銀河系惑星学の挑戦 地球外生命の可能性をさぐる(NHK出版新書477)

4140884770銀河系惑星学の挑戦 地球外生命の可能性をさぐる (NHK出版新書)
松井 孝典
NHK出版 2015-12-09

by G-Tools

1995年の系外惑星(太陽系の外の惑星)発見以降、惑星学のフィールドは太陽系から銀河系へとドラスティックに変化し続けている。太陽系と系外惑星の異なる点や、惑星や惑星系の生まれ方といった基本的知識から、系外惑星探査の最前線まで、惑星科学分野の泰斗である著者が易しく網羅的に描く、驚きと興奮に満ちた一冊。


2011年11月に打ち上げられた火星探査機は地表走行探査車を降下させt、ゲールクレーターを調査した。その結果、ゲールクレーターが30億年前は湖だった事が明らかになった。

火星ではメタンも検出されているが、地球上のメタンの多くはメタン生成菌が吐き出している事を考えると、これは重要な発見である。メタンの全てが生物由来というわけではないものの、火星に生物が存在する、或いはかつて存在したという可能性が否定できないからである。

土星では、探査機カッシーニの調査により、衛星エンセラダスに液体の水を蓄えた大規模な地下海が存在する事が判明した。エンセラダスの地下海には熱水噴出孔が存在する可能性があるので、生命が存在する可能性がある。

1995年以来、太陽系外の恒星系でも、次々と惑星が発見されるようになったが、初期はホットジュピターのような惑星が多かった。これは、大型のガス惑星が恒星の至近距離を回っているタイプなのだが、人類が知る常識の範囲では考えられないような場所に存在した。今では、遠い位置で形成された巨大ガス惑星が重力の影響で内側の軌道まで移動する事が分かっているが。

初期に大型惑星が見つかったのは、そのようなタイプが主流だからではなく、単に小型の岩石惑星のほうが発見するのが難しかっただけだろう。最近は、地球の1.5倍や1.8倍の大きさのスーパー・アースと呼ばれる岩石惑星も多数発見されるようになっている。ケプラー37bは太陽系から470光年離れたところにある惑星で、大きさは地球の1.2倍、ハビタブルゾーンを巡る惑星である。

農耕文明の発達とともに、天文学が発達するのだが、古代人はおかしな動きをする特別な星を惑星と名付けた。言うまでもなく、惑星は恒星の周囲を回っているのだが、人類は地球が世界の中心であると考えていたため、惑星の動きを説明する事が出来なかった。

キリスト教文明圏が広がると、宗教によって科学が抑圧され、正しい事を述べる者は火あぶりになった。実に愚かな時代である。愚かな宗教勢力によって真実が隠蔽されるような暗黒時代ではなく、星々の本当の姿が理解出来る時代に生まれて良かった。

月には数多くのクレーターが存在するが、かつては火山由来のものであるという考え方のほうが優勢であった。実際は、衝突した小惑星の痕跡なのだが、そうなると地球にも隕石が落ちて来なくてはおかしいという事になる。小惑星が地球を避けて、月にだけ落ちるとは考えられないからである。

実際には、チェリャビンスクやツングースカの例から、地球にも隕石が落ちているという事は明らかである。チェリャビンクスのような直径20mの隕石が落ちる事例は100年に1回程度、ツングースカ大爆発のような50m規模になると1000年に1度くらいであるが、10mの隕石なら10年に1度、1mの隕石になると、10日に1度は落ちて来る。

ちなみに、それよりも大きいものになると、100mなら1万年に1度、1kmが100万年に1度、10kmが1億年に1度くらいの確率になる。

アルマゲドン級のものが落下して来た場合は、このような凄まじい結果になる。



化学組成で分類した場合、隕石は石質隕石、石鉄隕石、鉄隕石に大別されるが、このうち石鉄隕石と鉄隕石は融けた事がある。石質隕石は融けた事のあるエコンドライト隕石と、融けた事のないコンドライト隕石に分けられる。コンドライト隕石の中でも、炭素質コンドライト隕石が、古い時代の状態を調べるために重要な存在となる。

太陽のような恒星系の一生は、その質量で変化する。分子雲のコアが成長して恒星となるが、十分な大きさにならないと、核融合を起こすには質量が小さすぎるために恒星になることができなず、褐色矮星となる。これでも木星型惑星よりは巨大である。

太陽質量の0.8倍程度だと、赤色矮星となる。主系列星と比べて低温で、核融合反応は穏やかに進む。水素の消費が穏やかなため、寿命は数百億年から数兆年と長くなる。

太陽質量の0.8~8倍のものは、赤色巨星と化した後、白色矮星になる。太陽質量の8倍を超えるものは赤色超巨星と化したあと、超新星爆発を起こす。この後は、太陽質量の8~20倍程度のものは中性子星に、20倍以上のものはブラックホールとなる。

褐色矮星は、恒星の外側で恒星になり損ねた天体だと思われてきたが、それにしては褐色矮星を伴う連星系が少なすぎる。未だ研究中であるが、分子雲コアで形成される多数の恒星のうち、途中で飛ばされたものの成長が止まるのではないかという仮説が浮かび上がっている。

孤立した暗い天体も発見されるようになっているのだが、重水素の核融合反応が起きていないので、矮星とは呼べない。恒星系を回転してもいないので、惑星とも呼べない。今のところ、準褐色矮星、孤立惑星質量天体、浮遊惑星などの呼び名が提案されている。

地球外知生体の可能性については、フェルミが推定すると、すでに何度も訪れているはずなのだが、実際には人類は地球外知生体に会っていない。この矛盾を解消する解答がいくつかある。

1.人類が気づいていないだけで、すでに来ている。
2.地球を訪問できるほど高度な文明を持っていない。
3.地球外生命体は存在しない。

但し、3つめの答えはコペルニクス原理に反するので、実際は1か2になるだろう。「宇宙人は存在しない。もし居たら地球に来るはずだ」という人がよくいるけど、自分の前に現れないという理由だけで存在を否定する事は出来ないだろう。

そんな論理が通るならば、地球外知生体からすれば、こうも言えるだろう。「地球人は存在しない。もし居たら、我々の領域に来るはずだ」実際は、これの答えは2であるが。地球人は他所の恒星系を訪れるほど高度な文明を持っていない。

1番の答えはもっと可能性があると思う。来るのが数十億年ずれたら、生命すら存在しない原始惑星だし、人類が登場した後でも、古代や中世ならば、まともなファースト・コンタクトにはならないだろう。古代神話で神から知識を授けられたり、空飛ぶ船の伝説が残されていたりするけど、もしかしたら神ではなくて先進種族だったのに、人類がそれに気づかなかったという可能性があるわけで。

人類の歴史で、異なる文明が衝突した時に何が起きたのかを考えると、地球外知生体なんか探さないほうが安全だし、太陽系の近所には誰も住んでいないほうが、都合が良いと思うけど。誰かに発見された時が、人類の終りかもしれないのだから。

最初に訪れるのがミスター・スポックなら良いけど、『エンダーのゲーム』に登場する昆虫進化型知生体みたいな奴らだと、意思疎通すら出来ないから、どちらかが滅びるまで戦う事になるし、アレステア・レナルズの作品に登場する、ある程度進歩した文明を全て殲滅する、インヒビターみたいな奴が来るかもしれないのだし。


にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する