荻原浩

攻略対象書籍は以下。

オロロ畑でつかまえて』★★★
なかよし小鳩組』★★★
ハードボイルド・エッグ』★★★☆
『噂』
『誘拐ラプソディ』
『母恋旅烏』
『コールドゲーム』
『神様からひと言』
僕たちの戦争』★★★☆
明日の記憶』★★★★☆
『さよならバースディ』
あの日にドライブ』★★★★
ママの狙撃銃』★★★
押入れのちよ』★★★
四度目の氷河期』★★★☆
『メリーゴーランド』
千年樹』★★★☆
サニーサイド・エッグ』★★★☆
さよなら、そしてこんにちは』★★★☆
愛しの座敷わらし』★★★★☆
ちょいな人々』★★★☆
オイアウエ漂流記』★★★★
『ひまわり事件』
『砂の王国』
『月の上の観覧車』
誰にも書ける一冊の本』★★★
『幸せになる百通りの方法』
『花のさくら通り』
『家族写真』

絵本
『ここにいるよ ざしきわらし』

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ちょいな人々

ちょいな人々 (文春文庫)ちょいな人々 (文春文庫)
(2011/07/08)
荻原 浩

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社内女性のほめ言葉に有頂天になる中年課長はじめ、おっちょこちょいだけど愛すべき人たちの破天荒なユーモアワールド。


ちょいワルとか、ちょいカワとか、その辺にいそうな人々の喜怒哀楽いろいろ。荻原浩の小説は、際立った夢や希望はないけれども、それほど絶望も含まれていないので読後感はそう悪くない。出てくる人々もどこか憎めない。いじめ相談室なのに、所属している上司が率先して職場いじめを始める話だけは、「馬鹿上司とデモシカ学校教師は逝って良し!」と思ったけど。

犬猫語完全翻訳機の話は、製品自体は非常に完成度が高いのに、ペットの言葉を高精度で翻訳してしまうが故に飼い主に受けず、ハズしてしまうのが笑える。結局、人間は都合の良い言葉だけを聞きたい、我が侭で愚かな生命体なんですな。犬猫語の機械がコケて、次に出した最新型携帯電話でも、完成度が高すぎてハズすのが笑える。

最後の「くたばれ、タイガース」は、娘を貰いに来た男が阪神ファンで、娘の父が巨人ファンだったために、テレビを見ながらバトルになるのが笑える。「巨人が負けてるから」という理由で娘を嫁にやらんと駄々をこねる父親に全米が笑った。


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オイアウエ漂流記

オイアウエ漂流記 (新潮文庫)オイアウエ漂流記 (新潮文庫)
(2012/01/28)
荻原 浩

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塚本賢司、28歳。接待出張で乗り合わせた飛行機が遭難し、なんと、流れ着いたのは水も火もないポリネシアの孤島!!賢司をコキ使う上司たち、スポンサー企業の御曹司、挙動不審な新婚カップル、小学生とそのじっちゃん、怪しいガイジン。あり得ないメンバー10人での毎日は、黒~い本音も秘密の過去も、隠しきれない生活だけど…。


ラウラ行きの小型機が、悪天候と機体トラブルで墜落。たまたま乗り合わせた一行は九死に一生を得、なんとか陸地に流れ着くのだが、そこは絶海の孤島だった!

スポンサー企業の馬鹿息子、部下に全てを押し付ける馬鹿上司、胡散臭い謎の外国人、ボケ老人と、なんだかダメっぽい人ばかり。コメディタッチで書いているものの、こんな面々では、小説じゃなかったら生き延びられないよなぁ。前半戦は役立たずと馬鹿だらけで辟易して来る。

墜落してるのにゴルフクラブを大事にしているスポンサー企業の馬鹿息子とか、非常食を撒き散らして鳥に食べさせる外国人とか、無理やりなポジティブ思考で救助隊が来ると信じているポリアンナ症候群の馬鹿上司とか、読んでいて腹が立ってくる奴らばかり。

そのうち、漂着した場所が無人島で、どうやら救助隊も来ないであろう事が分かってきて、サバイバルが始まる。巷ではポジティブ思考ばかりもてはやされるが、絶対に間違っていると思う。無理やりポジティブの部長なんか、単なるポリアンナ症候群であって、ちっとも役に立っていないし。最悪な状況を考えているネガティブな奴らのほうが、余程役に立つ言動を取っているじゃないか。

最初は馬鹿だらけに思えたのだが、必要に迫られていろいろな能力が開花し、成長して行くので救われる。駄目っぽい部長すら、後半は役に立ち始めるし。協力したり反目したり、小さな島の人間模様が面白いのだが、小説じゃなかったら、きっと凄惨な状況に陥るだろうなぁ。


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誰でも書ける一冊の本

誰にも書ける一冊の本 (テーマ競作小説「死様」)誰にも書ける一冊の本 (テーマ競作小説「死様」)
(2011/06/18)
荻原浩

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父が書き遺したものは、事実か創作か。「何を言われようが、私は自分の心の声に従った」―代表作『明日の記憶』で記憶の死に挑んだ著者が、平凡に思えた男の人生を、その死を通して描く。子は親の背中を見て育つと言うが、言葉でしか伝えられないことは多い。


小説の書き方に関するエッセイか何かかと思ったけど、父が書いていた小説を息子が読む物語だった。「死様」をテーマにした競作のひとつで、他にも数人の作家が参加している。

小さな広告代理店を営む男が、父の危篤に駆けつけ、そこで父親が書いていた自分史っぽい小説を読んで行く。聞いた事の無い話や、知らない人物が登場するので、自分の生き様を素材にして創られた小説として、息子が読み進めていく。

素人が書いた自分史みたいな設定なので、父親小説部分の出だしが退屈で面白くない。意図的に素人臭を出した文章になっているが、父が語らなかった過去の人生が見えてくるにつれ、物語に引き込まれる。

農耕機に巻き込まれて出来たはずの傷が、熊に襲われた事になっていたので、実生活を元にストーリーを膨らませたものだと思っていたら……。


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サニーサイドエッグ

サニーサイドエッグ (創元クライム・クラブ)サニーサイドエッグ (創元クライム・クラブ)
(2007/08)
荻原 浩

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私は最上俊平、私立探偵である。ペット専門の探偵ではないのだ。ある日、若く美しい女性が事務所を訪れてきた。ペット捜しなら、もう――「うちの猫を捜してほしいんです」はい喜んで。1カ月ぶりの仕事ではないか。しかもそうこうするうち、「ブロンドで青い目の若い」秘書まで雇えることに。え、な、なんだこいつは!? おまけに猫捜しも、ただの猫捜しではなくなっていくのだった……あの名作『ハードボイルド・エッグ』続編!


「ハードボイルド・エッグ」の続編である。荻原浩は単品がほとんどなので、まさかドジで間抜けなハードボイルド気取り探偵がシリーズ化するとは思わなかった。

相変わらずペット探し専門の探偵と化していて貧乏臭い。同じく儲かって無さそうで貧乏臭いバーのマスターJに頼まれ、助手を雇う事になってしまう探偵。「どんな娘だい」と尋ねると「探偵の秘書だぜ。ブロンドで青い目に決まってるじゃないか」と教えられて期待するのだが……。

確かに、ブロンドで青い目である。小汚いけれども、前回の婆さんよりは若いだけマシかもしれない。しかし相当ヤバそうな相手である。残念な事に、婆さんと比べて探偵との絡みが少なすぎる。せっかく強烈なキャラなのだから、このコンビでシリーズ化して欲しいところである。

今回は終盤までペット探しばかり。美女に頼まれロシアンブルーを探していたら、ヤクザからも無理やり依頼されてロシアンブルーを探す事に。身の危険を感じつつ、日本最大の暴力組織に連行されつつ、なんとか猫を見つけ出すのだが、そこに隠された陰謀に気づいてしまう。

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ハードボイルド・エッグ

ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)
(2002/10)
荻原 浩

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中学の頃にフィリップ・マーロウのようなクールな探偵になることを心に決め、とうとう脱サラして事務所を開いた私。だが、来る依頼は動物の捜索ばかり。おまけにとんでもない婆さんを秘書に雇うはめになり…。


絵に描いたようなガチガチのハードボイルド男が主人公なのだが、クールな二枚目ではなくて、格好良いハードボイルドに酔っているだけの間抜け男なのが哀れ。やる事成す事ダメダメで、自分ではキメているつもりで、その実、単なるコメディアンで終わっている。

ハードボイルド探偵に相応しい美女を秘書にしようと募集してみれば、相手の策略に嵌って、現れたのは婆さんだし。その婆さんと無理やりコンビとなり、事件解決を目指すのだが、初めて関わる殺人事件は思いもよらぬ方向へと転がって行く。

単なるコメディかと思いきや、最後のサプライズで爆弾が用意されていた。とてつもなく嫌な結末が待っていた。B級ホラー並みに気分が萎える。

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愛しの座敷わらし

愛しの座敷わらし愛しの座敷わらし
(2008/04/04)
荻原 浩

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生まれてすぐに家族になるわけじゃない。一緒にいるから、家族になるのだ。東京から田舎に引っ越した一家が、座敷わらしとの出会いを機に家族の絆を取り戻してゆく、ささやかな希望と再生の物語。朝日新聞好評連載、待望の単行本化!


第139回直木賞候補作。

大手食品メーカーに勤める男が、企画の第一線から外され、地方の営業に。出世の目が無くなったと思った彼は、家族に相談もせず強引に田舎の古い家屋を借りてしまう。妻は仕事ばかりの夫と姑相手に不満たらたら。姑は認知症が始まり、娘は友達がいなくて孤立、息子は喘息持ちと、それぞれ問題を抱えているが、どこにでもありそうな家族の一風景。

大きな日本家屋の二階には謎の仏壇、庭には祠。引っ越してきてから、鏡に何かが映ったり、誰もいないのに足音がしたりと怪奇現象が起こる。ここで出てくるのが血塗れのお婆さんだったり、髪をふり乱した女性だったりしたらホラーだが、怪現象の正体は、小さい子供。見てしまった家族も驚くが、小さい子(座敷わらし)も驚いて逃げて行く。

座敷わらしは子供にしか見えないという伝承通り、まともにその姿を見ているのは少年と祖母(認知症)で、後は鏡で見たりするだけ。当然、お父さんはなかなか見る事が出来ない。家族関係は次第に好転するけれども、それは座敷わらしの幸運パワーではなくて、登場人物の思考がネガティブからポジティブに変わったからだろう。

結局、会社の適当すぎる方針のため、この家屋には短期間しか住まないのだが、結末が洒落ていて良かった。これでも直木賞は貰えないのか。受賞した不倫話より良いと思うんだが……。


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さよなら、そしてこんにちは

さよなら、そしてこんにちはさよなら、そしてこんにちは
(2007/10/20)
荻原 浩

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世のため、人のため、そして家族のため、働き者の悲哀を描く、著者独壇場の傑作集。


7つの短編が収録されていて、それぞれが世の中にありそうな出来事を強調して、面白おかしく描いている。全て、人間の意地汚さがさりげなく鏤められていて良い感じである。

笑いたくても笑えない、葬儀屋で働く男。田舎暮らしを始めた家族の理想と現実のギャップ。テレビ番組に翻弄されまくるスーパーの店員。子供をだしに、特撮ヒーローにのめり込む母親。ガンコな事が美学だと激しく勘違いしている駄目な寿司職人。スローフードにこだわりつつも、人生そのものがちっともスローじゃない女。クリスマスを素直に祝う事が出来ない坊主。全てに人生の皮肉が効いている。


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千年樹

千年樹千年樹
(2007/03)
荻原 浩

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木はすべてを見ていた。ある町に、千年の時を生き続ける一本のくすの巨樹があった。千年という長い時間を生き続ける一本の巨樹の生と、その脇で繰り返される人間達の生と死のドラマが、時代を超えて交錯する。


千年の時を生きる大樹を軸に、二つの時間が交差する短編の連なり。短編同士も微妙に繋がっている。枠組みとしては面白いけど、救いの無い話ばかりが続いて憂鬱な気分になる。

謀反により山中へ逃れたものの、妻も自らも息子も命を落とす国司。太平洋戦争で落命する少年。大樹の枝で首を吊ろうとする少年。幹の側に穴を掘り、人を埋めようとする極道。千年樹の周りで繰り広げられる陰惨な人間模様で、樹が禍々しい物に思えてくる。全ては、虫けらの如く惨めに死に逝く人間が、愚かな生き物であるが故の出来事なのだが。

この作者は、人間の愚かさ加減を書くのが得意ですな。読んで人間が嫌いになる話が多い。読み終わってもハリウッド映画みたいな爽快感は無い。

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四度目の氷河期

四度目の氷河期四度目の氷河期
(2006/09/28)
荻原 浩

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人生を語るには、早すぎるなんて言わせない。ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした―何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは、ある日死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。その瞬間から、少年の孤独なサバイバルゲームは始まった。「自分」を生きるため、本当に大切なことって何?『明日の記憶』の著者が描く、今ここにいることの奇跡。感動青春大作。17歳の哀しみと温もりが、いま鮮やかに甦る。


第136回直木賞候補作。

父親を持たない少年が主人公。死別や離婚ではなくて、最初から存在しない。他の子供とどこか違うと感じた少年は、シベリアの凍土から発見されたクロマニヨン人“アイスマン”が自分の父親だと思い始める。たった一人のクロマニヨン人として、道具を作り、狩りの練習をする少年。

周囲の登場人物が、腐敗した奴らばかりで、読み進めるとウンザリしてくる。こういう、どこにも行けない閉塞感タップリの物語は、読むと憂鬱な気分に浸れる。不良少年な友人と、小学時代に出会った女の子の存在で、多少は救われる物語になっているものの、やはり重苦しい。どうせなら、本当にクロマニヨン遺伝子を受け継いでいたら良かったのだが……。


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あの日にドライブ

あの日にドライブあの日にドライブ
(2005/10/20)
荻原 浩

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元エリート銀行員だった牧村伸郎は、上司へのたった一言でキャリアを閉ざされ、自ら退社した。いまはタクシー運転手。公認会計士試験を受けるまでの腰掛のつもりだったが、乗車業務に疲れて帰ってくる毎日では参考書にも埃がたまるばかり。営業ノルマに追いかけられ、気づけば娘や息子と会話が成立しなくなっている。ある日、たまたま客を降ろしたのが学生時代に住んでいたアパートの近くだった。あの時違う選択をしていたら…。過去を辿りなおした牧村が見たものとは? 『明日の記憶』著者の最新長編!


第134回直木賞候補作。

題名と、帯の説明から、てっきり『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいに過去に遡って人生をやり直したりするSFかと思っていたのだが、全然違った。別の人生に入り込むのは、中年タクシードライバーの脳内妄想が展開されている瞬間だけなのだ。

糞みたいな銀行を辞めざるを得なくなり、タクシードライバーとなった中年男が主人公である。妻とも会話がなくなってきて、娘には無視されるし、息子はゲームばかりで言う事を聞かないしで、どうにもやるせない状況になっている。せっぱつまって腰掛け就職したタクシー会社も、営業成績が振るわず、もしもあの時ああしていれば……、という脳内妄想に逃避しまくるのである。

前半は、何をやっても上手く行かず、読んでいる自分までが、やるせなくなってくる。そのうち、視点をほんの少しズラして、人生の賽の目が違って来る。とはいっても、劇的に好転するというご都合主義な展開は微塵も無い。

かつて別れた女性の家付近でタクシーを止め、ちょっとストーカーっぽくなっている中年男性は、その場所で長距離客を拾い始め、営業成績が上がりだす。単なる偶然による幸運かと思いきや、そうでは無かった。理由の無い幸運など滅多に無いのである。偶々選ばれただけだという、特に理由の無い不運ならば、あちこちに転がっているが。

最初は嫌な奴らにしか思えなかった家族が結構良い人達で、別れてしまったがために理想化された女性も悪魔な部分があったりと、後半の展開が絶妙である。最後の、泥酔して乗車して来た元上司をいたぶるシーンは、ストレス解消になった。

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なかよし小鳩組

なかよし小鳩組 (集英社文庫)なかよし小鳩組 (集英社文庫)
(2003/03)
荻原 浩

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倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが―。気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。


ユニバーサル広告社の第二弾。またしても馬鹿っぽいコメディ。初期はこういう作品を書いていたんだな。最近のは、重苦しい題材のものが多くて、読み進めるのが苦しいのだが、これは何にも考えずに楽しめるから良い。

いつも火の車で倒産寸前のユニバーサル広告社に仕事が舞い込んでくる。喜んで出かけたら、そこはヤクザの事務所で……。仕事を押し付けた別会社の広告マンは失踪してしまうし、ヤバいものを押し付けられてしまったユニバーサルの面々は、断ることも出来ず、ズルズルとヤクザ絡みの仕事をする羽目に陥る。まあ、あまり裏社会の暗黒面は出て来ず、ユーモアコメディに仕上がっているから不快感は無いけれども、やはりヤクザって存在するだけで釈然としないな。

ちょっとアル中気味な広告マン杉山の娘が良い味を出している。

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オロロ畑でつかまえて

オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)
(2001/10)
荻原 浩

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人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった!ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる―。第十回小説すばる新人賞受賞、ユーモア小説の傑作。


第10回小説すばる新人賞受賞作。

過疎化が進みすぎで行き詰まった日本一の寒村で、青年会が村興し。青年とはいっても、本当の若者がいないので、ちょっと中年入った青年団なのだが。なけなしのお金をかき集めて東京へ。大手広告社へ行くも相手にされず、結局は胡散臭いユニバーサル広告社へ依頼する事になる。ユニバーサルは、ネッシーの真似で偽の恐竜を村の湖にデッチ上げるのだが……。

デビュー作なので、多少、拙い感じは否めないけど、近年の作品のように重苦しいテーマはなく、馬鹿っぽいので暇潰しに丁度良い。軽く読める。

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明日の記憶

明日の記憶 (光文社文庫)明日の記憶 (光文社文庫)
(2007/11/08)
荻原 浩

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知っているはずの言葉がとっさに出てこない。物忘れ、頭痛、不眠、目眩――告げられた病名は若年性アルツハイマー。どんなにメモでポケットを膨らませても確実に失われていく記憶。そして悲しくもほのかな光が見える感動の結末。上質のユーモア感覚を持つ著者が、シリアスなテーマに挑んだ最高傑作。


若年性アルツハイマーに襲われた主人公の悲劇。最初は単なる物忘れかと思ったが、病院で受けた検査の結果、若年性アルツハイマーである事を知らされる。突如として失われてしまった未来、急速に壊れていく自分自身を必死で繋ぎ止めるための絶望的な戦いが始まる。

膨れあがるポケットのメモ、取引先とのアポは忘れてしまうし、行き先が判らなくなり路頭に迷う。やがて部下の裏切りで会社に知られてしまい、使い捨てのごとく閑職へと追いやられてしまう。もっとも、恨むべき裏切り者の顔すら思い出せなくなるという悲劇が待ち構えているのだが。心無い仕打ちである。会社に尽くした結果がこれでは浮かばれまい。会社というものはかくも理不尽で冷たいものであるが、閑職にまわされるだけマシと言えるかもしれない。優良企業でなければ、速攻でクビになるだろうしなぁ。今時は、人間を使い捨てにする会社だらけですから。

この病気が単なる痴呆と異なるのは、ほぼ確実に死に至る病であるという点。海外では回復例も見られるものの、日本においては病の進行を遅らせる薬しか認可されていないという現状。すでに欧米で臨床段階へ入った新薬を、非加熱製剤に懲りてなますを吹きまくる厚生労働省が認可する日は来るのだろうか……。

このドラッグラグ問題、今TVでもやっていた。米国でかかる認可期間は一年半、日本では四年。これが待てない患者も多い。アメリカではすでに治療が始まっているのに、日本では認可されていないがために、無念な思いで死んでいく患者がたくさんいるのだ。いや、無念という言葉では済まされないだろう。アメリカ人として産まれていたら助かったかもしれないのに、日本に産まれてしまったがために死ぬのだ。言い換えよう。日本という国家の不作為(人手が足りないから認可に時間がかかりますという言い訳)によって殺されるのだ。

欧米で不治の病ではなくなる日が来ても、日本では……。
まあ、優等民族と家畜人ヤプーを比べる事自体、おこがましいですが。

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ママの狙撃銃

ママの狙撃銃ママの狙撃銃
(2006/03)
荻原 浩

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福田陽子は一見ふつうの主婦。ある時、「もう一度仕事をしてみないか」??25年ぶりのKからの電話。幼い頃米国に住む祖父の元で暮らした陽子は、祖父からあらゆることを教わった。射撃や格闘技、銃の組み立て・分解。そう、祖父の職業は「暗殺者」だったのだ。


41歳の専業主婦、福田曜子。一見、平凡な中年女性だが、その正体は……。うーむ、なんか微妙だなぁ。幼少の頃からシリアル・キラーとして過ごしてきた凄腕で冷酷無比な殺人マシーンみたいなのを予想していたのだが、実際のところ、組織の不手際で一度暗殺を手伝わされただけなのである。祖父に射撃を教えてもらっていたので、腕は一流だが、これではプロじゃなくて単なるアルバイトじゃないか。

ダメな旦那、虐められっ子な娘、聞かん坊な息子を抱えつつ、家計を助けるため、日本国内で再び隠し持った銃を手に取るというのが……。組織から家族を守るために大統領候補を暗殺しても許されるものだろうか?

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僕たちの戦争

僕たちの戦争 (双葉文庫)僕たちの戦争 (双葉文庫)
(2006/08)
荻原 浩

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2001年9月12日世界貿易センタービルに旅客機が突っ込んだ翌朝も尾島健太(19)は、テレビの臨時ニュースや新聞には目もくれず、一人サーフィンに出かけた。バイトをクビになりガールフレンドのミナミとも喧嘩中で会えないからだ。しかし、大波に呑まれた健太が目を覚ますと、そこは1944年だった!1944年9月12日霞ヶ浦飛行場から飛び立った石庭吾一(19)は、「海の若鷲」に憧れる飛行術練習生だ。しかし、操縦を誤って海に墜落してしまう。蘇生した吾一が目覚めたのは、なんと2001年だった…。根拠なしポジティブのフリーターとバリバリの特攻隊員が入れ替わり―どうなる、ニッポン!?愛と青春のタイムスリップ・ウォー。


時空転移物ですが、2001年のだらしないフリーターがサーフィンの途中で何かに飲み込まれて1944年の太平洋戦争下へ。1944年の飛行兵が墜落したら2001年の未来世界へ。主人公が二人いるのだ。だから題名も複数形。果たしてダメ男は戦死せずに未来へ戻れるのか? 兵士は自らの運命を知りつつも過去へ戻るのか?

押入れのちよ」よりは良かったけど、結末がちょっと……。あともう少しのところでぶった斬って、最後の最後を読者に委ねるとは。どうなったのか書かれていない。

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押入れのちよ

押入れのちよ押入れのちよ
(2006/05/19)
荻原 浩

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今ならこの物件、かわいい女の子(14歳・明治生まれ)がついてきます…。幽霊とサラリーマンの奇妙な同居を描いた表題作ほか、「木下闇」「殺意のレシピ」「介護の鬼」など全9話を収録した、ぞくりと切ない傑作短編集。


期待していたのだが、ハズした。ぞくりとせつない物語とキャッチついているけど、怖くもせつなくも無かった。読んでいて、人間に対する不快感が増幅するような話が多い。まあ、人間の卑しさはよく現れているけれど。下手じゃないけど、後味悪い話が多すぎて、今後も荻原浩を読むかどうかは微妙。他のは面白いのかね?

表題のちよも怖いというよりは哀れ。なんだか存在感ありすぎで、幽霊というよりは座敷童子みたいだ。

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