ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

攻略対象書籍は以下。


『故郷から10000光年』
愛はさだめ、さだめは死』★★★★
老いたる霊長類の星への賛歌』★★★★
星ぼしの荒野から』★★★★
たったひとつの冴えたやりかた』★★★★★
輝くもの天より墜ち』★★★★
『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』

『Up the Wall of the World』(未訳)
『Byte Beautiful』(未訳)


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老いたる霊長類の星への賛歌

老いたる霊長類の星への賛歌

理想の植民星を発見した探査船ケンタウルス号。だが、その唯一の帰還者で、異星生物を持ち帰った女性生物学者の報告が明かす恐るべき真実とは?…性心理を探求する「一瞬のいのちの味わい」、太陽フレアにまきこまれ、NASAとの接触を失ったサンバード号の乗務員が見た未来の地球の異様な姿を通して、ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞の栄冠に輝く「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」など、つねにSF界に衝撃を与えつづけたティプトリーが、現代SFの頂点をきわめた傑作中短篇7篇をここに結集!


1976年度ネビュラ賞 中長篇小説部門受賞作「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」収録。
1977年度ヒューゴー賞 中長編小説部門受賞作「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」収録。

ティプトリーの中短編集。またしてもバッドエンド多めだし、どうでもいい感じの内容や結末のものが結構あって、あまり楽しめなかった。

ネビュラ賞とヒューゴー賞を受賞した「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」は、太陽を巡る軌道にいたアメリカ合衆国の宇宙船が未来に飛ばされてしまう話で面白かったけど。普通に宇宙探査に出たはずが、いつの間にか数百年後の未来。そこは疫病が蔓延して人口が激減した世界で、しかもその世界には……。

男がいなくなってユートピアというのはありがちだけど、そこへ男が迷い込んでもモテ期に突入したりしないのが悲しいよね。結局、男なんて飾りです。エロい人にはそれが分からんのですよ!


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星ぼしの荒野から

星ぼしの荒野から (ハヤカワ文庫SF)星ぼしの荒野から (ハヤカワ文庫SF)
(1999/04)
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

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遙か深宇宙で進化した生命体グレックス―エンギという名の幼仔が冒険を求めて行方をくらました時、群れは大騒ぎとなった。ただちに2体の斥候が選ばれ、その跡を追った。だが怖るべき捕食生物「大食らい」もまた、その仔を狙っていたのだ。やがて未熟なエンギは、とある恒星の磁力流に捕えられ、地球という名の惑星に…感動の表題作ほか、ネビュラ賞受賞作「ラセンウジバエ解決法」など、全10篇を収録した傑作短篇集。


1977年ネビュラ賞 中篇小説部門受賞作「ラセンウジバエ解決法」収録。

10編収録されている。ネビュラ賞を受賞している「ラセンウジバエ解決法」は、ラセンウジバエを退治する方法と同じやり方で人類が駆逐される話だった(汗)。全体的にバッドエンド多めで読むのが辛い。

「天国の門」は、良き隣人のフリをしたエイリアンに、善人しか潜り抜ける事の出来ない門の向こうに素敵な世界を用意されるのだが、何故かエイリアンはその門をくぐらない。ラストでその理由が分かるのだが、人類にとってはバッドエンドっぽいよなぁ。

「時分割の天使」は、増えすぎた人類を憂う者の願いを聞き届けた存在が、人類の活動時間を分割してしまう話。生まれてきた子は兄弟の数に応じて目覚めて活動する時間が制限されるのだが、大家族だと成人するまでに何百年もかかったりして、エラい事になってしまう。ちなみに、眠りについている間は時間が経過しないという設定。

表題作「星ぼしの荒野から」は、敵から逃亡中に太陽に捕らえられ、地球に落ちてしまった宇宙生命体の一部が生まれる前の赤子に入ってしまい、天才少女になるのが萌えっ! 『たったひとつの冴えたやり方』みたいに悲しい結末が待っているのがティプトリー作品らしいけど。

「たおやかな狂える手に」は、豚鼻のキャロル・ペイジが宇宙船を奪って太陽系外に逃亡し、自分を呼んでいた存在と出会って息絶える話で、これまたバッドエンドっぽいなぁ。

長編『輝くもの天より墜ち』に絡んだ話も出てくる。人類に使役される知的生命体が自由を求めて、分断された自分達の勢力圏が彼方にあると信じて脱出するが、辿り着いた先もそんなに良い世界ではなかったりする。

病気と薬でハイになって危ない夜道を歩く女がDQNに襲われるだけの、SFとは何の関係もなさそうで「だから何?」と言いたくなるような作品も混じってたけど、バッドエンドだらけなのに耐えられれば、全体的にはそこそこ良かった。


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輝くもの天より墜ち

輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫 SF テ 3-6)輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫 SF テ 3-6)
(2007/07)
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

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翼をもつ美しい妖精のような種族が住む銀河辺境の惑星ダミエム。連邦行政官のコーリーとその夫で副行政官のキップ、医師バラムの三人は、ダミエム人を保護するため、その星に駐在していた。そこへ“殺された星”のもたらす壮麗な光を見物しようと観光客がやってくるが…オーロラのような光の到来とともに起こる思いもよらぬ事件とは?『たったひとつの冴えたやりかた』で言及されていたファン待望の物語、ついに登場。


久しぶりに疲れる力作だった。読んでも読んでもページが進まない。壮大な背景設定とは逆に、登場人物があまりキャラ立ちしていないので、誰が誰だか混乱して来る。

破壊された星の残骸が奏でる天体ショーを観測するために惑星ダミエムへ降り立った人々。そこは、かつて悪逆非道な人類によって大虐殺が行われた悲劇の星で、今では天使に似たダミエム人は連邦によって保護されている。

物語は24時間なのだが、たった一日で数多くの出来事が起こる。紛れ込んだ異星人による殺人、暗黒世界からの悪意に満ちた攻撃。硬派なSFで重い背景設定、24時間だけの物語なのに、586ページ。これは疲れる。物語ラスト付近の、老いのシーンは著者本人の苦悩を彷彿させて辛い。

またしても失敗。巻末に用語集がついていた。これは先に目を通しておくべき。物語の理解度が全然違ってくると思う。それにしても、今になってティプトリー作品が読めるとは思わなかった。日本翻訳はこの時期になってしまったが、執筆時期は「たったひとつの冴えたやり方」の少し前で、1985年。もうひとつの長編「Up the Wall of the World」も翻訳して貰えないものだろうか?


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愛はさだめ、さだめは死

愛はさだめ、さだめは死

自然と本能のまえにとまどう異星生物のライフサイクルを、斬新なスタイルで描き、1973年度ネビュラ賞に輝く表題作ほか、コンピュータによって他人の肉体とつながれた女の悲劇を通して、熾烈な未来社会をかいま見せ、1974年度ヒューゴー賞を獲得したサイバーパンクSFの先駆的作品「接続された女」、ユカタン半島に不時着した飛行機の乗客が体験した意外な事件を軸に、男女の性の落差を鋭くえぐった問題作「男たちの知らない女」など、つねにアメリカSF界の話題を独占し、注目をあつめつづけたティプトリーが、現代SFの頂点をきわめた華麗なる傑作中短篇全12篇を結集!


たったひとつの冴えたやりかた』ほど面白く感じられないのは、短編だからだろうか。どれも出来は良いと思うのだが、やはりSFを背景世界等の予備知識が不足したまま、限られた字数で追うのは辛い。短いから、語られない部分があまりにも多すぎる。それにしても、こんな硬質な作品の書き手が女性とは驚きである。当時、SF者が男性作家だと思い込んでいたのも仕方が無い気がする。

とにかく、普通じゃない内容のものが多く、背景設定も難解なのが多いので読み難い。おまけに、短編なので与えられる情報も限られているから、さらに読み難い。異星生物が主人公だったりするので、ますます読み難い。かなり読み込んだ上級SF者じゃないと厳しい気がする。もっと楽なSFで修行してから出直して来いという事か(笑)。ティプトリーを読むなら、無難に「たったひとつの冴えたやりかた」から始めたほうが良いかもしれない。

サイバーパンクの先駆みたいに言われている短編は、遠隔操作出来る人型で新しい人生と恋を手に入れるブスが出てくるのだが、サブカルチャー的表現で言うところの「中の人」になるのである。しかし、未来世界のシンデレラはハッピーエンドで終わってくれない。これに限らず、バッドエンドが多い短編集だった。


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たったひとつの冴えたやりかた

たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)
(1987/10)
ジェイムズ,ジュニア ティプトリー浅倉 久志

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やった!これでようやく宇宙に行ける!16歳の誕生日に両親からプレゼントされた小型スペースクーペを改造し、連邦基地のチェックもすり抜けて、そばかす娘コーティーはあこがれの星空へ飛びたった。だが冷凍睡眠から覚めた彼女を、意外な驚きが待っていた。頭の中に、イーアというエイリアンが住みついてしまったのだ!ふたりは意気投合して〈失われた植民地〉探険にのりだすが、この脳寄生体には恐ろしい秘密があった…。元気少女の愛と勇気と友情をえがいて読者をさわやかな感動にいざなう表題作ほか、星のきらめく大宇宙にくり広げられる壮大なドラマ全3篇を結集!


1986年ローカス賞ノヴェラ部門、第19回星雲賞海外短編部門受賞作。

お勧めのSF作品として取り上げられる事が多いので、名前だけは知っていたのだが、今まで未読だった。途中まではコーティと寄生エイリアンの友情を描いたジュヴナイル小説かと思っていたら、衝撃的な結末を迎えてしまいました。なんだか救いが無いよなぁ。それが「たったひとつの冴えたやりかた」だとしても、ちょっと悲しすぎる。この衝撃の前に、ハードボイルド風味の第二話と、星間戦争を危うく回避した第三話が霞んでしまいました。

作者が実は女性で、寝たきりの夫を射殺した後に自らも自殺しているという衝撃の結末にも驚いた。かねてから自殺の取り決めがあったらしいので、殺人事件というよりは心中と捉えるのが妥当かもしれない。


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