの立ち位置だったと思うけど(笑)。


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人類vs感染症(岩波ジュニア新書491)

人類vs感染症 (岩波ジュニア新書)人類vs感染症 (岩波ジュニア新書)
(2004/12/21)
岡田 晴恵

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紀元前からわたしたちの生命を脅かしてきた天然痘、ペスト、ハンセン病…。これらの感染症に、人類は翻弄されただけではない。病原体をつきとめ、治療法や予防ワクチンの開発に奔走した人びとがいた。今度は、新型インフルエンザやエイズなどの新たな脅威に、免疫やウイルスなどの知識を身につけ立ち向かおう。


病原体発見の歴史から、天然痘、ペスト、エイズ、風疹、麻疹、新型インフルエンザという敵との戦いが記されている。天然痘はただ恐ろしい病なだけではなくて、新大陸に持ち込まれる事によって、アステカやインカといった帝国を崩壊させている。人類の歴史にまで干渉するとは、天然痘恐るべし。天然痘や麻疹によって、アステカの人口は2500万→300万に、インカの人口は1000万→130万まで激減している。

天然痘は世界から消えたが、ヨーロッパで猛威を振るったペストは未だに存在する。ネズミによってもたらされるこの黒死病は、今でも致死率10%程度あるらしい。東京都内ではクマネズミが繁殖しているので、耐性ペスト菌が流行し始めたら酷い事になりそうだ。

エイズに関しては、ごめん、俺みたいな最底辺非リア充クラスタだとリア充病にしか思えない。ロシアやアフリカ南部など、もっと別の事情によって感染拡大している地域はともかく、日本においては薬害や医療ミスなど一部の例外を除いて、性行為による感染ですからね。感染防止対策としてコンドームの使用を強く推しているが、一番の予防策はエッチしない事ですから! この点、エイズだけは他の感染症と違って、非リア充にとっては対岸の火事にしか思えない。成人人口の20~35%が感染しているという恐ろしい国もあるようなので、長い目でみたら国家が崩壊するレベルの脅威ではあるが。エッチしてないのに他の事情によって感染されられた人はご愁傷様としか言いようが無いが、リア充に対してはむしろSchadenfreude(・∀・)

麻疹と風疹に関しては、正直舐めていたけど、結構危険な病気だったのか。日本では行政の拙さから、予防対策が取られていない空白の世代が存在する。米国が国家レベルで対策を講じているのに対して日本がいい加減だから、「日本は車と麻疹を輸出している!」と非難されたりもする。仕方ないじゃない。ジャップランドはアメリカ様と違って、金が命よりも重い国なんだよ。

予防接種を受けられなかった空白の世代が妊娠中に感染した場合、胎児に深刻な影響を及ぼす場合がある。「他人のために予防接種を受けましょう」とか言われても、善意だけに頼っていては無理だろう。そんなに高くないとか言われても、予防接種が高いと感じる階層もいるのだから。他人のために受けるのが当たり前だと考えている裕福な階層は、じゃあ自分に無関係な他所の子どもに深刻な影響を及ぼす可能性のある新型感染症が発生したとして、予防接種1回100万円で予防可能だった場合、ホリエモンみたいな金持ちに「たったの100万円なんだから予防接種を受けるのは当たり前」とか言われたら文句言わずにちゃんとお金払うの?

もう無料で全員に予防接種しろよ。いや、完全無料なだけではまだ行かない人がいるからね。死ぬギリギリ手前まで働かせる黒企業奴隷だと、予防接種に行くような時間があるなら睡眠時間にあてるだろうし。黒企業対策もしないと解決しないだろうな。

ちなみに、1回感染したり予防接種を受けたら二度と感染しないと思われて来た麻疹だが、どうやら無自覚なまま流行期に何度も感染する事によって耐性がついていたのが、最近は感染する事があまり無いので、耐性が弱くなって二度以上罹る可能性があるらしい。

ラストの新型インフルエンザに関しては、致死率60%とか70%とか言われている恐ろしい感染症なのに、鳥インフルエンザという名前だから舐められすぎ。ちょっと軽めのエボラ出血熱くらい危険じゃないか。鳥インフルエンザじゃなくて呪怨インフルエンザとか貞子インフルエンザとか、もっと怖そうな名前だったらこんなに軽視されなかったのに(をいっ!)。


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カラー版 宇宙に行くニャ!(岩波ジュニア新書539)

カラー版 宇宙に行くニャ! (岩波ジュニア新書)カラー版 宇宙に行くニャ! (岩波ジュニア新書)
(2006/07/20)
山田 ふしぎ

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流星の正体を知ってるかい?ロケットがなぜ飛ぶかは?流星群や日食の観察、プリズムを使った実験をしながら、宇宙や自然のしくみに迫ろう。飛ぶヒミツを探るために、野菜ロケットの打ち上げ実験もするぞ。シリーズ初のオールカラーマンガで楽しく遊びながら学んじゃおう。かっこいい写真、きれいな写真もいっぱい。“なぜなにネコ”のタンメンと“もの知りネコ”のビーフンをナビゲーターに宇宙旅行に出発だ。


二匹の猫が宇宙や自然について学びながら、宇宙旅行に出発する。ロケットに羽がついている理由、宇宙服が白い理由等、様々な疑問を、トラネコが体を張って答えていく。宇宙服は白くないと危険なのか……。じゃあ、銀河帝国の一般兵が白いのは当然あるべき姿で良いとして、ダースベーダーは黒いから大変な事になりそうで心配だ(笑)。

野菜ロケットの作り方とか、実験もいろいろ載っているのだが、ゆとりな子が失敗して怪我をしたら、ゆとり脳モンスターペアレンツが「岩波書店が実験方法を書いてあるのが悪い」とか暴れ出しそうで心配だ。


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カラー版 宇宙はきらめく(岩波ジュニア新書579)

カラー版 宇宙はきらめく (岩波ジュニア新書)カラー版 宇宙はきらめく (岩波ジュニア新書)
(2007/11/20)
野本 陽代

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ハッブル宇宙望遠鏡をはじめとする天文衛星、ハワイ・マウナケア山上などに建設された望遠鏡が撮った興味深い天体写真の数々。「バラのつぼみ」にひそむ若い星たち、星の光とまわりにあるチリがつくりだした「ライトエコー」、ヘルメットのような星雲、きらめく宇宙の姿を、約120点の美しい写真を使って紹介します。


カラー写真が多用されているので、眺めているだけでも面白い。遠くから見ているだけだと美しい写真ばかりなのだが、実際には放射線が飛び交っていたり、高温のガスが広がっていたりするので、もし超光速航行が可能でも、間近では見られません。

太陽系何個分もの広範囲に広がっている青白い高温のガス、銀河系同士が衝突した衝撃で中心部が吹っ飛んでリング型銀河系になっているもの、中には銀河系としての形すら維持する事が困難になり、拡散し、消滅しつつあるものまで、様々な天体写真が紹介されている。数兆個の恒星が密集する巨大銀河とか、数十万個も銀河系が連なる大都会のような場所まであって、とにかくスケールが大きすぎる。


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図書館へ行こう(岩波ジュニア新書423)

図書館へ行こう (岩波ジュニア新書)図書館へ行こう (岩波ジュニア新書)
(2003/01/21)
田中 共子

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図書館ではどんなサービスがうけられる? 調べ学習で図書館を使いこなすには? ちょっと変わった図書館とは? 図書館の仕事をしてみたい! 図書館についての素朴な疑問から,最大限に活用するためのテクニックまで,まちの図書館員がていねいに語ります.本が好きでも嫌いでも,読書の初心者でも達人でも,きっと今すぐ図書館へ行ってみたくなる楽しい入門書。


岩波ジュニア新書だし、内容的にも子供向けかもしれないが、図書館について知るための良書だと思う。小中学生あたりで出会えたら最高なのでは?

分類の仕方、探し方から蔵書の選別方法等まで、表側からは、なかなか見えない業務内容まで書かれている。職員側からの一方的な目線ではなく、利用者と関わりながら、具体例を挙げて説明しているのも良い。

ベストセラー本と回転率の低い本、どちらを蔵書に加えるべきかについては様々な意見があるだろうが、読まれない本こそ蔵書しておく必要があるという部分には賛同したい。時々、民間企業みたいな視点で利用率のみを追求しようとする人がいるが、図書館は貧富の差による知識格差を解消する最終防衛ラインなのだから、むしろ回転率が低くても誰か一人でも必要とする人がいるのならば、持っておくべきだと思う。

よく読まれるからと言って、例えば村上春樹を何冊も入れろというような意見には全く賛同出来ない。むしろ、ベストセラー本こそ自分で買えと言いたい。どうせ時期が過ぎれば書架の肥やしと化すのは読まれない本と変わらないのだし、そのうちブックオフでも100円で並ぶのだから。読まれない本は巷でも探すのが困難で、誰も持っていなかったりする。

だいたい、利用率のみで論じようとしている人は、自分の町の図書館で利用されている本の内容を調査した事があるのか? 私の町でも利用率最優先で考える某実力者がいたけれども、この町で最も読まれているのは『ドラえもん』である。

利用率で蔵書を決めると、きっとマンガばかりのマンガ図書館と化すだろう。『HUNTER×HUNTER』や『ワンピース』は揃っているけど、あまり読む人がいないから岩波文庫や岩波新書、ドストエフスキー、トルストイ、ブルガーコフの無いような、ゆとり図書館になるだろう。ちなみに、我が町でも『HUNTER×HUNTER』はあるけど、ブルガーコフは無かった。『巨匠とマルガリータ』を読んでいる人がいて、気になったから借りてみようと思ったのに……。


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この本、おもしろいよ!(岩波ジュニア新書572)

この本、おもしろいよ! (岩波ジュニア新書)この本、おもしろいよ! (岩波ジュニア新書)
(2007/07/20)
岩波書店編集部

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各界で活躍している本好きのみなさんに、話題のベストセラーや人気沸騰中のライトノベル、長く読み継がれてきた古典的名作など、とっておきのお薦めの本を紹介していただきました。青春小説、恋愛小説、歴史小説、ファンタジーなどジャンルはさまざま、きっとあなたの心に響く本に出会えます。


16人の著名人による、お勧め本紹介本。岩波だからか、セレクトが無難で手堅い気もするが、ジュニア新書だけに、中高生あたりがこれから読み進めるための指針としては使えるだろう。本格的な活字中毒者なら、すでに読んでしまっている本が多いかもしれないけど。

古典ばかりとか、ライトノベルだらけとか、人により偏りがあるので「貴方はこのジャンルを紹介して下さいね」という岩波書店側からのリクエストがあったのではないかと思いたくなる。とりあえず、16人の中にSF者がいないのは遺憾である。


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