ある魔女の受難

4434202375ある魔女の受難
高見 梁川 かぼちゃ
アルファポリス 2015-01-23

by G-Tools

失われた秘法を求め、モンスターと戦い古代遺跡を探索する冒険者たち。人は彼らを「ダイバー」と呼んだ―。ダイバーギルドの長を務める青年エルロイは、仲間の魔法士に裏切られて命を落としてしまう。しかしふと気がつくと、一糸纏まぬ美少女となって息を吹き返していた!傍にいた執事の説明によると、どうやら古代魔法によって魂のみが転生し、かつて存在した亜神の予備身体に入り込んでしまったという。心は男なのに身体は美少女…そんな逆境を乗り越えつつ、エルロイは自分を殺した仇敵の陰謀を打ち砕くため、邪神討伐の旅に出るのだった―!


転生物だが、地球から行くわけではなくて、最初から異世界である。剣と魔法の世界で、古代遺跡を探索する冒険者はダイバーと呼ばれていた。ミズガルド大陸にある人類領域のダンジョンは、全て国家の管理下に置かれており、ギルドは国家に税を支払わなければならなかった。

凄腕のダイバーだった青年エルロイは、魔族領域にあるダンジョンを攻略しようと動き始め、次第に賛同者も多くなり、ついにどこの国の支配もうけない、ギルド直轄のダンジョンを得る事に成功する。この功績で、エルロイは若くしてギルド長となったが、新たに発見されたギルドのダンジョンには、古代の秘密が隠されていた。

大国フリギュア王国のオルランド大公がギルドを訪問する予定だったが、ギルドの構成員は完全武装のフリギュア兵士に襲われてしまう。構成員はダンジョン内に逃げ込むが、フリギュア軍は追撃を諦めなかった。エルロイ達は下層に逃げ込むが、多くの兵士を犠牲にしながら、オルランド大公が追いついて来る。

すでにダイバー最強の大魔法士セイリアと、古今無双の槍の使い手レーヴェ、そして魔法剣士のエルロイなど、数名のダイバーしか生き残っていなかった。どうやらサリエル・ドノバンというクズ魔法士が裏切って、フリギュア軍を手引きしたらしい。

他のメンバーを逃がしたエルロイが殺される直前、謎の遺跡が起動し、見た事もない魔法式が体を包み込んだ。気がつくと、魂だけが転送され、かつて存在した亜神エノクの予備身体の中に入っていた。エルロイが亜神エノクの子孫だったため、適合したらしい。

亜神エノクについてはほとんど語られないのだが、すで予備身体が必要のないに正式な神にでもなったのだろうか。エルロイは生き返ったが、問題があった。亜神エノクが女性だったために、美少女型の予備身体しか用意されていなかったのである。

ずっと魔法戦士の男として生きて来たのに、いきなり美少女転生である。亜神の身体なので、男だった時よりも高性能だから構わない気もするのだが、童貞のままで女体化するのは精神的にキツイかもしれない。予備身体は無駄に高性能なので、身体能力や魔力が高いだけでなく、子供まで産む事が可能だという……。

亜神エノクの使い魔として作られたオットー・カリウスとカーチャ・ゲオルギーナがサポートしてくれるのだが、男性執事型のオットーと女性メイド型のカーチャは同一人物である。同じ身体で入れ替わる事によって形状や性別を変化させるので、同時に存在する事は出来ない。

フリギュア王国に攻撃された件で、ギルド内部も分裂しており、逃げた幹部たちも賞金がかけられているらしい。エルロイは、まだ生きているダイバー達と合流しようとするのだが、性別も変わり、以前の自分とは全然似ていない美少女になってしまったので、血の繋がらない妹エルファシア・フェルディナン・ノルガードとして行動する事になった。

ギルド絡みの酒場で、ちょっと大暴れしつつ情報を得るのだが、賞金首を求めて、クズどもが群がってきた。酒場を出たところで尾行して来た奴らに欲情されたため、怒ったエルファシアはチンチンを切断して行く。切り落とされたくない生き残りに、町のギルドマスターになった腹黒い男ラグナスのところまで案内させる。

ラグナスを脅した結果、エルファシアは曖昧すぎる情報を手に入れる。敵方に剣士が寝返っており、そいつから内部情報が流れているらしい。ラグナスは、相手の力量を見誤り、生き延びるチャンスを失った。

エルファシアはワルキア公国に向かう。ワルキア公国は100年ほど前にブルームラント王国から独立した歴史の浅い国である。この小国は、大国の邪悪な思惑によって、後で大変な目に遭うのだが。ワルキアの都にある酒場でクズに絡まれるという定番イベントが発生し、相手の股間に致命的なダメージを与えた。美少女の姿なのに、敵対行動を取る相手は、金的攻撃で沈めるなんて、恐ろしい主人公である。

生き残りのギルドメンバーが潜伏しているアルバの森に向かうが、姿形は違うが、言動や必殺技が全く同じだったため、エルロイの義妹という設定が嘘だと、すぐにバレてしまう。仲間だったレーヴェには告白されるし、全然相手にされなかった片想いの相手セイリアにも言い寄られるし、面倒な事になっている。レーヴェのほうは、中身が男でも、見た目が美少女なら無問題な感じであるし、セイリアは百合属性な人だった。

ワルキア公国では一大イベントである武闘祭が開催されていた。優勝者は公王に謁見出来るのだが、暗殺者が優勝してしまった。元ギルドメンバーで漆黒のダータルネスという暗殺者が、力を吸い取る魔剣デイオグラスで襲い掛かって来る。裏切り者の剣士とは、ダータルネスのことだった。

さらに第二公子マウリッツが率いる第三騎士団も反乱を起こす。そして、フリギュア王国軍も、ワルキア公国に封印されているものを狙って侵攻してくる。それだけではない。フリギュア王国と並ぶ大国、ブルームラント王国まで敵の援軍として攻め寄せて来るのである。

敵が多すぎて勝てる気がしないところ、ワラキアに封印されてきた堕神ジェイドまで解放されてしまう。堕神ジェイドは、亜神化しながら、自分の身内を虐殺された事で狂ってしまい、敵となった国を根絶やしにして滅ぼした凶悪な存在である。

しかし、今回の騒動の黒幕であるフリギュア王国宰相ルードヴィッヒ・ゲオルグ・フォン・デーニッツが不死化を狙って堕神と融合してしまったので、神本来の能力は発揮できなくなっている。本来の能力ではないとはいえ、邪神化してしまった亜神なので、人外の能力を発揮出来る凄腕のダイバー達が戦ったとしても、勝てる相手ではない。

大転移魔法を使って部隊を送り込む事で魔力が枯渇したエルファシアだったが、エノクの残留思念のようなものから、自分を構成している亜神の予備身体を魔力に変換すれば、相手を倒せる事を教えられる。エルファシアは自分を魔力に変え、堕神ジェイドを消し去った。


多分、続きは出ないだろうが、フリギュア王国に対するお仕置きが無いのは残念である。これだけやらかしたのだから、何らかの責任は取ってもらわないと……。


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