マンガ ローマ帝国の歴史1 ユリウス・カエサル、世界の運命を握った男

4062139030マンガ ローマ帝国の歴史1 ユリウス・カエサル、世界の運命を握った男
さかもと 未明 小堀 馨子
講談社 2007-03-23

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マンガだと侮ってはいけない。ローマ帝国史は結構難解なのである。古代史で最重要な帝国なので、絶対に試験に出る部分だし、やたら長い名前や似たような名前の人が多いので、覚えるのも大変である。

最近は世界史が必修になっているが、選択制だった時代は、長い名前が覚えられないという理由で日本史を選択している人が結構いたのだ。文章だけで書かれると分かり難いが、マンガだから読み進めるうち、ローマ帝国の歴史が自然に頭に入って来る。

本書は紀元前133年から始まる。すでにローマは、強敵カルタゴなどを滅ぼし、地中海に広大な属州を持っている。ローマ自体は豊かになったが、属州から食料が流入したため、農民は土地を手放す事になる。その土地を買い占めて奴隷を働かせることで、貴族階級だけがますます富を増やして行く。

貧富の差が拡大する様子は、何処かの島国みたいだよね。ローマと違って、属州は持っていないし、国自体も疲弊していっているから、何処かの島国は超劣化したローマかもしれないが。というか、当時は世界最先端の先進国だったローマと、どこぞの僻地にある蛮族の国を比較するのも失礼な話かもしれないが。上級ネトウヨあたりは、カルタゴ=日本論のほうが大好きだったりするよね。(下級ネトウヨは頭が悪いから、カルタゴなんて知らないが。)

紀元前133年、農地改革を目指したティベリウス・グラックスは、既得権益を守ろうとするクズな元老院勢力に襲われ、撲殺されてしまう。兄の遺志を継いで改革に着手した弟ガイウス・グラックスも、紀元前121年、自殺に追い込まれる。共和政が始まってから380年間、すでに元老院と民衆の間の溝は埋めようのないほど深くなっていた。

ガイウス・マリウスは傭兵制度を採用し、兵制改革を行う。無産階級の市民を傭兵に取り込み、仕事と金を与える事で、民衆派の流れを作って行く。当然、既得権益を守るクズ共は黙っていない。閥族派の代表、ルキウス・コルネリウス・スッラとマリウスの間で、内部抗争が始まる。

ローマの分裂状態を見た同盟市は、ローマ市民権を求め、反旗を翻した。同盟市戦争は、カエサルの伯父、ルキウス・ユリウス・カエサルがローマ市民権の拡大を認める事で、同盟市を解体した。

ユリウス・カエサルが育った時代は、カエサルの伯父マリウスの粛清と民衆派キンナの独裁、スッラの粛清と独裁、やがてルキウス伯父も粛清されるなど、殺伐としていた。

カエサルは優れた頭脳があったが、金も軍隊も無かった。カエサルは、火事や借金に苦しむ人々の家を買い占めて財を成すクラッススと、軍を指揮しているポンペイウスに目をつける。

次第に力をつけたカエサルは、クラッススを後ろ盾として、アッピア街道を整備する。大神祇官長に立候補して当選する。他の公職とは違い、大神祇官長に実権は無いが、終身制で他の職を兼任できるという部分に、カエサルは目をつけたのである。

カエサルの姉の娘アティアは、アポロ神殿に参籠中に不思議な夢を見るが、この後、ローマ帝国初代皇帝となるアウグストゥスを産む事になる。

貧困層が拡大する中、カティリーナは借金帳消しを計画するが、当然、既得権益層からは反発された。カティリーナを当選させないために、あらゆる汚い手が使われ、妨害された。潔白であるにも関わらず、汚職を疑われて立候補すら妨害されたり、ライバルの汚職が発覚して繰り上げ当選するはずが、キケローに揉み消されたりする。よく聞く名前だけど、キケローという奴も、既得権益層を守るクズだったのか。

正攻法では勝てないと考えたカティリーナは、クーデターを計画するが、結構前に発覚してしまう。ローマから追われたカティリーナだったが、さらに罠を仕掛けられて討ち死にする。カティリーナの反乱軍には市民が1万人も加わっていたのを見ても、ローマの窮状が限界を超えているのが良く分かる。

ポンペイウスが海賊征伐とミトリダテス討伐を成し遂げ、ローマに帰還した。ポンペイウスは凱旋式、選挙の延期、東方での施策の承認、退役軍人への土地の付与などを要求するが、元老院は何一つ認めなかった。自分達は既得権益で甘い汁を啜るばかりで何一つ役立たないのに、白蟻のような連中である。

アルバの別荘に引き籠ってしまったポンペイウスに接近してきたのは、カエサルだった。カエサルは自分の娘をポンペイウスと結婚させ、金貸しクラッススとポンペイウスを繋げることで、三頭政治が始まる。

クズ共は、カエサルがポンペイウスやクラッススを閥族派に引き込んだと思い込んだが、カエサルが執政官になると、議事録を民衆に公表し、ユリウス農地法を提案する。元老院の白蟻達は抵抗勢力となるが、ユリウスは血を流さずに法案を通過させてしまう。

抵抗勢力だったキケローは追放され、カトーはキプロスに派遣される事となった。カエサルはガリア属州知事に就任し、3個軍団を任されガリア平定を開始する。カエサルはクラッススやポンペイウスと連携して、ガリア属州知事の任期を延長させる。

カエサルはガリアだけでなく、ブリタニアまで遠征してローマの属州に組み込んだが、パルティアで戦っていたクラッススが戦死する。ポンペイウスに嫁いだ娘のユリアも死亡し、三頭政治体制が崩れてしまう。ガリアではウェルキンゲトリクスが武装蜂起し、ローマの守備隊は壊滅する。

カエサルは撤退も考えたが、26万の敵軍を5万のローマ軍で撃破した。しかし、ローマ本国では、ポンペイウスを抱き込んだ元老院が、カエサルを失脚させようと画策していた。元老院は、ルビコン川まで戻ってきたカエサルに、軍隊を解体しなければ、国家に謀反を企てていると見なすと通告してくる。

元老院の予想に反し、カエサルの離反者は1人しか出なかった。紀元前49年1月10日、カエサルの軍はルビコン川を越えた。カエサル軍は次々と諸都市を制圧する。それに対してポンペイウスは味方を見捨てて逃げ出す。見捨てられたローマ軍は降伏し、カエサル軍に加わった。

カエサルは国庫の金を引き出し軍資金にあてると、西のヒスパニアに向かい、ポンケイウスの息子達を討つ。この戦いにオクタウィアヌスも援軍として駆け付ける。それにしても、姉の孫のオクタウィアヌスが女顔イケメンすぎるだろう。

カエサル軍はギリシアにいるポンペイウス軍と戦うが、ドゥラキアムに入った敵を倒す事は出来ず、ファルサロスに移動する。追撃してきたポンペイウス軍を奇襲攻撃で破り、ファルサロスの平原は死体の山と化した。

カエサルはエジプトに逃げたポンペイウスの引き渡しを求めるが、すでにポンペイウスは暗殺されており、首が送られて来た。エジプトはプトレマイオス13世が統治していたが、遺言では姉のクレオパトラ7世と共同統治しなければならなかった。

遺言に従わないプトレマイオス13世はクレオパトラ7世を攻撃し、巻き込まれたカエサル軍はプトレマイオス13世の軍を撃破する。カエサルは暫くエジプトに滞在した後、小アジアに移動し、ポントス王ファルケナス2世の乱を鎮圧する。

もはやローマ本国に、カエサルを阻む者はいなかった。ポンペイウス側についてしまったキケローを許した事で、ポンペイウスの残党はカエサル派に組み込まれて行く。

アフリカではポンペイウス派の残党がヌミディア王国を味方につけていたが、カエサル軍はタプソスで勝利を収め、カトーのいるウティカまで攻め込んで来る。

カエサルは目に見える敵を全て倒したが、抵抗勢力が滅びたわけではなかった。紀元前44年3月15日、暗殺者達がカエサルを急襲した。その中には、ギリシャで命を助けたブルートゥスも含まれていた。暗殺者達は、自分達が正義だと思っていたが、民衆はそれを望んでいなかった。

カエサルの遺言により、姉の孫ガイウス・オクタウィアヌスがカエサル家の養子として4分の3の遺産相続人となった。残りはルキウス・ピナリウスとクウィントス・ペディウスに与えられた。一般市民には公園としてティベリウス河畔の私庭と1人につき300セステルティウスが寄贈された。

カエサルが暗殺され、自分が後継者として指名された事を、オクタウィアヌスはギリシアで知る。後にローマ帝国初代皇帝となる男は、この時まだ18歳だった。


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