本は鞄をとびだして

4101159165本は鞄をとびだして (新潮文庫)
群 ようこ
新潮社 1995-05

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半径500メートルのことにしか関心がない、と公言する群さんが、海の向うの文学を読んでみれば、ああら、まあ…。フィッツジェラルドを読んで隣室の女子大生の乱交を憤り、アーヴィングを読んで痔の手術をした友人のトホホな話に思いをいたし、ヘミングウェイを読んでは理想の死に方を考え胸躍らせる。既成の批評にさらりと背を向けて綴られた、大好評の超過激読書エッセイ海外編。


群ようこの名著紹介エッセイ。この手のエッセイは、新聞の新刊紹介コーナーのヨイショ記事みたいなものが多いのだが、本書は全然関係無さそうな自分エピソードから始まるので面白い。

恋愛イベントが全く発生しない高校時代の自分や仲間の話を語り出すが、紹介する本の中では、いい女が出て来て素敵な恋愛をする。安アパートの隣室でリア充バカップルがイチャイチャする声を聞かされつつ、やたらモテる美女が登場する物語を紹介。

名作文学だからと、お決まりの高尚な言い回しを使ったりはしない。全て、自分エピソードを絡めて、半径500メートル目線で語られる。大半は、自分エピソードになっており、紹介する物語の内容はおまけ程度にしか書かれていないが。

一見すると全然関係無い事が語られ始めるので、この話が一体どうやって紹介する本に繋がるのかと心配になるのだが、上手い具合にオチがついてくれる。題名だけ見ると、絶対に読む気にはならないだろうなと思う本も、群ようこに紹介されると読んでみたくなる。

木の上で人生を送る男爵とか、犬が改造される話とか、変なのがいっぱいあって面白そうである。ナイジェリアで書かれた、妖怪がいっぱい出て来る話とか、絶対に題名で損をしているよな。『やし酒飲み』なんて名前だから、酔っぱらいが出て来るだけの話だと思うじゃないか。


紹介されている本は以下の通り。

01.『海の百合』マンディアルグ(フランス)
02.『冬の夢』フィッツジェラルド(アメリカ)
03.『ニジンスキーの手記』(ロシア)
04.『さよなら・再見』黄春明(台湾)
05.『やし酒飲み』チュツオーラ(ナイジェリア)
06.『ガープの世界』アーヴィング(アメリカ)
07.『モールヴェラ』サキ(イギリス)
08.『百年の孤独』ガルシア・マルケス(コロンビア)
09.『山椒魚』コルタサル(アルゼンチン)
10.『ワインズバーグ・オハイオ』アンダスン(アメリカ)
11.『賭博者』ドストエフスキー(ロシア)
12.『ミリアム』カポーティ(アメリカ)
13.『マテオ・ファルコネ』(フランス)
14.『木のぼり男爵』カルヴィーノ(イタリア)
15.『グリム童話』(ドイツ)
16.『風と共に去りぬ』ミッチェル(アメリカ)
17.『江の向こう岸』ザシダァワ(チベット)
18.『犬の心臓』ブルガーコフ(ロシア)
19.『園芸家12ヵ月』チャペック(チェコ)
20.『キリマンジャロの雪』ヘミングウェイ(アメリカ)


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