![]() | 銃 (新潮文庫) (2006/05) 中村 文則 商品詳細を見る |
昨日、私は拳銃を拾った。これ程美しいものを、他に知らない―。ある夜、死体の傍らに落ちていた拳銃。それを偶然手にした私は、次第にその“死と直結した機械”に魅せられていく。救いのない孤独と緊張。膨らみを続ける残酷な妄想。そしてその先には、驚愕の結末が待っていた…。非日常の闇へと嵌まり込んだ青年の心の軌跡を、確かな筆力で描く。若き芥川賞作家、堂々のデビュー作。
第128回芥川賞候補作。
偶然手に入れた銃によって、日常が少しずつ狂っていく男の話。ある日、橋の下でピストル自殺したと思われる男の死体を発見してしまった主人公。そこには、男の死体と銃が転がっていた。思わず、その銃を手に入れてしまった男。用心深く、注意を払いながら銃を隠し持つ事で狂っていく日常生活。ある日、死にかけの猫を見て、思わず発砲してしまうのだが、警察に目をつけられてしまう。このままだと破滅するので、以前から考えていた場所に銃を捨ててしまおうと電車に乗るのだが……。
中村文則が描く人間の狂気は、自分の身にも起こりえる身近な感じがある。ちょっと人を殺してみたくてバスジャックしたり、子供の首を切断して飾るようなキティを見ても他人事で、自分がそのようなキティになるとは考えられないが、もしも銃を手にしていたら、些細な諍いで思わず……、という事は有り得そうで怖い。
これも力作なのだが候補作止まり。この回は大道珠貴が受賞しているが、出来は良いのだろうか? 大道作品は、たまたま読んだのが二作続けて地雷だったからまだ未読だが、中村文則よりもダメ作品だったら嫌だなぁ。



