米澤穂信

攻略対象書籍は以下。

古典部シリーズ
氷菓』★★★☆
愚者のエンドロール』★★★☆
クドリャフカの順番』★★★☆
遠まわりする雛』★★★☆
ふたりの距離の概算』★★★☆

小市民シリーズ
『春期限定いちごタルト事件』★★★★
『夏期限定トロピカルパフェ事件』★★★★
『秋期限定くりきんとん事件』★★★★

犬はどこだ』★★★★
さよなら妖精』★★★★
ボトルネック』★★★
『インシテミル』★★★☆
『儚い羊たちの祝宴』
追想五断章』★★★☆
折れた竜骨』★★★★


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折れた竜骨

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)
(2010/11/27)
米澤 穂信

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ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、“走狗”候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年―そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ?魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場。


読み終えた人の反応が分かれていると思ったら、ファンタジーなのにミステリーという異色な組み合わせだからか。物語の舞台は十字軍が遠征していた頃の欧州。獅子心王リチャード一世やアイユーブ朝のサラディンが活躍していた時代なので、完璧なファンタジー世界ではないのだが、魔術が実在するという設定なので、ファンタジーになっている。

ソロン諸島の領主が暗殺され、娘のアミーナが東方からやってきた騎士ファルクの助けを借りて、犯人を突き止めて行く。騎士ファルクはトリポリの聖アンブロジウス病院兄弟団に所属しており、魔術の暗黒面に堕ちて暗殺騎士と化した同胞を倒すために旅をしている。

犯人探しは普通のミステリーとさほど変わらないのだが、魔術によるオリジナル・ルールが加わるので、何でもアリな感じになるなぁ。ミステリー風のファンタジーとして読めば問題無いけど、通常の設定では不可能なトリックだらけなので、ミステリー読みだと微妙に感じるかもしれない。

犯人探しの最中に、呪われて不老化したデーン人が攻め込んでくるし、傭兵が持ち込んだ巨人兵器は本当に動き出すし、もう普通にファンタジーで良かったのに。

ゲーム世代は魔法が出てきたら何でもファンタジーにするとかいう意見があったけど、謎解きがあれば何でもミステリーなのかと問いたい。例えば密室殺人のトリックが瞬間移動魔法だったとか、生き残りの中に犯人がいなくて実は最初に自殺した人がアンデッド化して他の人を殺してましたとかでもミステリーになるのか?

やはり通常の世界とは違うルールが加味されている場合は、ミステリオタクがいかに理屈を捏ねくり回そうと、正統派じゃないと思うけどな。だいたい、魔法が出てきているのは確かなのだから、どう読もうと人の勝手だろう。


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ふたりの距離の概算

ふたりの距離の概算ふたりの距離の概算
(2010/06/26)
米澤 穂信

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春を迎え、奉太郎たち古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げてきた。入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は長距離を走りながら新入生の心変わりの真相を推理する!


古典部シリーズ第五弾。新入生、大日向友子が古典部に正式入部せず去っていた理由を主人公が推理し、真実に迫る。犯罪者役となる新入生が心変わりした理由がが、傍から見れば非常にショボい。この程度の悩みなど、生きていれば誰でも抱え込んでいるレベル。

正式入部締切日となるマラソン大会当日、ホータローが走りながら(かなり歩いてますけど)過去の出来事を思い出すという形式なので、時系列は行ったり来たりする。その辺も上手く出来ているので混乱はしないけれども、知られたくない事実がショボいから、シリーズの過去作と比べて面白さが足りないし、読後感は「インシテミル」くらい悪かった。

青春物として読めば上手く出来ているのかもしれないが、つまらない事でグダグダ悩んだ挙句、勝手に誤解して去って行くというのは、どうよ? せめて、他者に触れられたくない過去が、殺人事件とかであれば、怯え、隠蔽しようと画策しても妥当だったのだけど。


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追想五断章

追想五断章追想五断章
(2009/08)
米澤 穂信

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古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。二十二年前のその夜何があったのか?幾重にも隠された真相は?米澤穂信が初めて「青春去りし後の人間」を描く最新長編。


大学を休学し、古書店を経営する伯父さんの居候となっている青年が主人公なのだが、淡々としたままで盛り上がらない。

ある日、店を訪れた北里可南子に、父が書いた五つの小説を探して欲しいと依頼されるのだが、店主である伯父には内緒で勝手に受けてしまう。お金が必要だからとはいえ、そんな姑息な事をしてもすぐバレるだろうに。

北里可南子の父が遺した小説は、リドルストーリーとなっており、結末だけが欠落している。そして、最後の一行は北里可南子のもとに。この作中内小説が、どれも気取った純文学風の嫌味な文体なのだが、それでも最近の芥川賞候補作なんかよりは完成度が高い。

五編の小説を追っていると、アントワープの銃声と呼ばれる事件の秘密が見えてくる。リドルの解答にもう一段階、秘密が隠されていたりと、なかなか凝っている。しかし、最後の最後まで、真実は明かされないままで終わってしまった。

依頼中に見つからなかった五編目に残された一文「すべてはあの雪の中に眠っていて、真実は永遠に凍りついている」に秘められたかのように、この物語全体が大きなリドルストーリーとなって終わっている気がする。

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さよなら妖精

さよなら妖精 (創元推理文庫)さよなら妖精 (創元推理文庫)
(2006/06/10)
米澤 穂信

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一九九一年四月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。


ユーゴスラヴィアからやって来た女の子は、この作品で登場した。別の作品を読む前に、ガセネタで釣られたからなぁ(笑)。まあ、この物語に出てきたのはマーヤさんで、クドリャフカさんじゃなかったけど。

ユーゴスラヴィアという国が解体し、世界から消滅していく頃の物語だった。今の中学生が、まだ生まれていない時代じゃないか……。日本にやって来たけれども、アテにしていた知人が死んでいて路頭に迷っていたマーヤさんと雨の日に出会った二人の高校生。彼らは旅館をやっている同級生に頼んで、マーヤさんを住まわせる事に成功する。

物語が始まった時点で、すでにマーヤさんは帰国しており、過去を振り返る形で物語が進む。過去パートは日本を学ぼうとするマーヤさんとの何気ない日常になっている。現在部分では、危険地帯となってしまったユーゴスラヴィアの、一体どこにマーヤさんが戻ったのかを推測するのだが、過去のさりげないシーンや言葉がキーワードになっていたりするので、ちゃんと読まなければならない。

ユーゴスラヴィアの事など何にも知らない高校生視点で物語が進むのだけれども、読み手のほうが、相当深い部分まで資料を読みこんでいたので、途中に鏤められたヒントもほぼ判ってしまったのが……。当時の情勢を鑑みて、こういう結末になりそうな気はしていだのだけど。

参考文献リストの書籍は、語学関係以外全部読んだ事あります。この物語は、ユーゴスラヴィアって何? それどこ? ぐらいに知識が無い人のほうが楽しめるかもしれないね。

人類の愚かさ故、人類が存在する限り、戦争が根絶される事は無いのだろうな。

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犬はどこだ

犬はどこだ (創元推理文庫 M よ 1-4)犬はどこだ (創元推理文庫 M よ 1-4)
(2008/02)
米澤 穂信

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何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで調査事務所を開いた。この事務所“紺屋S&R”が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。それなのに、開業した途端舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして―いったいこの事件の全体像は?犬捜し専門(希望)、二十五歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。『さよなら妖精』で賞賛を浴びた著者が新境地に挑んだ青春私立探偵小説。


エリートコースを歩むはずだった主人公は、病気により挫折を経験する。東京から育った町へと戻り、リハビリを兼ねて探偵業のようなものを始める。本当は、単なる動物探しをするつもりだったのに、舞い込んできた仕事は、行方不明になった美女を探してくれというものだった。

探偵になったのを聞きつけた後輩が、歩合で良いから雇ってくれと押しかけてきた直後に、古文書の謎解きという二つ目の依頼が舞い込む。一見すると無関係な二件の依頼だが、途中で繋がって行くのだった。

大抵の場合において、こういう物語は、最後にサスペンスドラマ物のような予定調和の臭い結末に終わるものだが、「犬はどこだ」は違っていた。悪党が滅びる良い結末で、個人的にはこのほうがスッキリする。悪党天国な日本においては、例え法律で禁じられていても、被害者が自力救済を行い「正義」を貫くしかないだろう。

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ボトルネック

ボトルネックボトルネック
(2006/08/30)
米澤 穂信

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恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。


東尋坊で転落死した彼女の弔いで現地へ行ったところ、兄が死んだから帰れと連絡が入る。その直後、自分も同じ場所から転落してしまい、気がつけば自分が生まれなかったパラレルワールドへ。

家に戻れば、そこには生まれなかったはずの姉がいた。僅かではあるが、自分のいた世界とは違いが生じている平行世界。だんだん、自分の代わりに存在している姉の力で、自分では成す術もなく壊れてしまったものが、悉く保たれているのに気づいてしまう。

壊れてしまった家族関係は修復され、通行の妨げになっていた木は無くなり、助からなかった食堂の爺さんは元気で営業を続け、そして、死んでしまった彼女の元気な姿と再開してしまう主人公。大学受験に失敗して自分探しの旅に出た直後、事故で意識不明となったはずの兄さえも、大学生として姿を現わす。

どうしようもないと思われた出来事も、パワレルワールドでは姉が存在する事で良い方向へと修復されていたのだ。自分の存在価値を見出せなくなった少年は……。

ボカされてはいるけれども、米澤穂信作品にしては嫌な感じの結末になっている。こんなやるせない終わり方をしなくても良かったのに……。

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遠まわりする雛

遠まわりする雛遠まわりする雛
(2007/10)
米澤 穂信

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折木奉太郎は〈古典部〉仲間の千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛」へ参加するが、事前連絡の手違いで祭りの開催が危ぶまれる事態に。その「手違い」が気になる千反田は、折木とともに真相を推理する。


古典部シリーズ4作目。シリーズ最新作なのに最初に借りてしまったので、かなり苦戦した。後から3冊借りてきて、これより先に読む羽目になったので。

これは短編だし、それぞれが独立していて連作でもないので小さく纏りすぎな話ばかりだな。各登場人物の過去話や、初めて出会った頃の話もあるので、興味深いが。バレンタインの話は、伊原摩耶花がなかなかチョコを受け取ってもらえず、ビター風味である。

題名にもなっている「遠まわりする雛」は、何事にもやる気が感じられない省エネ人間ホータローが、お嬢様千反田えるの急な頼み事で、お雛様行列の傘持ちに。伊原摩耶花&福部里志の組み合わせは本人の意思次第でほぼ確定なので、千反田える&折木奉太郎も成立して欲しいなぁ。

これは、隙間を埋める番外編的な話も含まれているので、やはり順番に読まないと価値半減だよね。危うくこの本から読むところだった。

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クドリャフカの順番―「十文字」事件

クドリャフカの順番 (角川文庫 よ 23-3)クドリャフカの順番 (角川文庫 よ 23-3)
(2008/05/24)
米澤 穂信

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待望の文化祭が始まった。何事にも積極的に関わらず“省エネ”をモットーとする折木奉太郎は呑気に参加する予定だったが、彼が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。十文字と名乗る犯人が盗んだものは、碁石、タロットカード、水鉄砲―。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!千載一遇のチャンスを前に盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は「十文字」事件の謎に挑むはめに!米沢穂信が描く、さわやかでちょっぴりホロ苦い青春ミステリ。


古典部シリーズ3作目。あれ……!? どこかでユーゴスラビアから来た留学生クドリャフカさんが事件を云々とか言うのを見て、すっかりそういう話だと思っていたら、完全にガセネタじゃないですか!? あの100%嘘吐きなレビューは、どこに書いてあったんだろう……。

あーっ、物凄く騙されましたが、クドリャフカさんなんて、どこにも出てきませんから(笑)。チキショー……。

気をとりなおして。

いよいよ文化祭。古典部はちょっとした手違いから、文集を大量に印刷してしまい、処理に困る事に。各自、いろんなツテ、イベントを利用しつつ、なんとか売り切ろうとするのだが……。

学際当日、些細ではあるが連続盗難事件が発生、またもや巻き込まれてしまった感じのホータロー。しかし、他の面々は忙しいのでホータロー1人が部室に篭り、ずっと売り子に徹しているがために、あまり活躍している感じがしないなぁ。

古典部4人の視点がどんどん切り替わるので、なんだか読みにくいと思っていたら、切り替わる前についているカードのマーク、ハート、ダイヤ、クローバー、スペードが、それぞれに当てはまっているのか。

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愚者のエンドロール

愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)
(2002/07)
米澤 穂信

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「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。


古典部シリーズ2作目。シリーズ物だからと続けて読むのは辛い。でも、知らずに「遠まわりする雛」を借りてしまったので、返却期限までに辿り着かなければ……。

前作は些細な事件の連なりだったが、今回は上級生が作りかけて頓挫しつつある文化祭用の自主制作映画に関する謎解きとなる。ロケ地で起こる殺人事件。しかし、その結末が示されないままに、映像は中断されてしまっている。

無論、本当に人が死ぬのではなく、映画内で登場人物が殺されるだけなのだが、解答が無いまま映像が途切れている。映画が未完成にままになっているのだ。脚本を書いていた生徒は体調を崩し、続きは謎のまま。

好奇心旺盛なお嬢様部長の「気になります」の一言で、やる気無し人間のホータローがまたもや巻き込まれ、この続きを推測する羽目に。前作より面白くなってきた。

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氷菓

氷菓 (角川スニーカー文庫)氷菓 (角川スニーカー文庫)
(2001/10)
米澤 穂信

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いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。


米澤穂信のデビュー作。実は何も知らずに「遠まわりする雛」というのを借りてしまったのだが、古典部シリーズの4作目だというので、慌ててこれを借りてきた。最近の本は、●●シリーズ1とか書いていないので厄介だ。事前に調べておかないと、こうやって借りる順番を間違えてしまう。

大崎梢の成風堂書店事件メモシリーズみたいに、人が死なない青春ほのぼの系ミステリー。殺人事件じゃなくて些細な謎ばかりなので、仕掛けも物語も小さく纏っていて盛り上がりにはやや欠けるかもしれないが、こういうのは結構好きだ。むしろ、謎解きをさせるためだけに人が虫けらの如く殺されていくミステリーの方が、読んでいて辟易して来る。

奔放な姉の言いつけに従い、廃部寸前の古典部に入部する事になった少年。しかし部室には名家のお嬢様がいた! 部屋には鍵がかかっていたのだが、鍵は少年が持っており、中から施錠する事は出来ない。何故、彼女は自分で気づかないうちに閉じ込められていたのか?

全てにおいてやる気無しモードの少年、折木奉太郎が、お嬢様の千反田えるの好奇心に巻き込まれて、親友の福部里志、腐れ縁の毒舌童顔娘、伊原摩耶花と共に学園の謎を解く事になってしまう。やがて、古典部の文集を探す事で氷菓事件に行き当たり……。

題名がショボいので食指が動かなかったのだが、読んでみたらこのお菓子は結構美味しかった。そんな感じの青春ミステリー。

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インシテミル

インシテミルインシテミル
(2007/08)
米澤 穂信

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バイト雑誌を立ち読みしていたビンボー大学生・結城は、ひとりの少女から声をかけられて……。この夏、鮮烈なミステリーがはじまる。


表紙は可愛いのだけど、随分と殺伐とした内容だった。ノワール小説とかメフィスト系統の話が好きな人は気に入るかも。

誤植したとしか思えない金額が書かれた怪しいバイトに参加した十二人。ある者は半信半疑で、ある者は怪しいと思いつつ、ある者は切羽詰ってと、それぞれが様々な事情を抱えながら集められる。

コンビニには似つかわしくない金持ち令嬢風の女に、バイトを探していると相談された主人公。彼が求人情報誌を捲っていたところ、掲載された広告の中に、一一二0百円という怪しげなバイトがあった。

1120円の誤植だと思いつつ応募してみたのだが、本当に時給11万2千円だという怪しい話だった。集められたのは十二人。その中には、コンビニで出会った金持ち風の美女もいた。

とても危険なバイトのように思えるのだが、その内容は契約するまで一切教えられない。身の危険を感じつつ、仕事をする事に決めた十二人が連れて行かれたのは、地下に造られた暗鬼館という場所。

各自に用意された鍵がかからない寝室と、箱の中にある人殺し用の道具。参加者は、ここで人を殺したり、殺人犯を見極めたりすれば破格のボーナスが上乗せされると説明される。お互い、疑心暗鬼に陥る中、一人ずつ何者かに殺されて行く。

舞台装置と殺害方法、謎解きが優先で、メフィスト賞っぽい嘘臭さを感じる。ゲーム感覚な内容だが、推理するのが好きで、古典的名作も読みこなして来た人なら楽しめるのかも。

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秋期限定栗きんとん事件

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)
(2009/02)
米澤 穂信

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あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…シリーズ第三弾。


中身がちっとも小市民じゃないのに、凡庸であろうとする小鳩常悟朗。傍から見れば、その存在自体が小市民にとって嫌味であるが、方向性の違いから、小佐内ゆきと決別したまま、秋期限定。

前回、一年ブランクが開いていたので、そのまま三年になっているかと思ったが、二年の秋から始まる。そして、そのまま連続放火事件に絡んで、ぐるりと一周。今回は小鳩視点だけでなく、新聞部に所属する下級生の瓜野視点でも物語が進むので、波に乗るまで少し読みにくい。

冒頭で小鳩は差出人不明の手紙に呼び出されるが、指定場所で待っていたのは、名前すら覚えていないクラスメイト。そこでいきなり、フラグ成立! ええーっ、小佐内さんじゃないのか……。

一方、夏に起こった誘拐事件の真相に迫ろうとする新聞部の下級生、瓜野と絡んで、小佐内さんもフラグ成立! お互い、別の相手と付き合い始める事になるのだが……。

この巻でようやく、生徒指導のキチガイうんこ教師が登場。やはり糞教師だった(笑)。夏場の誘拐事件を暴けなかった瓜野は、クラスメイトの氷谷に情報を貰った連続放火事件を追い始めるのだが、この糞教師に横槍を入れられてしまう。しかし、その直後に人事異動が! 単なる偶然なのかもしれないけど、これすら、小佐内さんが何かやったんではないかと思いたくなるよなぁ(笑)。

せっかくカップル成立したのに、彼女そっちのけで日常の謎解きに忙しい小鳩。そして、謎を解かれているのに、ワトソン役どころか、一般人程度にも反応してくれない相手。謎解きにすら気がついてくれないレベルだと、さすがに虚しいよね。



秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
(2009/03/05)
米澤 穂信

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ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど…ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ―。


小佐内さんと付き合う瓜野は、連続放火事件を追ううち、犯人が近くにいるのではないかと思い始める。事件現場にいたらしい、小佐内さんが非常に怪しい。気になって受験勉強に影響が出る小鳩常悟朗も、別口で犯人を追い始めるのだが……。

状況から見ると、小佐内が非常に怪しい。という事は、絶対に小佐内さんが犯人ではないのだろうと思いつつ……。だって、いかにも怪しい人物がそのまま犯人だったのでは、ミステリーとしてちっとも面白くならないからね。

これは小説だから、穿った見方をして読むのでミスリードはされないけれども、実際に身近で事件が起これば、やはり小佐内さんを疑ってしまいそうだよなぁ。

クライマックス直前、小鳩は教室に呼び出されて、カップル解消。二股三股状態なのを知りつつ、嫉妬もしてくれない小鳩を「最低」呼ばわりして去って行く元彼女。しかし、どう考えても女の方が最低だと思うが。

二股三股女と、それに嫉妬しない無関心男。どちらも人間性には問題あるかもしれないけど、彼我の差は作為と無作為の作為程に隔たりがあると思うけど。殺人で例えたら、積極的に人を殺すのと、溺れている人を助けず見殺しにする位は「最低」に差があるんじゃないの? 小鳩が最低なら、仲丸十希子は最低の最低レベルだと思う。自分が二股三股しておいて嫉妬しろと言うのは、「ああっ、嫉妬されちゃうあたしって素敵!」みたいな、恋に恋する馬鹿女によくあるシチュエイションではあるけどね。

犯行現場に現れた小佐内さん。
続いて現れた小鳩。
さらに、彼女を追って現れた瓜野。

瓜野はすっかり、小佐内さんが犯人だと確信しているのだが、実際のところは……。えっ!? あいつが犯人なのか。

それにしても、、何で小佐内さんは、これほどまでミスリードするような言動を取るのかと思ったら……。そんな理由で怒るのか!? 小佐内さん怖い(笑)。暗黒属性が健在で良かった。かくして、二人は元の鞘に収まるというか何と言うか……。やはり、小鳩&小佐内カップルじゃないとね。

ところで、犯行現場に現れた小佐内さんは、何で別の学校のセーラー服を着ていたのか? 謎のままのような気がするんだけど。あと、小鳩が相手でも、勝手に……しようとしたら怒るんだろうか?

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夏期限定トロピカルパフェ事件

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
(2006/04/11)
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小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。


連作短編っぽくなっていた前作と異なり、今回は長編になっている。しかし、「シャルロットだけはぼくのもの」と「シェイク・ハーフ」は先に短編として発表されている。

単発で発表されたものを含んで長編化してしまう力量が見事。単に、長編に突っ込んだという形ではなく、短編だけでも本格なのに、重ねがけでより大きなミステリーへと繋がっている辺り、勢いだけで書いているプロには無理な技である。最初から上手く繋がるように、プロットを練り上げていたのかね。

春→夏だから、すぐ後の話かと思っていたのだが、季節が一巡しているのは意外だった。このシリーズは、あまり長く続ける気が無いのかもしれないが、このペースだと冬期限定な頃には大学生? 

夏休みに小佐内さんに連れまわされ、ご近所スイーツを制覇しなければならなくなる小鳩君。限りなくデートに近いのに、フラグが立っているんだか、潰しているんだか分らないもどかしさ。

後半は誘拐事件が発生してしまうので、日常ミステリーじゃなくなってしまう。しかし、さすが小佐内さん、仕掛けたトラップが強烈だ。やる事が策士すぎる(笑)。もはや犯罪域だけど、否定する気にはなれない。

日本の法律は悪党に甘く優しく出来ているから、自分の身を守るにはこれくらいやらないとね(汗)!? 但し、どれだけ法が無力であっても、被害者になったら泣き寝入りして耐えるというのが正しい? 小市民のあり方だから、大きく逸脱しているけど。

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春期限定いちごタルト事件

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
(2004/12/18)
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小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。


美味しそうな題名だけど、いちごタルトを巡ってある意味、悲劇が(笑)。人は死なないミステリーだけど、小佐内さんが可哀想な事に。訳アリな二人が、小市民に埋没して無難な人生を送ろうとするものの、厄介事に巻き込まれて能力を発揮せざるを得なくなるというもの。

最初のほうは、上から目線な感じで、秀でた二人が小市民たろうとするのが鼻に付くのだが、何で二人がそうなったかが分る(とはいっても、中学時代に何があったのかは明かされない)につれ、我慢出来る範囲になってくる。

自転車を盗まれた挙句、呼び出されたウマシカ教師から何で盗まれるんだ、管理が甘いと叱られる小佐内さんは可哀想。直接は登場しないのだけど、このウマシカ教師はアホな子か? その論理で行くと、殺人事件が発生しても殺されたほうが悪い、車に轢かれても轢かれる方が悪いという事になるぞ。悪いのは犯罪者であって、落ち度によって過失相殺があったとしても、被害者の責任ではない。こんな事も理解出来ないなんて、ひょっとして京●●育大学を卒業した教師なのかね? 

とりあえず、小佐内さんの自転車をアレごと盗んだサカガミは逝って良し! 小佐内さんがただの可哀想な子じゃなくて、きっちり復讐するからスッキリしたけど。小動物に見えるけど、本当は狼というのが素敵デス。

主人公のほうはやる気の無い探偵だから、あまり食指が動かないのだけど、小佐内さんのほうは、一見すると小動物的な女子高生なのに、中身が暗黒属性だから素晴らしい! どうでもいいけど、変換しようとすると小佐内さんじゃなくて幼いさんになってしまう件……。

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