異類婚姻譚

4062199009異類婚姻譚
本谷 有希子
講談社 2016-01-21

by G-Tools

子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作ほか、自由奔放な想像力で日常を異化する、三島賞&大江賞作家の2年半ぶり最新刊!


第154回芥川賞受賞作。

「芥川賞なのに面白くない」と言う理由で密林でも低評価が付けられているが、芥川賞が面白い作品を選ぶ賞だと勘違いしている人が多いようだ。今までこの賞をそれなりに追いかけていたら、むしろ面白くもなんともない作品を選ぶ賞だという事が分かるはずである。

基本的に、文壇と書き手のオナニー作品しか選ばれていないじゃないか。綿矢りさの『蹴りたい背中』みたいな、普通に読める作品が受賞する事のほうが、異例なんだよ。面白い話が読みたいのなら、同時期に発表される直木賞のほうから選んだほうが良い。

本谷有希子作品の中では、はっちゃけ度が足りないので、面白いかどうかと聞かれれば、微妙作な感じではあるけれども、芥川賞の中では、まだ読めるほうだろう。いつもなら、もっとマジキチな人が出て来て、頭がおかしい人同士の人間模様が展開されるのだが、「異類婚姻譚」ではそれが無いのが残念。本谷有希子は、初期作品や戯曲のほうがキレていて面白いと思う。

「異類婚姻譚」は自分がだんだん旦那に似て来たと思い込む、サンちゃんの話。飼い犬だって一緒に住んでいると、どことなく飼い主に似てきたりするのだから、これもその程度のシンクロ現象なのかと思ったが、違った。気を抜いた時の旦那の顔がどんどんおかしくなり、パーツのあるべき場所までズレてくる。

旦那の顔がおかしく見えるサンちゃんの頭のほうがおかしいのか、本当に顔が変形しているのか、読んでいてよく分からなくなってくる。前者であると思って読み進めるが……。

だんだん、旦那の様子がおかしくなり、ひたすらゲームをやり始めたり、揚げ物ばかり作り始めたりする。鬱病か何かになったのかと思っていたが、最後の最後で有り得ない結末が待っていた! なんだこれ、夫婦の日常を描いた少し病的な話かと思ったら、ただの不条理物じゃないか(汗)。

他の3編も、人がいなくなって犬に置き換えられたり、世界が途中で消されてしまうクイズ番組だったり、藁で出来た夫の中から楽器が飛び出て来るような、意味不明の不条理な話ばかりだった。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する