東京湾景

東京湾景 (新潮文庫)東京湾景 (新潮文庫)
(2006/06)
吉田 修一

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「愛してないから、こんなに自由になれるの」「それでも、お前と一緒にいたかったんだよ」。品川埠頭の倉庫街で暮らし働く亮介が、携帯サイトの「涼子」と初めて出会った25歳の誕生日。嘘と隠し事で仕掛けあう互いのゲームの目論見は、突然に押し寄せた愛おしさにかき消え、二人は運命の恋に翻弄される。東京湾岸を恋人たちの聖地に変えた、最高にリアルでせつないラブストーリー。


出会い系サイトで知り合った二人の物語。実はどちらも恋愛に不器用で、心よりも身体が先に出てしまう。女の方は正体隠したままでミステリアスだが、男の方は単なるロクデナシ。

好きでもないのに紹介されたからと付き合っていた彼女を、出会い系サイトの女を捕まえられそうになった途端、捨ててしまう。相手は拒食症でボロボロになり、ストーカーじみた行為までしてしまうが、男運が無いのはロクデナシを選んでしまう自分が悪い。「馬鹿な女はロクデナシ男を選んでしまう」の法則が見事に成立している。

このロクデナシ男は、過去の失恋が原因で人間の心が信じられなくなっているのだが、与えない者に対して誰かから何かを与えられる事は無いだろう。サカリがついた単なる猿みたいで、底が浅い。少しだけキ印要素も入っているし。

文章は上手いけれども、あまり印象には残らない消費型恋愛小説だった。吉田修一作品の中では結構良いと思う。

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