梶尾真治

攻略対象書籍は以下。


著書が多すぎる上に、wikiでも整理されていないので、まだ見落としあるかもしれない。図書館にもほとんど置いていないし、過去作は古本屋でも見かけないので攻略難易度高し。

『美亜へ贈る真珠』
『地球はプレイン・ヨーグルト』
『恐竜ラウレンティスの幻視』
『時空祝祭日』
『占星王をぶっとばせ』
『梨湖という虚像』
『百光年ハネムーン』
『未踏惑星キー・ラーゴ』
『サラマンダー殲滅』
『泣き婆伝説』
黄泉がえり』★★★☆
『OKAGE』
『ドグマ・マ=グロ』
『未来のおもいで』
『波に座る男たち』
『精霊探偵』
『この胸いっぱいの愛を』
きみがいた時間 ぼくのいく時間-タイムトラベル・ロマンスの奇跡-』★★★☆
『おもいでエマノン』
『さすらいエマノン』
『かりそめエマノン』
『まろうとエマノン』
『綺型虚空館』
『躁宇宙 箱宇宙』
『宇宙船<仰天>号の冒険』
『えゐり庵綺譚』
『占星王はくじけない!』
『チョコレート・パフェ浄土』
『ギャル・ファイターの冒険 Drファナティックの陰謀』
『有機戦士バイオム』
ヤミナベ・ポリスのミイラ男』★★★
『笑うバルセロナ』
『ジェノサイダー 滅びの戦士たち』
『スカーレット・スターの耀奈』
『ちほう・の・じだい』
『カジシンの躁宇宙 オンリーイエスタディ1982~1996』
『タイムトラベルロマンス 時空をかける恋、物語への招待』
『梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇』
『梶尾真治短篇傑作選 ノスタルジー篇』
『梶尾真治短篇傑作選 ドタバタ篇』
『黄泉びと知らず』
『インナーネットの香保里』
時の風に吹かれて』★★☆
つばき、時跳び』★★★☆
悲しき人形つかい』★★★☆
『ムーンライト・ラブコール』
クロノスジョウンターの伝説∞インフィニティ』★★★★
アイスマン。ゆれる』★★★☆
あねのねちゃん』★★★☆
穂足のチカラ』★★★☆
メモリー・ラボへようこそ』★★★☆
ボクハ・ココニ・イマス 消失刑』★★★☆
壱里島奇譚』★★★☆
『クロノスの少女たち』
『ダブルトーン』
アラミタマ奇譚』★★☆




にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサーサイト

アラミタマ奇譚

アラミタマ奇譚アラミタマ奇譚
(2012/07/24)
梶尾 真治

商品詳細を見る

羽田発熊本行の旅客機が阿蘇外輪山に墜落した―。それは不思議な事故だった。乗客乗員62名が消失し、ただ一人生還した男は記憶の大半を失っていたのだ。同乗していた恋人を捜すため、収容先の病院を脱け出した男を見知らぬ土地で待っていたのは、世にも奇妙な体験の数々だった。阿蘇を代々護ってきた人たちの存在、いにしえから語り継がれる鬼伝説の謎、そして人外の魔物の跳梁。やがて、強大な敵が牙をむき、未曽有の危機が迫る。火の国熊本の異界で闘う男の運命は!?カジシン・ワールドの魅力全開ファンタジー。


熊本行きの飛行機が墜落し、自分だけが無傷で助かった。他の乗員乗客は消えうせ、死体すら発見されないという摩訶不思議な事件を前に、記憶を失った男が同乗していた恋人を探し始める。

冒頭はものすごく面白そうなのに、今回はご都合主義的ファンタジー色が強すぎるし、なんだかよく分からない敵との戦いが盛り上がらない。スピリチュアル方向の胡散臭さも混じって、いまいち物語に乗り切れない。

魔物と戦わされる運命を背負わされた人々の報われなさは、全米が泣いて欲しいレベル。なんでこの人々だけが運命を強制されているのか。ラストも微妙で、グッドエンドやトゥルーエンドには程遠い終わり方。途中までご都合主義なのに、何で最後はハッピーエンドで終わってくれないのか。

こんな事のために微妙な人生を歩まされ、これから先も大切なものを失ったままで生きて行く主人公が哀れすぎる。なんか、いつものカジシンらしい甘さが無くて、非常に残念だ。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

壱里島奇譚

壱里島奇譚壱里島奇譚
(2010/08/31)
梶尾 真治

商品詳細を見る

現代の科学では解明できない謎の商品“おもしろたわし”を調査してほしい―。商社マン・宮口翔一は常務からの特命を受けて、生産地の天草諸島の壱里島へ飛んだ。しかし、その小さな島は強力なパワースポットと化し、奇妙な現象が次々と起こっていた。翔一は知り合ったオカルトライター・機敷埜風天とともに“問題の地”信柄浦岳を目指すが…。西の涯ての伝説の地で何が起こったのか?感動と驚愕の癒し&奇跡系ファンタジー。


退職勧告を受けて崖っぷちな商社マンが、謎の商品“おもしろたわし”を調査するよう常務に命じられ、過疎の島へ。正体不明の美女が「覗かないで下さい」と、鶴の恩返しのように、隠れて製造する“おもしろたわし”はどんな汚れも落としてしまい、たわしも汚れないという、地球人の科学力で作られたとは思えない超ハイテク仕様!? 絶対に宇宙人ネタと思っていたのだが……。

パワースポットを求めてやってきた胡散臭いオカルトライターとも出会うのだが、こいつの名前は機敷埜風! こんなところにも機敷埜風が出てくるとは(笑)。別の作品にもリンクしているのが楽しい。

“おもしろたわし”の製造過程は見せてもらえたものの、魔法としか思えないような作り方で、謎美女の正体が、ますます地球外知性体に思えてくる。現状を報告すると、自分が知らない間に商社を退職した事になっていた! これは酷すぎる。

そのまま流れに身を任せるまま、核燃料処理施設誘致で島を二分する対立に巻き込まれて行く。カジシンだから最後はハリウッド的なハッピーエンドに落ち着くけど、謎美女の能力がチートすぎる(笑)。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

ボクハ・ココニ・イマス 消失刑

ボクハ・ココニ・イマス 消失刑ボクハ・ココニ・イマス 消失刑
(2010/02/19)
梶尾 真治

商品詳細を見る

実刑判決を受けた浅見克則は「懲役刑」と「消失刑」のどちらかを選べ、と言われる。消失刑だったら、ある程度の自由が与えられ、刑期をどのように過ごしてもかまわないらしい。いったい、どんな刑罰なのか?究極の孤独。僕は、いないも同然だった。それでも、彼女を救いたかった。


消失刑という有り得ない設定だけど、三崎亜記みたいに淡々とした感じじゃないので結構楽しめた。懲役刑の代わりに消失刑という実験段階の刑も選択出来ると言われ、消失刑を選んでしまった男の悲劇。

可も不可も無い感じで、地方都市で平凡な人生を歩んでいた男は、悪女絡みの痴話喧嘩に巻き込まれて、気がつけば傷害事件の犯人となってしまっていた。当然、会社は懲戒解雇、刑事事件で懲役となるところ、消失刑というものを説明され、そちらを選択してしまう。

消失刑になると、首輪みたいなものをつけられ、他の人間からは認識して貰えなくなる。娯楽も制限されており、他者とコミュニケーションを取る事も出来ない。禁止された行動を取ると、首輪から気を失いそうになる程の苦痛を受ける事になる。石ころ帽子の凶悪版といったところか。

他人からは認識して貰えないので、自分で気をつけないと車に轢き殺されたりする危険もあるので、これは懲役刑のほうが遥かにマシなのではなかろうか……。食事も、自分で取りに行って機械から出て来るものを受け取って食べるしか無い。コミュニケーション不可なので店では買えないし、犯罪行為も禁止だから万引きも出来ない。家にいても、TVやPCなどの娯楽も禁止だし、日記すら書いてはいけない。

ただひたすら、刑期が終わる事を願い、淡々と日々を過ごすのだが、かつての同級生が浮浪者となっており、浮浪者を狩り殺しているキチガイ中学生に狙われているのを助けようとした時に、首輪が壊れてとんでもない事になってしまう。

首輪が壊れ、刑期が終わっても外れなくなってしまった男は、もうずっと無期消失刑状態に。政府は助けてくれないどころか、実験施設すら消滅してしまい、全てが無かった事に!?

悲惨なサバイバルが始まるのだが、自分を認識してくれた幼女からはお化けにも似た扱いをされてしまうし、同級生浮浪者からは妖怪扱い。絶望寸前のところに、女性のテレパシーみたいなものが流れ込んできて、他者と会話出来るようになる。だが、その相手は恐ろしい事件に巻き込まれていた。

近所で見つかった、臓器が抜き取られた変死体。若い男女が何人も行方不明になっており、調べるうち、テレパシーで会話した女性も行方不明となっている事が判明する。男は彼女を救おうと頑張るのだが、消失刑状態だからほとんど何も出来ず、絶望的な状況となる。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

メモリー・ラボへようこそ

メモリー・ラボへようこそメモリー・ラボへようこそ
(2010/01/26)
梶尾 真治

商品詳細を見る

あなたの必要な「おもいで」をご提供します――不思議な記憶移植の研究所「メモリー・ラボ」を舞台に繰り広げられる、思いっきりスイートで、ちょっぴりビターな愛の記憶の物語。


恋愛もせず、結婚もせず、子供も作らず、ひたすら仕事だけに没頭して定年を迎えた男。会社内ではそこそこでも、これでは人生の勝ち組とは言い難いよなぁ。全部クリアして、さらに仕事も成功させているリア充の皆様がいますからね。まあ、全てクリア不可能よりはマシだけど。

思い出も何も持たない男が、ある日、たまたま見つけた屋台で、偽りの記憶を自分に入れてくれるメモリー・ラボの存在を教えられる。誰かの記憶を自分に入れるなんて、かなり胡散臭い話であるが、お金を払って入れてもらった記憶に出て来る女性の正体が知りたくなり……。

仕事を取れば何も残らない寂しいだけの人生かと思ったら、後半で大逆転。植えつけられた記憶を辿り、熊本まで行くと、誰かの遠い記憶にしか存在しない筈の女性とよく似た人物に出会い……。やはり、ハッピーエンドのフラグが立つ展開になりますか。

二編入っているけど、両方ともメモリー・ラボ絡みで、登場人物も若干リンクして来る。二つめの話は、父を持たない子として育った女性の話。何とか自分の父が誰であるのか知りたいと思っていたところ、同窓会で声をかけられた相手が、メモリー・ラボの所長で、頑なに真実を隠している母親から、記憶を引き出す事に。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

穂足のチカラ

穂足(ほたる)のチカラ穂足(ほたる)のチカラ
(2008/09)
梶尾 真治

商品詳細を見る

うだつの上がらない父、パチンコ依存症の母、引きこもりで高校に行っていない長男etc.―。冴えないことこの上ない海野一家だが、唯一の救いは、愛らしい三歳児・穂足の存在だった。その穂足が大怪我で入院した時から、家族の大逆転が始まった。奇蹟としか思えない出来事の数々には、どうやら穂足が関係しているようなのだが…。


熊本県のある町に住む家族に起こる不思議な物語なのだが、ちょっと不幸気味な状態から始まる。お婆さんは他界、お爺さんはボケが始まり、父は会社が倒産して転職したが糞上司にイビられる毎日で、母はギャンブル中毒で裏金融から借金地獄、息子は糞教師と不良のせいで引き篭もり状態、娘は高校中退でシングルマザー。娘がどこの誰だか判らない男の子を宿して出産、それが穂足なのだが、何故か妙な力を持っていた。

ある日、穂足が事故に遭い意識不明となるのだが、病院のベッドで寝ている穂足を触った家族に妙な力が付与される。祖父はボケから復活、父は相手の心を操れるようになり、母は常勝不敗のギャンブル運がつき、息子は不良と対決できる力が宿り、娘はフェロモンが出るようになってモテ期に入る。

次第にご都合主義的で壮大な物語となって行き、伝説へと……。救世主とか処女受胎とか、有り得ない。いつもゆるゆるな話ばかり書く梶尾真治だから許されるものの、普通の作家がやったら物凄く胡散臭いと思う。

これ、機敷埜風天まで出てくるぞ! という事は、『悲しき人形つかい』や『クロノス・ジョウンターの伝説』と世界を共有している訳ですな。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

あねのねちゃん

あねのねちゃんあねのねちゃん
(2007/12)
梶尾 真治

商品詳細を見る

他の人には見えないけれど、自分には見える。玲香にもそんな経験がある。孤独で寂しかった幼い日、遊び相手だった「あねのねちゃん」。今はそれが想像の産物だと知っているが、当時は唯一の友達だった。ところが失恋を切っ掛けに、OLになった玲香の前に、再び「あねのねちゃん」が現れた。当時の姿、そのままで―。懐かしくて新しい、ファンタジックな“あなたの友達”の物語。


イマジナリー・コンパニオン、つまり、幼児が作り出す想像上の友達が素材となっている。幼稚園に通っていた頃、いつも一緒にいてくれたあねのねちゃん。その存在すら忘却の彼方へと飛んでいってしまい、今では成人女性となった主人公、玲香。

外見には恵まれているものの、引っ込み思案で大人しく、自らの長所を全く活用出来ず薄幸なままでいる。付き合い始めたばかりの男性には二股かけられ、アッサリと捨てられてしまうし、会社では声が大きいだけの馬鹿上司に無理やり責任をなすりつけられてしまう。自分のミスを部下に押し付ける馬鹿上司って結構多いよね。そういうのを出世させる時点で、もうその会社は腐っているけど。

数々の嫌な目に遭い、すっかり落ち込んだところに、再びあねのねちゃんが現れる。大学で心理学も学んでいた玲香は、あねのねちゃんを単なるイマジナリー・コンパニオンだと考えるのだが、その能力は明らかに心理学的な常識を超えていた! 本来、自分にしか見えないはずのあねのねちゃんは、不思議な力を使って上司や裏切り者の元彼氏に復讐をする。

このまま物語が進めばホラーだけど、やはりカジシン、途中からはラブロマンス。そして最後は好青年と良い感じに。それにしても、あねのねちゃんの正体が単なる脳内妄想ではなくて、オカルトじみた……だとは!

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

アイスマン。ゆれる

アイスマン。ゆれるアイスマン。ゆれる
(2008/03/20)
梶尾真治

商品詳細を見る

知乃と鮎美、和衣は高校時代からの親友。知乃には自分以外の恋愛を成就させるお祈りができる、特殊な能力があったが、自分たちはまだ独身だ。三十代を迎えた彼女たちの前に現れるのは「運命の人」なのか?ファンタジックで切ない、恋愛小説の傑作。


題名がこんなのだから、人を凍らせる能力があるミスター・フリーズみたいな奴が主人公なのかと思ったら、男ですらないじゃないか(笑)。三十路突入してしまった三人の女性が出てきて、そのうちの1人がアイスマンなのである。

祖母が遺した魔術書みたいなもののうち、誰かが読めるように訳した人の恋愛を操る呪文だけが使えるようになるのだが、かけた本人には副作用が襲ってくるのである。

最初はお試しで学校の先生に使ったところ、二人は家庭を捨てて駆け落ちしてしまう。二回目はそれから随分と後になってから、友人の職場にいる同僚に使用。三度目は、友人に使うのだが、副作用が酷くなる。その後、人類ではない何かが現れ次に使えば死ぬと警告される。しかし、もう1人の友人にも使って欲しいと頼まれて……。

自分の命が無くなるのだから、普通に考えたら使うはずないだろうと思うのだが……。しかし、やはりカジシン、最後はゆるゆるな感じでハッピーエンドに近い結末に。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

ヤミナベ・ポリスのミイラ男

ヤミナベ・ポリスのミイラ男 (光文社文庫)ヤミナベ・ポリスのミイラ男 (光文社文庫)
(2006/02/09)
梶尾 真治

商品詳細を見る

全宇宙のスーパー・ヒーローが集結した「超人サミット」会場が、爆弾テロに襲われた!奇跡的に生き残ったのは、アルバイト青年の脳のみ。バラバラになった48超人のパーツがツギハギされ、ここに気弱な最強ヒーロー・怪傑ミイラ男が誕生した!美少女天才科学者と共に、彼は日夜、宇宙の平和のために闘うのだった。読めば元気が湧く爆笑スペースオペラ。


ちょっと気になっていたのだが、ここまでおバカな作品だとは……。作品紹介ではスペースオペラという区分になってはいるけれども、限りなくラノベっぽい。これをそのままSFに分類して良いものか、迷ってしまう。

ズヴゥフル総合大学で学ぼうとしたものの、不合格となりヤミナベ・ポリスでフリーター状態の浪人生カズヒコ。ある日、テロに巻き込まれてしまうのだが、気がつけば、テロで死亡した各種超人達の残骸をつぎはぎしたミイラ男に改造されてしまっていた。とっても馬鹿っぽいヒーローの誕生である。かくして、本人の意思など関係なく、強引に悪の組織パンドラと戦わされる事に。

無理やりヒーローにされてしまったカズヒコも馬鹿っぽいが、敵方の構成員も馬鹿っぽいのばかり。作者のお遊び満載なので、好き嫌いが分かれるだろう。最後には、世界の危機が迫り、上方世界から“神”が降臨して終末を迎えてしまう。ある意味、究極の反則技である。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

時の風に吹かれて

時の“風”に吹かれて (光文社文庫)時の“風”に吹かれて (光文社文庫)
(2008/12/09)
梶尾 真治

商品詳細を見る

画家だった叔父は、生涯、ただ一人の女性を描き続けた。火災で亡くなったその人を救うため、男は一九六一年の時代へと跳ぶ。自らの存在が消えてしまう危険をも顧みず―(表題作)。娘が拾ってきた一匹の猫。それが私の目にだけは人間の少女に見えるのだった。日々美しく成長していく姿に胸をときめかせて…(「ミカ」)。短編の魔術師が贈る、心躍らせる11編の物語。


うーん……。表題作は文句無く良いのだが、とってもふざけた内容の馬鹿っぽい短編も多くて萎える。アトムのパロディとか、整形美女が抜け忍みたいな設定で、裏バレエで闇エアロビの刺客と闘ったり……。口裂け女に恋した男性の物語、拾われてきた猫が女の子にしか見えない話はちょっと良かったけど、全体通して微妙。こういう馬鹿っぽいのじゃなくて、もうちょっとホロリとくるタイムトラベル・ロマンスが読みたい。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

悲しき人形つかい

悲しき人形つかい悲しき人形つかい
(2007/02)
梶尾 真治

商品詳細を見る

ホーキング博士に、自分の足で歩いてもらいたい!無名の天才発明家・機敷埜風天は、壮大な夢を実現すべく、脳波を直接受信して動作をサポートする介護支援機器「BF」を開発していた。しかし、引っ越してきた横嶋町は、二組のやくざが抗争を繰り返す、超危険地域だったのだ…!想像力がエスカレートしていく痛快スラプスティック長編。人気作家・梶尾真治、待望の最新作。


題名からは重苦しい悲劇の物語であるかのように感じられるが、実際にはコメディ・タッチな軽いSFだった。

身体が不自由なホーキング博士に使ってもらうと、脳波誘導ボディフレームという妙な介護機械を試作する天才とその友人。世間ズレした天才は、昼夜問わずボディフレーム開発のために騒音を出すものだから、近所から苦情が来て引っ越す事になる。不動産屋から格安物件を紹介してもらい引っ越した先は、黒澤監督の「用心棒」のように、敵対する暴力団が争う超危険地域だったのである。程なく抗争へ巻き込まれる事になった二人は、脳波誘導ボディフレームを駆使して組長の死を隠蔽しなければならなくなるのだが……。

馬鹿っぽいけど面白い。ちょっと昔の日本SF臭がふんだんに漂っていて、力を入れずに読めるのが良いですね。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

きみがいた時間 ぼくのいく時間-タイムトラベル・ロマンスの奇跡-

きみがいた時間 ぼくのいく時間-タイムトラベル・ロマンスの奇跡-きみがいた時間 ぼくのいく時間-タイムトラベル・ロマンスの奇跡-
(2006/06/23)
梶尾 真治

商品詳細を見る

至上の愛は時を超えられるのか? 映画化(東宝)、演劇化(キャラメルボックス)された、あの「クロノス・ジョウンターの伝説」を超える書き下ろしに、定評のカジシン短編を揃えた珠玉のアンソロジー。演劇集団キャラメルボックス主宰の成井豊との情熱対談も収録。


タイムトラベルを題材にした短編集。うちひとつは『クロノス・ジョウンターの伝説』と同じ世界観を共有する。クロノス・ジョウンターとは別の理論によって過去へ行くのだが、事故死した妻を救うために跳躍するというお約束は変わらず。やはり、女が死ぬんだよな。男が死んでも女は過去を改変せず、別腹人生を謳歌しそうだしなぁ。

「きみがいた時間 ぼくのいく時間」今回は別理論なので、過去から弾かれたりはしないのだが、行ける先は調整出来ないのだ。螺旋状の時間を重ねた時に、現在と合わさるのは39年前なのである。つまり、妻や自分が生まれる前の世界へ飛んで、その時が来るまで待ち続けなければならないのだ。細かい部分でタイム・パラドックスが解消されていないけれど、気にしない気にしない。

「江里の“時”の時」は、古代で石を動かした事によって別の未来へと迷い込み、自分の代わりに存在してタイムマシンを開発した女性に恋する科学者の物語。だが、別の未来へは干渉する事が出来ない。そのうち、彼女の世界はある施設の事故で発生した連鎖融合現象で滅亡寸前だと知り苦悩する。

「時の果の色彩」は、未来の自分自身から送られたタイムマシンで過去と未来を行き来する社長の話。この話の設定では過去も未来も現在を起点に19年しか存在していないというもの。時間の波が現在を中心として、その範囲にしか広がっておらず、そこから向こうの過去は消滅してしまい、未来はまだ形成されていないのである。存在しない過去へは行く事が出来ず、病死した女と会えなくなる時期が目前に迫り、一人の新入社員にある事実を告げる。

「美亜へ贈る真珠」は。航時機と呼ばれる未来への一方向タイムマシンへ入った男と外界へ残された女の話。航時機の中は時間の経過が遅くなり、外界の一日が一秒にしかならなくなるのだ。時がほぼ止まったままの男と、それを見つめ続けながら年老いていく女の物語。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

つばき、時跳び

つばき、時跳びつばき、時跳び
(2006/10/19)
梶尾 真治

商品詳細を見る

幽霊伝説のある旧家に住むことになった「私」は、ある日、突然出現した不思議な少女に魅せられる。150年の「時の壁」を超える恋の行方は? 「黄泉がえり」の作者が放つ、究極のタイムトラベル・ロマンス。


先祖が残した百椿庵という古い建物に住む事になった作家。そこには女の幽霊が出ると伝えられているのだが、何故か女性にしか見えないと言われていた。しかし、作家は男として初めて幽霊に出会ってしまう。若く美しい幽霊にまた逢いたいと思った彼は、百椿庵を調べるうちに、屋根裏に奇妙な物を見つけてしまう。

ある日、外出して百椿庵に戻ると幽霊が、生身の体で存在していた。幽霊の正体はつばきという女性で、どうやら150年前に百椿庵に住んでいたらしい。次第につばきに惹かれていく作家であったが……。

違う時代に生きた二人にどういう結末が訪れるのか、ハッピーエンドか、せつない離別か、最後まで目が離せない。カジシンだけに、細かい部分で突っ込みどころは多々あるけど、その辺はサラリと読み流して、あんまり気にしないほうがよろしい。ラストが、ややアッサリしすぎなのは残念。もう少し感動的に描けたら名作になったのに。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ

クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ (ソノラマノベルス) (ソノラマノベルス)クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ (ソノラマノベルス) (ソノラマノベルス)
(2008/02/07)
梶尾 真治

商品詳細を見る

タイム・トラベルものの一流シェフ、カジシンが、欠陥タイム・マシン「クロノス・ジョウンター」に乗り、命を救い、愛を成就する人々を描く、涙とスリル満点の中編連作集。ソノラマ既刊4話に、単行本未収録の1編と本書のための書き下ろし1編を加えた、強力増補版。


中身については文句無いのだが、通常版→増補版→ネクスト→新編→∞インフィニティと、追加される度に新版にして売りなおすのは嫌らしいよなぁ……。

内容は、各話独立した短編でありながら、それぞれの主人公が別の話に出てくる人物に影響を及ぼしているのが面白い。最後の一編を除いては、全員が過去を変えるために遡行し、自分がいた時代よりも未来へと跳ね飛ばされていく。6話あるけれども、最初に出てくる主人公の消息だけは、やはり描かれない。これとは別に、『悲しき人形つかい』に出てくる天才まで登場してくる。


「この胸いっぱいの愛を」の元ネタがこれなのは知らなかった。恋人を失った男が過去改変に挑むタイムトラベル物。しかし、登場するのはタイムマシンではなくてクロノス・ジョウンターという機械。過去へ行けるという基本原則は踏まえつつも、ウェルズが創り上げたタイムマシンとは違い、欠陥が多いのである。

第一の欠点は、過去へ行ってもその時間へ留まり続ける事は出来ずに、極めて短時間で跳ね飛ばされてしまうのだ。未来からの侵入物が異物と看做されて過去から弾かれるのか、未来から引っ張られるのかは明らかでないが、苦労して過去へ到達しても、その直後に未来へと行ってしまうのだ。第二の欠点は、一度到達した過去以前には、二度と赴く事が出来なくなるという点。過去へは一度しか行けないのである。第三に、これが最大の欠点なのだが、過去から跳ね飛ばされて向かう先は現在では無く、出発前よりも未来へと到達してしまうという点。さらに、重ねて過去へ向かうと(最初に到達した過去よりも少しだけ未来に該当する過去へは到達出来る。)未来へと跳ね飛ばされる時間が増大していくのだ。

最初のタイムトラベルで恋人の事故死(1995年に発生)を改変する事に失敗した男は、一年八ヶ月後の未来へと飛ばされる。二度目の改変を試みるがまたもや失敗、七年後の世界へと飛ばされる。欠陥の多さから倉庫入りしたクロノス・ジョウンターを探し当て、三度目の遡行を試みるも失敗して2051年へ。すでにクロノス・ジョウンターは博物館の展示品と化している。一度遡行した過去以前には戻れないという制約から、事故までの残り時間を考えると残されたチャンスはあと1回。しかも、過去改変に成功したとしても、その後に飛ばされる先は西暦5187年。つまり、恋人が存在しなくなってから3000年以上も後の未来世界なのである。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

黄泉がえり

黄泉がえり (新潮文庫)黄泉がえり (新潮文庫)
(2002/11)
梶尾 真治

商品詳細を見る

あの人にも黄泉がえってほしい―。熊本で起きた不思議な現象。老いも若きも、子供も大人も、死んだ当時そのままの姿で生き返る。間違いなく本人なのだが、しかしどこか微妙に違和感が。喜びながらも戸惑う家族、友人。混乱する行政。そして“黄泉がえった”当の本人もまた新たな悩みを抱え…。彼らに安息の地はあるのか、迫るカウントダウン。「泣けるリアルホラー」、一大巨編。


限定された地域内で、次々と死者が戻ってくるという超常現象。題名を見る限りではホラーとしか思えないのだが、映画の予告編を見て、怖い話ではないと判る。しかし、映画化の影響で常時貸出中となってしまい、なかなか借りられなくなってしまった。

ようやく読んだ。ボリュームあるので疲れた。死者が蘇る理由には、ある存在が関与しているのだが、ホラーでも神がかり的なものでもない。ゆるゆるではあるが、分類するならSFが近いか。正統派SFには程遠いけれども。

随所にご都合主義な展開がありまくりで、このゆるい感じは、やはりカジシンらしい。実際のところ、生きている人間から見れば、死者の復活に他ならないのだが、これは黄泉がえりとは違うよなぁ。別の何かが、復活した「私」だと思い込んでいる状態だし。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ