ぐるぐる問答: 森見登美彦氏対談集

4093885206ぐるぐる問答: 森見登美彦氏対談集
森見 登美彦
小学館 2016-10-25

by G-Tools

四畳半の内側に広がるフロンティアへ!人生初の対談から、超緊張のご対面まで。作家生活10年間の、登美彦氏と豪華ゲストとの対話を網羅!


ぐるぐる問答は、森見登美彦初の対談集で、自分の発言が面白いのか否か不安なまま、頭の中でぐるぐると悩みつつ他の有名人と会って会話をしたもの。登場するのは順に、劇団ひとり、万城目学、瀧波ユカリ、柴崎友香、うすた京介、綾辻行人、神山健治、上田誠、羽海野チカ、大江麻理子、萩尾望都、飴村行、本上まなみ、綿矢りさとなっている。

劇団ひとりとの対談は光と影である。デビュー作をモデルとなった彼女に読んでもらった森見に対して、相手が著書を読んでくれてさえいない可能性がある劇団ひとり。思いっきり勝ち犬負け犬の差が出ているではないか。

京大出身で作中に京都ネタも多いため、何かと比較される万城目学との対談も楽しい。森見はアドリブが効かないので、授賞式などで話す内容を予め決めて丸暗記するらしいが、頭が良くないと、全部覚えたりするほうが大変だよね。さすが京大である。幼少の頃より書いていたものを全て残している森見と、黒歴史として処分している万城目の違いが面白かった。

異次元ファンタジー的な森見に対して、芥川賞系の柴崎友香は全然ジャンルが違うのだが、方言を取り入れているか、意図的にそこから逃げているかの違いが興味深い。

瀧波ユカリは『臨死!! 江古田ちゃん 』という四コマを描いている漫画家である。作家はすでに顔バレしている人が多いからか、写真で登場するのだが、瀧波ユカリは自画像だった。本書で登場しなくても、グーグル先生に聞いたら出て来るけどね。

うすた京介という人は知らないと思ったが、セクシーコマンドーの人か! うすた京介が森見の著書を読んでいなくて、お勧め作品を聞いたり、タヌキの話の続きを勝手に予測したりしているのが笑える。

綾辻行人は有名だから、ミステリー好きなら誰でも知っているレベルの作家だけど、この人は森見の先輩である。森見が生まれた年に、京都大学に入学したようである。作家って高偏差値大学出身者が多いよね。ケータイ小説とかは分からんけど。森見作品が京都を題材としているのに対して、綾辻行人は現実世界の京都はほぼ書いていない。

神山健治は作家ではなくて、『東のエデン』の原作と脚本まで手掛けたアニメーション監督である。何でエデンの東でなく、東のエデンなのか、その理由も述べられているのだが、肝心の『東のエデン』を観ていないので、対談内容に上手くシンクロ出来なくて残念だ。

上田誠も作家ではなく、劇団ヨーロッパ企画の代表で、『サマータイムマシン・ブルース』は舞台だけでなく、映画化もされている。そして、この作品の製作秘話みたいなものも語られるのだが……。舞台どころか、映画も観た事が無いので、上手くシンクロ出来なくて絶望した。

羽海野チカの『ハチミツとクローバー』も未読なのだが、『バトルロワイアル』に出て来る鍋の蓋を、現実世界の格差として捉えている部分は、物凄く分かる。バトルロワイアルでは渡される武器が剣だったり鍋の蓋だったりして、思いっきり当たり外れがあるのだが、持たされたモノで現実世界を生き抜けと言われても、格差がありすぎて不公平だよなぁ。リアル人生ゲームは最凶のクソゲーだから! 負けてもまだ終わりじゃないんだよ、という事を描いているのなら、ハチクロは読んでみたい。とはいえ、森見も羽海野も、世間一般からすれば勝ち組だからなぁ。自分では鍋の蓋だと思っているみたいだが。

大江麻理子はあまりTVを観ないので知らないのだが、テレビ東京のアナウンサーだった人か。もしかしたら美女の前で緊張して、あまり盛り上がらなかったのかもしれないが、対談のページ数が少ないじゃないか。

萩尾望都は名作SFマンガをたくさん描いているので、お互いにSFネタで盛り上がる。ところで、見切り発車で連載したけど、単行本化する時に全部書き直した森見作品があるらしいのだが、どこれは『聖なる怠け者の冒険』かな?

飴村行はホラー系の作家だが、近所の図書館には一冊も置いていないため未読である。ジジババしかいない町だからなぁ。恋愛小説と歴史小説とミステリーばかり入ってくるんだよ。SFとホラーとラノベは読む人がいないからか、干されている感じがするんだ。飴村行が零戦の話や戦記物を読んでいたら、何の役に立つのか彼女に聞かれるのだが、本がすぐ役に立つかどうかでその価値を決めようとするカツマー信者みたいな人は嫌だよなぁ。本なんて読んでもすぐには役に立たないよ。飴村行みたいに、後の人生において伏線となって効いて来る場合もあるけど、そこは人それぞれだからなぁ。

本上まなみは女優であるが、森見は元から本上まなみが好きだったらしく、デビュー作『太陽の塔』の頃から、有名になったら本上まなみに会おう計画を立てているのが凄い。出て来る自転車の名前が「まなみ号」だと!? よく覚えていないので、図書館に行ったらもう一度借りて来よう。

ラストは綿矢りさ。京都ネタやホラーネタで盛り上がる。森見が「人生ゲーム」という短編が好きだと言うが、確かにあの話は、世にも奇妙な物語風になっていて、綿矢作品の中で一番エンタメ性が高いからね。それにしても、まさか都市伝説スレッドを読むのが好きな2ちゃんねらーだったなんて。

ラストが綿矢りさと書いたが、最後の最後でもう一人出て来た。そして、予想もしない人物との対談が始まるのだが、これがふざけていて、ある意味、一番面白い。さて、後書き予告の通り、10年後に『ぐるぐるしてない問答 森見登美彦対談集2』は出るのだろうか。


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