鈴木式電磁気的国土拡張機増補版

4905447593鈴木式電磁気的国土拡張機増補版
粟岳高弘
駒草出版 2016-02-01

by G-Tools

小社刊『いないときに来る列車』も好調の粟岳高弘先生の入手困難だった作品集を復刻いたします。もちろんただ復刻するのではなく、描き下ろし作品と未収録作品を加え、カバーイラストも描き下ろしという永久保存版となっております。昭和の美少女と異形の生物たちが織りなす不思議なSF漫画の数々をお楽しみください!


今から10年程前に、増補版ではない『鈴木式電磁気的国土拡張機』と出会って、変わった題名に思わず釣られてしまったのだが、これは自分にとって、どストライクな作品であった。しかし、最近までマイナーすぎる漫画家だったため、いつの間にか品切れ状態になってしまい、プレミアム価格になっていたようである。(私は入手済みで満足していたので、その後、転売ヤーがどれくらい値段を釣り上げていたのかは知らない。)

いつの間にか出版されていたので、最近まで知らなかったのだが、まさかの増補版で再登場となった。増えているのは「54式空間穿孔機」だけなのだが、以前のものも全て手直しされていた。ストーリーは変わっていないので、見比べないとあまり分からないのが、具体的に何が変わっているかというと、増補版の女の子のほうが、若干可愛く修正されている。

SF短編集なのだが、繋がっている話と、違う話が混ざっている。表紙がこの作品の内容の75%を表現している。つまり、宇宙人と、セーラー服を着た女の子と、旧スク水を着た女の子である。では、残りの25%は何で出来ているのかというと、服を着ていない女の子である。

表題作「鈴木式電磁気的国土拡張機」と繋がっている話が多くて、「3型拡張空間」、「遷移点の鉄塔」、「空中線」、「異星構造体」、「上内沢遷移点」、「モヘモヘ」は世界観を共有している。

「鈴木式電磁気的国土拡張機」は、制服姿の女の子が裸族の女の子に襲われ、気づけば服を奪われて妙な閉鎖空間の中にいた。そこは鈴木式電磁気的国土拡張機によって拡張された場所で、拡張に巻き込まれた宇宙人も暮らしていた。誰が造ったのか知らないけど(鈴木さんが造ったのかな?)、時間遅延問題が発生して、外とは時間の流れが異なるようである。

「3型拡張空間」は、「鈴木式電磁気的国土拡張機」で襲われた女の子が、拡張空間の存在を知って、また入ってみる話になっている。宇宙人は、羽毛の生えていないペンギンっぽいのと、もじゃもじゃで顔が見えないムックみたいなやつと、旦那様と呼ばれている6つ目の顔だけっぽいのが住んでいるのだが、上半身の被服は全て武装と看做す文化の宇宙人なので、中に入ると裸族にならなければいけない。

「異星構造体」は、1950年代に空間穿孔法が発見されて、化学推進ロケットが無くても別の恒星系に行けると思われたが、実はそれが何者かの仕組んだ罠で、別宇宙かもしれない場所にある惑星と8つの出入り口が開いてしまっている。相手の探査ユニットは人間の形になって、調査に入った少女に接触して来る。

「遷移点の鉄塔」は、豊岡怜子が得体の知れない何かを見た事で、適正ありと判断され、上級生の坂田美野里が接触してくる。虫の幼虫みたいな恰好をした、機械知性か、天然生命体なのか不明のものに乗せられて空を飛ぶ。坂田美野里は、サハリンスク球体のコアから抽出したテキストを解読して造った、曲がった酸素ボンベみたいな何かで飛んでいく。

鉄塔の上に重力が90度曲がっている場所があり、そこから第二惑星の海上プラットフォームに繋がっていた。何処の第二惑星なのかは不明であるが、海があるから太陽系ではないだろう。その場所には一つ目の宇宙人が住んでいた(表紙の中央にいるタイプの宇宙人)。

「上内沢遷移点」は、空から変なものが降って来て、中にはスク水を着た女の子が入っていた。プロキオンと呼ばれる宇宙人も一緒に行動していて、遷移点から侵入してくる惑星改変ユニットを処理している。今回のターゲットは、ツインテールの女の子に擬態して学校に通っている人型ユニット早川弘菜だった。ちなみに、プロキオンは、表紙でスク水の女の子の右側にいるタイプの宇宙人である。

「空中線」はプロキオンと共に、梨奈という少女が閉空間を調査する話になっている。内部ではすでにサハリンスク球体が稼働していたが、人間に化けた恒星間侵攻型惑星環境改変ユニットは亡命を希望していた。

ほとんどの話は1980年代なのだが「モヘモヘ」だけは未来のようである。場所も地球ではなくて、灼熱の惑星ミシヨセカナになっている。ワサラク伯爵の美少女絵画コレクションを水浸しにした罰で、女の子がミシヨセカナの伝統的民族衣装を着せられて砂漠にいる。ちなみに、伝統的民族衣装は何故か旧スク水である。

最初の地球系移民が、この星に住み始めたのは1000年以上前だが、その頃から、スク水を着た女の子がいると、モヘモヘと呼ばれる原住生物が近づいて来て、絡みつくようになった。人間の女の子とオットセイモドキを誤認しているという説もあるが、人間が食べられた例はなく、その意図は未だに不明である。

旦那様は、500年前にこの方法でモヘモヘを大量に釣り、現在の事業の礎を築いたという。ちなみに、モヘモヘはたこ焼きとマヨネーズの中間の味がするらしい。


全部紹介すると、長くなりすぎるから省略するけど、「増殖改変体第5形態」は、他作品『取水塔』とリンクしており、「浸水殻」と「風呂桶の庭」は、『いないときに来る列車』に収録されている作品とリンクしている。

最近のあざとい萌えキャラではなくて、純朴な感じの可愛い女の子が登場するのが素晴らしい。セーラー服はともかく、水着が旧スク水になっているというこだわりも素晴らしい。あと、ふんどしにもこだわっているが、私にはふんどし属性が備わっていないので、これはどうでもよかった。

なんでこんなにセーラー服と旧スク水とふんどしと裸族が多いのか。「それが描きたいからだよ」と作者があとがきで主張している。素晴らしい! 新しい作品が出るたびに買います(*´Д`)


SFが好きで、可愛い女の子が好きで、セーラー服を着た可愛い女の子が好きで、旧スク水を着た可愛い女の子が好きで、ふんどしを穿いた可愛い女の子が好きで、何も着ていない可愛い女の子が好きな人に、超お勧め(笑)。

SFが嫌いで、可愛い女の子と、セーラー服と、旧スク水と、ふんどしと、裸に興味が無い人には、お勧め出来ませんが。


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