伊藤たかみ

攻略対象書籍は以下。

助手席にて、グルグル・ダンスを踊って』★★☆
17歳のヒット・パレード(B面)』★★☆
卒業式はマリファナの花束を抱いて』★★★
ロスト・ストーリー』★★★
ミカ!』★★★
『リセットボタン』
『アンダー・マイ・サム』
ミカ×ミカ!』★★★
盗作』★★★
指輪をはめたい』★★★
雪の華』★★★
ぎぶそん』★★★☆
八月の路上に捨てる』★★★
ドライブイン蒲生』★★★
フラミンゴの家』★★★☆
カンランシャ』★★★★
海峡の南』★★★
誰かと暮らすということ』★★★☆
『そのころ、白旗アパートでは』
『お別れの、そのあとで』
秋田さんの卵』★★★


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秋田さんの卵

秋田さんの卵秋田さんの卵
(2012/03/09)
伊藤 たかみ

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K病院・内科病棟の十号室。謎の血尿で入院中、しかしそれ以外に取り立てて不健康なところのない木戸俊二は、同じようにヒマを持て余している内科病棟の患者たちと、他愛も無い世間話をして過ごしていた。そんな彼らの専らの話題と言えば、いまはもう廃止された“付添婦”の<秋田さん(本名不明)>のこと……。生と死が通り過ぎていく場所の、刹那的な日常を軽妙に綴った表題作ほか、幻の傑作「ボギー、愛しているか」を併録。


第134回芥川賞候補作「ボギー、愛しているか」収録。

表題作は血尿で入院中の男が、金持ちの付添婦をしている秋田さんの噂話で盛り上がったり、勝手な想像をしてみたり、話しかけたりするだけの、どうでも良い感じの話だった。登場人物は秋田さんネタで盛り上がっているが、秋田さんはおばさんなので読んでいてちっとも盛り上がらない俺ガイル! どうせなら、秋田さんじゃなくて亞北さんだったら良かったのに(をいっ!)。

幻の傑作かどうかはともかく、芥川賞候補作になりながら、ずっと読めなかった「ボギー、愛しているか」が併録されているのが良かった。駄目系人間二人の話だったが、思い出話にしか出てこないボギーが変わっていて面白い。

いなくなったボギーから預かったままのお金で、W島に行こうと誘って来る加藤。W島と誤魔化されてはいるが、何処なのかはすぐ分ってしまうよな。最初は乗り気じゃなかった飯島だったが、妻や義母との旅行が嫌で、加藤のW島旅行に付き合う事に。

離婚して壊れかけの加藤だけでなく、主人公の飯島もかなり駄目男である。悪妻でも無いのに、自分が勝手に妻と関わる事を避けて逃げているだけ。しかもボギー人格になって妻のブログに出入りしたり、ボギー視点で自分のブログ書いたりと、酷い奴だな。逃避旅行は、加藤が酔っ払ってグダグダのまま終わってしまったけど。

事情により登場しないボギーも普通じゃない。クラスの不細工女に惚れてしまい、ひたすら告白して玉砕しまくる人生。美少女ならともかく、不細工にすら相手にされず、しかも一度だけじゃなくて何度も告白して振られまくりなのが哀れである。不細工で地味だけど性格が良い子ならまだしも、ボギーだけスルーして、他の男とは寝まくるビッチ設定だから酷すぎる。ボギーの身に何が起こったのか分からんけど、バッドエンドで全米が泣いた。


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盗作

盗作盗作
(2003/06/13)
伊藤 たかみ

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自殺した親友が残したフロッピーと彼の名を使って僕は作家になった。ある日突然何も書けなくなった僕は、彼が生きているのかと疑い、死の真相を追い始める。生と死のパラレルワールドを潜りぬけて神を殺す小説家の物語。


普通の作家だと手抜きっぽいどうでも良い話のほうが面白くないのだが、伊藤たかみは力作のほうがつまらないなぁ。題名が『盗作』だから、作家が誰かの作品をパクってぐだぐだになる系統の話かと思ったら全然違った。

引き篭もりの友人が自殺する直前に送ってきたフロッピーには、荒削りの作品が入っていた。それを主人公が改稿して仕上げ、受賞して作家となっている。友人の死を追ううちに、かつての同級生だった洋子と再会するのだが、謎の美少女が乗っていた車に轢き殺されて埋められた筈の飼い犬が生きていたり、当時の美少女にそっくりの人物が現れたり、洋子の亭主が突然DV男と化したり、だんだん訳が分からなくなって来る。

友人の死に関して、何が知りたいのかよく分からないままに、淡々と盛り上がらない退屈な話が続く。だんだん、現実と虚構がごちゃまぜになって来て、何が何だかよく分からないまま終わってしまった。


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誰かと暮らすということ

誰かと暮らすということ誰かと暮らすということ
(2009/10/30)
伊藤 たかみ

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当たり前の幸せは、当たり前そうに見えれば見えるほど手に入れにくいものなのです。うまく気持ちを伝えられない不器用な男女、倒産寸前の店を抱える夫婦、離婚してひとり暮らしを始めた女性…ひとつの町に浮かび上がる、著者新境地のハートウォーミング・ストーリー。


最近、刊行ペースが上がっているけど、またしても芥川賞関連作品は入っていないんだね。いつになったら書籍化されるのだろう。

八篇入っているのだが、最初の「セージと虫」を読み終えた時点では、喪男と喪女のどうでも良い微妙な話で、しかもフラグが立たないので、あまり面白くなかった。

しかし、二話目の「子供ちゃん」で、登場人物が絡む形の連作となっている事に気づき、面白くなり始める。とは言っても、全部が別の主人公という訳でもなく、最初に出てくるセージと虫の登場回数が多い。

七話目がハッピーエンドな感じで終わったのに、最後にある表題作「誰かと暮らすということ」が、離婚して一人暮らしを始める女性の話になっていて、ちょっとバッドエンドな感じで萎えた。

この話だけ余計な感じがするよなぁ。せめて、時系列ごちゃまぜにして、最初に持ってきて上手く繋いでくれたら、七話目の「サラバ下井草」で気分良いまま読み終える事が出来たのに。

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17歳のヒット・パレード(B面)

17歳のヒット・パレード(B面) (河出文庫)17歳のヒット・パレード(B面) (河出文庫)
(2006/10/05)
伊藤 たかみ

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「失望したときには、オレと一緒に死んでみる?」「退屈だし、別にいいよ。夏の間なら」―僕らは18歳にならないと思っていた。これ以上、成長するなんてウンザリだ。海辺で出会い、バイクで夏をかけぬけた17歳のココとレン。ふたりのあてもない旅の行く先は…。芥川賞作家による傑作青春小説。


もっと軽快な青春小説なのかと思ったら、死ぬために夏の海に来た青年が、電波さんと出会う痛い話だった。お互い、自分の名前は名乗らず、電波さんが勝手につけた名前で呼び合う。死ぬ予定の男がレン、頭のネジが吹っ飛んでいる女のほうがココである。

ココは何でもかんでも物々交換しようとするのだが、生きた赤ちゃんとショボい品物を交換したがったりして、かなり頭がアレな子になっている。文章そのものは軽快なのだが、ミステリーでもないのに、人が死にすぎる。

浜辺で知り合ったおばさんが急死するのに、そのまま通報もせずに逃亡するなんて、酷い奴らである。ボーリング場(※1)で知り合った若者に誘われてパーティーへ行けば、また被害者が出るし。さらに逃亡を続け、追いかけてきたおじさんを、いきなり撲殺? そして最後は!?

なんというか、ココが電波すぎて引くのだが、物々交換しようと持ち歩いていた薬入りの瓶が怪しいんだよなぁ。偶然にしては、関わった人が二人も死んでいるし、ひょっとして中身はドイツ製の薬ではなくて……。
 
 
※1
ボーリング場に関しては私の打ち間違いではないです。本文に、ボウリング場じゃなくてボーリング場と書いてあるんだもの(汗)。但し、実際に読んだのは単行本なので、修正されている可能性アリです。

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助手席にて、グルグル・ダンスを踊って

助手席にて、グルグル・ダンスを踊って (河出文庫)助手席にて、グルグル・ダンスを踊って (河出文庫)
(2006/09/05)
伊藤 たかみ

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僕たちは若くて子供で、間違いなく生きていた―高三の夏につきあい始めたぼくとミオ。文化祭のミスコン話で学校中が盛り上がる中、ぼくの家には父さんの新しい恋人、シーナさんがやってくる。赤いコンバーチブルに乗って青春をグルグル回りつづけたぼくたちの夏の行方は…。芥川賞作家の鮮烈なデビュー作。


第32回文藝賞受賞作。

芥川賞作家の鮮烈なデビュー作。 鮮烈かどうかはともかく、これが伊藤たかみのデビュー作である。神戸の町が描かれているらしいのだが、日本国内が舞台にしては、非常に嘘っぽくて違和感がある。

住んでいる人々は山手と言われる金持ちゾーンと、西区と呼ばれる庶民ゾーンに分かれている。日本はアメリカほど、階層によって住む町が違ったりせず、モザイクな感じになっているのだが、神戸周辺には結構、こういう金持ちゾーンがあったりする。

山手グループは自分専用の高級車を持っていて、綺麗な女子を呼んで酒を飲み、ホームパーティーを開いたりしている。それって、何処のアメリカやねん! 「免許を取らせない」「買わせない」「運転させない」という三ない運動が流行っていた頃だけど、金持ち高校は車に乗っても良かったのかな?

山手と西区は対立しており、主人公は山の手に属するハイソサエティ集団の一人である。こいつも高校生なのに、自動車を乗り回し、飲酒しまくりである。パーティにお呼ばれすれば、そこはプール付きの豪邸だったりする。

ボンボン主人公の彼女は西区出身なのだが、モデルもやっており、今年のミス・コンの座を揺るがしそうな存在である。そのモデル彼女相手にチャラチャラしているだけの話なので、どうでも良い感じの小説だった。

もしかしてこれは神戸じゃなくて、カリフォルニアかどこかと間違えているんじゃなかろうか。60~70年代のアメリカを舞台にした青春小説としか思えない内容だった。何十年か前のアメリカン・ホーム・ドラマで、こんな感じのやつが結構あるじゃないか。日本に当てはめると、最初から最後まで嘘臭い話だった。

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海峡の南

海峡の南海峡の南
(2009/09/15)
伊藤 たかみ

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父は、何を得て、何を失い、なぜ消えたのだろう?北海道を捨て、ナイチを捨て、家族を捨てた、でたらめな男。それが僕の父だった―。北海道と内地。父と息子。遠くて近い、ゆらぐルーツと奇妙な繋がりの物語。


またしても新作の長編だった。未収録の芥川賞候補作はいつ書籍化されるのか……。

北海道を捨てて関西へとやって来たものの、そこでもロクでもない商売ばかりして、結局は定住出来ずに失踪してしまった父を持つ息子が主人公。

現在は、祖父が危篤状態なので、北海道へ来ているのだが、少年時代を過ごした神戸や大阪の話が交互に展開され、時系列が行ったり来たりするので読みにくい。

北海道へは、はとこの女と一緒に訪れる。表面上は親戚という事になっているが、実際には男女関係になっている。

過去部分では、怪しげな色気で父を絡め取る美女の娘が出てくるのだが、母親に似て娘もどこかおかしい。主人公と初めて出会った時、その少女は……。ぱんつはいてません! 何でパンツはいてないのか謎である。

どうでも良い内容なのだが、パンツはいてない美少女が強烈に印象に残った(笑)。

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指輪をはめたい

指輪をはめたい (文春文庫)指輪をはめたい (文春文庫)
(2006/11)
伊藤 たかみ

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前の彼女に振られてから、30歳になるまでに結婚して見返してやるのだと誓っていた僕。指輪も買った。誕生日も近い。しかし、転んで頭を打ち、いったい誰にプロポーズしようとしていたのか肝心の記憶だけを失ってしまう。僕の本当の相手は誰?大人になりきれない29歳・オトコの結婚観をチクリと描きだす。


三十路突入前にプロポーズしようと決めていた男。しかし、頭を打ったショックで、プロポーズする相手が誰だか分からなくなってしまう。この男、とんでもない事に、同時進行で三人とつきあっているという軽薄人間。それぞれタイプが違って、後の方で絶妙な分類がなされるのだが……。

半ば、前の彼女へのあてつけのような感じで、何としてでも三十路前に結婚したい。しかし相手が分らないというおバカな事になってしまうのだが、この手の物語はマルチエンディング方式でも採らない限り、どう転んでもグダグダになるんだろうなぁと思いつつ……。

途中から謎の15歳が付きまとってきて、最後はファンタジーだかSFだか分らない微妙な投げ方で濁してしまう。うーん、これは巻き戻しですか。イマイチ評価をされているのは、やはりアンフェアだからだろう。推理物に例えるなら、この三人が容疑者ですという前提なのに、四番目が犯人でしたと言われるようなものだからなぁ。

男の幼さは、あまり気にならず。20代の男なんて、大抵は学生に毛が生えた程度だと思うぞ。むしろ、その歳でヤング島耕作みたいにデキた奴がゴロゴロいたら、そのほうが驚く!!

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卒業式はマリファナの花束を抱いて

卒業式はマリファナの花束を抱いて卒業式はマリファナの花束を抱いて
(1997/05)
伊藤 たかみ

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エミリはパパの再婚相手が連れてきた綺麗な女の子。私はひと目で彼女を好きになった…。血のつながらないサラとエミリの姉妹のあいだに生まれた不思議でせつない恋。卒業式を前にクスリに溺れる少女たちの見えない未来を描く。


一緒に暮らすサラとエミリは血が繋がらないが、血よりも深く結ばれている。本当の双子か、或いはソウルメイトかと思う程にベッタリなのだが、エミリの方は薬物に汚染されて廃人寸前。

お互いに惹かれて百合っぽくなる部分もあるのだが(というか思いっきり百合部分もある)、ドラッグネタだけに、結末が見えるようで嫌だなぁ。売人に貰ったモノの中にマリファナどころではないのが混じっていて……。

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カンランシャ

カンランシャカンランシャ
(2009/06/23)
伊藤たかみ

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夫婦でいるとか、恋人でいるとかって、本当はどういうことなんだろうな。不動産会社に勤める瀬尾隆一は、大学時代からの先輩・蛭間直樹の妻・いずみのことが気になっている。いずみから直樹が浮気をしているのではないか、と相談を受けたのがきっかけだった。自身の妻・信子とは2年前から別居中で、すでに愛情は枯れてしまっている。次第に距離を縮めてゆく二人だが、失うには大きいものが多く、なかなか踏み込めない。そんな関係が煮詰まってきたある日、直樹が病院に運ばれた―。


芥川賞関連で、まだ書籍に入っていないのがあるので、今度こそ入るかと思ったら、またしても違った(汗)。表題作のみの長編で、不倫の物語。

夫に女の影を感じた妻が、夫の後輩に相談するうち……、というありがちな展開をしてしまうのだが、後輩も自分の妻が浮気をして別居中という複雑な人間模様を描く。転がり始めた人間関係は、もう二度と元には戻らない。

後輩の浮気妻は自業自得だから仕方無いとして、残りの人々は落ち着くべき場所に立ち位置を変えた感じなので、一応はハッピーエンドに近いか。それにしても、何としてでも男を手に入れようとする不倫相手の覚悟は凄い。

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ロスト・ストーリー

ロスト・ストーリー (河出文庫)ロスト・ストーリー (河出文庫)
(2006/11/03)
伊藤たかみ

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僕と兄(アニー)とアニーのかつての恋人ナオミの3人暮らしに変化が訪れた。ある日ナオミが失踪し、僕は彼女を探し始める。「失くした物語」を取り戻すために旅する人々に訪れた試練の季節を描く。


ある女性が失踪するのだけど、別に事件に巻き込まれている訳でもなく、自分で勝手にいなくなっているだけ。その理由がなかなか分からないままに、元彼氏である主人公の兄(アニー)と、現在の彼氏である城戸、そして失踪したナオミの妹晴美の四人が奇妙な日常が幕を開ける。

飼い猫の謎の死、正体不明の少年、アニーの失踪、謎の松葉杖男、普通の人は知らない隠された駅のホーム、面白くなりそうな謎めいた要素たっぷりなのに、話が盛り上がらず謎が謎のまま捨て置かれるもどかしさ。

日常にほんの少しファンタジー要素が混じっているけど、明かされない部分が多すぎて、霧がかかったままで何も見えないような後味の悪さ。伊藤たかみの中では力作のはずなのに、美味しそうな料理を食べてみたら思った程美味くなかった時の様なハズレ気分になるのは何でだろう……。

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フラミンゴの家

フラミンゴの家フラミンゴの家
(2008/01)
伊藤 たかみ

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南口の「さかえ通り」商店街で、実家のスナックを手伝うバツイチ男。元妻が入院したため、離婚以来会っていなかった思春期の娘を預かることに。だがなかなか親子の距離は縮まらず、それどころか娘に手をあげてしまう…。


芥川賞受賞後の長編第一作目。

かつての妻が病に倒れ、長い間会っていなかった娘を預けられてしまった男。商売人の家庭に生まれ、出戻った実家が経営するスナックを任されているのだが、自分に商才が無い事には気づいている。

娘が打算的で、最初は子供らしくない凄く嫌な子に見えるのだが、両親が商売人の血筋なので、仕方が無いかもしれない。最初は、母が助からなくても父のところにだけは来ないと思うのだが、この性格は父の実家によく合うと思う。

悪化の一途をたどる元妻の病状。相手の恋人はここ一番という時に役立たずで、意外にヘタレだった。父は駄目人間っぽいけれども、やる時はやる。でも、一番強かったのは、自分の死期を悟り、娘のために全てを準備していた母親だろう。

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ドライブイン蒲生

ドライブイン蒲生ドライブイン蒲生
(2006/07/17)
伊藤 たかみ

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「お姉ちゃん、これ浴びたら不死身になることにしよっか?」馬鹿の家に生まれたおれと姉の、かすけた血の物語。新・芥川賞作家の最高傑作!芥川賞候補作「無花果カレーライス」他収録。


第133回芥川賞候補作「無花果カレーライス」収録。

帯に「芥川賞作家の最高傑作」なんて書かれていますが、この程度で最高などと言われてしまっては、もう先が無いのではなかろうかと心配になってくる。文章自体は高水準だし、悪くはないのだけど、売りたいからと安易に「最高傑作」なんて言い切ってもいいのだろうか?

表題作の「ドライブイン蒲生」が一番良かった。駄目な父親の元で育った姉と弟は、大人になってからも何となく胡散臭い。親は無くても子は育つが、やはり成長するまでの環境って大切だと思うんだよな。子は親を選べないし、例えどうしようもない人であっても、その遺伝子を受け継いでいるという時点で、完全に他者となる事は出来ないのである(残念な事に)。

芥川賞候補となった「無花果カレーライス」は、さらに人間関係が壊れた物語だった。ヒステリーで暴力的な母親と、虐待されているのか逆に母を追い詰めているのかわからない少年の歪んだ関係。最後には母親のほうが壊れてしまうのだが。

最後は「ジャトーミン」という意味不明な題がついた話。何かと思ったら、ジャトーミンは父親の事だった。父親が学生の頃から使っている蛇冬眠という俳号なのだ。この父親も、あまり出来た人ではなくて、子供を連れたまま愛人に会ったりする。

全部に、ロクデナシな親が出てくるし、子供もカエルの子は……と言った感じなのだが、登場人物がどれも人間臭くて憎めないのである。

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八月の路上に捨てる

八月の路上に捨てる八月の路上に捨てる
(2006/08/26)
伊藤 たかみ

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暑い夏の一日。僕は30歳の誕生日を目前に離婚しようとしていた。愛していながらなぜずれてしまったのか。現代の若者の生活を覆う社会のひずみに目を向けながら、その生態を明るく軽やかに描く芥川賞受賞作!他一篇収録。


第135回芥川賞受賞作。

選考委員の評価は芳しくないようだが、「ハリガネムシ」や「介護入門」という地雷を踏んだ後では、ごく普通なだけで許せる気がする。

付き合っていた彼女とズルズル続いて結婚してしまったはいいが、お互い夢に潰されていく過程で、現実も崩壊して離婚に至る。愛だ恋だと浮かれてみても、所詮は生活基盤がしっかりしていないと世迷言にすぎませんから。夫婦関係が壊れてしまうのが痛々しいが、リアルタイムではなくて、物語においてはすでに離婚寸前の状態となっている。自販機に飲料を補充するバイトで糊口をしのぐ主人公男、一緒にルートを回る女性もバツイチで、二人の会話が漫才っぽいから、深刻な状況も読み進めて重苦しくならない。

もしも金に困らない生活基盤があれば、きっとこの二人は離婚に至らなかっただろうと思うとやるせなくなる。ヘタレ男は結婚してはいけない。

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ミカ×ミカ!

ミカ×ミカ! (文春文庫)ミカ×ミカ! (文春文庫)
(2006/08)
伊藤 たかみ

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「女らしいってどういうこと?」ある日突然、男勝りのミカがユウスケに聞いてきた。青いインコによれば、ミカはどうやら振られてしまったらしい。恋をして変化するミカに戸惑うユウスケ。そんなユウスケにも告白してくる女の子が現われて…。中学生になった双子の日常を爽やかに描く「ミカ!」第二弾。


ミカの続編。親が離婚してミカ達は父親について引越しした後の話なのだが、直接繋がっているわけでもないので、これ単品で読んでも問題は無い。

今回は鳥が出てくるけど、正体不明生物は出ない。またしても双子の日常なので、とりたてて意表をつくような展開は期待してはいけない。オトコオンナだったミカにも、少しずつ色気が出てきた。

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ミカ!

ミカ! (文春文庫)ミカ! (文春文庫)
(2004/04/07)
伊藤 たかみ

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活発で男まさりのミカ。スカートなんてイヤ!おっぱいなんていらない!思春期の入口にたつ不安定なミカを、双子のユウスケがそばで見まもる。両親の別居、姉の家出、こっそり飼っていた「オトトイ」の死…。流した涙の数だけ幸せな未来が待っている。第49回小学館児童出版文化賞受賞作。


大人気なのか、いつでも誰かが借りていて、いままで借りられなかったのだが……。いつも貸出中だったので、かなり面白いのかと期待していたのだが、ごく普通の児童書であった。悪くはないのだけど、オトトイという名の正体不明生物が出てくる事以外は、双子姉弟の日常でした。

女になりたくないオトコオンナのミカと、その弟の日常生活。事件が起こる訳でもなく、淡々と過ぎて行く日々の出来事。小学生が読んだら面白いと思うけど、今となってはなぁ……。

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ぎぶそん

ぎぶそん (teens’best selections)ぎぶそん (teens’best selections)
(2005/05)
伊藤 たかみ

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中2のガク、かける、マロ、リリィは、バカやったり喧嘩したり恋をしたり。そんな4人が、ガクの熱意に押されてバンド練習を始めて…。14歳、それぞれの音がはじけて響く! 胸が痛くなるほど鮮やかでフレッシュな物語。


ガンズ・アンド・ローゼスにあこがれる中学生達の青春小説? これ、図書館では児童書として、お子様向けコーナーに並べられていたのだけど、違うよね。

2005年に発行されているのに、話の中身は昭和63~64年(平成元年)だし。ガンズ・アンド・ローゼスが世に出てきたばかりだし、ファミコンでアイスクライマーやってたりするし。児童向けの文体で書かれてはいても、ターゲットとなるのは今現在の中学生ではない。

当事その年頃だった人々、即ち、今はもう三十路を過ぎたおじさん、おばさんが対象なのだと思う。大阪出身でバンド活動していた人ならさらに良し。過ぎ去りし青臭かった時代へ想いを馳せ、ノスタルジックな気分に浸れる事でしょう!? 

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雪の華

雪の華 (ハルキ文庫)雪の華 (ハルキ文庫)
(2006/10)
伊藤 たかみ

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川上優は、ある日街のなかで懐かしい「形」に出会う。それはもうこの世にはいない、京子の形と全く同じものだった。優は生まれつき特殊な感覚をもっていた。それは共感覚と呼ばれ、全ての匂いを視覚的に形として認識してしまうもので、指紋のように同じ「形」は存在しないはずだった。優が我を忘れて京子と同じ「形」を追いかけていくと、そこにいたのは高校時代の親友・霧島と見知らぬ女の子だった…新芥川賞作家が描く不思議で切ないラブストーリー。


表紙のデザインが良かったので借りてみた。正直、芥川賞系作家はショボイのが多いので、あまり期待していなかったのだが、意外に上手く書けてるじゃないか。どうせ中身スカスカな恋愛物だろうと思っていたら、ちょっとヒネリが効いていて良かったです。

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