オレンジの歴史

4562053240オレンジの歴史 (「食」の図書館)
クラリッサ ハイマン Clarissa Hyman
原書房 2016-07-26

by G-Tools

甘くてジューシー、ちょっぴり苦いオレンジは、エキゾチックな富の象徴、芸術家の霊感の源だった。原産地中国から世界中に伝播した歴史と、さまざまな文化(園芸、絵画、服飾ほか)や食生活に残した足跡をたどる。


中国南部から東南アジアで進化したオレンジも、欧州の上流階級に広まって行ったが、リンゴと比べると浸透するのが遅い気がする。リンゴが他の土地でも根付きやすいのに比べて、柑橘系は温暖な気候と豊な水を必要とするため、小氷期で寒冷化していた当時の欧州では、育てるのも難しかったのだろう。

大航海時代には大量に輸入されて、王族や貴族の温室で栽培されるようになるが、食用ではなく見せるためのものであって、宮廷に登場する果物盛りも飾りだったようだ。

現代では大量生産されているが、果実を収穫するのは基本的に手作業である。驚くほど安価で提供される裏側には、移民やブラジルの貧民が、不当に安い労働力で大手資本に搾取されているという現実がある。本書でもこの奴隷制度について触れているが、奴隷が存在するのはイスラム国やどこぞのブラックな島国だけじゃないのか。某黒国家では低賃金どころか無賃金強制労働すら存在するから、低賃金なだけまだマシな気もするが。

本書では様々なオレンジが紹介されているが、シチリア島で栽培されているブラッドオレンジが面白い。実際に飲んだ事があるが、見た目はトマトジュースにしか見えないほど赤いのに、味はオレンジジュースである。


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