伊坂幸太郎

攻略対象書籍は以下。


オーデュボンの祈り』★★★☆
ラッシュライフ』★★★★☆
陽気なギャングが地球を回す』★★★★☆
重力ピエロ』★★★★☆
アヒルと鴨のコインロッカー』★★★★☆
チルドレン』★★★★
グラスホッパー』★★★★
死神の精度』★★★★★
魔王』★★★★
砂漠』★★★☆
終末のフール』★★★☆
陽気なギャングの日常と襲撃』★★★★
フィッシュストーリー』★★★★
ゴールデンスランバー』★★★★
モダンタイムス』★★★☆
あるキング』★★☆
SOSの猿』★★★
オー! ファーザー』★★★☆
バイバイ、ブラックバード』★★★☆
マリアビートル』★★★★
PK』★★★
夜の国のクーパー』★★★
残り全部バケーション』★★★★
ガソリン生活』★★★☆
『死神の浮力』
首折り男のための協奏曲』★★★☆

エッセイ
3652 伊坂幸太郎エッセイ集』★★★☆
仙台ぐらし』★★★

対談
『絆のはなし―伊坂幸太郎×斉藤和義』


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首折り男のための協奏曲

首折り男のための協奏曲首折り男のための協奏曲
(2014/01/31)
伊坂 幸太郎

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首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、あなたはこの本を貪り読む。胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。


こうやって連作集として纏る事を想定していたかもしれないが、元はバラバラに発表された作品なので、初期作品のような物語終盤の神展開が無いのは残念。最近の実験作と比べたらまだ面白いほうだけど。少しずつリンクはしているが、ひとつの大きな流れとなって繋がったりはしない。

題名を見て首折り男が主人公かと思ったけど、あまり活躍しなかった。世にも奇妙な物語に出てきそうな、少し不思議な話、恋物語、怪談など、様々な方向から攻めてくる。作家がクワガタを覗く話は、思いっきりダウンサイジング版フェッセンデンの宇宙。老女が初恋の相手を調査してもらう話は、早い段階で結末が容易く予想出来てしまう点も含めて、ふいんきたんぽぽ娘だった(笑)。

偶々サボらずに世界を観察していた神か何か得体の知れない存在の介入によって、登場人物がほんの少しだけ救われるのが心地良い。良い人間は少し救われ、悪い人間はそれなりの報いを受ける。大げさなご都合主義展開にはならないけど、世の中の不条理が小説内においては少しだけ緩和されている。伊坂世界の神は少しだけ働いたけど、現実世界の神はサボりすぎでダメな子だと思います(´・ω・`)


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ガソリン生活

ガソリン生活ガソリン生活
(2013/03/07)
伊坂 幸太郎

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実のところ、日々、車同士は排出ガスの届く距離で会話している。本作語り手デミオの持ち主・望月家は、母兄姉弟の四人家族(ただし一番大人なのは弟)。兄・良夫がある女性を愛車デミオに乗せた日から物語は始まる。強面の芸能記者。不倫の噂。脅迫と、いじめの影―?大小の謎に、仲良し望月ファミリーは巻き込まれて、さあ大変。凸凹コンビの望月兄弟が巻き込まれたのは元女優とパパラッチの追走事故でした―。謎がひしめく会心の長編ミステリーにして幸福感の結晶たる、チャーミングな家族小説。


ガソリン生活とか変な題名だなと思っていたら、自動車視点なのか(汗)。とある母子家庭の愛車デミオが主人公? で、人間の言葉は理解できるが、会話は出来ない。他の自動車や列車の言葉は分かるのに、何故か自転車とは意思疎通が出来ない件。

ある日、望月家の長男が運転しているところへ、超有名芸能人が乗り込んでくる。頼まれた場所まで送って行った数時間後、彼女は自動車事故で死んでしまう。追っかけをしていたフリーの芸能記者に会いに行く兄と小学生弟と、クズ人間の厄介事に巻き込まれた望月家長女が、意外なところで繋がって行く。

車目線なので、登場人物が降りて何処かへ行くと、物語の途中なのに置いてきぼり喰らわされるのがもどかしい。車の中で会話してくれないと、気になる部分が聞けないじゃないか。


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夜の国のクーパー

夜の国のクーパー夜の国のクーパー
(2012/05/30)
伊坂 幸太郎

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この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない――。これは猫と戦争と、そして何より、世界の理のおはなし。どこか不思議になつかしいような/誰も一度も読んだことのない、破格の小説をお届けします。ジャンル分け不要不可、渾身の傑作。伊坂幸太郎が放つ、10作目の書き下ろし長編。


伊坂作品なのに、なんだこのちっとも面白くならない内容は(汗)。その辺の芥川賞系の作家が適当に長編を書いてみました! みたいな出来栄えになっていて、読み進めるのに苦労した。

人間の言葉を理解する猫による視点が大半なのだが、人間ではないから、自分のいる国が他国に占領されてもあまり関係がない。町へと入ってきた占領軍兵士によって王が殺され、人々はその支配を受けるのだが、誰も乗っていない馬が現れた事で、透明になったクーパーの兵士が助けに来たのではないかと思い始める。

自分達がいる国と攻めてきた鉄国の間にはクーパーという樹の化け物みたいなのがいて、それを倒すために兵士が集められ、隊長以外は誰も帰って来なかったという過去の物語があるのだが、このクーパーというのが何なのか、なかなか想像し難い。全然盛り上がらないまま、淡々と物語が進むので、最後にタネ明かしをされても衝撃の結末には至らない。作者の主義主張がいろいろと混ぜられている感じなのも微妙だった。


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仙台ぐらし

仙台ぐらし

2005~2010年に「仙台学」で書かれたエッセイと、震災後に様々な媒体で書かれたエッセイ、そしてエッセイ風に書かれた書下ろし小説「ブックモービル」が収録されている。エッセイに関しては、仙台の町に関してタクシーや店について書かれたもの、猫の話、心配事、映画化についてなど、伊坂幸太郎について知る事が出来る内容。

後半に入っている「ブックモービル」は、被災地で子供向け移動図書館のボランティアを始めた男の話で、ごく普通の日常なのだが、これが結構面白い! 『夜の国のクーパー』よりも、こっちのほうが良いと思う。


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残り全部バケーション

残り全部バケーション残り全部バケーション
(2012/12/05)
伊坂 幸太郎

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人生の<小さな奇跡>の物語。夫の浮気が原因で離婚する夫婦と、その一人娘。ひょんなことから、「家族解散前の思い出」として〈岡田〉と名乗る男とドライブすることに──(第一章「残り全部バケーション」)他、五章構成の連作集。


溝口と岡田、二人のロクデナシ男を中心として、5つの物語が展開される。バラバラの話ではなく、連作形式で最後に上手く纏るのが良い。最近は作者が自分の思想を入れてくる微妙作が多かったが、久しぶりに初期作品の様な爽快感! 

当たり屋などの胡散臭い仕事から抜けようとした岡田が、家族崩壊寸前の一家と知り合ったり、当たられた被害者が何故か岡田と組んでDV被害者の少年を助けたり、要人暗殺に意図せず絡んだりする。何も考えてなさそうで一見ダメっぽいおっさんの溝口だったが、最後に思いもよらぬ行動を……。



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PK

PKPK
(2012/03/08)
伊坂 幸太郎

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中篇「PK」「超人」「密使」からなる“未来三部作”。こだわりとたくらみに満ちた三作品を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは。


構成がなかなか難解な割には、肝心の内容がイマイチ面白くない。視点変更、時系列入れ替えと、様々な手法である計画が語られるが、なかなか全貌が見えてこない。サッカーのPKに絡んで陰謀があったのか否か調べる代議士。過去に遡り、そのサッカー選手視点。代議士に圧力をかける謎の力。

他の作品みたいに、もっとどす黒い勢力が何らかの目的で暗躍しているのかと思ったが、正義の味方が絡んできて、チープな感じのSF展開に!? 初期の作品は秀作揃いだったのに……。


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マリアビートル

マリアビートルマリアビートル
(2010/09/23)
伊坂 幸太郎

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元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線“はやて”に乗り込む。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。ツキのない殺し屋「七尾」。彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み―物騒な奴らが再びやって来た。『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。3年ぶりの書き下ろし長編。


『ゴールデンスランバー』から後、変な設定の微妙作が増えていたが、これは久々に従来の伊坂幸太郎らしい作品で良かった。直接の続編ではないものの『グラスホッパー』より後の話で、もう少し読みやすくした感じだった。

『グラスホッパー』は登場人物同士の関係が明らかになるまでが長かったが、これは東北新幹線内部で謎のトランクを巡って裏稼業の人々が対決する話で、物語の全体像が掴みやすかった。

冒頭からキチガイ中学生と、息子を殺されかけた元裏稼業のアル中男対決で、このキチガイ中学生だけは死んでくれと願いつつ読み始める。

黒社会の大物の息子を拉致した奴らを全員倒し、預かった身代金と一緒に親元に送り届ける途中の二人組、檸檬と蜜柑。トランクの中身を知らされず、持ち逃げを命じられた七尾。

無事、トランクを奪うものの、降りようとした駅で乗ってきたのは七尾に恨みのある男で、争っている最中に電車が揺れて、とんでもない事に。七尾という男の運が悪すぎて、とても他人事とは思えない。自分を見ているようで可哀想だから、七尾だけは生き残ってくれ(笑)! と思いつつ読み進める。まあ、七尾よりも私のほうが運の悪さでは勝っているけどね。

トランクを奪われた檸檬と蜜柑が取り戻そうと動いている隙に、何者かによって大物のボンクラ息子が……。殺し屋だらけの新幹線内部で争いが起き、どんどん悪い方へ転がって行く。ほとんど関係無さそうな伏線も、後でちゃんと回収されるのが良い感じである。

最後、キチガイ王子がどうなったのかはボカされているが、こういう頭おかしい奴は、ちゃんと死んでいて欲しいな。ところで、題名がマリアビートルなのに、真莉亜は携帯の向こう側にいて、ほとんど出てこないんだね。


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バイバイ、ブラックバード

バイバイ、ブラックバードバイバイ、ブラックバード
(2010/06/30)
伊坂 幸太郎

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太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像を膨らませて創った、まったく新しい物語。1話が50人だけのために書かれた「ゆうびん小説」が、いまあなたのもとに。


50人だけが読めるゆうびん小説が書籍になったもの。送られてきた小説を読むという企画は面白いが、またしても中身がよく分からない系統だった。

何らかのトラブルを抱えた男がバスに乗せられる羽目に陥るのだが、その前に、五股かけて付き合っていた女性達に別れを告げる事を許される。監視役として側にいるデカくて恐ろしい女と一緒に五人の女性に会い、そのデカい女と結婚するという理由で別れを切り出していく。

普通のバツイチ子持ちからキャッツアイもどき、計算女、売れている女優まで様々な女性が五股掛け持ちの相手として登場するが、監視役の巨大女が強烈すぎて個性が霞む(笑)。

結局、何を失敗してバスに乗せられるのか、乗せられたら何処へ連れて行かれてどういう目に遭うのか、全く明かされないままなのが不気味である。


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モダンタイムス

モダンタイムス (Morning NOVELS)モダンタイムス (Morning NOVELS)
(2008/10/15)
伊坂 幸太郎

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検索から、監視が始まる。 漫画週刊誌「モーニング」で連載された、伊坂作品最長1200枚。


時間軸は未来なので、直接絡んでは来ないのだが『魔王』の続編にあたるらしいので、先に『魔王』を読んでおいたほうが良い。

失踪した先輩の仕事を引き継いだプログラマーが、余計な詮索をしたがために、何者かに狙われる破目になる。ネットで検索した事により、過去に起こった学校襲撃事件も関わって来て、散々な目に遭う。

よくわからない何かに巻き込まれるというパターンはハリウッドによくあるが、主人公がただのおっさんなので、何も出来ずに翻弄されるばかりで楽しめない。『ゴールデンスランバー』と同じく、戦わずに逃げたままで終わるのが苛立つ。

鬱展開だらけだし、不倫相手の真意は明かされないままだし、システム全体のせいにしすぎだし、美人妻は猟奇的な彼女なのかと思うほど、言動が無茶苦茶だし。とりあえず、暴力美人妻が一番活躍した気がする。この人の正体は何なの? 絶対に一般人じゃないだろ!?


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3652―伊坂幸太郎エッセイ集

3652―伊坂幸太郎エッセイ集3652―伊坂幸太郎エッセイ集
(2010/12)
伊坂 幸太郎

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「喫茶店」で巻き起こる数々の奇跡、退職を決意したあの日のこと、「青春」の部屋の直筆間取り図、デビュー前のふたりの恩人、偏愛する本や映画に音楽、「干支」に怯える日々、恐るべき料理、封印された「小説」のアイディア―20世紀「最後」の「新人作家」が歩んできた10年。


昔から人気作家だったけど、最近は有名になりすぎて新作が借りられない。何故かこれは待たずに借りられたのだが、やはりエッセイは読まない人が多いのかね。

3652って何かと思ったら、10年分のエッセイを纏めたものだった。365×10年で、端数は閏年を加算した分である。最初からエッセイにするつもりで書いた文章ではないので、雑多な感じがするが、伊坂幸太郎歴史書的なものになっているので、執筆時の裏事情等もわかって面白い。

クオリティの高い作品を出してくる作家は、やはり読書家である。今までに接してきた様々な作品も紹介されているので、読みたい本が増えて困る(笑)。


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SOSの猿

SOSの猿SOSの猿
(2009/11/26)
伊坂 幸太郎

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ひきこもりの青年の「悪魔祓い」を依頼された男と、一瞬にして300億円を損失した株誤発注事故の原因を調査する男。そして、斉天大聖・孫悟空ーー。物語は、彼らがつくる。伊坂幸太郎最新長編小説。


猿は、世界一有名なあの猿でしたか(笑)。本場でエクソシストの手伝いをしていたがために、日本に戻っても時々、悪魔祓いの依頼が舞い込んでくる男の話と、株の誤発注事故の原因を調査している男が猿と関わる話に分かれて進む。途中まで、その関わりが見えて来ないのだが、ある人物を接点にして繋がって行く。

従来の作品で見られたようなミステリ色が影を潜め、オカルトだかスピリチュアルだかよく分からない変な方向に進んで行く。今までのようなサプライズも用意されていないのが残念だった。


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オー!ファーザー

オー!ファーザーオー!ファーザー
(2010/03)
伊坂 幸太郎

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みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。そして、今回、変な事件に巻き込まれて―。


題名で、父親絡みの話なのだろうと思ってはいたけれど、六人家族で父が四人とは(笑)。母一人、息子一人、そして残りは全員父親。不在でちっとも出てこない母親が乱れすぎである。四人も掛け持ちで付き合って、子供は出来たものの、誰の子か特定されていないという、トンデモない状況で、全員と結婚してしまったという……。無論、日本の法律では重婚が認められないので、一緒に暮らしているだけで、法的には無効であるが。

一緒にいる父親も、重婚状態を許容するだけあって、全員がクセのある人ばかり。子供を苛めたりするDQNは混ざっていないので、いろんなタイプの父がいる状況というのは、それなりに面白かったりはする。

主人公の少年は、ある事件に巻き込まれて行くのだが、ミステリー色が薄まったので、変な家族模様のほうが強調されて、今までの作品に見られるような、ラストにかけてのキレが足りなかった。


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あるキング

あるキングあるキング
(2009/08/26)
伊坂 幸太郎

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弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた山田王求。“王が求め、王に求められる”ようにと名づけられた一人の少年は、仙醍キングスに入団してチームを優勝に導く運命を背負い、野球選手になるべく育てられる。期待以上に王求の才能が飛び抜けていると知った両親は、さらに異常ともいえる情熱を彼にそそぐ。すべては「王」になるために―。人気作家の新たなるファンタジーワールド。


弱小野球球団の熱烈なファンである両親のもとに生まれて英才教育を受けた天才の波乱万丈人生。本人に落ち度は無いのだが、向こうからやって来る悪意で王道を歩けない。この国では、降りかかる火の粉を払うと、払った手のほうが悪者にされてしまうからね。

正体不明の生き物や、謎の黒服が登場し、亡霊まで出てくるので伊坂ワールドらしいファンタジー要素が含まれているのだけど、視点が周囲の人間に切り替わっていくから読みにくい。

題名がキングなのに、全く王道を歩まないまま。なんとか野球にしがみついているものの、まさかのBAD END! なんか後味の悪い結末だなぁ。


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ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバーゴールデンスランバー
(2007/11/29)
伊坂 幸太郎

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俺はどうなってしまった? 一体何が起こっている? 首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、国家的陰謀から逃げ切れるのか? 二年ぶり千枚の書き下ろし大作。


「娯楽小説」というキャッチがついているものの、単純に娯楽として楽しむには不快な内容だった。首相暗殺の犯人にデッチ上げられて逃げ惑う男の悲劇、これを娯楽と言って良いのか? 娯楽と言うからには、結末にはハリウッドみたいにご都合主義的展開とハッピーエンドが待っているのかと思ったら、悲劇のままだし……。謀略小説とかサスペンスとか言うならまだしも、売るためにこんなキャッチ付けないで欲しかった。

確かに力作ではあるけれども、嫌な展開に嫌な結末。どうもスッキリしない。日本最大の暴力組織に追い回されるし、親友も殺されるしで散々な目にばかり遭う。これはフィクションにすぎないかもしれないけれども、舞台を日本に移し変えただけで、内容はケネディ暗殺事件同様ですから、現実に有り得る(というか、そういう目に遭った人間がかつていた。オズワルドは無念だっただろう)物語である。自分がその立場に陥れられない限りは他人事に過ぎないかもしれないけれども。

首相暗殺程の大きな事件に巻き込まれる可能性はそうそう無いとしても、痴漢や性犯罪の冤罪事件は多々ありますからね。富山でもゲシュタポ(その悪逆非道ぶりから、あえてゲシュタポと言いたい)に誤認逮捕されて有罪になり、強制収容所(あえてこう言いたい)送りにされた人がいたからね。他人事だと思っていた人だって、当局に陥れられる可能性は十分にある訳です。

いくら力作でも、こういう憂鬱な気分に浸れる物語は好きじゃない。

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フィッシュストーリー

フィッシュストーリーフィッシュストーリー
(2007/01/30)
伊坂 幸太郎

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あの作品に登場した脇役達の日常は? 人気の高い「あの人」が、今度は主役に! デビュー第1短編から最新書き下ろし(150枚!)まで、小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。


しまった……。まだ過去作品を全部読みきれていないのに、この本を読んでしまった。なんか、いろいろな部分でさりげなく過去作品とリンクしている。ほんの隠し味程度で、恩田陸がやるみたいに前作読んでない人不可なあざとさは無いので、別段問題は無いのだけど、ちょっと失敗した気分。まだ未読の人は、これ以前の作品を押さえてから読んだほうが良いです。過去作品も微妙に繋がっているのがあるので、執筆順に読み進めたほうが良い。

相変わらず上手いけれども、小奇麗に纏まりすぎていてサプライズが足りない。やはり、伊坂は長編のほうが良いね。以下、ちょっとネタバレっぽい感想あり。要注意!

「動物園のエンジン」は、ニヤリとする部分がよく判らず戸惑う。これは、何を楽しめば良いのか……。過去作品を全部読んでいないから駄目だったのだろうか。

「サクリファイス」は、人里離れた寒村を舞台にした、ちょっとだけ気味悪い話。真実が明らかにされないまま、主人公が探していた人物が遺体で発見されたという事実だけが残る。村人も秘密を隠したままで気味悪いのだが、それに動じない主人公も得体の知れない男なので負けてはいない。

「フィッシュストーリー」は、過去、現在、未来が交錯する形で、伊坂作品らしい出来栄え。過去の出来事が現在に、現在が未来に影響を及ぼす。小道具の使い方も良い感じだ。

「ポテチ」は、ちょっとだけ感覚がズレた泥棒が良い味を出している。

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陽気なギャングの日常と襲撃

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)
(2006/05)
伊坂 幸太郎

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人間嘘発見器成瀬が遭遇した刃物男騒動、演説の達人響野は「幻の女」を探し、正確無比な“体内時計”の持ち主雪子は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリの久遠は殴打される中年男に―史上最強の天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始め…。絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽快サスペンス!伊坂ブームの起爆剤にして、映画化で話題の「陽気なギャング」ここに待望の復活。


四人組再び! 伊坂作品には珍しいシリーズ物。他の作品もちょっとずつ繋がってはいるが、恩田陸みたいに思いっきり何かの続編だったりはしない。

しかし、前作ほど楽しめなかったのは残念。きっと、今回の獲物が金ではなくて、人助けになってしまったからだろう。やはりギャングはお金目当てで動いて欲しい。ラスボスも違法カジノのオーナーなのだから、カジノにあるお金を強奪して、華麗に逃げ去って欲しかった。

最初は普通の短編だったらしく、四人それぞれが主人公の話の後で、それが纏められた話に繋がるので、ちょっと違和感もある。前作と比べたら、少し落ちた感じがしてしまうけど、それでも他の二流作家と比べたら文句の無い出来栄え。

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陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
(2006/02)
伊坂 幸太郎

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嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。


嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。

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砂漠

砂漠砂漠
(2005/12/10)
伊坂 幸太郎

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「大学の一年間なんてあっという間だ」入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という“砂漠”に囲まれた“オアシス”で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく。パワーみなぎる、誰も知らない青春小説。


第135回直木賞候補作。

最近の著書の中では、個人的にはかなり「当り」だと思う。表紙のデザインは微妙だけど。「魔王」と「終末のフール」は背景を大きくしすぎなのに、これは物語が小さく纏まっていてちょっと残念。

全くミステリーでも無いし、他の少し不思議な感じの物語でも無い。いや、地味に超能力者がいるから、ほんの少しだけ不思議かも……。只の青春小説なのだけど、良き仲間に恵まれて学生生活を送った人なら、なんだか懐かしい想いに浸れるのではないでしょうか? 春、夏、秋、冬と物語が進んでいくから、学生生活の一年間だけなのかと思ったら、大学一回生の春、二回生の夏、三回生の秋、四回生の冬となっており、最後には卒業を迎える事になる。

キャッチが「砂漠に雪を降らせてみせよう!」なんてあるから、出口王仁三郎が雨の降らない荒野に奇跡の雨を降らせたように、超常的な事を起こすのかと思ったら、全然違った。でも、「砂漠に雪を降らせてみせよう!」と言う西嶋が、アメリカの中東派兵を懸念して、何故か必死に麻雀で平和(ピンフ)の役を揃えようとするズレっぷりがいい。

他にも、誰もが振り返るような美女の東堂、僅かながら超能力のある南、主人公「僕」となる北村、そして鳥井がいて、最後の鳥井以外は東南西北となっており、これが麻雀に対応している。鳥井は、鳥瞰図の話と、あとは雀牌の索子にある鳥に対応しているんだな……。うーん、なんだか麻雀やりたくなってきた。もう、役の作りかたも忘れているけど。

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終末のフール

終末のフール終末のフール
(2006/03)
伊坂 幸太郎

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「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。秩序崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は…。表題作のほか、「太陽のシール」「篭城のビール」など全8編を収めた連作短編集。


個人的には(伊坂作品にしては)かなり期待ハズレだった。勿論、文章は上手いのだが……。隕石衝突による世界の終焉を目前に控えた状況下で、逞しく生きる人たちの日常が描かれているのが、なんだかウソっぽくて……。

あと3年で10kmクラスの隕石が降って来るというのに、一部とはいえ、スーパーが営業してるし、未だに貨幣経済も保たれている。登場人物や、その他大勢は世界の終末を控えて好きに生きるために仕事辞めてるんですけど……。食料作る人達は仕事辞めないわけ? インフラも繋がったままなのだが、世界が終わるなら電力会社の従業員や公務員も仕事辞めそうだけど!?

すごく日常的な風景のままなのだが、実際にはもっと無茶苦茶な世の中になると思うぞ。それ以前に、本当に衝突するとわかっても、パニックが起こるから秘密にしておくと思うけど。そういえば、NASAが2029年(だっけ?)頃に某天体が地球に衝突する可能性30%と発表して、後日撤回したけど、あれも怪しいよなぁ。本当は衝突するんじゃないのか?

避難する事無くマンションに残った人々が、それぞれの短編で主人公となる。物語としては面白いけど、わざわざ小惑星衝突を題材にしなくても良かったような……。

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魔王

魔王魔王
(2005/10/20)
伊坂 幸太郎

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「小説の力」を証明する興奮と感動の新文学。不思議な力を身につけた男が大衆を扇動する政治家と対決する「魔王」と、静謐な感動をよぶ「呼吸」。別々の作品ながら対をなし、新しい文学世界を創造した傑作!


題名から想像すると、ドラゴンクエストの敵ボスでも出てきそうな雰囲気だが、魔王は出ない。「重力ピエロ」みたいに、ほのぼのとした感のある文章なのだけど、内容は……。人々がそれと気づかないうちに、世の中がファッショ化していく恐怖を描きたかったのだろうか? 「ファシズムや憲法などが出てきますが、それらはテーマではありません」と言及しているが、ではテーマは一体!? 「自分達の頭で考えて、自らの決断に責任を持て」あたりだろうか。

作中では、ある政治家が台頭していき、国民投票により憲法第九条改正の是非を問うところまで行くのだが、日本という国が「大人」として国際社会から認められる為には避けて通れない課題だと思う。行き場を失った人々の不満がナショナリズムとして具現化し、世論の針が一気に危険な方向にブレる怖さはあるけど、実際に今、この国が向かっているのはその方向だろう。

今まで無能な政治家に辟易していたけれども、天才が出てきて劇薬になる事を考えると、もうあの人たちは無能なままでも良いのではないかという気がしてきた。天才的な政治家と特殊能力を秘めた兄弟、一体どちらが「魔王」となるのだろうか。

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死神の精度

死神の精度 (文春文庫 (い70-1))死神の精度 (文春文庫 (い70-1))
(2008/02/08)
伊坂 幸太郎

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第134回直木賞候補作。

この出来栄えでも賞が貰えない。これほどの“精度”でも駄目なのは何故!? この回は東野圭吾しか受賞してないのだから、二枠使って伊坂も受賞させるべきだった。これより後で、三浦しをんや桜庭一樹がもっとショボイので受賞しているのだから、誠に遺憾である。何故か直木賞はミステリー作家には異様に厳しい。反面、ラノベ越境型の女性作家には異様に甘い。選考委員はスケベ親父ばかりだ……。

死神が、ある使命(というか仕事)を帯びて人々と邂逅する。当然、死神と出会った人間は、ほぼ死に至るのだが、ごく稀に例外も存在する。死神の仕事とは人を殺す事ではなく、指定された人間を観察して、「死」の実行を「可」とするか「見送り」とするか判断を下すだけ。直接その手を下したりはしない。もちろん大抵の場合は「可」と報告され、「死」が実行されるのだが……。

これ、短編集だけど、最後まで読み終えた時に何かが起こる。やっぱり上手いよな。一見してバラバラの物語なんだけど終わり方がキレイだ。これは是非、続編を書いて欲しい。

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アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
(2006/12/21)
伊坂 幸太郎

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引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。




全体像が見えてこないまま、物語は書店襲撃時の現在パートと、ペット虐殺事件が多発していた過去パートに分かれて物語が進行する。過去部分では、ペットショップに勤める琴美と、河崎、ブータンから来た外国人の三人が、ペット虐殺事件に巻き込まれて行く。やがて、犬や猫を虐殺してまわるキチガイな不良三人組と対峙する事を余儀なくされる琴美。

途中から、なんとなく物悲しい現在パートの結末が見えてしまうのは残念だが、隣人であるはずの河崎に意外な秘密が秘められているのが驚き! 広辞苑を盗みたがる河崎の真意とは……。

ちょと悲しい結末が待っていた。キチガイが全滅してくれたら良かったのだが。

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グラスホッパー

グラスホッパー (角川文庫 い 59-1)グラスホッパー (角川文庫 い 59-1)
(2007/06)
伊坂 幸太郎

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復讐。功名心。過去の清算。それぞれの思いを抱え、男たちは走る。3人の思いが交錯したとき、運命は大きく動き始める…。クールでファニーな殺し屋たちが奏でる狂想曲。書き下ろし長編。


第132回直木賞候補作。

これは、途中で投げそうだった。面白くないからではなく、罪無き善良な小市民が殺されてしまったり騙されて酷い目にあうのは、読んでいて気分が滅入るので。まぁ、なんとか我慢して読み進めると面白い展開になって行った訳ですが。

殺し屋、自殺屋、押し屋。
そして、妻を殺されて復讐を誓う冴えない男。

一応、妻を殺された男が主役だが、ほとんど活躍しない。むしろ、殺し屋、自殺屋、押し屋の三人が関係無いところで動き、やがて物語が一本に纏る。ちなみに、仇役の男は物語序盤で押し屋に押され、車に轢かれてあっさりと昇天、死亡フラグ確定。

自殺屋といのは、自分が自殺するのではなく、自殺幇助の専門家とでも表現すれば良いのだろうか。自分が関わって死に至らした者の亡霊が見えて語りかけてくるという、ちょっと精神ヤバ目な人である。意外に、本当に自殺屋っていたりして。つまらん事で首吊るお偉いさん多いし。

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チルドレン

チルドレン (講談社文庫 (い111-1))チルドレン (講談社文庫 (い111-1))
(2007/05/15)
伊坂 幸太郎

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こういう奇跡もあるんじゃないか? まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第1作! 短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。


第131回直木賞候補作。

最初は、『重力ピエロ』みたいな文章のキレが感じられなくて、イマイチかもしれないと思ったのだけど、読み進めると味わいが出てきた。それぞれの物語は、一応独立はしているのだけれども、少しずつ繋がった話として完成している。短編と思わせておいて、実は短編ではない。この本もなかなか良かった。


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ラッシュライフ

ラッシュライフ (新潮文庫)ラッシュライフ (新潮文庫)
(2005/04)
伊坂 幸太郎

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泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。


この物語は構成が凄い! 一見バラバラに進行する5つの話が最後に繋がる。時系列が上手くズラされているから、作者の意図が読んでいる途中では見えにくいのだ。上手く隠されている。なんとなく繋がっているのは判るけど、過去と現在が意図的にズラされているのが素晴らしい。登場人物が他作品ともリンクしているので、やはり執筆順に読み進めるのが良いだろう。ちょっと失敗した……。

殺人事件は起こるのだけど、謎解きは無い。オカルト的な要素が濃すぎで、これはミステリーの範疇には入るのだろうけど、推理物では無い。死体がバラバラになって、またくっ付くという都市伝説風なオカルトには答えが用意されていたものの、教祖みたいになっている男の超常能力については明かされないままで終わる。

核となる登場人物がここまで多いのに、最後に収束していく力量は見事っ! 下手な作家なら、視点がボヤけすぎて纏りない駄作で終わっただろう。

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オーデュボンの祈り

オーデュボンの祈り (新潮文庫)オーデュボンの祈り (新潮文庫)
(2003/11)
伊坂 幸太郎

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コンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われる途中で意識を失い、見知らぬ島で目を覚ます。仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない孤島だという。そこで人間たちに崇拝されているのは、言葉を話し、未来を予知するというカカシ「優午」だった。しかしある夜、何者かによって優午が「殺害」される。なぜカカシは、自分の死を予測できなかったのか。「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午からの最後のメッセージを手掛かりに、伊藤は、その死の真相に迫っていく。


初期作品という事もあり、近年の物と較べれば、やや文体も拙いし、ミステリーっぽく無いし、エンタ性にも欠けていて物足りない。文章で巧に複線を張っていくという手法は、この頃から見られるものの、まだ完成度が低くて伊坂作品の中では個人的にはいまいち。もしもこれを最初に読んでいたら、他の作品は読まなかった可能性もあるなぁ。

本土とほとんど接触を持たない忘れられた島で、未来を予知する案山子を中心として起こる事件の数々。警察よりも上位に位置する殺し屋がいて、そいつの裁きは絶対だから殺人罪には問われなかったり、主人公は本土でコンビニ強盗を働いて逃亡してきた犯罪者だったり、本物の警察が超悪党キャラだったり、いろんな人が出てくるのだが、話が広がりすぎて、なんだか纏りが悪い。不思議系な話になっているけど、何が言いたいのかよく判らなかった。

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重力ピエロ

重力ピエロ (新潮文庫)重力ピエロ (新潮文庫)
(2006/06)
伊坂 幸太郎

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兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。


第129回直木賞候補作。

個人的には、久々の大ヒットなのだが、このレベルでも受賞は出来ず。ミステリーらしさが薄く、展開や結末まで予測出来てしまう点が敗因か!? この回は石田衣良と村山由佳で二枠埋まってしまったので仕方が無いが、これより後も、一枠だけの時に限って弱めの作品がノミネートされて延々と受賞出来ず。ミステリー畑の作家に対して異様に厳しい直木賞とはいえ、もっとしょうもない作品にも受賞させているのだから、いい加減、伊坂にもあげて欲しいものである。正直、選考委員は女に甘いので、もし伊坂が若い美女ならもう受賞していると思う。

随所に鏤められた、韻を踏んだりする言葉遊びもなかなかのもの。言葉のひとつひとつをとても丁寧に紡いでいる。素晴らしい! 帯に書かれた絶賛の言葉にはいつも騙されるので、また駄作なんだろうと思っていたら、いい方向に裏切られたので良かった。

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