池上永一

攻略対象書籍は以下。

バガージマヌパナス』★★★★
『風車祭』
『復活、へび女』
『レキオス』
夏化粧
『ぼくのキャノン』
『シャングリ・ラ』
『テンペスト』
『トロイメライ』
『統ばる島』
『唄う都は雨のち晴れ トロイメライ2』


エッセイ
『やどかりとペットボトル』
『王様は島にひとり』


『復活、へび女』=文庫改題『あたしのマブイ見ませんでしたか』



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夏化粧

夏化粧 (角川文庫)夏化粧 (角川文庫)
(2010/05/25)
池上 永一

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産婆のオバァのまじないによって姿を見えなくされてしまった愛する息子。末婚の母、津奈美は命をかけて井戸に飛び込み、“陰”の世界へと向かう。他の人間にかけられた「七つの願い」を奪うことで、息子の姿を取り戻すのだ…。美しい島の自然を背景に、若き母親の一途で壮絶な愛を描いた、ファンタジーの傑作。


一昔前の直木賞候補作みたいな感じの地味な題名で、かなり損してる気がする。まったりとして退屈な大衆文学系の話かと思ったら、息子にかけられた産婆の呪いを解くために母親が陰の世界に行って戦うファンタジーだった。

神の道具すら作れるようになってしまったオバァが島民の子供達を取り上げる度に、とんでもないまじないをかけまくっていたせいで、みんな大変な人生になってしまう。悪人になって捕らえられる呪いや、離婚しまくる呪いや、何やっても上手く行かない呪いのせいで、みんなが踏んだり蹴ったりな人生に。

主人公となる母親は、息子が見えなくなる呪いをかけられてしまい、他人には認識できない子にされてしまう。自分にしか見えない子なので、この世に存在しないも同然。ある日、井戸の神の姿を見てしまい、息子を救う方法を授かる。他人から七つの願いを奪えば、息子を取り戻す事が出来ると知り、陰の世界に飛び込む事となる。

他人の人生から何か大切なモノを奪わなければ、息子を救う事が出来ない。赤の他人ならともかく、自分にとって大切な人々も、奪う相手に含まれているのがやるせない。そして最後には……。ご都合主義的ハッピーエンドで終わらない、辛口ファンタジーで驚いた。このエンディングはキツいな。母の壮絶な愛に、全米が泣いた!


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バガージマヌパナス―わが島のはなし

バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)
(1998/12)
池上 永一

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「ワジワジーッ(不愉快だわ)」ガジュマルの樹の下で19歳の綾乃は呟く。神様のお告げで、ユタ(巫女)になれと命ぜられたのだ。困った彼女は86歳の大親友オージャーガンマーに相談するが…。あふれる方言、三線の音、沖縄の豊かな伝承を舞台に、儚い物語の幕が上がる。第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。


第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

この賞は、本当にファンタジーっぽくない作品だらけだな。個性的な作品が多いから、変な話を読みたい人には都合が良いけど。

石垣島が舞台だから、南の離島へ旅立ちたくなる。何も考えず、潮風に吹かれながら南の島でゴロゴロしたい。蟻か何かの消耗品のように働きまくる日本人よりも、この物語の主人公のようにゆったりと日々を過ごしている人々のほうが精神的には遥かに豊かだと思う。

高校を卒業してからも好き放題に生きる美少女綾乃。近所の婆さんとつるんで悪戯もし放題。そんな彼女が神託を受け、ユタ(巫女)になれと神から言われてしまうが、面倒臭いので頑なに拒否。業を煮やした神は、天罰を与えまくって脅しをかける。なんだか、すごく人間臭い神だな。

ちょっと方言で書かれている部分が多くて読みにくいけれども、標準語のままだと、きっとこの物語の魅力は半減してしまう。ちゃんと標準語訳もついているから、気にせず読むべし。


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