ゾンビでわかる神経科学

477831526Xゾンビでわかる神経科学
ティモシー・ヴァースタイネン ブラッドリー・ヴォイテック Kousuke Shimizu
太田出版 2016-07-20

by G-Tools

ゾンビの脳は、どうなっているのか?米国の神経科学者ふたりが、大真面目に考えた。ゾンビ研究の最先端、禁断の翻訳!!


ゾンビに釣られてしまったが、真面目な神経科学の本だった。じゃあゾンビは要らないじゃないかと言われそうだが、ただの「わかる神経科学」の本だったら、医学部生は読んでも、一般人は手にあまり取らないだろうからゾンビを使って正解である。

「フォトンベルトで人類が進化する」やら「5次元からエネルギーを吸収して健康になる」みたいな事を書いているトンデモ本の類ではなくて、大真面目に神経科学に関する事が書いてある。ただ、研究対象にゾンビが選ばれているから、真面目に頑張れば頑張るほど、アホっぽく見えるという……。

死んでいるはずなのに何で動くのか、その時、ゾンビの脳内ではどのような現象が起こっていると予想されるのか、科学的なアプローチで紐解いていく。ちなみに、本書で扱うのは、ゆっくりと歩くタイプの正統派ゾンビである。全速力で襲い掛かって来る邪道な奴らは研究対象外である(笑)。

なお、本書にはゾンビ映画に関するネタバレがたくさんあるので、ネタバレが嫌な人は、予め下記の映画を観ておかなければならない。なお、日本語訳されていないっぽい書籍名も書いてあったが、リストにするのが面倒だし、そんなものは英語の偏差値が90くらいあるゾンビ好きのエリートしか読まないだろうから、省略する。

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』ジョージ・A・ロメロ監督(1968)
『ゾンビ』ジョージ・A・ロメロ監督(1978)
『バタリアン』ダン・オバノン監督(1985)
『死霊のはらわた2』サム・ライミ監督(1987)
『28日後……』ダニー・ボイル監督(2002)
『ショーン・オブ・ザ・デッド』エドガー・ライト監督(2004)
『ランド・オブ・ザ・デッド』ジョージ・A・ロメロ監督(2005)
『ゾンビーノ』アンドリュー・カリー監督(2007)
『ゾンビランド』ルーベン・フライシャー監督(2009)
『ウォーキング・デッド』TVドラマ(2010~)
『ウォーム・ボディーズ』ジョナサン・レヴィン監督(2013)
『ワールド・ウォーZ』マーク・フォースター監督(2013)


ゾンビは死体だが、脳が完全には死んでいないと予想される。その証拠に、ゾンビ映画では頭部を破壊された奴らは動かなくなる。黒魔術やら呪いなど、現代人が知る科学とは全く別の法則で動く奴らは知らん。そんなのがいたとしても神経科学の守備範囲外だから。

ゾンビは人間のようにものを考える事が出来ない。予め相手の行動を予測して罠を仕掛けたり、相手と交渉して事を有利に運んだりはせず、もっと原始的な衝動に突き動かされて、ひたすら前進し、飢えを満たそうとする。一方、ゾンビに襲われた人間は、必死で考え、武器を手に取り、何とかして生き延びようとする。

この時、脳のどの部分でそれが行われ、どういう反応が得られるのか、生きた人間とゾンビの双方を比較しながら考えて行く。ゾンビに関しては、今のところ実在しないのだが、脳のどの部分が損傷するとどうなるかについて、戦争犠牲者などの具体例で分かって来ているので、思いつきで適当に書いている訳ではない。

本物のゾンビはいない事になっているが、自分が歩く死体になっていると思い込むコタール妄想という病気はある。『死霊のはらわた2』では悪霊に右手が乗っ取られるが、エイリアン・ハンド症候群では、現実になってしまう可能性があるというから恐ろしい。

ゾンビ化の原因は、宇宙放射線、生物的感染、遺伝子操作、心理的感染、寄生生物、魔法、超自然的な憑き物、重度の鬱など、様々であるが、フィクションではなく自然界における具体例で比較する。胞子に感染した蟻がコロニーの上まで行って死に、仲間達に胞子を撒き散らす。ヨコエビに入り込んだ寄生虫が脳まで到達して体を乗っ取り、他の魚に食べられやすい場所まで移動するなど、恐ろしい事例が書かれてある。

ゾンビ・アポカリプスの生き延び方まで掲載されているのだが、実際に始まったら、人口密集地で食糧も少なく、重火器が滅多に手に入らない日本が最高難易度になる気がする。

欧米のゾンビ物だと、銃砲店や警察署や軍事基地からショットガンやロケットランチャーを仕入れて来るのに対して、日本だとホームセンターにある、バールのようなものやツルハシで戦わなければいけない。これは、かなり辛い戦いになるだろう。襲ってくるDQNの数は、アメリカより少ないかもしれないが。


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