マンガ ローマ帝国の歴史3 カリグラ、ネロ、ユリウス朝の崩壊

4062140454マンガ ローマ帝国の歴史3 カリグラ、ネロ、ユリウス朝の崩壊
さかもと 未明 小堀 馨子
講談社 2007-05-25

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アウグストゥスの葬儀の数日後、紀元14年9月17日の元老院会議はティベリウスを第一人者(プリンケプス)として承認した。ローマの第一人者は世襲の王とは立場が違う。第一人者となるには元老院とローマ市民両方の承認が必要だった。実体は独裁君主政であるが、形式上は貴族民主政が保たれていた。

ティベリウスは皇帝となったが、皇帝の不在を狙ってライン川の8個軍団が反乱を起こしていた。ドナウ防衛線のパンノニアの軍団にも不穏な動きがあった。ティベリウスは軍を指揮せず、ライン川はゲルマニクスに任せ、パンノニアにはドゥルーススを向かわせた。

ティベリウスは堅実な政治を行ったが、庶民には人気がなかった。いつの世にも大盤振る舞いに人気が集まる。何処かの島国も、未来から借金をして散財し、愚民の人気を集めているよね。

ティベリウスはエルベ川防衛途中のゲルマニクスを引上げさせ、凱旋式を行う。この判断は評価されにくく、賛同する者もいなかった。どちらが良かったのかについては、後の世から見ても判断が難しい。エルベ川防衛線の構築に成功すれば、ゲルマニアはローマのものとなったからである。だが、防衛負担はより重くなっただろう。ゲルマニアから撤退する事で防衛負担が少なくなった事は事実であり、これがローマの安全保障を確実にした可能性もある。

東方でも問題が発生していた。アルメニアの民が現国王を放逐し、ポントス王の息子ゼノンを王位につけようとしていた。パルティアもそれに助力していた。アルメニアを親ローマのまま留めるため、ゲルマニクスを派遣する。ゲルマニクスはまだ若いので、ピソをシリア総督として派遣し、協力させた。

アルメニア王の戴冠とパルティアとの友好条約の更新は滞りなく終わったが、シリア総督となったピソが、ゲルマニクスを邪魔し始める。ゲルマニクスはエジプトを訪問するが、その後、熱病にかかり、紀元19年10月10日、シリアで没した。

紀元23年、ティベリウスの息子ドゥルーススが急死し、毒殺が疑われた。ティベリウスの猜疑心は深まり、アグリッピーナとネロ・カエサルは流刑となった。アグリッピーナはパンダテリア島で餓死した。側近として仕えたセイヤヌスも、ドゥルーススの未亡人リウィラを望んだため、国家反逆罪で告発され、処刑される。

紀元31年からティベリウスが死ぬまでの6年間は、血と粛清の恐怖政治が行われた。ティベリウスの死因については老衰、暗殺など諸説ある。帝位はカリグラに受け継がれた。

カリグラは若く美しい皇帝だったため、市民の支持を集めるが、統治者としては難ありだった。追放者を呼び戻し、売上税を廃止し、戦車競走などを開催させた。財源は、先代ティベリウスが蓄えた27億セステルテイゥスである。いつの世も、人気取りのために散財する者が人気者である。後でツケを払う事になるのだが、何処かの島国と同じく、馬鹿はそれに気づかないからね。

妹と結婚したり、神のコスプレで登場したり、プテオリからバイアエまで海上を船で繋げて戦車で走り抜けたり、エジプトからオベリスクを取り寄せたり、奇行が目立つだけでなく、散財する事にかけても天才的だった。カリグラはティベリウスが生涯をかけて貯め込んだローマのための27億セステルティウスを、たった3年で使い果たした。馬鹿皇帝であるが、こんな奴を支持する市民も馬鹿である。

国庫が空になると、裕福な者を冤罪や詐欺で陥れて自分の物にして金を使った。あまりにも無茶苦茶しすぎたので、ついに皇帝を守るべき近衛軍によって暗殺された。カリグラの死後、誰にも期待されずに生きて来た皇帝の叔父クラウディウスが元老院に承認される。

カリグラによって流刑にされた小アグリッピーナと息子ドミティウス・アエノバルブス(後のネロ帝)はローマに呼び戻される。クラウディウスは港に不向きだった場所に、オスティア港を建設する。ローマに各国の船が直接集まる事を重視したのである。やがてオスティア港は地中海最大となり、ローマの経済を大いに活性化させた。

クラウディウスは有能だったが、若い妻メッサリーナはクズだった。国庫の金で贅沢出来ないと分かると、金を持っている者を冤罪にして自分のものにした。不倫を続け、シリウスに皇帝暗殺を持ち掛ける。やりすぎた結果、メッサリーナは刺殺された。

皇帝の側近3人がそれぞれ美女をつれて来るが、姪の小アグリッピーナが割り込んで来て、クラウディウス帝と結婚してしまう。小アグリッピーナは野心を剥き出しにし、皇帝の側近も懐柔して権力を掌握して行く。クラウディウス帝は毒殺され、遺言状が無かったため、小アグリッピーナの連れ子だったネロが皇帝となってしまう。

ネロも無茶苦茶だったが、解放奴隷の美少女と結婚したがったり、庶民の姿でローマの市内に出かけて一人の男として喧嘩をしたりと、皇帝らしくはないが、カリグラと比べると人間味が溢れている。ポッパエアと結婚したくなったネロは、邪魔をする母を暗殺しようとするが何度も失敗する。

船を沈めても、泳ぎの達人となった小アグリッピナは陸地に辿り着いている。皇族なのに、サバイバル能力が凄すぎる。結局、ネロが差し向けた暗殺者集団に殺害された。ローマ大火で市内が焼けると、市民はネロ帝のせいにした。

ネロは焼け跡を区画整理して道幅を広げ、建物高さを制限したり、消火用器具の設置や耐火性のある石で建造する事などを義務付けている。これを見ると、散財するだめのバカボンだったカリグラと違って、有能な皇帝だと思うのだが、きっと急進的すぎて馬鹿には理解されなかったのだろう。

ローマ大火がネロ帝のせいにされると、ネロはキリスト教徒を首謀者として弾圧し始めるが、衰えた人気は回復しなかった。アルメニアを抑えて人気のあるコルブロまで自死させたため、ヒスパニア属州で擁立されたガルバが反乱を起こし、ネロも死ぬこととなる。こうして、ユリウス朝は崩壊した。

カエサルから始まったユリウス・クラウディウスの血統による帝国支配は終わったが、ローマ帝国自体は揺るがず、短命で終わるの軍人皇帝を経て、五賢帝時代へと繋がって行く。

というわけで、ローマ帝国の歴史となっているが、実際はユリウス・クラウディウス朝の歴史だった。この後、四皇帝、フラウィウス朝、ネルウァ=アントニヌス朝、セウェルス朝、軍人皇帝時代、テトラルキア時代、コンスタンティヌス朝、ウァレンティニアヌス朝と続き、テオドシウス朝断絶後の最後の皇帝ロムルス・アウグストゥルスが傭兵隊長オドアケルに敗れて追放されるまで、ローマ帝国(西ローマ帝国)の歴史は終わらない。

マンガで読むと、物凄く頭に入りやすいので、五賢帝時代も描いて欲しい。


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