シャッフル航法

4309023983シャッフル航法 (NOVAコレクション)
円城 塔
河出書房新社 2015-08-27

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ハートの国で、わたしとあなたがボコボコガンガン支離滅裂に。『屍者の帝国』より3年、新時代のほら吹きがおくる待望の作品集。


10編入っているが、どれも一部の海外SF作家が書きそうな、難解で訳が分からないものだらけだった。海外作品なら翻訳者の腕前が酷いせいで読めなくなっている可能性もあるが、これは最初から日本語で書かれているはずなのに、面白いのか面白くないのかすらよく分からないものが含まれている。

かなり馬鹿お断りな感じの難解な理論が登場したりするので、『スター・ウォーズ』みたいに頭を空っぽにしても楽しめる単純明快な作品を期待していると、頭が爆発しそうになる。わざわざ円城塔作品を手に取る時点で、

「内在天文学」は、文明が衰退した世界で、空を見上げてリオや変人爺さんと語り合うのだが、見ているものが違う。最初はリオがふざけているのか、頭がおかしいのかと思っていたが……。物資を運んでくるための鉄道が何処に繋がっているのか、月面都市とされている月の黒い瞳孔部分が何なのかは分からないままだった。

「イグノラムス・イグノラビルス」は自分が人類ではなく、より高度な知生体センチマーニ(五十頭百手巨人)の一部になった事がある主人公の話。ワープ鴨という食材で富を得たが、宇宙全域に広がっているワープ鴨がどうしてどこにでもいるのかは分からないままだった。

表題作「シャッフル航法」は、同じような内容の支離滅裂な話を何度も読まされる。シャッフルされているから少しずつ違うのだが、エンドレスで「人柱アリス」を聴かされた感じの訳の分からなさだった。

「φ」は、有限の宇宙の中に無限の数字が存在するという話から始まるが、最後の仕掛けが凝っていた。これは、編集者も優秀な人がいる出版社じゃないと出来ない技だな。

「つじつま」は、生まれて来ないままの息子に惹きつけられて女の子が通ってくるようになるが、まだ生まれて来ないまま相手を妊娠させて、義父から受け継ぐ女たらしの才能のせいで、あちこちに孫が出来てしまう話。孫が成長しているのに息子が生まれて来ないとか訳が分からないよ。こんなの絶対おかしいよ(><)。

「Beaver Weaver」は夢の中で夢から目覚めて、彼女を探しに行ったらいつの間にか相手がクイーン・エリザベス級二番艦ウォースパイトという宇宙戦艦だったりして訳が分からない。自分も超イプシロンノート級論理戦闘艦ヴァリアントになっていたりするのだが、いつの間にか違う時代で人だったりするし、学校で実験中の彼女の石鹸片やビーバーまで絡んで来て、本当に訳が分からない話だった。

「(Atlas)3」は、僕連続殺人事件に巻き込まれた主人公の話。何者かの視点にとって不都合な存在である主人公は3日に1度くらいは殺されているが、その存在自体を消す事は出来ないらしく、地図作製局のサポートで何とかなっている。


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彷徨える艦隊10 巡航戦艦ステッドファスト

4150119996彷徨える艦隊 10: 巡航戦艦ステッドファスト (ハヤカワ文庫SF)
ジャック キャンベル Jack Campbell
早川書房 2015-04-22

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無事に使命を果たしたダンサー族と、再び地球との友好関係を築き上げたギアリーがアライアンス宙域に帰還しようとした矢先、問題が発生した。“ドーントレス”の乗員2名が、地球訪問中に忽然と姿を消したのだ。何者かに誘拐されたらしい。必死になってその行方を追ううちに、いまだ治療法のない細菌兵器に汚染された禁断の衛星、エウロパへとたどり着く。いかなる敵の策謀か?ギアリーは乗員を救出すべく奮闘するが!?


ダンサー族が地球に来たがった理由は、遥か昔、自分達の宙域に迷い込んできた人類を、故郷に埋葬する為だった。人類でも手間暇かけてそんな面倒な事はしないのに、なんて良い人達なんだ。人じゃないけど(笑)。

ここで、ギアリー元帥はローマ帝国時代の遺物を見たり、小休止。ところが何者かに部下が拉致されてしまい、致死性病原体に汚染されたエウロパへ。地球も未だに統一されず、火星でも勢力が争う酷い場所になっている模様。

なんとか部下の救助には成功したが、どの勢力が悪事を企てたのかは不明のまま。アライアンスに戻ると、ギアリー配下の軍人が反乱を起こす事を期待して、艦隊を勝手に動かされている。さらには、少数の艦隊で厄介な任務を押し付けられる。シンディックも酷かったが、アライアンスも上層部も馬鹿だらけである。

シンディックとの境界領域に位置する星系に大量の難民が押し寄せているので、強制送還するために向かったところ、いるはずの部隊は削減されているし、シンディックから離脱した星系が勢力拡大を目論んで戦闘状態に。

馬鹿どもの尻拭いが終わって帰還すると、今度はダンサー族が自分達の領域に戻ろうと動き始める。馬鹿に攻撃されたりしたら、人類存亡の危機になりかねないので、勿論、護衛してシンディック方面に向かう事に。

ダンサー族と別れた後、見えない艦隊にシンディックが攻撃されている局面に出くわす。謎の種族に襲われているのかと思いきや、艦艇の形状はアライアンスのものに酷似している。しかも性能は相手のほうが上である。

どうやら噂のあった秘密艦隊らしいが、シンディックだけでなくアライアンスの星系まで攻撃し始める。自動化された無人艦隊なんて造る金があるのなら、ギアリー艦隊に回せよ。わざわざ無駄金をかけて自分達を弱体化させるとか、どこのジャップランドなんだよ!? 本当に上層部はクルクルパーだらけである。

シンディックとの大戦争が終結してから、地味な仕事が多かったギアリーだが、“自分”との戦いになってしまう展開は面白かった。


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創世の島

4152091355創世の島
バーナード ベケット Bernard Beckett
早川書房 2010-06

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時は21世紀末。世界大戦と疫病により人類は死滅した。世界の片隅の島に大富豪プラトンが建設した“共和国”だけを残して。彼は海上に高い障壁を作り、外の世界からこの国を物理的に隔離することで、疫病の脅威から逃れたのだ。同時に彼は、労働者、戦士、技術者、特権階級である哲学者で構成する社会を築き上げる。厳格な階級制度のもと、唯一生き残ったこの島は、人類の新たなる創世をもたらすと思われた。アダム・フォードという兵士が、漂流者の少女を助けるまでは…。そしていま、ひとりの少女がアカデミーの入学試験として、4時間にわたる口頭試問に挑もうとしていた。彼女の名はアナクシマンドロス、通称アナックス。試験のテーマは「アダム・フォード」。無感情な3人の試験官の前で、彼女は“共和国”建国の経緯や、その社会構造、歴史、AI(人工知能)の問題をつぎつぎに解き明かしてゆく…。最後の数ページ、驚天動地の結末が全世界で話題を呼んだ、エスター・グレン賞受賞の衝撃作。


2007年度エスター・グレン賞受賞作。

世界大戦と撒き散らされた疫病によって、世界が終わった後の話。現在のニュージーランドに大富豪プラトンが建国した共和国だけが残った。疫病から身を守るために国を閉ざしているので、避難して来る者は海上に建設された隔壁に阻まれ、空から来る者もレーザー兵器で迎撃されてしまう。ある時、1人の少女が漂流して共和国に辿り着くが、アダム・フォードという兵士が法を犯して助けてしまう。

主人公は、アナクシマンドロスという名の少女で、アカデミーの入学試験を受けている。彼女は「アダム・フォード」をテーマとして、4時間にわたる口頭試問に挑む。彼女や3人の試験官によって、アダム・フォードに関する過去の出来事が語られるのだが、物語の舞台は最初から最後まで試験を受ける部屋の中である。

アナクシマンドロスと試験官の問答が延々と続くのだが、『最後の数ページ、驚天動地の結末が全世界で話題を呼んだ衝撃作』とかキャッチがついているから期待したのに……。ウィリアム・カッツの『恐怖の誕生パーティー』に匹敵するようなサプライズが用意されているのかと思いきや、物凄くつまらない真実が語られて脱力した。

外の世界がどうなったのか書かれていないけど、きっとBAD ENDだし、人類がどうなったのか書かれていないけど、きっとBAD ENDだし、主人公すら……。


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彷徨える艦隊外伝1 反逆の騎士

彷徨える艦隊 外伝1: 反逆の騎士 (ハヤカワ文庫SF)彷徨える艦隊 外伝1: 反逆の騎士 (ハヤカワ文庫SF)
(2013/05/10)
ジャック・キャンベル

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ギアリーひきいるアライアンス艦隊が未踏星域へ旅立ってのち、ミッドウェイ星系では、圧政をしいるシンディック体制を打破すべく、二人の司令官が立ちあがった。防衛を統括する女性司令官のイケニは、星系内に駐屯する機動艦隊から指揮権を奪い、陸上軍司令官のドレイコンは、暴虐行為を繰り返す内政保安局を武力制圧する計画だった。だが二人の行く手には、裏切り、密告、反逆などによるさまざまな障害が待ち受けていた。


本編ではアライアンスの敵だったシンディック視点で描かれた外伝。シンディックとは言っても、主人公となるのは反乱を起こしてシンディック体制から離脱する二人の司令官である。謎の種族と接しており、ジャンプ点も多く、ハイパーゲートも設置されている重要拠点であるミッドウェイ星系が物語の舞台となる。本編ともリンクしているので、本編8巻までは先に読んでおかないとネタバレになってしまうかも。

アライアンスに敗北したシンディックは内部崩壊し、各地で星系が体制から離脱し始めていた。ミッドウェイにいた二人の司令官は協力して内政保安局の脅威を取り除き、独立星系となるのだが、疑心暗鬼を生むようなシンディック体制にいただけに、他人を信用し切れず、際どい駆け引きが展開される。

それにしても、上官が汚職で私服を肥やしたり、部下の生殺与奪を決められたり、上官を蹴落としたり、気に入らない相手は暗殺したりと、シンディック体制はかなり酷い。ヘビと呼ばれて嫌われている内政保安局の監視も恐ろしいし。星系司令官イケニと星系陸上軍指揮官ドレイコンはシンディック体制下では異端的な存在で、お互いに牽制しつつもミッドウェイ星系のため、より良い方向へと動いていく事になる。

本編でギアリー元帥が大艦隊を率いて華々しく強敵を殲滅して行く事に比べたら、数少ない持ち駒で内政保安局やシンディック体制信奉者と戦う外伝は地味だけど、心理戦は読み応えがある。


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彷徨える艦隊9 戦艦ガーディアン

彷徨える艦隊9 戦艦ガーディアン (ハヤカワ文庫 SF キ 6-13)彷徨える艦隊9 戦艦ガーディアン (ハヤカワ文庫 SF キ 6-13)
(2014/01/24)
ジャック・キャンベル

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未踏宙域の探査を終えたアライアンス艦隊は、ミッドウェイ星系へと戻ってきた。ベア=カウ族の超巨大戦艦の拿捕に成功し、ダンサー族と友好関係を結ぶなど成果は大きい。だがベア=カウ族との戦闘により、艦隊は満身創痍。しかも戻り着いたミッドウェイ星系では、独立を宣言した新政府とシンディック小艦隊がにらみあい、一触即発の状況にあった。まだまだアライアンス宙域への道は遠い。はたして無事に帰り着けるのか?


ベア=カウ族の追撃を振り切り、敵の超大型戦艦を入手したアライアンス艦隊は、なんとか意思疎通に成功したダンサー族の領域を抜け、シンディックのミッドウェイ星系まで戻るが、そこには謎の種族が待ち構えていた。それだけではなく、ミッドウェイ星系はシンデイックから離脱して独立国家となり、シンディック艦隊も反乱を鎮圧しようと侵攻して来る。アライアンス、謎の種族、ミッドウェイ政府、シンディックという四勢力が入り乱れる事に。

重要拠点であるミッドウェイとは友好的な関係が築けるが、シンディックは姦計ばかり張り巡らしてくる。負けたばかりなのに、もう戦争を始める気満々とは(汗)。苦労して本国まで戻ってみれば、アライアンスも同盟星系が離脱したり、馬鹿政治家が争っていたりと、なかなか酷い事に。いつの時代でも、政治家はクズだらけだよね。

一緒について来たダンサー族は、人類発祥の地である地球へ行きたいと言い出すが、ある意味聖地と化している場所なので、ギアリー元帥の旗艦だけで訪れたところ、太陽系にはまた変な軍艦が! シンデイックと100年も戦争をしている間に、地球の向こう側にある植民星系の何処かが軍を送り込んでいるじゃないか。まともに戦争もした事がないハリボテ軍艦なので、弱かったけど。

結局、謎の種族は謎のままか。


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彷徨える艦隊8 無敵戦艦インビンシブル

彷徨える艦隊〈8〉無敵戦艦インビンシブル (ハヤカワ文庫SF)彷徨える艦隊〈8〉無敵戦艦インビンシブル (ハヤカワ文庫SF)
(2013/02/08)
ジャック キャンベル

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「謎の種族」の正体を解明すべく、未踏星域に侵入したアライアンス艦隊は、テディベアに似た姿の凶暴な種族と遭遇した。激闘の末ジャンプ点へ逃れたが、出た先は白色矮星の星系で、そこにも別の異星人がいた。整然とした編隊を組み、姿はクモとオオカミを合わせたような種族だ。ギアリーはこの種族と友好関係を築こうとするが、超弩級戦艦を含む凶暴な異星人の艦隊が追撃してきた…果たして艦隊は、無事故郷に帰れるのか?―。


飛び込んだ先の星系には超大型要塞が! 謎の種族は追って来ないが、第二の異星人もまた、人類を攻撃して来る。見た目はテディベアみたいで可愛いのだが、どうやら草食獣進化型生物らしく、人類を捕食者と見做して対話にも一切応じず、ひたすら攻撃して来る。星系の出口には全て、超大型要塞が設置してあり、攻撃を曲げて当たらなくする技術まで有している。人類世界には存在しない超大型戦艦も追撃して来る。

なんとか抜け出した別の星系には、また別の異星人が!? いきなり三連続で異星人と遭遇するとは! 第三の種族は蜘蛛と狼を掛け合わせたような、醜悪な姿をしていたが、追撃してきたテディベアを人類と共に攻撃してくれる。


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彷徨える艦隊7 戦艦ドレッドノート

彷徨える艦隊〈7〉戦艦ドレッドノート (ハヤカワ文庫SF)彷徨える艦隊〈7〉戦艦ドレッドノート (ハヤカワ文庫SF)
(2012/01/25)
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ギアリーとデシャーニの甘い新婚生活も、一カ月しか続かなかった。アライアンス運営委員会から、二人のもとに緊急出頭命令が届いたからだ。ナバーロ議長によって、大佐から元帥への再昇進を告げられたギアリーは、謎の異星種族に関するさらなる情報を得るため、増強された第一艦隊を率いてシンディック宙域の向こうにある未踏宙域をめざす。だがそこで待ち受けていたのは、思いもかけぬ脅威だった…待望の第二部開幕。


6巻で終わりみたいに書かれていたけど、シンディック編終了で新章突入みたいな扱いになってるんだね。ようやく人類を二分する大戦争が終わったというのに、今度は正体不明のエイリアンが敵となるのか。

戦争を終結させたブラック・ジャックは英雄だけど、政治家達は微妙なのばかりだし、艦隊本部は馬鹿しかいないようだ。現場は優秀だけど中央は馬鹿だらけ、まるで何処かの没落しつつある島国みたいだ。

艦隊本部が戦争で規定以上に燃料を使いすぎたという馬鹿な理由で、艦長達を大量に裁判にかけようとして、クーデター寸前に。なんとかギアリー元帥が事態を収拾するが、その後も本部は馬鹿な命令ばかり送ってくる。エイリアン支配宙域に侵攻しなければならないのに、補給艦隊を引き抜こうとするし、寄り道して捕虜を拾ってくるよう命じるし、アライアンス中枢は何処かの島国みたいな狂い方してやがる。

戦争しに行く途中で捕虜回収なんて馬鹿っぽいが、シンディック側の司令官が金を要求して面倒な事に。捕虜を解放して欲しかったら金寄越せなんて、何処かの半島国家みたいなゴネ方だな(笑)。

ならず者の要求には屈せず、武力で捕虜を解放したは良いが、戦争で捕らわれた高官ばかりなので、艦隊司令になりたがる馬鹿提督だらけで困った事に。

シンディック宙域を通過し、正体不明のエイリアンが支配する世界へ。対話には一切応じず、攻撃して来るエイリアン艦隊。相手がどれほどの軍事力や科学力を有し、どの程度の星系を支配しているのか情報が無いままなのが不気味である。

戦争は優位に進むのだが、ラスト付近で恐ろしい物が……。ひょっとして、人類文明圏に攻撃してきた奴らとは別の種族か!?


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彷徨える艦隊6 巡航戦艦ヴィクトリアス

彷徨える艦隊〈6〉巡航戦艦ヴィクトリアス (ハヤカワ文庫SF)彷徨える艦隊〈6〉巡航戦艦ヴィクトリアス (ハヤカワ文庫SF)
(2011/04/05)
ジャック キャンベル

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敵艦隊の追撃をふりきり、ついに味方星域に帰り着いたアライアンス艦隊。運営審議会にその攻績を認められ、一介の大佐から元帥へと特進したギアリーは、すぐさま艦隊を再編し、再度シンディック本拠星系をめざす。百年以上も続くこの戦争を終わらせるために!だが、つぎつぎに襲い来る敵の防衛艦隊を撃破し、敵本拠星系にようやくたどり着いたとき、シンディック幹部会は思いもよらぬ怖るべき罠を仕掛けて待ち受けていた―。


ようやくアライアンス星域まで辿り着いた艦隊だが、功績によりギアリー大佐は一気に元帥へと昇進してしまう。5冊分かかって戻ってきたのだが、今度はシンディック本拠地へ戻り、敵を叩いて終戦まで持ち込む事となる。これが最終巻なのに、辿り着けるのか心配だったが、もはや敵側に残された戦力は乏しく、残存艦隊の多くは主星系防衛へと駆り出されている模様。ほとんど抵抗もないまま、最終決戦へと。

しかし、シンディックを倒しても戦争は終わらない。いよいよ、姿を見せずに裏で糸を引き、人類を戦わせていた謎の敵が出現する。シンディックが本拠地へ戦力を集めたため、手薄になった星系の領有権を主張する異星種族。もはやシンディックは戦えないので、ギアリー元帥の艦隊がシンディックの奥深い星域まで進軍する事となる。

これで一応は終わりだけど、この後は謎の敵対種族と戦う事になるのだろう。続編はもう始まっているので、このまま翻訳して行って欲しい。


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彷徨える艦隊5 戦艦リレントレス

彷徨える艦隊〈5〉戦艦リレントレス (ハヤカワ文庫SF)彷徨える艦隊〈5〉戦艦リレントレス (ハヤカワ文庫SF)
(2010/01/10)
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ディラワ星系で必要な物資の強奪に成功したギアリー大佐ひきいるアライアンス艦隊は、陣容を整え、ヘラダオ星系へと向かった。目的は2000名におよぶ捕虜の奪還と、食料の確保。そこで待ち受ける敵艦隊を撃破できれば、味方艦隊が待つヴァランダル星系まで、あと二つの星系を残すのみ!長きにわたる戦闘の日々もこれで終わりになると思われたまさにそのとき、艦隊内に潜む怖るべき敵の魔手がギアリーに忍び寄っていた…。


ようやく自勢力まであと数星系となったアライアンスの残存艦隊。しかし、異星人が人類同時の潰し合いを望んでいるらしく、ゲートは超新星爆発に匹敵する攻撃兵器に変えられるし、行き先も操作されるので使用出来ない。内部には反乱分子が潜んでいるし、どうやら、敵側に大規模な予備艦隊が残されており、それがアライアンス宙域近辺に回されたという情報を入手する。もうボロボロなのに、敵にはまだ無傷の艦隊がいるのか……。

そうなると、敵の戦力は倍くらいある訳で、全部使えばアライアンスに勝てる筈である。ならば、何で今まで使われなかったのかという理由を考えると……。どうやら、シンディック宙域の向こう側にいる何者かに備えていたらしい。

しかし、技術力が桁違いなのだから、敵対するなら異星人が攻め込んできたら、アライアンス、シンディックまとめて倒せそうなのだけど。やはり、ギアリー大佐の予想通り、異星人もまた別の勢力と敵対しており、人類側に割ける戦力が無いので、人類を二分裂させているという理由なのかね?

アライアンス艦隊の資材や燃料は枯渇寸前で、戦力もボロボロ状態。しかし、ようやく反乱分子を排除する事に成功し、内なる敵はいなくなる。大局を見極められない馬鹿が本当に多いなぁ。

敵予備艦隊は、アライアンス側の友軍と先に戦闘を開始していたので、なんとか五分の戦いを挑めるようになる。ようやく自軍サイドに辿り着いた訳だが、ここから敵を叩き潰し、異星人に備えて人類を団結させなければならない。全6巻完結らしいけど、本当に終わるのか!?


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彷徨える艦隊4 巡航戦艦ヴァリアント

彷徨える艦隊〈4〉巡航戦艦ヴァリアント (ハヤカワ文庫SF)彷徨える艦隊〈4〉巡航戦艦ヴァリアント (ハヤカワ文庫SF)
(2009/11/10)
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戦闘準備を整えたギアリー大佐ひきいるアライアンス艦隊は、ふたたびラコタ星系に突入した。ギアリーの思惑どおり、敵は戦闘能力を保持する全艦船を追撃艦隊につぎこんだため、そこに残っていたのはスターゲートを警備する小艦隊だけで、あとはおびただしい損傷艦とそれを修理する民間船だけであった。敵損傷艦の撃破、味方捕虜の救出、補給物資の強奪など、ギアリーの立案した作戦はことごとく成功するかに思えたが…。


移動した先に敵の大艦隊が出現して、敗北寸前となったアライアンス艦隊。慌てて来た道を戻るのだが、物資は不足しているし、損傷が激しい艦は速度が出ないし、自軍を逃がすため、数隻の戦艦が盾となり失われたし、かなり危機的な状況に。隣の星系に移動したが、もはや絶対に逃げ切れない。

そこで、ギアリー大佐は思いもよらぬ行動を取る。うーん、そう来たか。さすがに、敵軍もそこまで深読みは出来まい。敵部隊が分かれた事で、五分の戦いを挑めるようになったアライアンス艦隊だが、内部にも敵を抱えており、かなり面倒な事に。なんで自軍の足を引っ張る馬鹿が多いのか。

なんとか敵を打ち破るが、大艦隊が出現した原因は、正体不明の異星人が操作して行き先を変えてしまったらしいという情報が! シンディック艦隊、自軍内部の反乱分子、そして異星人まで……。敵領域内部だから、敵側は補充出来るけど、アライアンス艦隊は艦艇が減るばかりで、どんどん戦力が乏しくなる。無事に帰還出来るのか!?


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彷徨える艦隊3 巡航戦艦カレイジャス

彷徨える艦隊3 巡航戦艦カレイジャス (ハヤカワ文庫SF)彷徨える艦隊3 巡航戦艦カレイジャス (ハヤカワ文庫SF)
(2009/08/20)
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予想外の針路をとることでシンディック軍司令部を翻弄することに成功したアライアンス艦隊。バルター星系では、ギアリーの用兵によりあまりにも自軍の損害が少ないことに混乱した自動兵站システムの誤作動で原料の不足という思わぬ事態に陥るが、補給物資の強奪にも無事成功。次々に転移する星系で敵艦隊を撃破し、まさに順風満帆に思われた。だがその行く手には、艦隊を壊滅の危機に陥れる怖るべき罠が待ち受けていた!


もうひとりの英雄ファルコが、もっと邪魔になるのかと思ったけど、意外に早く精神が崩壊してライバルの立ち位置から脱落してくれた。しかし、この馬鹿英雄のせいで、かなりの戦力を失ってしまった。敵陣営奥深くだから、シンディック艦隊は援軍が来るけど、アライアンス艦隊はジリ貧状態なのが厳しいなぁ。

敵の裏をかき続け、予想もしない方向へと逃げ続けたのだが、相手も馬鹿じゃない。どんどん学習し、予想進路に機雷を設置して来る。だが、ギアリーはそれを予想し、機雷を回避する艦隊行動でさらに上を行く。

なかなか故郷に辿り着けないまま、最大の危機が訪れる。ハイパーネット・ゲートが設置されているラコタ星系に辿り着くと、ゲート防衛艦隊の他に、同程度の艦隊が待ち構えていた。跳躍前の星系にも追っ手がいるし、さらに、続々と大規模な艦隊が出現して来る。


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彷徨える艦隊2 特務戦隊フュリアス

彷徨(さまよ)える艦隊〈2〉特務戦隊フュリアス (ハヤカワ文庫SF)彷徨(さまよ)える艦隊〈2〉特務戦隊フュリアス (ハヤカワ文庫SF)
(2009/05/30)
ジャック キャンベル

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命運を賭けた決戦に大敗し、満身創痍となった艦隊を敵本拠星系から無事に脱出させたギアリー大佐。次々と策を用いて敵の裏をかきながら故郷をめざす途中、シュトラー星系で捕虜収容所を発見、救出に成功した! だが、その捕虜のなかには、ギアリー同様“伝説の英雄”と讃えられるファルコ大佐がいた。野心家の彼は艦長たちを扇動し、39隻の艦をひきいて艦隊を離脱、一路故郷の宙域をめざすが、そこには怖るべき敵の罠が!?


敵勢力圏の中枢から、必死の逃避行を開始したアライアンスの残存艦隊。しかし、艦隊司令がギアリー大佐だから、同格だと思って言う事を聞かない馬鹿大佐どもがいろいろ面倒な事をしてくれる。戦時特例でブロッホ提督がギアリーを准将に昇進させておけば、こうもややこしい事にはならないのに。最大の敵はシンディック(惑星連合)艦隊じゃなくて、身内の馬鹿どもだよね!?

不満を募らせる馬鹿どもを、なんとかなだめつつ、敵の意表をつく星系へと、旧世代の跳躍方法で逃げて行くのだが、シュトラー星系にあった捕虜収容所を解放したところ、もうひとりの伝説の英雄ファルコ大佐がいて、ますます面倒な事になる。誇大妄想に取り付かれた完璧馬鹿によって、一部の馬鹿どもが叛旗を翻し、勝手に別の星系へと離脱。

ギアリーは残された艦隊を率いて、敵の奥深く、生産拠点となっている重要な星系を叩きに行く。これは、資材を補給する事も兼ねているのだが、上手く行けば、ゲートを確保して、一気に自軍本拠地へ帰還出来るかもしれないという打算も入っていた。もっとも、そう上手く行く筈も無いのだが。

敵の手が卑怯すぎる。何でもアリである。よくここまで姦計を思いつくものである。敵は馬鹿っぽくないのに、味方は馬鹿が多すぎる。馬鹿が艦長だったために、無駄死にする兵士が哀れである。

ファルコ大佐が率いて離脱した友軍を助けるため、ギアリーはさらに跳躍するのだが、再会したのはボロボロになった一部の艦艇のみ。無能な艦長が多いから、どんどん戦艦や巡航戦艦が減って行く。


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彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス

彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)
(2008/10/23)
ジャック・キャンベル

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救命ポッドの冷凍睡眠から目覚めたギアリー大佐は愕然とした。なんと救出されるまでに百年がたっていたのだ。しかも、わが身を犠牲にして味方を脱出させた軍神にまつりあげられている始末。そんな彼に与えられた任務は、敵の本拠星系に攻めこんだものの大敗し、満身創痍となった艦隊を、司令長官として無事に故郷へと連れ戻すことだった!周囲を埋め尽くす強大な敵艦隊を前に、はたして彼がとった驚くべき奇策とは…。


主人公は、100年前に敵の攻撃を受け、脱出カプセルの中で冬眠状態となっていたギアリー大佐。大佐とは言っても、戦死扱いによる昇進であり、この未来世界でも二階級特進があるのならば、少佐くらい?

奇跡的に救出されてみれば、敵との戦争は続いており、自分を犠牲にして味方を救った伝説の英雄にされている。敵の策略に嵌った自軍艦隊は敗北寸前となり、敵との交渉に向かった上官は殺害されてしまう。

予め下されていた上官の命令により、艦隊司令となってしまったギアリー大佐。目の前には敵の大艦隊。そして自軍には、なかなか命令を聞きたがらない艦長達が……。何で主人公が大佐なのかと思ったら、微妙な軋轢を生んで波乱万丈展開にするために必要だったんだね。

これが、准将とか少将あたりなら、完璧に上官であり、艦隊司令官として適任なのだけど。周囲の艦艇に乗っている艦長クラスも大佐で同格だから、命令を聞かずに暴走しちゃう馬鹿が出てきてしまうのである。一応は、100年前から大佐だったので、艦隊最先任となるのだが、死後昇進扱いなので、少し微妙な感じである。

率いるのは、アライアンス(星系同盟)艦隊であり、100年も戦い続けている敵はシンディック(惑星連合)。どうやら、シンディックは独裁者が支配する全体主義国家群らしい。どんな手を使っても勝てば良いといった感じで、卑劣な手ばかり使ってくるのだが、ギアリー大佐が何とか敵を退け、故郷への逃避行を開始する。

100年前の人間なのだから、もう時代遅れになっていそうだが、逆にギアリー大佐が知っている戦術を敵も味方も知らないような状態となっているのが面白い。拡大した戦乱により、人材が育つ前に戦死してしまうので、過去に用いられた兵法を伝える者がいなくなってしまったのである。

題名が微妙だから、あんまり食指が動かなかったのだけど、これはかなり面白い! 姦計により誘い込まれてしまったので、現在位置は敵の本拠地近く。敵の大艦隊は追撃して来るし、祖国までの道程は険しいし、自軍には言うこと聞かない馬鹿どもが……。

船足の遅い大型補修艦も混じっている中、果たして艦隊は無事に逃げ切れるのか。まだ逃避行は始まったばかり。


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太陽レンズの彼方へ―マッカンドルー航宙記

太陽レンズの彼方へ―マッカンドルー航宙記 (創元SF文庫)太陽レンズの彼方へ―マッカンドルー航宙記 (創元SF文庫)
(2005/10)
チャールズ シェフィールド

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太陽系随一の頭脳の持ち主にして極めつきの変人、マッカンドルー博士。新たな法則、新たな発見を求め、自ら開発した画期的な航行システムの宇宙船に乗り、相棒の女船長ジーニーと共に、大宇宙を所狭しと飛び回る!巧妙に仕掛けられた罠をいかに打ち破るか、「影のダークマター」「新たなる保存則」ほか2編を収録。科学者シェフィールドの知識満載、本格ハードSFの決定版。


海外では前作を含む完全版らしいが、日本では前作に入ってない部分を二冊目として出版しているらしく、日本オリジナル編集である。

ハードSFとしては十分面白いのだけど、前作ほどのインパクトが無いなぁ。逆恨みした元上級官僚がマッカンドルーを襲う事件を起こすのだけど、これは別にSFじゃなくても、普通のミステリーで出来る話だし……。官僚で留まらず、上院議員にまで出世してるのに、逆恨みで世界一の天才科学者を殺そうとするなんて、キ印すぎる。キ印上院議員グリスとの諍いで二話も潰れてしまうのが勿体無い。

後半は、太陽系から離れた箱舟のひとつと思われる相手から救難信号が入るのだが、行った先にいたのは狂ったAI。続いては、行方不明となったいるマッカンドルーの父を探して小惑星帯へ行く話。

このまま続いたら、アルファ・ケンタウリまで飛んで行く機会もあっただろうが、残念ながら作者病死により、続きを読む事は出来ない。


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マッカンドルー航宙記

マッカンドルー航宙記 (創元推理文庫)マッカンドルー航宙記 (創元推理文庫)
(1991/05)
チャールズ シェフィールド

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太陽系最高の天才物理学者マッカンドルー。日々マイクロブラックホールとたわむれるこの変人科学者が画期的な航法の新型宇宙船を開発し、相棒の女船長と共に大宇宙へと乗り出した。二人を待ち受ける驚異の事件の数々! 科学者である著者が持てる知識を遺憾なく発揮した本格ハードSF。著者自身による科学解説を付す。


第23回星雲賞 海外部門(長編)受賞作。

マッカンドルーが主人公だと思っていたら、相棒となる宇宙貨物船船長のほうが主役だった。最初は情報が与えられていないので、読み進めてこの船長が女性だと知り、さらに驚く。

ローカー船長の船に便乗して研究を続ける天才物理学者マッカンドルーだが、最初から10億人も殺した太陽系最大の犯罪者イフターのせいで酷い目に遭う。収容所に運ぶ途中、イフターを奪還するためにテロリストが攻撃を仕掛けて来て、マッカンドルーも巻き込まれてしまう。

星雲賞では長編扱いで受賞しているが、連作短編形式なので、一話完結型で時代がどんどん進んで行く。新型航法を発明したマッカンドルーは、50G加速で太陽系を飛び出すが、またもやトラブルとなり、ローカー船長が助けに行く事に。

その後、さらに性能を向上させて100G加速で飛べる宇宙船を建造し、アルファ・ケンタウリまで行く気満々となるのだが、官僚機構の壁に阻まれて、なかなか実現せず。馬鹿官僚には逆恨みまでされる破目に。太陽系辺境域や放浪惑星までは到達するものの、結局、別の星系までは行けずに終わる。


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SFが読みたい! 2004年度版

SFが読みたい! 2004SFが読みたい! 2004
(2004/02/10)
SFマガジン編集部

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2003年度ベスト20作品紹介、書籍目録などの恒例企画のほか、秋山瑞人、冲方丁、小川一水による座談会、翻訳短篇集ガイドなど特別企画が満載。


SFだけでなく、ファンタジーからホラーまでカバーしているので、なかなか参考になる。2004年度版なので中身は2003年に発表、翻訳された作品が主となる。今回も、自力だとチェック漏れしている作品がたくさんあった。

長編シリーズに関しては、かなりネタバレが含まれているので読む時には注意。グイン・サーガのネタバレを読んでしまってOrz

コミックやラノベ、映画まで網羅しているのだが、やはり映画は駄作が多いなぁ。書籍と比べて弾数が少ないから、駄作も紹介されやすい分、目立つのだろうけど。


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SFが読みたい! 2003年度版

SFが読みたい!〈2003年版〉発表!ベストSF2002国内篇・海外篇SFが読みたい!〈2003年版〉発表!ベストSF2002国内篇・海外篇
(2003/02)
SFマガジン編集部

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年に一冊ペースで出るようになったSF用ガイドの二冊目。今回もチェック漏れしている作品が結構あって参考になる。ガチガチなSFだけでなく、少し不思議系から掠っている程度の作品、さらにはミステリ、ファンタジーまで幅広く紹介されているのが良い。

ただ、ファンタジーの一部分に関しては好き嫌いで論じている人が一部いて辟易した。好き嫌いならチラシの裏に書いとけっての。ハリー・ポッターのどこがどう優れていて、貶している作品のどこが劣るのか書いてないじゃないか。要は自分の嗜好だけだろ!? そういうのはチラシの裏に書いておけばいいよ。

グイン・サーガについて、強烈なネタバレを読んでしまったのは残念。


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SFが読みたい! 2002年度版

SFが読みたい!〈2002年版〉発表!ベストSF2001国内篇・海外篇SFが読みたい!〈2002年版〉発表!ベストSF2001国内篇・海外篇
(2002/02)
SFマガジン編集部

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国内・海外のベストSF発表のほか、注目の新鋭作家座談会、サブジャンル別ベスト10、書籍目録、ビデオガイド、特別企画「ファンタジイが読みたい!」などを併録したSF新時代のすべてがわかるガイドブック。2002年版。


このシリーズは一年前に出された分を紹介するので、中身は2001年の小説になる。ムックとして発売されたのはこれが最初になる。これより古い分はSFマガジンで発表されていただけらしいので、今からだと詳細確認が難しいよなぁ。

題名はSFが読みたい! となっているが、ファンタジーやホラーも適度に紹介しているし、様々な著名人のベストを掲載しているので、多様性があって良い。早川や東京創元社のガチガチなハードSFだけでなく、守備範囲が相当広いので、自分では取りこぼしていた作品が紹介されていて役に立つ。


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たんぽぽ娘

たんぽぽ娘 (奇想コレクション)たんぽぽ娘 (奇想コレクション)
(2013/05/30)
ロバート・F・ヤング

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「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」丘の上にいたのは、たんぽぽ色の髪が風におどる、未来から来た女。甘い出会い、ほろ苦い人生、そして時を超える愛……永遠の名作「たんぽぽ娘」を名訳と定評のある伊藤典夫訳(改訳決定版)で収録する、待望のヤング傑作選。

【収録作品】
「特別急行がおくれた日」(伊藤典夫訳)*
「河を下る旅」(伊藤典夫訳)
「エミリーと不滅の詩人たち」(山田順子訳)
「神風」(伊藤典夫訳)*
「たんぽぽ娘」(伊藤典夫訳)
「荒寥の地より」(伊藤典夫訳)*
「主従問題」(伊藤典夫訳)*
「第一次火星ミッション」(伊藤典夫訳)*
「失われし時のかたみ」(深町眞理子)
「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」(伊藤典夫訳)*
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」(伊藤典夫訳)
「スターファインダー」(伊藤典夫訳)*
「ジャンヌの弓」(山田順子訳)
*印は、本邦初訳の作品


図書館に行ったら、いつの間にか『たんぽぽ娘』が出ているじゃないか。『たんぽぽ娘』だけなら復刊されているが、短編がいっぱい入っているこちらをゲットするべき。リストを見ればわかるように、今まで日本語訳されていない短編が多いのが嬉しい。伊藤典夫さん、有難うございます。

表題作もまあまあ良かったけど、『夏への扉』レベルかと過度に期待しすぎたためか、驚く程の展開はなかった。丘の上で未来から来た少女と出会った中年おっさんが恋をしてしまうのだが、実は……という結末も、短編だけにすぐ予想出来てしまったし。

時間旅行を題材にしたものは表題作以外にもいくつか入っていて、エネルギー補充を忘れてしまったため、自分の時代へ戻れなくなった男がその時代の補給基地に行ったところ、時間対流エネルギーが漏れ出していて御伽話展開になる「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」なんかも結構良い。

他の文明と数少ない居住可能な星系を巡って争う「神風」みたいな本格的SFは少なくて、どちらかというと少し不思議系SFが多い。「河を下る旅」なんかは男女二人組で河を下るのだが、最後でスピリチュアル方向に行く。「特別急行がおくれた日」も、事故が起こった特別急行が、より大きな視線に晒されて箱庭世界展開になるし。

リストを見ればわかるように、今まで日本語訳されていない短編が多いのが嬉しい。


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ねじまき少女

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)
(2011/05/20)
パオロ・バチガルピ

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ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)
(2011/05/20)
パオロ・バチガルピ

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石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。遺伝子組替動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物ンガウを手にする。ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。彼とねじまき少女エミコとの出会いは、世界の運命を大きく変えていった。主要SF賞を総なめにした鮮烈作。


2009年度ネビュラ賞 長編小説部門受賞作。
2010年度ヒューゴー賞 長編小説部門受賞作。
2010年度ローカス賞 第一長篇部門受賞作。
2010年度ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作。

ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、ジョン・W・キャンベル記念賞と、主要なSF賞を受賞した大作となれば、読んでおかねばならないでしょう。と思いつつ、期待に胸を膨らませて読んでみたものの、『たったひとつの冴えたやりかた』や『夏への扉』あたりと比べると、あまり心に残るモノが無かった。大作である事は確かだけど、個人的には、またいつか読みたいと思うだけの傑作ではなかったなぁ。

石油資源が枯渇して後退してしまった、夢も希望も無い廃頽的な近未来が描かれている。物語の舞台となるのはタイだが、現王朝ではなく、混乱期に別の王朝へと変わっているようである。少女女王が君臨するがお飾りであり、実権は宰相が牛耳っている。

腐敗した官僚機構が対立して内乱寸前のタイ王国だが、それでも病原菌や遺伝子汚染されて崩壊した他の国々と比べたらマシだという過酷な近未来。改良型ゼンマイを開発しようとする西洋系のオーナー。混乱期に全てを失い難民と化した中華系の老人。タイ王国環境省の隊長ジェイディーと副長カニヤ。そして日本製ねじまき少女のエミコ。それぞれの思惑が交差しつつも、ほとんど誰も幸せにならないというBAD END。

ねじまき少女がもっと活躍する感じのSF冒険活劇みたいなのを期待していたのだが、ひたすら慰み者にされている感じで、制約が外れた途端に殺人兵器みたいな暴走を開始するし、あまり楽しくなかった。ちっとも萌えないし(をいっ!)。しかし、タイですらこんな無茶苦茶になっている近未来なら、金は命より重い日本なんて地獄世界なんだろうな(笑)。


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漂流自衛隊―太平洋戦争激突編

漂流自衛隊―太平洋戦争激突編 (コスミック文庫)漂流自衛隊―太平洋戦争激突編 (コスミック文庫)
(2006/03)
砧 大蔵

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海上自衛隊第一護衛隊群の旗艦に最新鋭ヘリ空母「あかぎ」が就役した。初の任務は環太平洋合同演習への参加だった。だがハワイに向かった「あかぎ」艦隊は、突如1942年の中部太平洋へタイムスリップし、日米決戦の最中へ飛びこんでしまう。彼らがそこで遭遇したのはミッドウェイ攻略に向かう帝国海軍。それは悲劇の大敗戦を喫した空母「赤城」を旗艦とする第一機動部隊だった。史実を熟知する自衛隊幕僚たちは苦悩の末、司令長官・南雲中将を説得し、戦闘に介入することを決意する。だがミッドウェイ海戦は太平洋戦争の転換点となった激戦。その戦いに果たして勝利できるのか?新たな日米決戦の行方は?鬼才が贈る時空シミュレーション戦記の白眉。


内容的には『戦国自衛隊』と『ジパング』を足して10で割った感じ。2じゃなくて10で割ったくらいの薄口で、かなり微妙作だった。ミッドウェイ島で行われるリムパックに参加する為に航行中だった、新型ヘリ空母を旗艦とする海上自衛隊の艦隊が、突如現われた謎の霧みたいなものに包まれて太平洋戦争最中にタイムスリップ!  

タイムスリップ物によくある展開であるが、問題はここから! ミッドウェイ海戦直前の過去へと紛れ込んだ自衛隊は、熟慮する事無く、大日本帝国海軍と共に米国を叩く事を決定してしまう。非常に浅はかでご都合主義的な展開である。同盟国である米軍との合同演習をする予定だったのに、過去に来たと判った途端、手のひらを返すように敵対行動を取るのか(汗)。『ジパング』のように、過去に干渉する事による未来への影響を考慮したり、現代へ戻りたいと嘆いたり、歴史を改変しても良いのだろうかと揺れ動く心の葛藤など、微塵も無し。おらおら行くぜ! 米軍倒せ!! って感じの展開に。そんなのでいいのか?

帝国海軍とコンタクトを取り、自衛隊も戦闘に加わる事に。作戦海域に突如現われた、正体不明の怪しい集団であるのに、帝国海軍がすぐに信用してしまうのは、ご都合主義すぎる。それにしても、憲法第九条は、専守防衛はどうした? ヘリ空母やイージス艦を駆使して、どんどん米軍を叩いていくが、何故か自衛隊にはほとんど被害無し。いくら兵器の性能が違っても、そこまで上手く行かないだろうに……。ミッドウェイ海戦を勝利に導いた直後、何故かレイテ沖海戦直前の時代まで転移させられてしまう。が、またしても歴史をかき乱し、米艦隊を撃沈しまくり、マッカーサー暗殺直前まで行くのだが……。

いきなり未来からFBIが現われて、謎のバリアを展開し、マッカーサー暗殺を阻止。どうやら時間犯罪者によって自衛隊が過去へ転移させられたので、歴史の修正に来たらしい。そして、夢オチに劣るとも勝らないような終わり方。まだ戦闘している途中だったのに、記憶も消されて全てが無かった事に!

( ゚д゚) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシゴシ

(;゚Д゚) …!?

全部で494ページ。読んだ時間と労力を返せ! と言いたい。




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あがり

あがり (創元日本SF叢書)あがり (創元日本SF叢書)
(2011/09/29)
松崎 有理

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女子学生アトリと同じ生命科学研究所にかよう、おさななじみの男子学生イカルが、夏のある日、一心不乱に奇妙な実験をはじめた。彼は、亡くなった心の師を追悼する実験だ、というのだが…。夏休みの閑散とした研究室で、人知れず行われた秘密の実験と、予想だにしなかったその顛末とは。第一回創元SF短編賞受賞の表題作をはじめ、少しだけ浮世離れした、しかしあくまでも日常的な空間―研究室を舞台に起こるSF事件、全五編。理系女子の著者ならではの奇想SF連作集。


第1回創元SF短編賞受賞作収録。

大学の研究室が舞台となるので専門用語が多めだが、ストーリー自体は難解ではない。ガチガチなハードSFではなく、理系学生や研究者の日常に少し不思議系を加味した程度なので、普通の小説として読める。

表題作の題名は何かと思ったら、スゴロクの“あがり”で使われるあがりだったのか。男子学生イカルが行った実験で、終了フラグが……。実際には有り得ないだろうけど。

短編になっているけど、登場人物が重なる部分もある。代筆屋が幸運と不運を予測する方法についての論文を頼まれ、不運になる話はオチが微妙だった。不運だらけで、最後の超幸運がショボすぎる。不運とはいっても、私の不運と比べたら超恵まれまくりんぐですがOrz

ラストのボーイ・ミーツ・ガールな話だけは、変な影みたいなのが出てきて、どうみてもSFというよりファンタジーだった。


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さよならペンギン

さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)さよならペンギン (ハヤカワ文庫 JA オ 9-1) (ハヤカワ文庫JA)
(2010/05/10)
大西 科学

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塾講師の南部観一郎は、今日も好意を寄せる谷一恵の誘いを断り、ペンダンと共に自分たちの同類を捜しに夜の街を彷徨った。ペンギン姿の似合うペンダンは口の減らない奴だが、頼りになる相棒でもある。その日、ふとした隙にペンダンを襲った黒い闇の男こそは、長い間探していた彼らの同類に違いなかった。そう、この世界の観測者(オブザーバー)である南部は、延長体(エクステンション)であるペンダンと共に1500年以上生きる存在だったのだ――。哀愁の量子ペンギンSF。


良質なジュヴナイルとして評価されているジョン平シリーズは、ヘタレ主人公があまり活躍しない系統で、個人的にはあんまり波に乗れなかったのだが、こっちは量子ペンギンSFで面白かった。

主人公の南部観一郎の正体は、世界を観測するために何千年も生き続ける存在で、延長体(エクステンション)であるペンギンのペンダンと一緒に生活している。他者とは違い、死ぬ事無く世界を傍観し続けるだけの存在は、初めて出会った同一の存在とコンタクトを取ろうとするが、相手は延長体を魔物として認識し、執拗に攻撃して来る。

観測問題におけるコペンハーゲン解釈やエヴェレット解釈等、難しい内容は置いておいて、ペンギンが素晴らしい。この延長体の正体はペンギンでない何か別の存在なので、裏返すと違う形に変形可能なのである。

外を出歩く時、ペンギンのままだと目立つので、裏返って南部観一郎の娘という設定で、ロリな幼女に擬態するペンダン! 哀愁の量子ペンギンSFという設定なはずなのに、なにこのペンギン幼女萌えSFは(笑)。ペンギン幼女に全米が萌えた!


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パヴァーヌ

パヴァーヌ (ちくま文庫)パヴァーヌ (ちくま文庫)
(2012/10/10)
キース ロバーツ

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1588年、英国女王エリザベス1世暗殺。混乱に乗じたスペイン無敵艦隊が英国本土に侵攻。英国は欧州世界と共にローマ法王の支配下に入る。プロテスタントによる宗教改革は鎮圧され―。20世紀、法王庁の下で科学は弾圧され、蒸気機関車だけが発達。その閉ざされた「もう一つの欧州」でついに反乱の火の手が上がる。高い完成度と圧到的なリアリティを備えた不朽の名作。


名作だと聞いて読んでみたのだが、上手く物語に乗れず、読み進めるのに苦労した。エリザベス1世が暗殺された事で英国が無敵艦隊に敗北し、産業革命が起きなかった並行世界物。20世紀になっても蒸気機関だけが発達し、世界はローマ法王を頂点とした封建体制のままになっている。科学は発達しておらず、民衆は虐げられ弾圧される酷い世界で堪らんなぁ。

蒸気機関車で物資を輸送する男、憧れていた信号手になった少年、異端疑惑で拷問される人々の絵を描くよう命を受けた修道士など、主人公がどんどん変わっていくのも読み辛かった。断片化された各章が纏りを見せるのが終盤になってからという書き方も、『エンベディング』を読んだ時と同じように苦しめられた。登場人物がバッドエンドだらけなのも萎える。

蒸気車や信号手ギルドの書き込みがリアルだし、ご都合主義的展開にならないシビアな内容は、有り得たかもしれないもうひとつの歴史として迫ってくる。非常に完成度の高い力作なのはわかるけど、登場人物が運命に翻弄され、酷い目に遭い、時には非業の死を遂げるような内容なので、こちらの世界で地獄モードな非リアが読むには、精神的に厳しかったデス……。


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星々の蝶

星々の蝶星々の蝶
(2008/07/25)
ベルナール ヴェルベール

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地球は滅亡の危機に瀕している。「最後の望み…それは逃げることだ」夢見がちな発明家、イヴ・クラメールが父の遺稿よりひらめいたもの。それは、“人類の希望の種”となる人々を乗せ、星の光を受けて走る、宇宙帆船だった。幾光年もの時をかけ、いま蝶が飛び立つ。フランスSF界の奇才が放つ、感動の物語。


腐敗し、堕落した人類に嫌気がさした人々。光の帆で加速する宇宙船を考案した科学者、その科学者に追突されて体が動かなくなった元ヨットレーサー、末期癌となった大金持ち。それぞれが出会った時、とんでもないプロジェクトが始動する。

光を使って加速した宇宙船で、他の星系へ移住しようというのだが、それほど速度は出ないので、千年以上かける長旅となる。世代交代しながら目的地へ着くために必要とされる男女は、14万人以上!!

いきなり巨大な移民船を造り、しかも地上から打ち上げるというのが極めて嘘っぽい。普通は、重力という壁があるので、最初から宇宙空間で建造するんじゃないのか? 行き先が僅か2光年先というのもファンタジーであって、そんな近くに移民出来るような星系は存在しない。テラフォーミングも何もせず、そのまま住めるような星系なんて、せいぜい数百光年に1つでもあれば奇跡に近いと思うけど。

SF設定だけど、科学の制約をあまり気にしていない感じなので、妙に幻想的な物語になっているのだが、人類に対する諦めと絶望みたいなものが前面に出すぎているのが……。打ち上げ間近になって、国家や宗教など、様々な勢力が横槍を入れて邪魔をして来る。

計画を潰されては堪らんと、強引に地球を離脱するのだが、個人の良心に頼り、法や組織で縛らないユートピアはアッという間に瓦解して行く。次第に凶悪事件が横行し出し、反乱軍が着陸船を強奪して地球へ戻ってしまう。

初期世代は次第に老いて死んで行き、秩序が崩壊して戦争が始まる。結局、腐敗した地球を飛び出したものの、宇宙空間でも腐敗して、やっている事は地球のダウンサイジングに過ぎないという救いようの無い愚かさ。

文明も技術も崩壊し、目的地へ到達した時に生き残っていたのは、僅か6名。しかも、着陸船が二人乗りだから、男女一名しか降りられないというやるせなさ。これはもう、限りなく失敗に近いプロジェクトだろう。

ようやく選ばれた二名が地表に降り立っても、さらに困難が待ち受けているし。最後のほう、聖書とも絡んで来るので、狙いすぎで少し嫌な感じの終わり方。

やはり、世代交代による移民は無理があるなぁ。少なくとも、光速の30%程度まで到達可能な核融合ラムジェット推進と、加速にかかる負荷を打ち消すシステムを開発しない事には、移民なんて夢物語だろう。

それにしても、何で本書はフランス本国よりも韓国のほうが売れているのか。


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スペース・オペラの書き方

スペース・オペラの書き方―宇宙SF冒険大活劇への試み (ハヤカワ文庫JA)スペース・オペラの書き方―宇宙SF冒険大活劇への試み (ハヤカワ文庫JA)
(1994/10)
野田 昌宏

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魅力的なキャラクターを創る方法とは、ストーリーの盛り上げかたは、作ったアイデア・カードの活用方法とは、といった創作の秘訣から、ホテルでのカンヅメの仕方、ライティング・デスクとチェアの選び方、さらにはSFプロ作家のワープロ・ソフト大公開まで、具体的な創作方法をわかりやすくおもしろく語り、星雲賞を受賞した文章読本を文庫化にあたりバージョンアップ。これを読めばあなたもプロ作家になれる。


「お願い!プロは読まないでちょうだい」などと言っているので、一体どんな秘密のノウハウが書かれているのだろうと期待すると大きく裏切られる。宇宙軍大元帥のエッセイとして読めば楽しいけれども、スペース・オペラを書くためのノウハウ本ではない。

内容が、かなり濃いSF絡みになっているので、普通の小説を書きたい一般人向けでもない気がする。逆にディープなSF者がスペース・オペラ以外を書きたい時には使えそうな気はするが。じゃあエッセイとして読む以外に意味は無いのかと言われれば、右往左往シートの存在だけでも、一読する価値はあると思う。「スターウルフ」の進行表みたいなのまで分析して作っているけど、中身を細かく解剖してみると、名作は緻密に計算されて書かれている事が見えてくる。

「これを読めばあなたもプロ作家になれる」なんて説明に書かれているが、アホでも書けるようになるノウハウが鏤められている訳ではなく、地道な努力が求められている。まず、膨大な量のインプットだが、過去作品を手当たり次第に読みまくる。重度のSF者ならともかく、この時点でもうクリア出来ていない人が大半なんじゃなかろうか。

アンデルセン童話を嫌っている部分には激しく同意。やはり物語はハッピーエンドで終わらないと。現実世界がこうまでクソで地獄なのに、何で物語の中まで嫌な目に遭わされなきゃならないのか。嫌な話やバッドエンドを楽しく読める人というのは、実人生が幸福なんだろうな。不幸な話を読んで、我が身の幸せを再確認する、というような事を、穂村弘も何かに書いていた。不幸な人間がバッドエンドな物語を読むと、余計に気分が滅入るんだよな。


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レモン月夜の宇宙船

レモン月夜の宇宙船 (創元SF文庫)レモン月夜の宇宙船 (創元SF文庫)
(2008/11)
野田 昌宏

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F研究家、翻訳家、作家として活躍し愛された野田昌宏。その作家活動の第一歩となった作品を表題とした第一短編集を大幅増補、書籍初収録短編一編と初期の傑作エッセイの数々を加えて贈る。生涯の名台詞となる「SFってなァ、結局のところ絵だねェ」が誕生したエッセイ、生涯の愛称となった「宇宙軍大元帥」を初めて名乗った小説風記事も収録した。詩情に満ちた名品ぞろいである。


SF短編集なのかと思ったら、エッセイも混ざっているし、SFにもエッセイにも野田昌宏本人が登場するので、どこまでが本当の話なのか分からなくなって来る。「宇宙軍大元帥」の肩書きまで登場するが、設定がかなり厨ニ病的ご都合主義で笑える。

「火星を見た尼僧」と「パノラマ館」は初収録らしいので、ハヤカワ文庫から出たのを読んだ人もゲットする価値があるかもしれない。


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ホーリー・ファイアー

ホーリー・ファイアーホーリー・ファイアー
(1998/01)
ブルース スターリング

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ときは2096年。生後2週間!94歳!?の“カワイコちゃん”が、デジカメ片手に“ホーリー・ファイアー”探して世界を闊歩。メディカル・サイエンスから、サブカルチャーまで、完全無欠、驚愕の未来ヴィジョン!キング・オブ・アイディア、スターリングが極めた90年代SFの頂点。


生後2週間で94歳のカワイコちゃんがホーリーファイアーを探す話だと聞いて(笑)。見た目は美少女なのに、中の人が老婆だとは……。

医療が発達した未来世界で、疫病による大量死があった後なので、ただの貨幣経済ではなく、別のクレジットが発達している。医療複合体が力を持ち、どれだけお金を貯めようと、医療を受けるに値すると認められなければ無意味なのである。よって、現在のように何やってでもお金を貯めれば良いという訳ではなく、例えばアングラの住民みたいに汚い金を貯めたとしても、延命処置などは受けられないのである。

模範的に生きてきて、最新の若返り術を施されるようになったミアは、体を再生させて生まれ変わるのだが、確立された技術ではないので何かがおかしくなり、脱走してしまう。いきなりドイツまで逃げてマヤと名乗るのだが、どうも人格が分裂してしまった感じで、新たな人生が始まる。

スリの少年や店を経営している女性など、出会った人間を利用し、自分がのし上がるための踏み台にして、次々に乗り換えて行くのが、性格悪すぎる(笑)。若者のアングラ文化に浸って行き、かつて自分が所属していた老人貴族社会とは反する立ち位置となるのだが、老人が既得権益を独占し、若者が何も持たない弱者となっているとは、それなんて日本!? 老人が弱者ではなく搾取する側というのが、なんだか日本に見えて仕方が無い件。

周囲の人間を巻き込みつつホーリーファイアーを探すのだが、せっかく最新テクノロジーで美少女化したのに、やってる事がデジカメで写真撮っているだけとは……。とりあえず、あまりにも無茶で電波な性格なので、ちっとも萌えないカワイコちゃんだった。


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アイヴォリー -ある象牙の物語

アイヴォリー―ある象牙の物語 (ハヤカワ文庫SF)アイヴォリー―ある象牙の物語 (ハヤカワ文庫SF)
(1992/02)
マイク レズニック

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銀河暦6303年、〈調査局〉に勤めるロハスのもとに最後のマサイ族マンダカが訪れた。三千年以上、所在不明になっているキリマンジャロ・エレファントの象牙を見つけてほしいという依頼だった。調査を始めたロハスは、悠久の歴史の中でこの史上最大の象牙がたどった数奇な運命と、象牙にかかわった人々の織りなす多様なドラマを垣間見ることになる…。アメリカSF界で人気絶頂のレズニックが満を持してはなつ銀河叙事詩。


ある惑星にある店の奥で、ならず者達が賭け事をするシーンから物語が始まるのだが、そこのオーナーが持っていたキリマンジャロ・エレファントの象牙が賭けの対象となり、負けて奪い去られてしまう。暫く後、オーナーは巨大隕石の落下によって死亡し、物語は別の時代へ。

ここで、銀河暦6303年が現在だという事が明かされ、冒頭部分を含め、途中に挿入されてくる物語は、行方不明となったキリマンジャロ・エレファントの象牙の痕跡を辿る過程で明かされる過去の出来事だという事が分かる。

調査局に勤めるロハスは、最後のマサイ族マンダカに依頼され、失われたキリマンジャロ・エレファントの象牙を捜す事となる。象牙が辿った歴史が時系列入り乱れて明らかになって行くのだが、探し求める象牙は、賭け事に負けて取られたり、独裁者の宝となったり、異星人に奪われたりと、持ち主が変わりながら、何千年もの間、宇宙のあちこちを彷徨う事となる。

作中に出てくる巨大な象牙は実在するというのが凄いが、この化け物みたいな象牙から、ここまで壮大な物語を紡ぎ出すマイク・レズニックもただものではない。


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ジョナサンと宇宙クジラ

ジョナサンと宇宙クジラ (ハヤカワ文庫SF)ジョナサンと宇宙クジラ (ハヤカワ文庫SF)
(2006/10)
ロバート・フランクリン ヤング

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さわやかな9月の風のなかを空飛ぶフライパンに乗って、宇宙クジラが棲む遙かな銀河へ、巨人族が暮らす深い海の洞へと、冒険の旅に出かけてみませんか?それとも、辺境惑星一帯を爆笑の渦に巻きこんだ「愛しのメアリ・ルー」を上演中の宇宙船劇場のほうがよいですか?アメリカSF界でブラッドベリ、スタージョンと並び称される詩人ロバート・F・ヤングが、愛に渇き、倦怠に沈むあなたに贈る、心温まる珠玉の名品集。


いまいち微妙な扱いのロバート・F・ヤングだが、ファンタジーとSFが融合した感じの優しい作風は、結構好きである。あざとく狙って書かれてはいないけれども、せつない系が多い。

短編集なのだが、フライパンにしか見えない宇宙船で現れる自称宇宙人とか、成長が止まらなくなって巨大化して行く女性など、半分ファンタジーが混ざったものが主流となっている。宇宙クジラどころか、巨人、妖精、サンタや悪魔まで出てくるので、本格的なハードSFを期待してはいけない。

やはり、表題作の「ジョナサンと宇宙クジラ」が良かった。宇宙クジラに飲み込まれた男が、巨大生物の中にある人類の町で暮らし始めるのだが、閉ざされた世界の現実と未来を知ってしまい、敵だったはずの宇宙クジラを救う方法を考える。

巨大生物に飲み込まれて暮らす系統の話は、聖書からピノキオから、よくあるパターンで目新しくも何ともないのだが、クジラとの対話がせつない系でGJ!


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