異世界居酒屋「のぶ」

4041037808異世界居酒屋「のぶ」(1) (カドカワコミックス・エース)
ヴァージニア二等兵 転
KADOKAWA/角川書店 2015-12-26

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古都アイテーリアの裏路地に繋がった、居酒屋「のぶ」。異世界の住民達は、馴染みのない異国風の料理と冷えた「トリアエズナマ」のあまりの美味さに次々と虜になっていくのだが…!?異世界グルメファンタジー開幕!


おでんのじゃがいも
夜空に月が二つ輝く異世界にある、城壁の古都アイテーリアが物語の舞台となる。本日は給料日である。ハンスはニコラウスが最近見つけたという、お勧めの酒屋に誘われたのだが、そこは中世ヨーロッパ風の街並みに全く溶け込んでいない、妙な居酒屋だった。兵士たちが読めない未知の言語で店名が書かれているのだが、そこは「居酒屋のぶ」だった。

「居酒屋のぶ」は看板娘のしのぶちゃんから取った名前かと思ったのだが、店主の名前だった。生ビールがトリアエズナマという飲み物だと思われているのが笑える。ハンスは入口がガラスでビールジョッキもガラスなのに驚く。

トリアエズナマは透き通る黄金色で、ハンスが今まで飲んでいたエールが牛の小便だと思うくらい、異次元の美味さだった。オトーシの枝豆のあとは、寒い季節だったので、おでんが出て来る。

大根、蒟蒻、牛スジ、ちくわが入っているのだが、北方神話の神の名前に似ているので、ハンスは寒い地域の伝統料理だと思い込む。いつの間にかニコラウスが飲んでいたアツカンも飲んだことがない美味い酒だった。


若鶏の唐揚げ
居酒屋のぶは古都を守る兵士の間で評判になり、ハンスは中隊長ベルトホルトを案内する事になる。ハンスは、ニコラウスが頼んでいたのを覚えてスルメを注文するが、ベルトホルトは触手系が苦手なようである。品書きが未知の言語で書かれていて読めないのだが、タイショウがだいたい何でも出来るというので、鶏肉料理をお願いする。

古都では卵を産まなくなったかたくて不味い廃鶏しか出回らないので、ベルトホルトはあえて注文してみたのである。タイショーがしのぶを買い物に行かせるのだが、店の裏は見た事も無い通りに繋がっていた。

ベルトホルト隊長は若鶏の唐揚げが出て来て、そのジューシーさに驚く。タイショーとしのぶが賄いのチキン南蛮を食べ始めたので、気になって仕方がないベルトホルトは、翌日の訓練が終わると、走って食べに行くのだった。


しのぶちゃんの特製ナポリタン
居酒屋のぶには厄介な相手が食べに来ていた。ゲーアノートいう徴税請負人である。徴税請負人は、税収を多く取ると、差額が自分の取り分になるのである。タイショーが買い物から戻らないので、ゲーアノートはパリパリキャベツ(キャベツを並べただけ)を食べているのだが、しのぶが賄いのパスタを食べようとしたところ、それを欲しがる。

しのぶは難しいのは出来ないので、味はお任せになる。ゲーアノートの前にはナポリタンが出て来る。ナポリタンにチーズとタバスコをかけたところ、生命と宇宙全ての答えを感じてしまった。ゲーアノートはガッツリ税金を取ろうとしていたのだが、味に感動して金貨を置いて去って行く。


お嬢様の難題
ヨハン=グスタフが姪のヒルデガルドを連れて来るのだが、お嬢様は「臭くなくて辛くなくて酸っぱくなくて苦くなくて固くなくてパンでも芋でもお粥でも卵でもシチューでもない美味しいものが食べたい」と言い出す。

いつもなら料理人はこの難題に答えられないのだが、居酒屋のぶのタイショーは違った。ヒルデガルドの目の前にカセットコンロが置かれ、鍋でお湯が沸き始める。そこに豆腐が入れられ、完成したのは餡かけ湯豆腐だった。その後も、色々と出て来るので、2人とも満足そうだった。


はじめての海鮮丼
面白い店があると衛兵に教えてもらったイグナーツが、妹と結婚する予定のカミルと一緒に、居酒屋のぶに来る。古都は内陸にあり、新鮮な魚が手に入らない。生のままで食べるのは勇気が必要だったが、刺身も海鮮丼も鮮度が良かった。


豚汁
冬場になると、古都では物流が止まって料理の質が落ちる。固いパン、脂身ばかりのベーコン、酸っぱいエール。衛兵は体力勝負なので、いつまで続けられるのか分からない。後ろ向きな気持ちになりかけたので、ニコラウスは居酒屋のぶに向かう。

居酒屋のぶには、すっかり常連になったハンスがいた。順調に客も増えているみたいで、税金を取ろうとしていた徴税請負人のゲーアノートまで、常連になっているようである。


4041044251異世界居酒屋「のぶ」 (2) (カドカワコミックス・エース)
ヴァージニア二等兵 蝉川 夏哉
KADOKAWA/角川書店 2016-06-30

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キスの日
給料日なので、居酒屋のぶに行こうとするニコラウスだったが、中隊長に居残りを命じられてしまう。ハンスは大丈夫だったので、居酒屋のぶに向かった。途中で、教会から出て来る新しい助祭を見かけるのだが、見るからに堅物そうな爺さんなので、居酒屋のぶの事が心配になる。異教徒を街から追放するような司祭もいるからである。

しのぶの機嫌が良いのだが、「今日はキスの日なんです」と爆弾発言するので、周囲の男達が動揺する。しのぶの故郷には、なにやらけしからん風習でもあるのではないかと思われかけるのだが、キスとは魚の名前だった。

キスの日なので、キスの天ぷらが出て来るのだが、高級品の紙が器に敷くために使われてハンスは驚く。紙は、料理から余分な油を吸い取るためのものだった。


盗人
店の掃除や昼間の用事が済んだので、表を掃きに行こうとしたしのぶは、鍵が開いているのに気づいてしまう。自分がそんなミスをするわけがないので、誰かが店内に侵入した可能性が高いしのぶは外にいたお肉屋のフランクに頼んで、衛兵を読んで来てもらう。

フランクが衛兵のところに行き、事情を説明していると、たまたま通りかかった教会のエトヴィン助祭に聞かれてしまった。エトヴィン助祭は、衛兵の仕事を見学したいと言い出し、現場までついて来ることになってしまった。

居酒屋のぶでは、タイショーが賊に襲われたら店を続けられなくなると思ったしのぶが、勇気を出して店内に戻っていた。中に居たのは、エーファという小さな女の子だった。水が出て来るのを見て、水道の蛇口が欲しくなったらしい。

タイショーが店に降りて来たので、しのぶはエーファを新しく雇う皿洗いのバイトだと説明する。ここで初めて、店主のフルネームが判明した。タイショーは矢澤信之というらしい。

ニコラウスと助祭が駆け付けた時には、すでに居酒屋のぶは平常営業していた。盗人の件は上手くおさまったのだが、堅物に見えて衛兵に警戒されていたエトヴィン助祭が、実は居酒屋のぶの常連だった。一緒について来たのは、教会では春分までは粗食しか出来ない事になっているからだった。エトヴィンは、出されたものを断るのも神の意に反するという言い訳をし始めるのだった。


招かれざる客
昼間の古都を散策していたしのぶが店に戻ると貴族の使者がいて、いきなり上から目線で店を貸し切ると言い出す。いきなり貸し切ると言われても、他の多くのお客様が楽しめなくなってしまうので断るのだが、使者は捨て台詞を吐いて去って行くのだった。

暫くすると、店の前が某世紀末みたいな事になってしまっていた。これでは客が入れないではないか。クズな使者と共にやってきたのは美食家のブランターノ男爵だった。

とある貴族の結婚披露宴で、これまで食べたものの中で何が一番美味だったかという話になったのだが、年若い花嫁の挙げたアンカケユドーフを、その場にいた貴族すべてが食べた事がなかった。アンカケユドーフよりも、あのロリな貴族令嬢が結婚した事のほうが驚きである。まだ小学生くらいじゃないか。

季節限定メニューだから、アンカケユドーフは作れないと断ると、シュニッツェルを求めてきた。タイショーが衛兵のところにシュニッツェルについて聞きに行っている間、しのぶは賄いのサンドイッチを作るのだが、ブランターノ男爵はそれを求めて来た。

サンドイッチは気に入ったようだが、もっと欲しいと言うのでカツサンドを作ったところ、タイショーが戻って来る前に、満足して帰ってしまった。貴族は厄介な相手だけど、金払いは良さそうだよね。ブランターノ男爵も、お金を袋ごと渡して帰って行ったし。


親方喧嘩
ゲーアノートという徴税請負人が絶賛している店だと聞いて、鍛冶ギルドのホルガー親方がやって来る。そこへ、衛兵をしている息子から店の話を聞いた硝子職人のローレンツが入って来た。お互い言い合いになるが、犬猿の仲かと思ったら、そうやって楽しんでいるだけのようである。


中隊長の弱点
中隊長ベルトホルトが店にやって来る。基本的に出された料理は何でも食べる男だが、イカだけは駄目らしい。お見合い相手の父親がイカ漁師なので、どうしてもイカを克服しなければならないらしい。イカを出されるが、ベルトホルトは食べる事が出来ずに帰ってしまった。

後日、ベルトホルトがエドウィン助祭と一緒に店に来ると、イカ尽くしの日になっていた。イカそうめん、イカのシオカラ、いか団子、いかの生姜煮、ホタルイカの沖漬け、イカリングフライと、いろいろ出されたのだが駄目だった。

ベルトホルトは、船乗りだったひい爺さんから聞いた海面を埋め尽くすイカの群れや、巨大イカの話がトラウマ化してイカ嫌いになったらしい。タイショーにイカの実物を見せられて、イカを克服する事が出来た。しかし、イカ漁師であるお見合い相手の親が、お見合い用にクラーケンを獲って来ることを、ベルトホルトはまだ知らなかった。


ふしぎの国のエーファ
ある日、タイショーが仕入れの買い出しに出かけ、しのぶが散歩とお肉屋のフランクさんのところに出かけ、エーファは留守番を頼まれた。ふと見ると、神棚のアブラアゲを咥えた狐が裏口から出て行ったので、エーファは追いかけてしまう。

裏口は危険だから出てはいけないと言われていた。裏口の向こう側は、見た事もない場所だった。狐を追いかけていると、空気が汚れていて、馬のいない馬車がたくさん走る通りに出て、迷子になってしまう。というか、ここは四条河原町じゃないか。まさか、居酒屋のぶの裏口が京都だったなんて! 古都繋がりで、神が繋げたのか?

エーファは迷子として警察に保護されそうになるが、人攫いかもしれないと、怖くなって逃げ出す。神社に辿り着くと、そこに狐がいて、元の世界に戻してもらえた。居酒屋のぶが異世界と繋がっているのは、倉稲魂命の力によるものらしい。

エーファが聞いた神の御使いの伝言で、神棚のお供えは月1回イナリズシになった。






404104426X異世界居酒屋「のぶ」 (3) (角川コミックス・エース)
ヴァージニア二等兵 転
KADOKAWA 2017-02-04

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仁義なき蒲焼き
居酒屋のぶの店内は、水運ギルドの会合で、客が入って来なくなるほど空気が悪かった。古都には、ラインホルトが頭を務める古き格式のあるギルド【金柳の小舟】、エレオノーラとその母親が率いる金と権力を持つギルド【鳥娘の舟歌】、ゴドハルトが牛耳る古都最大のギルド【水竜の鱗】と、3つの水運ギルドがあるのだが、揉めている最中だった。

【金柳の小舟】は先代ギルド長が急死したため、息子のラインホルトが継いだが、その隙をついて【水竜の鱗】が幹部を根こそぎ引き抜いてしまった。落ち目になった【金柳の小舟】の部下が、ゴトハルトのシマで勝手に仕事をしていたのが問題になっていた。

ラインホルトは漁業権の譲渡で手打ちにしたいが、ゴトハルトはウナギのような泥臭い魚しか獲れないと不満である。ウナギと聞いたシノブが、古都の市場に買いに行く。日本だと高級魚であるが、異世界では人気が無いので、桶がいっぱいになるほど買う事が出来た。

タイショーは蒲焼きを作り始めるが、いがみ合っていた水運ギルドの長たちも、良い匂いに釣られ始める。何を料理しているのか分かったら無料にすると言われるが、エレオノーラは仔羊のフィレだと思い、ゴトハルトは淡泊なタラだと思った。ラインホルトがウナギだったら良いなと希望を述べたところ……。


密偵とサラダ
奇譚拾遺使は、大陸各地の奇妙な話や珍しい話を集め、東王国の王族へ伝え聞かせるのを業とする集団である。しかし、それは表向きの仕事であり、密偵という裏の顔を持っていた。ジャン=フランソワ・モーント・ド・ラ・ヴィニーは、古都の調査を命じられていた。

ジャンは、偶々見かけた風変りな居酒屋に入ってみた。旅の僧という設定なので、酒は飲まない。酒場では必ずサラダを頼む。生野菜は保存が利かず、長距離の輸送にも適さないので、サラダを食べてみれば、その街の実力が分かるのである。

普通の店ではサラダなど一品しかないものだが、居酒屋のぶでは何種類もあるという。試しに色々と食べてみるのだが、温玉シーザーサラダ、大根サラダ、マッシュポテトと、次々にサラダが出て来る。

大根サラダには鱈の卵が混ざった桃色のソースがかかっていた。内陸にある古都で海の魚が流通している事に、ジャンは驚く。マッシュポテトには聞いた事も無いマヨネーズというものが混ぜられていた。さらに、しのぶが胡椒まで振りかける。この世界では、胡椒は高級品らしい。

最後は、タイショーの晩酌用に買っていた鯨のカルパッチョが出て来る。鯨を獲る方法など、東王国では知られていなかった。報告するため、ジャンは急いで東王国へ戻るのだった。ジャンが倍の料金を払って馬車を借りたため、前の住人が退去出来なくなり、新居に入れなくなる事を、ベルトホルト中隊長はまだ知らない。


中隊長の凱旋
東王国の僧(本当は奇譚拾遺使のジャン)が、急ぎで馬車を借りたため、その馬車で引っ越す予定の住人が出られなくなった。そこはベルトホルト中隊長の新居になる予定だった。嫁の実家から家財道具が送られて来たので、中隊長室に詰め込んだだが、人も入れない状態になった。

夜は、宿を借りて貰っているらしいが、新妻ヘルミーナの昼間の居場所がなくなってしまった。居酒屋のぶで預かってくれないかとベルトホルトが頼むのだが、丁度、居酒屋のぶはうなぎブームで大忙しだった。ヘルミーナの発案で、ウナギは弁当にして店頭で売る事になる。


トリアエズナマの秘密
雨の降る日、ブランターノ男爵から暇を出されたダミアンが、古都を牛耳るバッケスホーフ商会の親玉を連れて、居酒屋のぶにやってくる。バッケスホーフ達は、この店で出されるトリアエズナマが、禁制品のラガーであると確信した。

バッケスホーフは圧力をかけ、店を買い取ると言い出した。新妻ヘルミーナまで手に入れようと、裏で婚姻無効調査願いまで提出する。トリアエズナマが禁制品という事になれば、最悪で死罪にもなりかねない。ラガーは先帝が帝国の特産品として売り出せるよう、流通に制限をかけたのだが、未だに流通させるほどの量を製造する事が出来ずにいた。

ラガーの流通禁止令は、先帝か皇帝しか勅書を撤回出来ないらしい。このままでは、居酒屋のぶを閉店して日本に戻るしかなくなってしまう。バッケスホーフ商会側に凄腕の徴税請負人ゲーアノートがついたと思っていたのだが……。

ゲーアノートは各地に密輸されたラガーの樽数の詳細を調べる事で、逆にバッケスホーフを追い詰めてしまう。持ち出されたラガー37樽のうち、30樽は東王国に、6樽は聖王国へ行っていたが、残りの1樽はバッケスホーフの腹の中に消えていたのである。

エトヴィン助祭もベルトホルト中隊長のために、婚姻無効調査願いに対抗出来るものを用意していた。教導聖省枢機卿ヒュルヒテゴットによる婚姻確認状である。これがあれば、バッケスホーフが裏から手を回そうとしても、大司教でさえ婚姻を無効にする事は出来ない。

エトヴィンは万年助祭な感じであるが、実は教皇に次ぐ権力者である教導聖省枢機卿ヒュルヒテゴットの懐刀のようである。


老人と魚
バッケスホーフ失脚のあと、以前、ヒルデガルドを連れて来たヨハン=グスタフが、ある老人と一緒に居酒屋のぶにやって来る。トリアエズナマを飲むと、禁制品のラガーとは造り方が異なる事を見破ってしまう。お通しには鷹の爪が入っていたが、これは老人の紋章でもあった。

鰯の醤油漬け焼きで、異なった文化を包み込み受け入れる事を再確認し、アジフライを手づかみでかぶりつくようエーファに言われて、独立問題で揺れている北方三邦の食べ方を思い出す。エーファが運んでいたカレイの煮付けをひっくり返してしまった事で、ヒントを得る。

翌日、古都で行われた北方三邦との会談は、先帝の機転と演出により平和に終わり、独立戦争は回避される事になった。



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