僕が私になるために

4063886166僕が私になるために (モーニング KC)
平沢 ゆうな
講談社 2016-06-23

by G-Tools

身体的にも法律的にも女性になるために、主人公・平沢ゆうなは性別適合手術(SRS)を受けにタイへと旅立つ。しかし、女性への道のりは想像していた以上に“痛かった”!! 性同一性障害(GID)当事者の作者が男性から女性になる過程を詳細に描いた実録エッセイ!


可愛い系の表紙に釣られたのだが、性同一性障害のかなり真面目なコミックエッセイだった。いきなりタイランドに旅立つところから始めるので、そこに至るまでにどういう事があったのかはよく分からないが、最初の話は性別適合手術を受けるという内容だった。

ホテルの受付嬢に髭が生えていたり、病院でミニスカのスタッフがローラーブレードで走って行ったり、セクシーナースだらけだったり、日本の常識が通用しない国である。

手術で造る膣の深さをどうするか希望を聞かれたりもする。そんなところまで自分で決められるのか。じゃあ、女から男になる人は、ちんちんの長さをどうするか聞かれるのかな?

手術直前から遡って、性同一性障害の診断を受けに行く話になる。最初は迷っていたのだが、厳しい医者のところへ行ってしまったから、色々と言われて悔しかったので、次回からは女装で通う事になる。歩いている時に心無い言葉を吐かれたりもするが、やはり性同一性障害だけど容姿は女方向に恵まれていたというケースは、極一部でしかないのか。動画職人みたいに、ただの変態でも女にしか見えないような人もいるのに。全く、この世は何から何まで不公平に出来ている。

診断が出た後は、手術当日の話に戻るのだが、タイの麻酔が半端ない。打たれたと思ったら、ドラゴンボールの魔封波みたいになって、名前を呼ばれたら手術が終わっていたという……。膣の造形方法も詳しく説明されているのだが、読んでいるだけで痛くなりそうな内容である。

抜糸する時も魔封波状態になって終わっていたのだが、その日の夜に、幻肢痛が襲ってくる。無いはずのものが痛い? つまり、もう無いのに、ちんちんが痛いのか。ちんちんを刃物で刺されたくらい痛いようだが、想像しただけでも痛くなりそうである。

手術で造った膣は、そのままだと塞がってしまうので、ダイレーターという蝋やアクリルで作られた先の丸い棒を挿入しなければいけない(ダイレーション)のだが、どんな痛みなのか想像すら出来ないけど、拷問みたいな恐ろしさである。

ダイレーションの次は、トイレでおしっこが出ないというトラブルが発生する。患部に血の塊のような腫れがあり、それが尿道口を圧迫していたらしい。

見た目が変わっただけでは、まだ女性にはなれない。精神科医2名以上による性同一性障害の診断と外性器の性別判定を行い、裁判所で認められて、ようやく女性となる。

女性となっても、性同一性障害であるがゆえの苦労は終わらない。主人公は障害と呼ばれる事や、性別、この世界に対して疑問を感じるのだが、世界一同調圧力が高くて、みんなと同じ時に同じ事をして同じ方向をむいて同じように考えられない奴を排除する傾向にある、日本という国に生まれてしまったのだから、仕方がないよね。タイランドとかなら、もう少し生きやすかったのかもしれないけど。

女性ホルモンを打ってもらうにも、病院を探すのに苦労しまくっているが、本当にこの国で異端を排除しようとする同調圧力の高さと来たら……。この国は、マイノリティを排除して、スーパーの野菜みたいに、人間を「普通」に揃えようとしすぎである。多様性を認めない国は、太平洋戦争の時みたいに歯止めが効かなくなって、また全員で破滅に向かって全力疾走する事になるかもしれないよ。

SFみたいに、好きな方の性別を選択出来るような技術のある時代になれば良いのにね。女尊男卑化した日本だと、容姿に自信のある非リア充イケメンが女体化しまくるかもしれないが。でも減った分は腐女子が男になるから大丈夫か。


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