お嬢さま大戦

お嬢さま大戦お嬢さま大戦
(2008/05)
森 奈津子

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伝説のお嬢さまシリーズ、復活の第4弾!! オーッホホホホホホホホホホホホホホホ…。あたくし、綾小路麗花。高級スーパーマーケット小路屋の社長令嬢よ。花園学園中等部の同じクラスには、超ハンサム少年・工藤圭一君もいるわ。最近、学校内の様子がどうもおかしいと思っていたら、あたくしの敵・如月恒子が工藤君のことで何かよからぬたくらみを企てたのよ。ほらほら、あたくしの行く手をふさぐようにやって来たわ。(お嬢さま大戦) 収録作:第9話・お嬢さまと無礼者、第10話・お嬢大戦、書き下ろし・受験戦争と平和。


前半の「お嬢さまと無礼者」は、お嬢さまがゲットした彼氏の血縁が続々と登場。しかも、ある男の陰謀で、兄弟間トラブルに巻き込まれる。しかしタカビーお嬢さま、利用されてもタダではすまさない。

最終話となってしまった表題作「お嬢さま大戦」は、過去の強烈な敵役とお嬢様同盟を締結し、平等を唱える敵と戦う。やはり、日常ネタよりも、経済戦やイデオロギー戦争を扱ったものが面白い。

今回は、モテモテ王子様、工藤君と平等に接する権利を求め、ファンクラブが結成されてしまう。工藤を自らの取り巻きであると看做すお嬢さまは、彼を手元に奪還すべく、過去に敵対したデパートのお嬢様、ブランドをデザインするアパレルメーカーの娘とお嬢様同盟を締結。実はこれ、共産主義vs資本主義の構図。もちろん、お嬢様同盟側が資本主義陣営である。

巻末にある「受験戦争と平和」は、唯一推薦不合格となった杉本を救済すべく、一般入試合格へと導く短編。打ち切りとならなければ、中学編最終話の長編となる予定だったらしい。中学編最終話とあるので、本来ならば高校編へと続いていたと思われるが、事情によりこのシリーズは終わってしまった。

打ち切りとはいっても、ジャンプの漫画家みたいに人気がなくて放り出されたのではなくて、書いていたレモン文庫自体が撤退により消滅してしまったのである。これは作者の責任ではないので仕方が無い。

ちなみに、最近はラノベを書いていない作者であるが、他の作者のようにラノベを踏み台として、一般小説へとステップアップしたのではなく、あまりにもアクが強いので書かせてもらえなくなり、一般部門へとシフトしたらしい。百合物を書かせろと言って断られているようだが、15年くらい早い気がする。百合もBLも、今やれば普通に出来る。才能に世間がついて来られないという悲劇がここにも(笑)。

厳密には、「ニーズ」はなくとも「ウォンツ」はあった筈なので、才能について行けなかったのは世間というより出版業界だったというのが正解だろう。


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お嬢さまと青バラの君

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(2008/03/31)
森 奈津子

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ファン待望の復刊第三弾! お嬢さまシリーズ第三弾。書き下ろし短編もあり、ファン待望の1冊。表題作「お嬢さまと青バラの君」ではかぐわしい少年愛、「お嬢さまの学園天国」では教師たちの愛憎劇、そして書き下ろし「杉本の煩悶の日々」では愛と勉学に苦悩するお杉の姿が楽しめちゃう…!?危険な愛(笑)の詰まった一冊です。


先の二冊と比べて薄くなったと思ったら、文庫二話分しか入ってなかった。どうやら3巻と4巻は二話分らしい。少なくなったけど、値段は同じ。文庫でも単行本でもエンターブレインは強気の価格設定で、他社より割高なのが辛い。

前半は、新たなBL系キャラ、青バラの君が敵役として登場する。嘘吐き美男子で名前は朝比奈杏里。メインキャラの杉本もホモだけど、朝比奈杏里は電波が入っているので、それに対抗できる位にはヤバイ。勿論、杉本も危険だ。柔道部の黒帯という、強いホモである。試合相手が美形だと、寝技に持ち込みたがる危ない男だ。こう書くと、腐女子が悦びそうなBL小説かと思われそうだが、様々な要素のひとつとしてBLキャラも登場するだけで、別にBLメインな訳ではない。

後半は、お嬢様先生見習いで二重人格っぽい教育実習生、少しヘタレな担任と、悪役の数学教師がバトルを展開。数学教師の花園育夫は、何かと生徒を意のままに押さえつけようとするファシストで、しかも花園学園理事長の息子だから始末に負えない。担任の花園貢は、気が弱くてなさけない担任。苗字が同じだが、実は血縁関係。幼少の頃より育夫に虐められているものの、そこには歪んだ愛を感じて危ない。先生も隠れBLキャラ。この巻は他と比べてBL臭が高く、やはり腐女子が悦びそうである。


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お嬢さまボロもうけ

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(2008/03/12)
森 奈津子

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鬼才 森奈津子のお嬢さまシリーズ、完全版第二弾! 私立花園学園中等部、3年、たてロールの髪がトレードマークのお嬢さまといえば、もう、おわかりよね。そう、綾小路麗花とはあたくしのこと。そのあたくしが茶道部員だってご存じ? 1つ10万円もする茶碗を、この部で購入したのはいいけど、割ってしまったから大変。買いもどすために、あたくしたち、恋愛相談所を開き、ひともうけすることにしたのっ。さあ、たっぷりかせいでよっ。


お嬢様シリーズとして、かつてレモン文庫から出ていたもののハードカバー復刊版第二弾である。文庫三冊分で一冊になっているので、これに収録されているのは文庫版だと4~6冊目。

人面魚ならぬ人面模様魚のフナをめぐって大騒動になる「お嬢さまのお気に入り」。茶道部で使うための高額な茶器が割れてしまい、生徒会に知られず損失を埋めるべく、お嬢様会社が設立され、表向きは恋愛同好会として恋人斡旋業に乗り出す表題作「お嬢さまボロもうけ」。山瀬まみに声がソックリという東京マリアが転校してくる原因となった、敵お嬢様とのバトルが展開する「お嬢さま軽井沢の戦い」。

これ、アニメ化されたら面白いよね。とりあえず、タカりんこと東京マリアの声優は、山瀬まみで(笑)。追加された「佐伯の一日」にて、文庫シリーズではフルネームが明かされなかったお嬢様の忠実な家来? 佐伯の本名が明らかとなる。


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お嬢さまとお呼び!

お嬢さまとお呼び!お嬢さまとお呼び!
(2008/03/12)
森 奈津子

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鬼才 森奈津子のデビュー作品が完全版となって登場! あたくし、綾小路麗花。私立花園学園中等部の2年生。トレードマークはたてロールのヘアにピンクのリボン。あたくしこそホンモノのお嬢さま。そんなあたくしがある日、万引きに間違われて岡野拓人っていう変な奴に会ったの。あいつに会ってからあたくしなにか変。だけどそんなこと言ってる暇はないのよ。もうすぐはじまる弥生祭の出し物の劇で、主役をねらってるんだから。でもそんな時、すごいライバルが現れて…!


お嬢様独り語りがキツすぎるので、外したかな? と思ったのだが、読み始めると結構面白い。かつて、レモン文庫とかいうレーベルから出ていたものの再録に、短編をつけたものらしい。すでに存在していないレーベルであり、撤退によりこのシリーズも中途半端なままになっていた様である。レモン文庫なんて見た事も無いしな(笑)。

ちなみに、森奈津子はこれでデビューしたらしい。初手からただのラノベ作家ではない。早すぎた才能の悲劇である。これって、今の時代くらいで調度良い感じなんじゃないのか!? 大昔にこういうのが出ても、時代がついて行けないだろう。

ツンデレなお嬢様、お嬢様の忠実な下僕みたいになっているけど、実はその正体がお嬢様以上に……っぽい佐伯、ヲタっぽいけど眼鏡外すと女の子みたいなアクタガワ、強い上にホモ疑惑の杉本、学園の王子様工藤、そして声が山瀬まみソックリなタカりん。

この、山瀬まみソックリ声というのは凄いと思う。もう、あの世代のアイドルで今も現役としてメディアに露出しまくっているのは山瀬だけじゃないか!? これ、他のアイドルにしていたら、今から読む人は「誰それ?」なんて思う時代遅れ作品になっていたに違いない。山瀬まみだけこの平成時代まで生き残ると予知していたのだろうか。森奈津子、恐るべし。

ツンデレあり、謎美少女対決あり、サスペンスあり、善玉悪玉対決あり、BLあり、美少女装あり、言論弾圧に対する独立戦争までありと、今でこそラノベでやっても普通な内容になってきたが、それを全部盛り込んで1991年の時点でやってしまっているのに、凄い才能を感じる。

作者本人も気に入っているようだが、やはり第三話の「お嬢さま帝国」が素晴らしい。通っている学園は私服なのだが、ある生徒の母が作ったというデザイナーズブランド制服を着て、メディアに露出しようというクラス運動が始まり、次第にそれがファッショ化していくのである。お嬢さまは、それに同調せず、教室内の一部を綾小路麗花帝国としてクラスからの分離独立を宣言するのであった。

女帝麗花を頂点とした帝国に翻弄されるクラスメイト達。抗議の言葉は、国境警備隊長の杉本→工藤大臣→佐伯侍従長とたらい回しにされてしまう。そして、帝国側はクラスメイトを無視したまま、ティータイムの準備を始めてしまうのが笑える。


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