女王国の城

女王国の城 (創元クライム・クラブ)女王国の城 (創元クライム・クラブ)
(2007/09)
有栖川 有栖

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先の三作から随分と時間が経っているので、有栖川ファンの方は、まさか続編が出てくるとは思っていなかったかもしれない。時代設定がバブル崩壊より少し前になっている。ヒロインも現実世界では既に四十手前のおばさんになってしまっているのだと思うと……。

今回は、江神先輩が新興宗教団体に拉致された感じになって、それを助け出そうと有栖達が行動するのだが、その先でお約束とも言える出来事(つまり、殺人事件)が起こり、教団施設から出られなくなってしまうのだ。

人が殺されたのに、警察には通報しないと頑なな態度を取る教団幹部達。有栖一行も、施設内に拉致状態で、外界と隔てられてしまう。教団内部の内ゲバや権力争いか? それとも設定時期が時期だけに、某カルト教団みたいに良からぬ事を企んでいるのか? 謎がどんどん膨らんでいく。

今回の作者からの挑戦状は、何故か少し弱気。まぁ、ギブアップする事は最初から決まっているので、推理せずに解答を読む。犯人よりも、教団が隠していた謎のほうが意外だった。

このシリーズ、どうやら次で完結予定らしいが、いつ出る事やら?

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双頭の悪魔

双頭の悪魔 (創元推理文庫)双頭の悪魔 (創元推理文庫)
(1999/04)
有栖川 有栖

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他人を寄せつけず奥深い山で芸術家たちが創作に没頭する木更村に迷い込んだまま、マリアが戻ってこない。救援に向かった英都大学推理研の一行は、大雨のなか木更村への潜入を図る。江神二郎は接触に成功するが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。川の両側に分断された木更村の江神・マリアと夏森村のアリスたち、双方が殺人事件に巻き込まれ、各々の真相究明が始まる…。


今回はダブル主人公となる。いつも通りの主人公はアリス、そしてもう一人は、休学して消えたマリアだった。単発ヒロインとして消え去らなくて良かった。

鉄砲水で橋が流されて分断された両側で起こる殺人事件。終盤に突入するまで、行き来が出来なくなってしまうので、アリスとマリア視点で、交互に物語が進んで行く。この時点で、作者からの挑戦状は二回。しかも、それだけでは終わらない。江神さんがいるマリア側では、殺人犯人を特定した直後に新たな殺人事件が発生する。殺されたのは、最初の殺人事件における犯人だと推理された人物。ここで、第三の殺人事件及び全体を把握するための最終挑戦状が作者から贈られる。

三回の殺人事件と、三回の挑戦状。これは、一粒で二度どころか三度美味しい! まぁ、推理は苦手だから自分で考えずにアッサリと解決編まで読んでしまうけど(笑)。江神さんに関わる暗い過去と、彼に付きまとう死の予言がとても気になる。予言通りに江神さんが死んでしまったらどうしよう……。ハラハラしながら読み進めた。

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孤島パズル

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
(1996/08)
有栖川 有栖

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紅一点会員のマリアが提供した“余りに推理研的な”夏休み―旅費稼ぎのバイトに憂き身をやつし、江神部長以下三名、宝捜しパズルに挑むべく赴いた南海の孤島。バカンスに集う男女、わけありの三年前、連絡船の再来は五日後。第一夜は平穏裏に更けるが、折しも嵐の第二夜、漠とした不安感は唐突に痛ましい現実へと形を変える。晨星落々、青空に陽光が戻っても心は晴れない…。


一作目は火山噴火で下界と切り離された山中で連続殺人事件が起こったが、今回は孤島が舞台。江神先輩とアリスだけが登場、他の人は姉の結婚式と教習所合宿のため、プロローグ部分だけで退場。代わって紅一点、マリアが登場する。

マリアに誘われて島にある宝探しに挑戦する事になった江神先輩とアリスだが、お約束通り、外界から隔離された島で人が殺されて行く。孤島物と言えば、何者かの手によって、次々と人が殺されていき、お互い疑心暗鬼に陥るというのがセオリーだが、有栖川有栖作品では、そこまでむやみやたらと人が殺されまくったりはしない。登場人物の大半は殺されずにすむので読み物としては少し地味になるかもしれないけれども、その分、リアリティは増している。小説ならともかく、実際にはそう都合よく人が殺されまくり、しかも犯人が判らないなんて事はなかなか考えられないからね。

リアリティ以外の面でも、殺される側が限定されるのには理由がある。ある程度進んだ時点で、作者から読者に挑戦状が送られるのだ。その時点までで、犯人を特定するためのヒントが読者に与えられているのである。むやみやたらと殺してしまったら、死体だらけになってしまうので、生き残りから犯人を捜すのが簡単になってしまう。

今回は、ちゃんと登場人物表がついていたので助かった。しかし、挑戦は華麗にスルーして最後まで読み進めた。推理苦手だし、頭硬いから絶対に無理! 最後のほう、嫌な展開になってきたけど、あの人が犯人じゃなくて良かった。今回もアリスは失恋モードでほろ苦い結末へ。

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月光ゲーム―Yの悲劇’88

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)
(1994/07)
有栖川 有栖

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夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々―江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく…。いったい犯人は誰なのか。そして、現場に遺されたyの意味するものは何。


長門有希100冊にある「双頭の悪魔」を攻略しようと思ったところ、これは有栖川有栖の学生アリスシリーズ三作目だと知る。という訳で、これを攻略する為には「月光ゲーム」→「孤島パズル」→「双頭の悪魔」→「女王国の城」と進める必要が出てきた。

これも、長門有希に薦められなければ読む事は無かったかもしれない。ある程度物語が進んだ時点で作者から挑戦状が叩きつけられる。その時点までで、犯人を特定するための情報は与えられているというのだ。これは少し新鮮。意外に、作者vs読者で正々堂々と戦われる推理物って少ないからね。名探偵だけが推理していたり、読み物としては面白くてもヒントは不足していたり、酷いのになると、作中に犯人が登場していないなんてルール違反もあって、絶対に読者が解けなかったりするからね。

さてさて、有栖川有栖から挑戦状を頂いた訳ですが、ここは5秒で降伏! いや、頭が硬いから推理は苦手だしさ……。最大に盛り上がっている冒頭を無視すると、とりあえず始まりには4人しかいないのだが、山登りの最中に他の大学と合流して、登場人物が17人に増えてしまうのだ。いきなり増えるから、全員覚えられません。これではもう、謎解き以前の問題である。

山の上でキャンプ中に火山が噴火して下山出来なくなるのだが、そこで連続殺人事件が発生。下界とは隔離されているのだから、そこにいる誰かが犯人だという密室状態なのだが、人が多すぎる……。これ、ラノベみたいに全員のイラストつけてくれたら良いのだけど。せめて登場人物一覧表くらいは欲しかった。わざわざメモする気力は無かったし。文庫版とか、新しいやつには付いていそうだけど、図書館にあったのは初期の単行本だから、ついてませんでした……。

そういう訳で、早々に謎解きはギブアップ。有栖川有栖の勝利となったのだが、謎解きしなくても、普通に読むだけで面白いからOKです。推理主体なので、登場人物の描写がアッサリ風味だけど、推理するためのヒントも鏤めつつ、キャラ描写まで濃くしてしまうとアレステア・レナルズみたいな厚さの本になりそうなので、これは仕方が無いだろう。

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