賢者の孫

4041050367賢者の孫 (1) (角川コミックス・エース)
緒方俊輔 菊池 政治
KADOKAWA 2016-11-26

by G-Tools

事故で死んだはずの青年が、赤ん坊の姿で異世界に転生。そして救国の英雄「賢者」マーリン・ウォルフォードに拾われた彼は、シンと名付けられる。孫として育てられたシンはマーリンから魔法を教わるが、その習得速度は驚くべきもので、メキメキと力をつけていく。一方、山奥で世間から隔離されて育った弊害として、シンには一つ致命的な問題があった…。そう、シンが15歳となった時に祖父・マーリンは言ったのだ――「常識を教えるの忘れとった」! かくして常識と友達を得るためアールスハイド高等魔法学院に入学するシンだったが――。《規格外》な少年の型破り異世界ファンタジーライフ、ここに開幕!!.


小説家になろう系のネット小説が書籍化、さらに、それをコミカライズしたものである。

何処にでもいる感じのサラリーマンが、会社から帰る途中でトラックに轢かれて死亡した。この設定があまりにも多すぎるので、「トラック転生」と言われるくらい、異世界に転生するための様式美になっている。

異世界にて。賢者のおっさんが、魔物に襲われた馬車の残骸を発見した。馬も人も皆殺し状態だったが、馬車の中で寝ていた赤子だけは生きていた。赤子を拾ってしまった賢者マーリン=ウォルフォードは、この子を育てろという天命であると思い、連れ帰った。

シン=ウォルフォードは、賢者マーリンの孫として育てられたが、前世記憶が残っていた。前世が成人した日本人だった事や、社会常識などは覚えているが、昔の名前や、どうやって死んだのかは覚えていない。魔物に襲われたらしき、馬車の事故で前世記憶が蘇ったらしい。

この世界には魔力が充満し、生命活動にもその影響が及ぶ。全ての生物が魔力の恩恵を受ける事が出来るのだが、制御に失敗すると狂暴化して魔物となってしまう。それは人間も例外ではない。

マーリンは、魔物を探すための索敵魔法を教えるが、シンは一度で習得してしまう。索敵により、魔物の存在を察知したシンとマーリンは、その場所に向かうのだが、シンのブーツは魔道具になっていた。この世界では、道具に文字を刻む事で魔道具にするようだが、シンには前世記憶があるので、ブーツの裏面に「空気噴射」と書いてある。そして、剣には「超音波振動」と書いてあった。

どうやら道具に刻む場合、文字数制限があるようだが、twitterを見ても分かる通り、漢字だと、かなり有利になるよね。恐ろしい魔物すら瞬殺出来るようになっていたが、そのまま魔法の修行を続けて15歳になった。

シンが社会に出る日が来たのだが、恐ろしい事が判明する。なんと、マーリンは魔法しか教えていなかったので、この世界の常識は何一つ知らないままだった。ミシェル=コーリングという男が、近接戦闘も教えていたので、近づかれても隙が無いという、とんでもない魔法使いが育っていた。その気になれば、世界征服すら目指せるレベルだという……。

このまま世に出すと危険すぎるというので、シンを魔法学院に入学させる事が決まった。ちなみに、魔法学院入学を勧めたのはディスおじさんだった。おじさんだと思っていた相手が、アールスハイド王国の国王、ディセウム=フォン=アールスハイドだったなんて!

今まで山の中で暮らしていた訳だが、マーリン爺さん(賢者)とメリダ婆さん(導師)も一緒に王都まで来ることになる。ただの育ての祖父母だと思っていたが、二人とも魔物化した人間を倒した英雄だった。王都に用意されていたのは屋敷だった。国王が派遣したので、メイドや執事やコックも揃っている。シンが、いきなりお坊ちゃまになってしまったではないか。

人が集まるところに来れば、可愛い女の子が馬鹿に絡まれて助けるイベントとか、馬鹿貴族が自分に絡んでくるイベントとか、テンプレ通りの展開が待っている。魔法学院の試験は、ほぼ満点だったため、首席入学となる。

新入生代表として挨拶しなければならないので、憂鬱になるシンだったが、別のところではSクラスになれなかった馬鹿貴族がフォースの暗黒面に落ちかけていた。同期入学の王子すら、首席じゃなくても何とも思っていないというのに、これだから小者は……。これ絶対、魔人化フラグだよね!?


2
シンはアールスハイド王国の魔法学院に合格した。制服を渡されるが、魔法が付与されているので、勝手に書き換えてはいけないと言われてしまう。育ての祖母である導師メリダなら書き換えても構わないと言われたので、同じ事が出来るシンは、じゃあ自分が書き換えても構わないよな、と考える。

制服は付与可能文字数が最大で20文字だった。まず、かけられている魔法を、杖にかけた「魔法効果無効」で全て消し、「絶対魔法防御」「物理衝撃完全吸収」「防汚」「自動治癒」を加えた。これだけで、制服がアーティファクト級の存在になってない?

入学式に行くと、馬鹿に絡まれていた二人の美少女も合格していた。それにしても、メッシーナ伯爵家令嬢マリアと、クロード子爵家令嬢シシリーだと!? 貴族の娘が護衛もつけずに街中を歩いているのも問題だが、それを知らずに絡む馬鹿も問題ありすぎるだろう。

魔法学院は成績順でS、A、B、Cと分かれている。他のクラスは30名だが、Sクラスだけは10名の少数精鋭である。忘れちゃうといけないので、メモっておくね。

担 任 アルフレッド=マーカス(元魔法師団)

首 席 シン=ウォルフォード(主人公、賢者の孫)
第二位 アウグスト=フォン=アールスハイド(王子)
第三位 マリア=フォン=メッシーナ(伯爵令嬢)
第四位 シシリー=フォン=クロード(子爵令嬢)
第五位 アリス=コーナー(ハーグ商会の娘)
第六位 トール=フォン=フレーゲル(王子の護衛)
第七位 リン=ヒューズ
第八位 ユーリ=カールトン
第九位 トニー=フレイド
第十位 ユリウス=フォン=リッテンハイム(王子の護衛、筋肉担当)


Sクラスに入れなくて逆恨みするカートは、シシリーを勝手に婚約者扱いして迫って来るストーカーでもあった。権力を振りかざすクソ貴族の典型である。権力なら、王子がついているシン側が圧倒的に有利なのに、馬鹿だから分からないのかな。完全に噛ませ犬であるが、この馬鹿のおかげでシシリー攻略フラグが立っていると思えば、腹も立つまい。

勝手に魔法を書き換えた制服であるが、今後も狙われる心配があるシシリーにも施す事にした。王様が、王族にも必要だとゴネたので、王子と護衛の服も書き換えられた。マリアは、国家機密レベルの制服は着たくないと断ったが。

入学式の翌日。攻撃魔法研究会、生活向上研究会、肉体言語研究会などを紹介される。これは部活動のようなものだが、5名以上集めて顧問をつけると、新しい研究会を立ち上げる事が可能である。

Sクラスは、究極魔法研究会を立ち上げる。シンと一緒にいたら、そのうち全てを消滅させる攻撃魔法や、絶対破れない防御や、転移魔法も使えるようになりそうだという理由であるが、研究しなくても、すでにその魔法は使えるようになっている事を、発案者は知らなかった。

不敬罪に値する言動のため、カートは自宅謹慎処分となるのだが、元家庭教師で、カートに良からぬ事を吹き込んだオリバー=シュトロームが現れる。結果、憎悪を増幅させたカートが魔人化してしまう。やっぱり1巻の終りで魔人フラグが立っていたよね。

かつて、魔人が出現した時には、多くの犠牲者が出て、賢者と導師を主力とする部隊によって、ようやく鎮圧されたのだが、今回はシンが単騎で倒してしまった。



3
シンは、今回の事件に疑問を持つ。身分に拘るカートが、自分よりも上位である王子の命令を聞けないのはおかしい。そして、高位魔術師でもないのに、簡単に魔人化してしまったのも不自然である。何者かが人為的にカートを魔人化したのではないかと疑うのだが、確証は無い。

魔人を倒してしまったので、過去の例と同じく、勲一等勲章を受章させなければならなくなる。シンを政治利用するつもりはないと言った王だったが、国民の不安を取り除くためにも、かつての英雄と同じ立ち位置にしなくてはならなかった。

噂はアッという間に広まり、女の子は寄ってきたがるし(シシリー壁とマリア壁で防御)、各研究会は勧誘しに来るし、究極魔法研究会に入りたがる生徒も殺到する。全員入れる訳にはいかないので、異空間収納魔法を使えるという最低基準を設けた。

Sクラスは全員が究極魔法研究会だが、Aクラスからも基準に達して参加を認められた生徒がいる。マーク=ビーンはビーン工房という鍛冶屋の息子である。オリビア=ストーンはマークの幼馴染で、石窯亭という食堂を経営している。二人とも、良い人材である(主に家業が)。

叙勲が終わったら、ますます外を歩きにくくなるので、光学迷彩魔法で姿を消そうか悩むシンであったが、そんなものまで使えるのか。公安9課みたいじゃないか。

今使っている剣は、粗悪品に凄い魔法を施しているだけなので、ちゃんとしたものが欲しいとビーン工房に向かうのだが、偶然にも、今回の魔人化事件の黒幕と出会ってしまう。目が見えないという設定になっていたオリバー=シュトロームだったが、実は魔人の目を隠すために仮面をつけているだけだった。

魔人化しているのに、理性を保ったままでいるという凶悪な相手であるが、シンも十分にチート能力になっているので、どうにか互角の戦いが出来た。倒したという実感が持てないまま、相手が消えてしまったのだが、これは倒せていないフラグである。

太陽光を光線兵器にして、地表に向けて攻撃しているのに、逃げ切るなんて、厄介な相手である。自分だけ強くて敵が弱い話だと面白くならないので、強敵は必要だけど。

番外編は、まだ自分の心に気づかないでいるシシリーを焚きつけるために、導師とマリアが色々と策を練る話になっている。


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